第零独立強襲戦隊興亡記~本編2-3:佐渡島防衛戦後編~

 

戦隊基地に戻った後日。
戦隊長室に集まった真木少佐と上月副官そして菊間整備兵と亜美戦隊長と橘副官。

亜美戦隊長「では、菊間整備兵話を頼む。」



菊間はニコニコしながら話始める。
菊間整備兵「はい、どこから話したものか...とりあえず今回の件についてから。
私の飼い主である斑鳩家当主 斑鳩崇継様と南條中将殿が話し合いをしましてね。

戦隊が斑鳩家の息のかかる部隊を始めとした斯衛軍の作戦の協力と対米防諜の構築などの条件の代わりに
武御雷の提供となりました。」

真木大尉「まさか武御雷を頂けるなんてね...素直に喜んだ方が良いんだけど、なんかな...。」



そう聞いた菊間は。
菊間整備兵「戦術機は使う為にあります。そんなに気にしないでください。」

上月副官「そうですよ大尉。その分、戦場で活躍しましょう。」



亜美戦隊長「では、ここからは相談なのですが、真木さんと上月副官は整備班と兼任して
戦隊の戦術機部隊にも所属してもらってもいいでしょうか?

私直轄の戦隊本部小隊の3番機、4番機として。
無論、お二人は切り札かつ遊撃部隊です。私の命令ではなくお二人の思う戦闘を行ってくれて構いません。」

真木大尉「なるほど、上月。アンタはどうなんだい?」

上月副官「私ですか?私は今まで通り、大尉に付き合いますよ。
大尉の思いのままにやって下さい、副官らしくついて行きますから。

真木大尉「ったく、分かったよ。ある意味それを見越して落合を次期整備班長にしたんだからな。
っても整備班長の仕事をおろそかにする気はない、毎度は無いが戦術機部隊の所属は承諾するよ。
優先は整備班になると思うけどね。」

亜美戦隊長「もちろんです、整備班を優先にしていただいて構いません。
そのために私直轄の戦隊本部小隊で遊撃部隊なのですよ。」
と菊間整備兵を見つめる。

菊間は亜美からの視線を察知し、口を開く。
菊間整備兵「さて、恐らく盗み聞きしているであろう菅中尉と同業者同士で話して来ますよ。
戦隊長、"これから大事なお話"があるみたいですので失礼しますね。」

上月副官「なら私も席を外すべきですかね。」

そう立ちあがろうとした上月を菊間は抑えた。
菊間整備兵「いや、貴方は此処にいるべきです。それでは失礼。」
そう言って退出した。

亜美戦隊長「まったく、察しが良すぎる。さすが諜報員と言う事ですか。
まあ、念には念を入れないといけないので、彼は外しておきたかったのが本音ですが。」
とやれやれとため息をつく。

亜美戦隊長「さて、ここからは。上月副官、この前の私達姉妹の秘密についての答えを聞きたいです。
どうしますか。私と奈美としては上月副官は信頼できる戦友そしてもう一人の父親だと思ってます。

その上で隠し事はしたくないので、、話したいと思いますがこれは政治が絡むことや、
上月副官の身辺にも影響が出てくるかもしれない。だから知らなかったでも構いません。」
と話す。

上月副官「以前に話そうとした奴ですね。既に斯衛が深く関わってますので、
私が他人事と知らぬ存ぜぬとは行きませんよ...。お二人が私を信じて頂けるなら、お話して下さい。」

亜美戦隊長「有難うございます。勿論ですよ。私も奈美も上月さんは信用してますよ。
その優しい人柄。信じます。」
と一呼吸して話す。

生い立ちと、早雲家の両親との出会い、前世の記憶が有る事また壮絶な姉妹の最期、
早雲家の両親を救えなかったこと、そして今までの事を話して行く。

亜美戦隊長「と、いう事なんです。ですから私達は日本人でも人ですらもないのですよ。
しかも奈美は自分を護ることができないぐらいに弱い。その代わり色々な能力が備わっています。

特に夢見は。。。今まで外れた事がなく、今回のように変わるような事がなく両親を救えなかったことが
特に絶望して、佐渡島防衛戦ではこんな事をしてしまいました。本当に申し訳ありませんでした。」
と頭を真木と上月副官に下げる。

