第零独立強襲戦隊興亡記~本編2-2:佐渡島防衛戦後編~

 

南條は佐渡島にBETAの侵攻ありとの報告を受け直様空挺部隊を派遣しようとするが、凶報が飛び込む。

通信兵「中将!本土西側のBETA群が侵攻を開始!空挺部隊を含めた人員をそちらにとの連絡が!」

南條中将「な...クッ、直ぐに派遣すると伝えるんだ。」



通信兵「了解しました!」

七瀬秘書官「中将...。」

南條中将「奈美ちゃんの夢見が当たったか...。このままでは2人は...。(真木大尉頼む、姉妹を助けてくれ...。)」

そして戦隊基地へ場所は変わる。
亜美は事前に即応態勢で戦隊麾下の全部隊に出撃準備命令を出していた。
亜美戦隊長「、、、やはりそうなったか。小さい頃から奈美の夢見は外れた事が無い。
でもそれでも最期まであがいて見せる。」
と、佐渡島の司令部と連携を取り、帝国海軍以外は支援部隊はない事を聞き、戦隊をすぐに支援で送ると伝え、
動き出す。



亜美戦隊長「戦術機部隊に即時全力出撃命令、空挺輸送機隊にも予備機を含めて全機出してほしいと伝えてくれる?
予備機には詰めるだけ武装と弾薬を積んでこのαポイントに投下してと話しておいて。」
と橘副官伝える。

橘副官「かしこまりました。やれるだけの事はやりましょう。駄目なら、、その時はお供しますよ。」



亜美戦隊長「うん、有難う紫音。では逝きますか。」
と整備ハンガーへ向かう。

整備ハンガーにて訓示を行う。
亜美戦隊長「今更言う事は何もない、訓練以上の行動を頼むわ。そして民間人も仲間も護って行く、これは絶対です。」
戦隊戦術機衛士全員「了解。」
亜美戦隊長「では、全員戦術機に搭乗して輸送機に乗り込め。」
と全員が散って戦術機に乗り込む。

その中で亜美と奈美が落合整備兵(班長代理)に近づいて話しかける。
落合代理「どうしましたか?機体に何か不調でもありましたかね?」
そう不安そうに落合は2人をみる。



亜美戦隊長「そんなことないわ。真木さんの休暇中に無理させてごめんね。
お願いがあるの、真木さんが戻ってきたら、これを渡しておいて、私達が不在の間のお願い事項が書かれているので。」

奈美「これがそれになります。お願いしますね。あ、必ず渡してくださいね。お願いします。」
となぜか奈美が良くわからないことを言う。
(手紙には嘘をついて申し訳ない、どうしても真木さん達には生きてほしいとか、今まで有難うございました。と書かれている。
あとの事は真木さんのしたいように行動してくださいと)

落合は素直に受け取り、敬礼をした。
落合代理「はい、確かに受け取りました。
お二人ともご武運と無事の帰還を祈ってます。」
亜美はそれに答礼をして返し、奈美は深々と頭を下げて機体に乗り込む。

陽炎に乗り込もうとした奈月はその光景を見ていた。
奈月少尉「...大丈夫、私が死なせないから。」



砂原整備兵「ん?どうしたんだ奈月ちゃん、準備は万全だぜ?」
奈月少尉「いえ、行って来ます。」
砂原整備兵「応よ!」

こうして戦隊全機が輸送機に搭載されて出撃準備が整った。
葉吹大尉「空挺輸送機部隊準備完了。1番機から順に出撃するわよ。
2番機、3番機以降続きなさい。」
と葉吹は藤田たちに檄を飛ばす。



藤田中尉「応よ!2番機続くぜ!」


槙村中尉「あのな藤田!編隊飛行なんだから曲芸するなよ!3番機、続きます!」
こうして、亜美達第独立強襲戦隊は初の戦隊全力出撃で佐渡島へ向かった。


その後の戦隊での整備ハンガーでの様子。

斯衛軍病院から帰って来た真木・上月・司は既に出撃した事を知った。
真木大尉「一足遅かったか...上月。アタシ達の機体は?」


上月副官「今、菊間さん達が輸送してます。少し時間は掛かりますが。」



真木大尉「構わないさ。落合、アタシのいない間良く班長代理を務めてくれたね。ありがとう。」
落合は和かな顔になり答える。
落合代理「いえ、班長代理を無事全うできてよかったです。そうだ、戦隊長からお手紙を預かってます。」
真木は落合から手紙を受け取り、中を拝見する。

