奈美が初めて戦術機に乗る話(真木編)

 

※奈美が初めて戦術機に乗る話(奈美編)の同時期の真木さん視点です。

京都防衛戦後、ゴーストが正式に戦隊の衛士として復帰する頃に戻る。
甲本大尉が戦隊に合流し戦力も増えてきた頃であった。

唐突に戦隊長より第六警戒小隊の件で戦隊長室へ呼ばれる。
警戒型不知火も納入され、メインパイロットのゴースト准尉も傷が癒え復帰する。
それにバックアップ担当の奈美准尉も着任した。何かあったかなと思いつつも整備兵達に
指示を出しつつ戦隊長室へ向かい話を聞いた。


その帰り道、整備ハンガーへ戻りつついろいろ思案していた。
姉妹には色々出会ってから何か隠しているというか、私を前から知っていた?
そして何かを隠していると考えていた。

真木班長「戦隊長は何故そこまでして奈美准尉を前線に出したいんだ?確かに彼女の才能は非凡だが、
まだまだ前線に出るのは無茶が過ぎる...これも姉妹の隠し事に繋がっているって訳か...?」
そうブツブツと話しながらハンガーへ向かう真木。



そう呟きながら、何故か医務室に寄り道をしていた。
真木班長「アイツに聞いてもしゃあないかもだが、1人で悩むよりはマシか...失礼するよ!ヤブ医者はいるかい?」
そう言って医務室の扉を開ける。

診察室で女性隊員の診察をしている明日香。
司軍医長「はーい。ちゃんとこの薬飲んでね。あ、お酒は夜一緒に飲みましょう。ちゃんと来るんだよ~。」
困惑しながら女性隊員は頭に??が付きつつ着替えて真木に敬礼をして出ていく。



司軍医長「おー、沙奈江~。ちょうど診察終わったから呑もうよw。」
と一升瓶を取り出してすでに吞みだしている。


真木班長「アンタみたいに勤務中に飲酒はしないよ。一つ聞きたいんだが、アンタから見て早雲姉妹はどう写ってる?」
呆れながらも本題を話した。

ガーンみたいな傷ついた顔をして一口飲んでうーんと一瞬困った表情を浮かべて答える。
司軍医長「、、、医者として言えるのは何か違和感がある。色々カルテを見たけど、、
何か解らないけど違和感が。なにかが解らないけど私の結論はあの姉妹にはあるよ。
何か悪い事してるとかそんなんじゃないけど。二人ともほんと優しいしね。皆の為に動いてるし。」
と答える。

真木班長「皆の為に動いていて優しいのは分かってるさ。問題は隠し事が多いと言う印象が強いのさ...。
このまま隠し事がある状態だと、真に戦隊として上手くいくのか、なんて言う思いがアタシにはあるんだ。
まぁ、人には言えない隠し事は一つや二つあるのも分かってはいるんだけどね...。」

うーんと考え込みながら、さらに一口呑む。
司軍医長「ぷはぁ。うーん。まあそこはどうなんだろうね。
それなりに戦隊の指揮はちゃんとやってるみたいだけど。
あ、凜ちゃんとかゴーストちゃん辺りなんか知ってるんじゃない。よく奈美ちゃんと居るし。
何か?から護ってるように見えるけど。。。
まあ、一番姉妹と付き合い長い橘っちなら何かしら知ってるんじゃない。」

真木班長「だとしたら話さないだろうさ。なんせ隠し事だしな。」

明日香はうーんと考え込む。
司軍医長「だよね~。うーん、じゃあ奈美ちゃんに呑ませて押し倒して色々聞いたら。
それが一番早そうwまあ周りがぜったい止めると思うけど。」
と冗談を言うが、そのあと
司軍医長「二人とちゃんと話した方がいいんじゃない。沙奈江がそう思うなら。。
それとも機密とか知りたいなら、、、南條のおっさん中将に直談判するとか。それしかないと思うよ。」
と真面目に答える。

真木班長「そうだな...ありがとう。後はアタシ自身でなんとかしてみるさ。飲み過ぎるなよ?」
そう言って、真木は医務室を後にした。

司軍医長「あーい。まあ根を詰め過ぎないようにね~。うん、大丈夫~。」
と手をひらひらさせて真木を見送りつつまた酒を呑む。

真木班長「さて、とりあえずハンガーに戻るか。」
そう歩き出し、ハンガーに戻ると丁度凜が自身の機体を見上げているのを見つけた。


真木班長「甲本か、何か機体に不具合でもあったか?それとも要望かい?」
そう話しかける。

凜が振り向き敬礼する。
甲本大尉「真木班長。いえ、不具合はありません。稼働率が高くて助かります。
出来ればもうちょっと機動力上げていただけると助かります。
まあ、一緒に組む第二中隊の副官である小隊員の衛士次第ですけどね。」
と答える。