真木大尉「それは既に済んでる。今更ゲンコツを食らわせないから安心しな。
それで上月は全部聞いた訳だけど、どうだい?」

上月副官「なるほど...だから私は目覚めた訳ですか。
私としてはこうやってお二人とも生きて帰れましたし、何も言う事はありませんよ。
ご家族の件は、なんて言ったら良いか...。」

亜美戦隊長「有難うございます。そう言っていただけたら嬉しいです。
両親には本当に良くしてもらいました。私達を極秘に引き取ってくれて
早雲家の娘として一心に愛情を受けて、だから前世の嫌な事も克服出来ました。

ですが、奈美は、、、まだ克服できていません。
そのために菅中尉の件の時には、、真木さんにもご迷惑を。。
もし可能であれば、直接の護衛兵は奈月少尉とゴースト准尉にお願いしてますが、
少し気にかけて頂けると助かります。」

亜美戦隊長「、、、本当は私が直接護ってあげたいのですが、戦隊全員の事を守るのが戦隊長の役目。
だから奈美一人を優先することはできないので。」
とも言う。

真木大尉「だってよお父さん?」
上月副官「大尉、からかうのはやめて下さい。以前からもなるべく気にかけていましたが、
今後は更に見るようにしますよ。お任せください。」

亜美はそれを聞いてクスリと笑う。
亜美戦隊長「それを言ったら真木さんもお母さんですからね。でも、お二人はお姉さんとお兄さんかなあ。
上月さん有難うございます。そんな気はしてました。優しそうに奈美を見る上月さん。

それを見て奈美もなついている気がしますね。
あ、奈月少尉はたぶん上月さんを兄のように慕ってますね。もしかしたら好きかもしれないですよ。」
と茶化す。

上月副官「そう茶化さないで下さいよ戦隊長。
他にはありませんか?此処まで来たんです、隠し事はやめて下さい。」

亜美戦隊長「冗談はここまでにしておきますよ。
はい、もうありませんよ。隠し事は本当にありません。

今後はもし奈美が夢見を見たら、私達の秘密を知ってる方を呼んで
ちゃんと皆さんに相談しますから、お願いします。
あとは、奈月少尉の所に詫びに行かないと。」

と、扉の外にいる奈美に声をかける亜美
亜美戦隊長「いるのは解ってるわよ。入ってきていいわよ奈美。
一緒に奈月少尉の所に行きましょう。」
と言うとばつが悪そうに中に入る奈美。



奈美准尉「申し訳ありませんでした。そして今後ともよろしくお願い致します。
真木さん、上月副官さん。」
と頭を下げる。

真木大尉「勿論、謝りに行きな。奈月がどれだけ心配したことか...。
アイツ、最悪2人を庇うつもりだったみたいだからね。」

上月副官「確かに、話してくれない事を気に悩んでいましたしね。奈美じゅ...いや奈美さん。
我々は気にしてはないです、ちゃんと奈月さんに謝って下さいね?」

奈美准尉「有難うございます。はい、ちゃんと今後は話すようにします。そして謝ります。
もう誰も死なせたくないですし、私が死ぬことで悲しませたくも無いですから。。。」
亜美戦隊長「そうね、行きましょう奈美。お二人とも有難うございました。」

真木大尉「おう、終わったら顔出せよ〜。」

奈美准尉「はい、戻ってきますね。では。」
と会釈して姉妹は出ていく。

2人を見送った、真木と上月。
上月副官「大丈夫でしょうかね?」

真木大尉「心配する必要あるか?奈月だって、2人が生きて帰って来られたんだ。
それ以上を望まないだろ?アタシもゲンコツ落として、思いをぶちまけた。それで仕舞いだろ?」

上月副官「ならば、2人のために何か用意しましょうか。さて何が良いんだろうか...。」

姉妹は戦隊長室を出る。そこにはゴーストが居た。
ゴースト准尉「良かった。上月副官殿とはうまくいきそうですね。あ、自分護衛兵なので
奈月さんの部屋まではついて行きますよ。
と同行して姉妹について行く。

