志村君がいた頃からフォローし続けてきた人はもちろん、僕のように志村君がいなくなってから好きになった人も含めて、このライブは全てのフジファブリックファンにとって特別なライブだと思う。
この武道館を前に行われたツアーは、『LIFE』という10周年の節目にリリースされたアルバムを軸に現体制になってからライブで演奏されてこられなかった「若者のすべて」や四季盤の「陽炎」や「赤黄色の金木犀」披露されたり、何のためらいもなく志村君のことがライブで語られたりと、この武道館へ至る布石はすでに敷かれていた。
でも、やはりそのツアー中とも空気は明らかに違った。それは武道館に至るまでのフジファブリックを辿ったオープニングの映像から畳み掛ける様にデビュー曲の「桜の季節」が演奏されたところからこの日が特別なライブであることを皆が感じたのではないだろうか。
選曲は四季盤の春、夏でスタートするも「シャリー」が演奏されたり、その直後は「Sugar!」だったり、けして振り返りだけではなく、現体制のフジファブリックもしっかりと体現するラインナップだ。フジファブリックが10年間、大きな苦難に逢いながらも継続されてきた理由を彼らの力強い演奏を通して改めて知らしめられた。何よりも総君が本当にフロントマンとしてしっかりとライブの空気を引っ張ってることに頼もしさを感じた。
同時にそれだけ志村君の存在が大きかったことも感じた。彼の残した楽曲の数々は今もって褪せることなく、観客を沸かすことができるのだから。そして、その名楽曲たちの先に今のフジファブリックの作品が存在するのだから。
そして、この日のハイライトはやはりこの曲だけは志村君で無いとだめだろうなと思っていた「茜色の夕日」が在りし日の志村君の声と共に演奏されたこと。ただ単に感傷的になったり、胸が熱くなるだけでなく、本当に何の衒いもなく、いい曲だなと思った。そして、確かに志村君は今も居るのだなということを強く感じさせられた。
その後の「若者のすべて」、そして後半は怒涛の盛り上がりを見せて「LIFE」で締められる。
歌うことへの強い決意の表れ「Sing」からスタートしたアンコールも熱かった。
この日の為にと新たに用意された「はじまりのうた」はこれからのフジファブリックの鼓動を感じる多幸感溢れる楽曲で居合わせた人たちが本当にうらやましく感じた。
両曲ともにライブの定番曲となっている「銀河」「STAR」もこの日は本当に力強く感じた。これまでのフジファブリック、そしてこれからのフジファブリックを追いかけていく為にも、このライブはかけがえのないライブ。
願わくば、志村君が好きで今はフジファブリックを聴かなくなった人たちにも見て、聴いて欲しいなと強く思った。本当にいいライブです。
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