真木班長「機動力か、分かったよ。なぁ甲本、アンタから見て早雲姉妹はどう映ってるんだい?」

真木に聞かれて答える凜。
甲本大尉「早雲姉妹?そうですね。信頼にたる戦友ですかね。妹の奈美准尉は守ってあげたい
感じがすごくする子ですけど。」
と真木の意図はどこにあるのか少し戸惑い答える。

真木班長「姉妹は何か隠し事が多い様に見えるんだ。それが悪い訳じゃないが...。

このまま隠し事があるままでいいのかと言う、
まぁアタシのお節介なのか、はたまたただ隠し事を知りたいと思っているのか...。」

凜はまあ、カンの鋭い真木ならうすうす感ずいているとは思っていたので小声で。
甲本大尉「、、、下手なお節介なら撤退すべきですよ。私から言えることはそれだけです。
あとは本人達とよく話し合った方がいいです。真木班長次第ですけど。」
と言う。

真木班長「撤退ね...こうやって関わっている時点で既に撤退と言う二文字はあってない様な物だろ?
その口振りだと知ってる訳だな?」
真木も小声で返した。

真木の決意を聞いて首を振る。
甲本大尉「、、、申し訳ありません。私からはこれ以上言えません。
ですから首を突っ込むならちゃんと早雲姉妹と話し合ってください。」

真木班長「アイツらがそう簡単に話してはくれないと思えないけどね...。
分かった、別の奴らにも聞いてみるさ。ありがとよ。」
そう言って、整備班の元へ向かう。

凜は敬礼して整備ハンガーより移動していった。

日も傾いて来た頃、休憩の為喫煙所であるハンガー横でタバコを吸っている最中に紫音がこちらに来た。

真木班長「橘か、珍しいねアンタが来るなんて。一旦どうしたんだい?」

敬礼して答える紫音。
橘副官「いえ、戦術機部隊の副官として整備班との調整をしにまいりました。
明日の件ですよ。警戒型不知火の機体等の確認と第六警戒小隊結成式の調整がありましたからね。。
これが戦隊長からのオーダーです。」
と明日の奈美の初の搭乗に備えて準備内容のリストを渡す。

リストを一通り読んだ後、紫音に話す。
真木班長「マジで乗るんだな...アタシとしてはあのまま載せるのには不安でしかないんだけどね...。
確か、姉妹と親しいんだったな?アンタから見て、どう写ってるんだい?」

まっすぐに真木を見て答える。
橘副官「、、、私にとって戦隊長は、亜美は私の全てですよ。信頼に値する女性です。
妹の奈美准尉は言わずも真木さんが一番知っているかと。
彼女ならやりとげますよ。何があっても。確かに前途多難ですけどね。」
と答える。



そして目を細めて眼鏡を外し小声で真木の意図を考えてさらに伝える。
橘副官「真木大尉殿、貴官は何をしようとしてますか。
その内容によっては自分は貴方の敵になるかもしれません。
ですが、亜美の、奈美ちゃんの悲しむ顔は見たくない。
そうならないと思っていますが、、、姉妹は貴方を慕っています。
そしてその想いから、いえ自分が言ってはいけない事です。
では明日の件、特に奈美准尉を宜しくお願い致します。」
と一瞬苦しそうな表情を浮かべてすぐに眼鏡を付けて、敬礼して戦隊長室へ戻る。

真木班長「...なら何故、隠し事をするんだい?思いは言葉にしなきゃ伝わらないよ。」
そう思い、またタバコを吸い始める真木。

ゴーストが明日の演習の為に機体のセッティングに行く。
ゴースト准尉「明日の演習で自分が使う撃震の機体はどちらでしょうか。セッティングお願いします。
必要があれば警戒型不知火のもお願いします」
と整備兵達に頭を下げて依頼する。



それを真木は遠目から見つめて呟く。
真木班長「アイツも、知っているんだろうな...。」

ふと視線を感じて振り向くゴースト。
その先には、、、真木班長が複雑な顔をしている、気がした。。
整備兵と話して、機体に乗りながら対応してる。
終わったら話しかけてみるかと思いつつ。