そして奈月の部屋に着き亜美がドアをノックする。
ゴーストは少し離れて待機している。

奈月少尉「...誰ですか?」



奈月はわざとらしくそう言い、扉の前で背を向けて寄りかかっていた。
怒っている訳でもないが、前のような無機質な興味が無いような言い方だった。

亜美戦隊長「、、、亜美よ、奈美と二人で来た。
お願い、扉を開けてくれない?話がしたい。」

奈月少尉「話、ですか...佐渡島の前では頑なに話してくれなかったくせに...今更ですか?
私の、いや私達の気持ちを不意にしたのに?」
以前の様な淡々とした言い方だが、言葉に震えがあった。

亜美戦隊長「うん、、、今更だけど。私達には未来が解っていた。
だから、、私達二人は佐渡島で終わると思っていた。両親の時もそう、、、未来は変えられなかった。

だから、、奈月達は助けたかった。それに奈月は私達をかばう事は解っていた。
だから、、、それだけは私達はさせたくなかった。
申し訳ない、私が間違っていた。これからはちゃんと相談する。今度から生きるも死ぬも一緒に、、共に進みたい。」

奈美准尉「、、、ごめんなさい、奈月お姉ちゃん。。私達は絶望していました。
夢見で外れた事はなかったので。必ずあがいても結果は同じでした。だから、、奈月お姉ちゃんは生きて欲しかった。
でもそれが間違いだと今回はっきりと解りました。お願い、もうこんな事しません。だから。。。」
と二人は項垂れる。

奈月少尉「そうなんだね。でも此処は開けられない、それは私が2人の口を割らせる事が出来なかった事、
操縦権を奪い返そうと抗わなかった事。そして...後で思ってしまったの、心の何処でね...。
仕方ないと諦めようとしていた事が私自身が許せない...!」
そう言い、全くドアを開けようとしなかった。

どうしようかと姉妹は悩む。
それを聞き耳を立てて聞いているゴースト。
ゴースト准尉「(、、、、天の岩戸は開かずか。。。ここは俺が嫌われてもいいからやるべきかな。)」

つかつかと奈月の部屋の前に行き、ドアにケリを何度かぶち込む。
ゴースト准尉「夢見に付き合った私が言う事では無いですが、奈月さん、いい加減に出てきたらどうですか。
早雲姉妹は絶望していたのですよ。変えられない未来を。そして奈月さんを大事に思っている。だから。。。

それに奈月さんが悪いわけでもない。もう自分を許していいのでは。こんなの辛すぎますよ。
俺はこれ以上家族を、戦友が悲しむのを見たいくない。それでも出てこないなら強硬突入しますよ。」

亜美と奈美が驚く、ゴーストが強硬的な事をすることは今までなかったのにこんなことをするとは。
亜美戦隊長「ちょ、ゴースト准尉、やり過ぎだ。(汗)」

奈美准尉「(ゴーストさん、まさか。。)駄目、ゴーストさんが悪者になっちゃいます。止めてください。」
ゴースト准尉「(だからだよ、俺も奈月さんをハブにした。その償いはしないと。)」

止めようとする姉妹。
だが、ゴーストは拳銃を取り出し、部屋のドア開閉パネルに向けて数発発砲し、無理やりドアをこじ開ける。

あっけにとられる姉妹。
銃声を聞いて女性衛兵が駆けつける。
さすがにまずいと思い亜美が事情を説明してとりあえず下がってもらう。

扉が開いた瞬間、発砲音が聞こえゴーストが持つ拳銃が叩き落とされた。
中から奈月が咄嗟に拳銃を引き抜き発砲したのであった。

奈月少尉「ゴーストさん、私が開けなかったのが悪いですけど...やり方は他になかったんですか?」
拳銃を構えながら奈月は自身の怒りよりも、ゴーストへの呆れが出ていた。

拳銃を叩き落とされて拳銃を向けられたゴーストは
ゴースト准尉「自分には学がありません、これしか考え付きませんでした。
奈月さん、貴方は早雲姉妹と姉妹なんでしょう。好きなんでしょう?そして護衛兵なんでしょう?それならなんで
機体から降りてでもついてこなかったのですか、共謀した私が言えた義理では無いですが、、、

話し合わないといけないのはあなたも一緒です。そして恨むのなら、自分でなく私を恨みなさい。そして撃ちなさい。」
と拳銃の銃口をゴースト自身のこめかみにピッタリと付ける。

