トンでもない | オーストラリアの360万坪の牧場から ~Gibraltar~

オーストラリアの360万坪の牧場から ~Gibraltar~

隣の家まで車で15分。
一番近い町まで車で片道40分。
生活用水は雨水と川の水。
そんなオーストラリアの田舎にある360万坪の牧場を経営しています。
日本ではあり得ない日常の様子をお届けします。

もう怒り心頭です。全く人の苦労を踏みにじる奴は許せません。

怒り狂っているので、そいつの息の根を止めてやろうと、ここ一か月走り回ってます。

何がムカつくって、一生懸命作ったものを台無しにし、ガソリンを必要以上に使わせ、

不法侵入者を連れてきて、人の家の敷地で悪さをする。

キレイな景色を破壊して、人の食べ物を横取りし、散々荒らして腹一杯になったら、昼間に暖かい日光を浴び寝る。

そして、皆が寝静まった夜中に起きて荒らしまわる。僕が起きてみると、目の前に広がる悲惨な光景。

こういう奴は徹底的にやっつけてしまいましょう。

なんか物凄く気味の悪い文章の出だしになりましたが、被害は深刻なものとなっております。

何の被害が深刻かと言うと、野生のブタによる被害です。

以前も記事にしたと思いますが、山の中の土地に住んでいるため家の周りには色々な野生動物が居ます。

殆どの動物は、そんなに悪さをしないのですが、この野生のブタだけは許してはおけません。

ブタは雑食なので何でも食べるのですが、特にブタが好きなのは「ナッツグラス」という地中に豆のような根っこを持つ草で、

それを食べるために鼻で土を掘ってその根っこを掘り出します。

この掘り出す行為が最悪で、種を蒔いた後の畑に侵入されると種はおろか、やっと芽が出てきた牧草もメチャクチャにしてしまいます。

また、ナッツグラスは非常に強力で、普通の雑草が農薬1回で死ぬのに対し、ナッツグラスは3回、4回散布しても死にませんし、

繁殖力が強い為、完全に畑から取り去る事は不可能です。

なので、ブタの侵入を防ぐため、畑の周りは普通のフェンスよりも強力な物を使用しています。

しかし、ブタはそんなのお構いなし。鼻でフェンスの周りを掘って隙間を作って中に侵入します。

この写真は最近蒔き終えた冬の牧草の畑です。芽が出てきて一面グリーンになっているのが見えると思います。

しかし、写真左の方に土が露出している場所があるのが見えると思います。

$オーストラリアの森から ~Gibraltar~


これがブタ改めブタ野郎の仕業です。

この畑は約6万坪あるのですが、すでに5000坪ぐらい掘られてしまい、掘られた場所にあった芽が出た牧草も死にました。

この掘られた穴は次回トラクターで耕すまでこのまま。しかも、耕す時はこの穴の上をトラクターで通るため、

死ぬほど揺れます。運転しながら頭が天井にぶつかるぐらい跳ねます。

そして、この穴は不法侵入者を我が牧場に招きます。穴が掘られているという事は、ブタがいるという証拠ですから、

ブタ狩りをしに不法侵入者が訪れます。もちろん、牛の食べ物も減ります。

人間のストレスも溜まります。まったく、1ミリたりとも人間の得になる事がありません!

このままナメられっぱなしも腹が立つので、まずは毒を購入しました。

ブタの被害は我が牧場だけでなく、他の牧場も少なくともある程度の被害は受けています。

なので、この毒はちゃんとした場所で買える、ブタを殺すために作られた毒です。購入にはライセンスも必要になります。

$オーストラリアの森から ~Gibraltar~

この毒を写真のようにコーンと混ぜて、間違って牛や犬が食べないように周りを囲みます。

$オーストラリアの森から ~Gibraltar~


そして、ブタ改めクソブタ野郎の通り道などに置いておきます。

また、生け捕りにする方法もあります。これは自家製の罠(檻のような物)にコーンを置いておき、ブタが入ると扉が閉まるようになっています。

$オーストラリアの森から ~Gibraltar~


$オーストラリアの森から ~Gibraltar~



数日前にこの方法で4頭捕まえたので処分しました。

しかし、それでも全滅はハッキリ言って不可能なので、毒や罠を実行しつつ、畑のフェンスの周りに電流を流します。

日本の農場で使ってるところもありますが、電流発生装置を繋いだワイヤーをブタの高さに設置することで、

畑をブタから守ります。この電流は触ると感電するだけで、殺す事は出来ません。

今日も朝からその電流ワイヤーを取り付ける仕事をしてたのですが、畑の中や外にブタの糞がわんさかありました・・・。

こうやって自然の動物から牛や牧場を守るのも大切な仕事。

これをやらないと、牛を飼っているのかブタを飼っているのかわからなくなってしまうので、出来るだけ被害が減るように日々努力しましょう。

でわ!