真木班長「さて...どう話したら良いかね。」

そう言って吸い終わったタバコを灰皿に入れ、また当たらしく吸い始める。

整備兵と二人で撃震の管制ユニット内で設定を行っている。
ゴースト准尉「以前の情報をそのまま入れてくれればよいかと。直前の京都防衛戦時のパーソナル情報ありますよね。」
整備兵A「ああ、それで行けるはずだ。機動振りでいいか。」
ゴースト准尉「宜しくお願い致します。」
と設定を行っていた。

その時、別の整備兵が管制ユニットに入って来た。
整備兵B「おい、こっちに手を貸してくれ。」
整備兵A「え?じゃあここは誰がやるんだ?」

直後に真木も入って来て、答える。
真木班長「アタシがやろう。アンタはそっちに手伝いに行きな。」

整備兵A「あ、姉御!了解です!」
整備兵B「すみません姉御、無理言ってしまって。」
どうやらどうしても来て欲しかった用事がある様で、真木が助け舟をだしたのだった。

ゴースト准尉「真木さん自ら。恐縮であります。
、、、何か聞きたいことあるのではないですか。」
と先ほどの視線を感じていたのでゴーストから話す。

真木は設定しながら喋る。
真木班長「聞いて、答えてくれるのかい?」

う、と藪蛇な事を言ってしまったと思いつつも答える。
ゴースト准尉「、、、内容によりますが。ただ真木さんが何をしたいのか、
そしてその内容が危険が伴うものでなければ。。」
と渋い顔をして答える。
(真木さんには嘘はつきたくない。必要な嘘なら仕方ないが。。だが)

真木班長「姉妹の事だよ。アタシに対して隠し事あるだろ?何故隠してるんだい?」

どう答えようか迷いつつも
ゴースト准尉「、、、それは戦隊長殿も早雲准尉も真木さんの事を大切に思っているからです。」
と小さな声で答える。

真木班長「大切にね。ならアタシにも話すべきなんじゃないか?
アタシだって姉妹の事は大切だよ。アタシは知ってはいけないのかい?」

ゴースト准尉「、、、真木さんを危険に晒してしまうのが嫌だから。
これ以上変えてしまった事で真木さんを、、苦しめたくないから。
だから、、。」
とこれ以上どうしようかとどういえばいいのか解らず、言葉に詰まる。

真木班長「アタシだけ知らない方が苦しいよ。
アタシも姉妹の事を思ってるし、今まで色々背負い込んで来た。

アイツらを見て、アタシはアイツらの重荷も背負い込みたいんだ。
凄く重い物を持っている事は側から見て感じるんだよ。」

ゴースト准尉「、、、解ってます。真木さんはそう言うに決まってる。優しいから。
でも真木さんの個人の武の強さでなんとでもなるわけでも無いのです。だから。
重荷で真木さんを追い込んでしまうのが、、、自分からはこれ以上言えません。」
と口を閉ざす。

真木班長「言ってくれないのは分かっていたさ。はいよ、出来た。アタシは失礼する。」
そう言って管制ユニットから出ていく真木。

脱力したように、どさっと背もたれにもたれるゴースト。
ゴースト准尉「(失望させたよなあ。これ。でも、、、後は真木さんが直接腹を割って話すしかないと思う。」
と出て行った真木に目を向ける。

その後陽が落ち、終業したハンガーを閉めてながら悩んでいた。
真木班長「どうすりゃ良いんだ...」

その悩んだ真木を見ていた武子がそばによる。
西大尉「、、、問い詰めてみればいいんじゃないですか真木殿。」
とあっけらかんと言う。



真木班長「西か...なんだって急に。」

左目が無い眼帯をかけていない残った右目を細めて言う。
西大尉「、、、真木殿嗅ぎまわっているの解ってますよ。」
と答える。

真木班長「そうだな。それがどうしたんだ?アタシを戦隊から叩き出すか?」

西大尉「そんな事しませんよ。亜美が惚れ込んで引き抜いた方を。
あ、奈美ちゃんを私が癒してあげて西家の子にするのもありかな。
そうすれば政治的にも。」
とニヤソな顔つきになる。



真木班長「冗談は良い、一つだけ聞かせてくれ。
アンタは姉妹の秘密を知っているんだな?」

やっと聞く気になったと思い答える。
西大尉「知らない事になっている。でないと亜美の戦友で居られないのと、奈美ちゃんを護ってやれないから。」
とある意味肯定して言う。

真木班長「そうかい...なら、やはり直接か...。」

武子がニッコリ笑う。
西大尉「それでいいと思うでありますよ。。皆、真木殿と姉妹の間で揺れ動いてる。
教えてあげたいけど、、政治的にそして真木殿の斯衛の立場があるのを
解って言えないのでありますよ。そこを解ってあげて欲しいでありますよ。」
と答える。