ゴースト准尉「、、、俺にはもう家族がいない、でもまだ奈月さんには早雲姉妹がいるじゃないですか。」

奈月少尉「本当、貴方も私自身も酷いし考えが付かない馬鹿だよ...分かってる。亜美さん、奈美、今度こそちゃんと話そう?」
奈月はついでとばかりにゴーストを拳銃で殴りつけたあと、ホルスターに拳銃をしまった。

いて、、っとしかめっ面をしたゴースト。
ゴースト准尉「そう、それでこそ奈月さんですよ。もうあなたは変わったのです。良く話し合ってください。
ドアを壊して申し訳ありませんでした。早雲戦隊長、とりあえず重営倉に入ってこのやらかした件の刑罰を後で受けますので。」
と敬礼して、外に出て衛兵に連れていかれる。

奈月が部屋に姉妹を入れる。
姉妹は話す。

亜美戦隊長「ごめんなさい、私は奈月の事をちゃんと考えてなかった。。。
でももうこんな事は絶対にしない。だから、、一緒にあがいてくれる?」

奈美准尉「私ももう、奈月お姉ちゃんに絶対に嘘はつきません。ちゃんと話します。
私には力は無いですけど、また護ってもらえますか。奈月お姉ちゃんをもう
一人にしないです。そして一緒に生きていきたい。」
2人は頭を床につけて謝る。これしかできないと思ったから。

奈月少尉「...本当?また置いて行ったりしない?」
そう言い2人を見つめる。置いて行かれた事が応えたのだろう。

亜美戦隊長「ええ、もうしない。もしどうにもならない時は一緒に死んでくれる?」
奈美准尉「置いて行かないですよ。それが奈月お姉ちゃんの思いでしたら。でもできれば一緒に生きていきたい。」
と姉妹は答え見つめ返す。

奈月少尉「死ぬんじゃない、絶対生き残させてみせるよ。みんなで一緒に生きよう、生きていたいよ。」
そう言って2人を抱きしめた。

亜美戦隊長「有難う、奈月。うん、みんなで一緒に生き残ろう。あがいて、あがいて絶望してもみんなと共に。」
奈美准尉「はい、解りました。みんなで生き残れるように私も頑張ります。」
と奈月を抱きしめ返す。2人は嬉し泣きをする。

亜美戦隊長「今回ばかりは救われたわ。奈月やみんなのおかげ。こんな事、今までなかった。」

奈月少尉「絶対はない事がわかって良かった...。もう離したくないです。」
そう言いながらも強くさらに抱きしめ離さない。



亜美戦隊長「うん、そうね。私も遠ざける事はしない、進も退くもいつも一緒よ。もう一人の妹、奈月。」
奈美「有難うございます。奈月お姉ちゃん。いつも一緒に居たいです。
あ、、、奈月お姉ちゃんごめんなさい、ちょと痛いです。思いは嬉しいのですが。」
と言う。

奈月は抱きしめるのをやめ、自分の涙を拭った。
奈月少尉「ごめんなさい、もう大丈夫だから。改めて亜美さん、奈美、お帰りなさい。」

亜美戦隊長「有難う、うん。奈月もお帰り。一緒に帰れてよかった。ここが私達家族の家。」
奈美准尉「はい、ただいまです。奈月お姉ちゃんも。ねえ、真木さんが奈月お姉ちゃんと話したら戻ってきて
と言ってるの。姉妹なのだから、一緒に行きましょう。」
と奈月と亜美の手を取り動き出そうとする奈美。

奈月少尉「うん、勿論一緒に行こう。」
そう言って頷き返した。

そしてそのまま3人で真木の部屋へ移動する。
亜美が真木の部屋で声をかける。
亜美戦隊長「真木さん、話し合ってきました。奈月少尉と奈美准尉と一緒に来ました。今良いですか?」

真木大尉「おう、入りな。」
3人は真木の自室へ入ると真木が出迎え、お茶を淹れていた。
真木大尉「そう言えば、仙台に移っていたアタシの実家から今じゃ貴重な天然の緑茶葉と菓子を貰ってね。
せっかくだから出そうかと思ってよ。座りな。」

