
https://www.amazon.co.jp/dp/4797381574
科学的視点から見る日本刀の「強靭さ」と「美しさ」
https://online.sbcr.jp/2016/09/004201_3.html
――刃文についても教えてください。
図3の刀の刃文は「湾れ(のたれ)」といわれます。美術工芸品としての評価には、反り、刃文に加え、この写真ではよく見えませんが「鍛え肌(きたえはだ)」も重要です。さらに刃境には「沸(にえ)」や「匂(におい)」と呼ばれる焼入れ文様も見られます。これらは刀剣の重要な鑑賞要素になっていますが、すべて焼入れによる玉鋼の「相変態(そうへんたい)」に起因しています。
――焼入れによる「相変態」とは何ですか?
鉄の結晶構造の変化を「鉄の相変態」といいます。焼入れでは、「火造り」(小槌で叩きながら日本刀の形状を打ち出していくこと)によって刀姿がほぼ決められた刀身に、「焼刃土(やきばつち)」が塗られます。刃になる部分には焼刃土を薄く、棟側には1mm程度に厚く焼刃土を塗ります。続いて「火床(ほど)」で800℃程度に刀身を一様に加熱し、「船」と呼ばれる水槽に一気に沈めて、急冷します。このとき、玉鋼の相変態によって反りと刃文が同時に生じます。
図4は、冷却速度の違いによる鋼の相変態です。図面の縦軸は温度(℃)、横軸は鉄鋼中の含有炭素量(%)です。
焼刃土が薄く塗られた刃部は急冷されて、鉄鋼では最も硬い「マルテンサイト」という鋼組織に変態し、焼刃土が厚く塗られた棟側と刀身内部は除冷されて「パーライト」と「フェライト」という、軟らかく延性や靭性が大きい結晶組織になります。したがって、刃の部分は硬くてよく切れ、刀身全体としては柔軟性がある「強靱で折れにくい日本刀」がつくられます。
日本刀の強靭さについてのメカニズムは、拙著『日本刀の科学』(サイエンス・アイ新書)で詳しく解説していますが、刃側の部分は体積膨張が大きなマルテンサイト、棟側はそれに比べて体積膨張が小さいパーライトに変態する結果、刀身は湾曲変形します。すなわち、「日本刀の反りは、力学的バランスによって生まれた造形」といえるのです。
焼き入れで、刀身が反る映像を見つけますた。
貴重映像だと思う。保存版。
日本刀 焼き入れ
ガラス越しの焼き入れ 反る瞬間をご覧ください
日本刀 焼き入れ -Japanese swords water quench-
https://www.youtube.com/watch?v=viqrOAG13Q0
小宮國天刀工 ガラス越しの焼き入れ 反る瞬間をご覧ください
https://www.youtube.com/watch?v=PgnPq9ZK_fE
小宮國天刀工、土置きから焼き入れ(4分14秒バージョン)
https://www.youtube.com/watch?v=ZyfjF4HqlTU