司軍医長「なになに、亜美ちゃんなんって言ってるの?」
とのぞき込む。



真木は手紙を読終えると、直様破り捨てた。
真木大尉「...けるな。ふざけんなっ!ここまでアタシ達を率いて来て、守る部隊を作るなんて言って、
これじゃあ自己犠牲の為にアタシ達を切ったって事じゃないか...!。
姉妹がいたからアタシ達はこうしてついて来ているってのに...。」

落合代理「班長...。」

上月副官「彼女達が我々のことを大事に思っていたのは分かります。ですが、これでは余りにも彼女達が不憫です。
大尉、私は必ず2人を連れて此処に戻りたいです。彼女達が犠牲になって、我々が幸せに生きられる訳がありません。」
上月は珍しく顔を強張らせて言った。真木も同じ顔をする。

真木大尉「当たり前だ。大事なら遠くに置かず、近くで共にいるのが1番だよ。あの我儘姉妹をキッチリ助けるよっ!落合!。」
落合代理「はい!」

真木大尉「今直ぐ機体調整の準備だ!もうそろそろ菊間がアタシ達の機体を持ってくる、その機体の調整の為に人員をかき集めな!。」
落合代理「了解!私も、あの2人が帰って来ないのは嫌ですから...急いで準備します!。」

それを聞いた司が駆け寄ってくる。
司軍医長「沙奈江ちゃん、ちゃんと2人を連れて帰ってきてね。待ってるよ。
さて、私にできることを準備しておくか。」
とグビッと一升瓶を開けて呑んで看護兵たちに指示を出す。

真木大尉「勿論だ、明日香はベッドの準備をしておいてくれ。急患になるからよ。」

そこへちょうどよく、菊間ともう1人が武御雷を載せたトレーラーが着く。
菊間整備兵「姉御、お待たせしました。機体自体はアッチで調整したとはいえ、最終調整は必要です。」

真木大尉「分かってるさ。今落合が人員を集めている。」

菊間整備兵「勿論、私も手伝いますよ。」

真木大尉「当たり前だろ、なんたってウチの整備兵だからな!」

菊間整備兵「姉御...了解です。」

上月副官「大尉、我々も準備を。」

真木大尉「あぁ、久しぶりに強化装備を着ようか。」

ちょうど最終調整を行っていた頃、空挺輸送機部隊が帰還してくる。
葉吹大尉が報告と戦術機整備班との連携のため、整備ハンガーによる。

葉吹大尉「あら?真木整備班長、お疲れ様でわ。長期休暇のはずでは?
とりあえず輸送機部隊はてはず通り3機は追加で武装と弾薬の為にもう一度行く準備は念のために手配していますの。
戦隊長の話だと帰りは南條中将が事前に手配した戦術機母艦で帰ってくるとの事でしたわ。」

強化装備に着替えた真木と上月は、葉吹に近づいた。
真木大尉「葉吹!単刀直入に言う、アタシと上月の戦術機を載せて佐渡島まで行ってくれ。」
上月副官「結論から言うと、早雲姉妹は佐渡島で死ぬ気です。生きて帰るつもりもない様です。」

それを聞いた葉吹は驚く。。
葉吹大尉「え?そんなこと聞いてませんわ。なんで、あの姉妹は。。
もう。。だから私達も退避させたのね。おかしいと思ったのよ。帰りは不要と。
解りましたわ。準備いたします。しかし、武御雷?不知火と違うから少し格納が難しいから
待ってくださる?、すぐに調整するわ。できれば整備班からも人手を貸してもらえるかしら。」

そして携帯端末で輸送機格納庫にいる藤田と槙村に話す。
葉吹大尉「藤田中尉、槙村中尉宜しくて、もう一度輸送機で真木大尉と上月副官を運ぶから
輸送班の整備兵に伝えて、今そっちに戦術機の整備班を応援に回すわ。機体は武御雷だから調整が必要よ。」
と連絡する。