3人は真木に言われて座る。
亜美戦隊長「恐縮です。有難うございます。」
奈美准尉「有難うございます。天然とはすごいですね。
母が作っていたあの癖のあるお茶っぱも天然でしたけど。今もまだあるのはすごいです。」

奈月少尉「天然物ですか...まさか今になって口にできるなんて...」
真木は3人の前にお茶が入った湯呑みと、お茶請けに合成羊羹を出した。
真木大尉「すまんね、お茶請けも天然物があれば良かったんだけど。まぁ気にせずおあがり。」

亜美戦隊長「大丈夫ですよ。十分においしいです。ホッとできる良いお茶に、おいしい羊羹。」
奈美准尉「おいしい、さすが真木さんの実家ですね。こんなおいしいのがあるなんて。」

奈月は無言で食べ勧めていた。
そんな3人をニコニコしながら見つめ、いつもの様にタバコを吸い始める真木。
真木大尉「そうだろうそうだろう。遠慮は要らんから食べてくれよ?」

無言で食べている奈月を心配して奈美はにゅっと自分の羊羹を少し切って差し出す。
奈美准尉「はい、奈月お姉ちゃん。あーんしてください。」

奈月少尉「な、奈美。それは...わ、わかったよ...。」
恥ずかしそうにそれを食べる奈月。

奈月少尉「うん、美味しいね。」
頬を赤ながら答える。

その表情を見てほっとして奈月に話しかける。
奈美准尉「、、、奈月お姉ちゃん何か思ってることありますよね?
良かったら話してもらえないですか。私にできることないですか。」
と言う。

奈月はそれに首を傾げる。
奈月少尉「え?確かに思っている事はあるけど、どれの事?心当たりがありすぎて分からないんだよね...。」

奈美准尉「いえ、今無言で食べていたので。。。心の声は聞こえてませんが、
何か思うことがありそうな表情をされていたので。思い過ごしでしたらごめんなさい。」
と不安になってしまう奈美。

奈月少尉「あぁ、単に美味しい物を食べると無心で食べ進めるみたいなの。
思う所か...コレのお茶会?が今後も変わらず続けば良いなとは思ったかな。」
そう和かに奈月は言う。

奈美准尉「あ、そういうことだったのですね。それはそうですね。今後もしたいですね。」
と優しく微笑む。

それを見た亜美は。
亜美戦隊長「奈月は私にはくれないのかな?」
と茶化す。

奈月は微笑み返すと、亜美の方を向き。
奈月少尉「え?もうなくなってしまいましたよ〜、言うのが遅いです亜美姉さん。」
そう言って意地悪そうな笑顔を向けた。

亜美戦隊長「えー、そんな。」
とがっかりしたふりをしてから

亜美戦隊長「じゃあ、奈月にもあーんしてもらおうかな。」
と亜美も奈美と同じようににゅっと自分の羊羹を少し切って差し出す。

奈月少尉「あ、ありがとう亜美姉さん。」
そう言って奈月は亜美が差し出した羊羹を食べた。

奈月少尉「美味しい...そう言えば、上月さんは何処に?」

そう聞かれ、真木は答える。
真木大尉「そう言えば遅いね...、どうしたんだってやっと来たか。」

丁度ドアがノックされ、上月が入ってきた。
上月副官「大尉、お待たせしましたって、もう初めてたんですか!しかもお茶菓子が合成羊羹...。
確かにコレも良いですけど、せっかくの天然物なんですからお茶請けも良い奴を持って来たのに。」
そう言って出したのは、煎餅だった。

真木大尉「煎餅って...アンタね、女子4人いるのに甘味じゃないのは...まさか天然物だって言わないよな?」

上月は和かに答える。
上月副官「そのまさかですよ。どうやら正宗様が何処からか仕入れた天然物煎餅を舞香様から頂いたんですよ。」

奈美准尉「真木さんのお父さん、少しは思うところあったのではないのでしょうか。
真木さん、余計なお世話ですが今度ちゃんと話あってくださいね。
もし、心細ければ私もお供しますよ。」

亜美戦隊長「まあまあ、いつも紫音もお茶うけに合成煎餅出したりしてますし、いいと思いますよ。
お父様、不器用なのですよ。たぶん。真木さんの事気にしてくれてますよ。」