真木班長「そうかい...アタシは、知るべきだと思ってる。アタシの感がそう言ってるんだ、
知らないと後悔するって。ありがとよ西。」
真木はそう言うと、戦隊長室を見据えた。

西大尉「、、、そうでありますな。知るべきでありますな。
まあ、けんか腰でなくゆっくり聞いてあげていただけると。
奈美ちゃんからまずは聞いてあげれば、話しやすいのでは。」
と真木に手をヒラヒラさせて整備ハンガーを出て行くのであった。

真木は決意して、姉妹に話を聞こうと思うのであった。

だか、その前に事件は起こる。

→第零独立強襲戦隊興亡記~外伝1998年:とある日の第六警戒小隊の訓練風景(狙われた奈美さん)編へ続く。

END


翌日結局早雲戦隊長と奈美准尉の訓練用衛士強化服を撮ってお小遣い稼ぎしていた
斯衛軍出身派の整備兵は真木に怒られて整備ハンガーで縛りあげられていたw
(西少佐はお小言言って没収しただけだなのでご注進はしてないそうですw)

 

陸軍出身派整備兵A「(www。いいざまだ。そんなことしてるから真木大尉殿に見つかって縛りあげられるんだよ。

もうちょっとお小遣い稼ぎはハゼの干物作成とかな、内々ですむ問題でやらないと。)」

とクスクスわらっていたとかなんとか。

砂原整備兵「なぁにそこでヒソヒソしてるんだコラ。」
隠れてコソコソしている陸軍派閥の整備兵に肩を組んだ砂原。後ろから菊間も来ていた。

砂原整備兵「知ってんだぞ、アンタらだって奈美ちゃんの恥ずかしい写真を撮ったんだってことをよ。
ホレ、姉御にチクらない代わりに寄越せ。」
菊間整備兵「砂原、そう喧嘩腰にならないで下さい。同じ整備班で揉め事は今後の機体整備に影響が出ますよ?」

陸軍出身派整備兵B「ぐ(バレていたか)そこはじゃあこれで(ハゼの干物を何枚か新聞紙でくるんだものを)
どうだ、今後とも仲良くやっていこうぜ。」
陸軍出身派整備兵A「解ったよ。こちらも回そう(姉妹の訓練用衛士強化服の写真を渡す。)

 

で?お二人はどっちが好きなんだよw。」
と茶化す。

砂原整備兵「...へぇ。どうしようかな。」
などと言っていると、今度は菊間が陸軍出身派整備兵の胸倉を掴む。

菊間整備兵「ふむ、なるほど...それで我々を買収すると?そうですね、あの人が見てなければ考えたんですが...。」
そう後ろを向くと真木が仁王立ちしていた。

真木班長「アンタら...どうやら全員仕置きが必要みたいだね。」

菊間整備兵「そのようで、とりあえず仲良くハンガーに宙吊りでどうでしょうか?」

真木班長「おやっさんの仕置きまで継承はしたくなかったんだけどね...菊間、やるよ。」

菊間整備兵「了解です姉御。」

砂原整備兵「ってちょっと待て!俺も吊るされるのか!」

菊間整備兵「そりゃ頷き掛けたんですから同罪ですよ。大人しく宙吊りになって下さい。」

砂原整備兵「ふざけんな!姉御!助けて!」

真木班長「知ってんだぞ、アンタが奈美の強化装備姿を舐めるように見ていたのは...。」

砂原整備兵「チクショウ、あれで見るなってのが無理な話ですよ!」

陸軍派閥の二人は愕然として言う。
陸軍出身派整備兵A、B 「あー、整備班長殿(ガクガクブルブル)お慈悲を。。
そうだそうだ。整備ハンガーで見えるところでやるのが行けないんだ(◎_◎;)
それに整備兵はひもじい思いしてるからせっかく予算を増やしてるのに(シクシク)。
宙吊りだけはご勘弁を(;^ω^)」

真木班長「言ったはずだ。見せ物じゃないと、なのにアンタ...貴様らはアタシの言う事を聞かなかった...。
それ以上に、誰が予算を増やせと言った!勝手なことばかりしやがって!問答無用だ!貴様らを見せ物にしてやる!」

そう言って、砂原を含めた3人は宙吊りにされた。
こうして整備班の宙吊りお仕置きは斯衛から伝統で戦隊に引き継がれたとかなんとかw

と、それを横目に陸軍に所属してる2名の整備兵が戦術機の横で隠れて話していた。
??「やはり何かあの姉妹はあるな、仕掛けてみるか。」
??「そうしよう、バレないように。ばれたら一度撤収してまた変わりが来るさ。」