
田中千佳子さん(小山内浩美 役)
小山内家のお母さん、浩美さん。田中千佳子さん、初めまして、でした。
第一声の「あなた、」だけで、それまでの夫婦の年輪を感じます。何だろう…ベストパートナーというか。保さんには浩美さんなんだなって。
浩美さんは、息子を亡くしてから、その本当の悲しみを誰にも言わず、朗らかに家族を包みながら生きてきたのだろうな、と思います。それが保さんに感化されて、地獄生物を息子だと思うことで、それまで生きていた時間から、少しずれてしまったのかもしれません。それだけ悲しくて辛くて、でも我慢してしまったのだろうなぁ。
美和に優作の死を確認されても「でも、戻ってきてくれてねぇ」と。ここ、…ん…と胸の奥がギュッとなります。
優作の姿は見えなくとも、かたくなに存在を信じることで、在るはずだった幸福な時間を取り戻してるのかもしれない。私は、浩美さんを否定することが出来ません。
田中さんは、お芝居の出力というか、パワーボリュームが自由自在に感じます。
素人目ですが、日常の台詞を言った後の、あの笑い方…ぐいっとボリュームボタンを上げたような。美和さんの台詞をお借りするならば「着実にいけない方向へ向かっている」ですね。
「美和ちゃん、良いニュース良いニュース!!」を、あんな風に言うなんて!!スイッチのオンオフも自在に感じます。
小山内夫妻、ご両人とも凄すぎて恐ろしいです(笑)。
「笑ってはいけないすしざんまい2022」(保さんへのお手紙参照)では、保さんの隣でつけ台を拭いたり、すっかり寿司屋の女将さん(笑)。二日目からでしょうか、鬼塚妹に「お一つどうぞ」と保さんが握ったシャリをすすめてる…どんなタイミングも逃さない!三谷にゲソ付き鰤を触らせるときの悪い顔ときたら!
その後、保さんの後ろに隠れて守ってもらってる姿がなんとも言えず、可愛かったです💕
若輩者ですが、舞台が好きなので、いろんな女優さんを拝見してきたつもりでいました。でも、田中さんのような役者さんに出会ったのは初めてです。平塚さん同様、「凄い!」しか出てこなく…かえって申し訳ありません。
保さんが「飛行機雲✨」と言った時、そっと寄り添って、空を見上げて「綺麗✨」と呟く姿が大好きです。
田中さん、出会ってくださって、本当にありがとうございました。小山内夫妻のお芝居を観られたことは、私の財産です。