真木大尉「...話だけど、口から出たのは国と家の為ばかりだったよ。期待して損したさ。」
視線を外しそう言う真木。
上月副官「まぁまぁ、お父様だって無下に扱ってはないんですから...。」

悲しそうな顔をして奈美が真木に抱き着く。
奈美准尉「本音が言えてないだけかもしれませんよ。今回のお煎餅の件はたぶん不器用ながら
考えた結果かもしれません。私はもうお父さんに何も言うことができません。
でも真木さんはまだ言えますし、聞けます。お願いです。私で良ければ助けになるのであれば、、、
一緒に行きますので。。。」
と、言い過ぎたと感じて項垂れて奈月の横に座りなおす。

真木大尉「あぁ、機会があればアタシの実家位連れて行くよ。アタシにとっては何をしても、
アタシを見てくれなかった最低な親には変わりないよ。」
奈美准尉「解りました。その時は宜しくお願い致します。」

暗くなりかけたので、亜美は察して話す。
亜美戦隊長「さて、すみません今回は私たちはこれでお開きで。有難うございました。お茶も羊羹も煎餅もおいしかったですよ。
申し訳ない、南條中将や三芳中将にも謝罪しにいかないと。色々裏で動いて頂いたので。
奈美、一緒に行こう?」
奈美准尉「はい、もちろんです、行きます。」

真木大尉「そうかい、ちゃんと頭下げるんだぞ。」
奈月少尉「2人とも大丈夫だと思うけど、変なことにならない様祈ってるから。」
上月副官「御二方、お気を付けて。」

亜美戦隊長「はい、有難うございます。そうしまね。」
奈美准尉「はい、もちろんです。感謝と謝罪をしてきますね。」
と二人は会釈して退出する。

二人は移動して南條中将の基地へ。
衛兵に事情を話して面会を依頼する。

衛兵が連絡し、直接来てよいとのことだったので姉妹は
南條中将の執務室へ行く。
扉をノックして亜美が伝える。
亜美戦隊長「南條中将、亜美大尉と奈美准尉です。申し訳ありません。
お話がしたいので来ました。よろしいでしょうか。」

南條中将「いらっしゃい2人とも。
別に構わないが、改まってどうしたんだい?」
微笑んだ表情で2人を南條は出迎えた。
そこにはむっつり顔をした三芳中将がソファーに腰を掛けていた。

亜美がまずは話す。
亜美戦隊長「この度の佐渡島防衛戦の件、大変申し訳ありませんでした。
南條叔父様や三芳叔父様達や皆さんのおかげで生きて帰ってくることができました。
奈美の夢見は今まで外れたことはありませんでした。私たちは絶望してました。

皆さんには生きて欲しかった。だからこんなことをしてしまいました。
でもこれからはちゃんと皆さんと相談して一緒に生きていきたいです。
ごめんなさい、こんな私たちを許してください。私たちは不出来な娘です。ですが、もう一度チャンスをください。」

奈美准尉「どうしても、皆さんを護りたかったのです。でもそれは間違っていました。
一緒に考えてみんなで生きる事をして行きたいです。申し訳ありませんでした。
次からはちゃんと夢見を見たら相談させてください。何ができるか、変えられるか、解りませんが変えたいです。」
と二人は言う。

南條中将「ふむ...頑なにこちらの事を聞き入れなかったから、色々奔走する羽目になったし
多方面に作っていた貸しがほぼ無くなったよ。それで2人を救えたなら、安いもんさ。
私は許してはいるが...。そこの叔父さんはどうだろうね〜。なぁ、隆文?」
ニヤニヤしながら三芳を見る南條。



亜美戦隊長「南條叔父様、、、いろいろ有難うございました。本当に助かりました。この埋め合わせは
私にできることがあれば何でもします。言ってください。」
泣きそうになりながら話す奈美。
奈美准尉「三芳叔父様、、ごめんなさい。お願いです。許してください。。。」

それに対して腕組して怒りマークがおでこに見える感じで立ち上がりがなりたてる。
三芳中将「、、、この、大バカ者。みんな心配していたんだぞ。うちの家内も卒倒しかけてた。
みんな君たち素敵な姉妹が大好きなんだ。ちゃんとそこを考えなさい。掛け替えのない、晴輝と亜紀さんの娘たちよ。
私たちにとって目に入れても痛くない可愛い素敵な娘と思える二人なんだぞ。結婚して孫が生まれるまで
見届けたいのだぞ。そこを解ってくれ。」
と二人を抱きしめる。



二人はそれに泣きながら答える。
亜美、奈美「ごめんなさい。三芳叔父様。私たちが解っていませんでした。
みんなで生きていきたいです。」

三芳中将「そうか、解ってくれたならいい。もうこんな事しないでくれ。
で、恭次郎、今回の件二人に処罰を下すのか?」

南條中将「うん?処罰って?別に軍に被害は出てないし、戦隊内の問題だからね。
それに、どうやら真木大尉に絞られたみたいだから私としては特に処罰は必要ないんじゃないか?」
そんなことを言いながら、椅子に腰掛け足を組んだ。

三芳中将「そうか、、それは良かった。しかし姉妹に甘いんじゃないかw」
と茶化す。

南條中将「理由無く処罰は出来んよ。なら秘密含めて罰するかい?頭が逝かれたのかと笑い者にされるよ。」

三芳中将「そうだな、これでいいんだよな。」
と姉妹の頭をなでる。

亜美戦隊長「有難うございます。所で、一つ相談があるのですが聞いていただけますか。。。」
と奈美と目くばせして南條と三芳に話をふる。

南條中将「相談事ね、聞こうか。」

亜美戦隊長「実は、今回の件で謝罪周りを行っていたのですが、、、弥栄少尉の個室に
行ったのですが、どうしても開けて話をしてくれなくて。。。
護衛兵だったゴースト准尉が見かねて拳銃で発砲し無理やりドアの開閉ボタンをぶち抜き
開けてしまいました。ゴースト准尉は私達姉妹と弥栄少尉の事を思ってやってくれたのですが。
本人はとりあえず重営倉に自ら入りました。この件については私達姉妹が悪いです。
彼に処分を下すなら私達姉妹にその処分をお願いします。」

奈美准尉「亜美姉さんの仰る通りです。悪いのは私達です。何をすれば奈月お姉ちゃんと
話せるかできなくて、その代わりをしてくれたのです。だからお願いです。
処分は私達にお願いします。」
と二人で頭を下げる。

南條中将「うーむ...また変なことを起こしたもんだな。処罰か、故意による器物破損だから本人に減俸と厳重注意だろうな。
やった本人が受けなければ処罰の意味はないと思うが?」

亜美戦隊長「そうなのですが、そのおかげで弥栄少尉とちゃんと話ができました。彼には感謝しかありません。
ですので、今回は処罰を受けるとするなら私でお願いしたいです。」

南條中将「確かにそうかもしれんが、やったのはゴースト准尉だ。それはテコでも曲げるつもりはないよ。」

亜美戦隊長「、、、そうですよね。やった事には責任を取らせないと行けないですよね。
解りました。では、私たちはそのフォローはします。それは許していただけますよね?」

奈美准尉「、、、差し入れとかしてもいいですよね?それぐらいは構いませんよね。
ダメと言われるなら、私も重営倉に入りますよ。だって、同じ警戒型不知火のバックアップ要員ですから。」
と言う。(こういったところは二人とも晴輝達と似て頑固である。)

南條はため息を吐くと答える。
南條中将「全く...良いだろう、差し入れてやりなさい。フォローも任せる。」


亜美戦隊長「有難うございます。そして申し訳ありません。通達は私から行っておいてよろしいでしょうか。」

南條中将「構わんよ、こちらは基地に行けない程度に色々忙しくてな。もしかしたら戦隊の基地を移動するかもしれん。」

亜美戦隊長「承知しました。そうですか、基地の移動ですか。それについても速やかに移動できるように
できることは早めに対応しておきます。承知致しました。」

話がついたと思ったところで、三芳中将が話す。
三芳中将「今日、恭次郎に話が有って来たのだが、ちょうど二人もいることだから話しておく。
アメリカ軍は日米安保を放棄して撤退した。今後はおそらく支援のあてはないかもしれん。
ただ国連軍が絡むと介入してくるかもしれんが、、、
もう1点だが、今回の佐渡島防衛戦の前の戦隊の演習内容を嗅ぎつけた過激な部隊の一派が
今後なにやらきな臭いことを行おうとしている。帝都守備連隊がその一派だ。
どうも姉妹を取り込もうと画策してるやもしれん、最悪、奈美准尉を人質に
取られるようなこともあり得るかもしれん。注意してくれ。恭次郎、解ってはいると思うが頼むぞ。」
と伝える。

南條中将「帝都守備連隊の一派ね...。佐渡島前の臨時異動がてら少しは潰したつもりだったんだけど、
やっぱり大々的にやるべきか...いや暫く泳がせて集まらせるかな...」
などと裏工作的な思考になっていた。

亜美戦隊長「承知しました。菅中尉達と相談して警戒しておきます。
ではこの度は有難うございました。失礼します。(敬礼」
と言って姉妹は退出する。

こうして姉妹は戦隊の基地に戻った。
そして重営倉で反省?しているゴースト准尉に処罰を伝える。
亜美戦隊長「済まなかった。ゴースト准尉が行動してくれたから奈月少尉にも話せた。
処罰でフォローできることはこちらでもやるから、耐えてくれ。」

奈美准尉「ごめんなさい、ゴーストさんそして有難うございます。
しばらく営倉で謹慎はキツイかと思いますが差し入れはしますので。」
と二人は恐縮して言う。

ゴースト准尉「いや、大丈夫ですよ。奈月少尉とまた元に戻れてよかったです。
これで良かったのですよ。」
と言う。

 


そしてそのあと、亜美が戦隊長室に戻ると、丸芽達工兵部隊が居た。
丸芽特務大尉「何をやってるんですか皆さん……特に戦隊長、困りますねえ。
我々がどうしようもない場所で自殺行為をするならせめて情報をください。
我々を置いて勝手に湊川の決戦に出ていくのはやめていただきたい。」



畑中副官「今回ばかりは隊長に全面同意です。あなたが家族とまで言い切った仲間を置いて行くのは

自己矛盾もいいところですよ。」


亜美は申し訳ない思いでしゅんとしている。
亜美戦隊長「申し訳ない、、私達にはいろいろ言えない事が有って、丸芽さんたちを巻き込みたくなかった。
だから、別任務を命令した。」
と素直に頭を下げて答えた。

丸芽特務大尉「戦隊長達が生きて帰ってきてよかったです。死んだら我々は本当にどうしようもありませんからね丸」

亜美はありがたいと思い答える。
亜美戦隊長「有難うございます。今後はちゃんとお話しします。ですから今後とも宜しくお願い致します。」

こうして佐渡島防衛戦における話は終わる。戦隊としてはみんなの思いは1つになったが
アメリカ軍や日本帝国軍の内部の動き、そしてBETAの侵攻も止められてはおらず
苦しい戦いが続くのであった。
END

整備ハンガーにて。
いつのニヤソな顔をして奈美を抱きしめて頬ずりしてる。

西大尉「奈美ちゃーん。私今回すご〜く、頑張ったんだから癒してよ♥。」



周りの整備兵はまたかこのポンコツ芋男爵と思いながら整備をしている。

 

周りの整備兵達の視線と思いと武子の行動に
奈美准尉「は、恥ずかしいです。

、、、それはもちろんそうですが、私で良いのでしょうか?」
と赤くなり恥ずかしながら困った顔をしている。



ゴースト准尉「(あーあ、仕方ないか。でもあげないから)。」

 

とかなんとか思っていると、、


綾子がやってきてドロップキックをぶちかまして四方固めをして言う。
東野中尉「だからあれほど、このロリコン女男爵。

お望みでしたら絞め落としてあげましょう。(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)」
と怒っている。

西大尉「いたたた。悪かったよー、コケー(Σ(゚Д゚;≡;゚д゚) 」
と気持ちよさそうに?悶絶して落ちたとかw。

 

真木班長「まーたやってんのかあの2人、藤田と槙村の事は言えないなあのコントコンビ。」

 

 奈月少尉「ですね。素直に尊敬できませんよ...。」

 

と皆にあきれられている武子であったw