それを聞いた槙村は驚き、逆に藤田はにやけた。
槙村中尉「な、何を!武器弾薬ならまだしも、光線級がいる戦域の中に突っ込みに行くんですか?」
藤田中尉「葉吹の姉貴、その言葉を待ってたぜ。久しぶりの光線級の中を飛べるんだ...ワクワクしてくるぜ!
戦術機の輸送は2番機にさせてくれ、俺ならレーザーを避けて降下させられるからよ!」

葉吹大尉「早雲姉妹は死ぬ気よ、そんな事させたくないわ。だから行くの。
戦術機の輸送は1番機と2番機で行います。3番機は武器弾薬の投下で変わりなし、
これで行くわよ。無理はしなくていいわ。でもできる限りなことをしましょう。」

藤田中尉「だってよ。良いんだぜ?留守番してても。」
槙村中尉「馬鹿いえ!誰が武器弾薬の投下をするんだ。勿論行く、出来る限りのことはしたいからな。」
藤田中尉「決まりだな。姉貴、早く整備兵を寄越してくれ!最悪戦術機を翼に括り付けても飛ばす羽目になるからよ。」

葉吹大尉「有難う。解ったわ。こっちの整備兵を連れて行くから準備しておいて。」
と携帯端末を切り、真木に話す。

葉吹大尉「真木整備班長、うちの航空隊の整備班だけでは短時間で斯衛の武御雷を載せるのは無理だわ。
誰か武御雷のスペック等が解る人材をよこしてください。一緒にこのまま格納庫まで連れて行きますわよ。」
と伝える。

それを聞いた菊間が割って入った。
菊間整備兵「なら私が適任でしょう。ついでにそのまま手伝いましょう。」
真木大尉「頼む。あと葉吹、今のアタシは班長呼びじゃなくていい。今の班長は代理の落合だからね。」

それを聞いた葉吹はすまなさそうに落合に言う。
葉吹大尉「ごめんなさいね。依頼する方を間違えて。落合代理。頼める?姉妹を助けたいのは私達も同じですわよ。
菊間整備兵を含めて人数をこっちにも派遣してもらえますか。」
と言う。

落合代理「勿論です!今人員を連れて来ました。皆さんは菊間さんをリーダーに輸送機の調整を!
残りは2機の武御雷の最終調整及び、手隙の人員は武器弾薬の搬入準備を!
ダラダラしている時間が惜しいです、直ぐに初めてください!」

葉吹大尉「助かりますわ。落合代理。菊間整備兵と皆さん、こっちです。一緒についてきてください。」
と落合に礼を言い、菊間たちを駆け足でアテンドする。

時間は少し戻り、佐渡島上空に亜美たち戦術機部隊は到達する。
亜美が第六警戒小隊の通信機器を中継に使って佐渡島要塞司令部へ通信を行う。
亜美戦隊長「佐渡島要塞司令部、こちら陸軍第零独立強襲戦隊のシルバーフォックス1、戦隊長の早雲大尉です。
これより空挺降下し支援を行う。
平野部中心地点より戦闘を開始する。そのまま真野湾側に展開し、押し返す形で良いか?」

佐渡島要塞司令部「支援部隊?ありがたい。その展開で構わない、こちらの戦術機部隊はほとんど壊滅しかけている。
光線級部隊が確認されている、注意されたし。」

亜美戦隊長「佐渡島要塞司令部、了解。これより第零独立強襲戦隊は速やかに空挺降下を行い、前線を押し上げる以上。」
通信を戦隊の戦術機と空挺輸送班に切り替える。

亜美戦隊長「聞いての通りだ。シルバーフォックス1より全機これより空挺降下を行う。まずは第五砲撃小隊が先だ後退しつつ支援砲撃を。
その後戦隊本部小隊から随時全機降下、第三防衛小隊を先頭に交戦を開始。輸送機各機、光線級が確認されている、低空で降下頼みます。
予備機の弾薬、武装のコンテナは両津港前最終防衛ラインにバラまいて。」

葉吹大尉「承知したわ。七番機は両津港側に移動し、武器弾薬の投下、五番機、先に降下させて、以降順次1番機より降下させる。
準備いい?低高度で行くわよ。」
五番機輸送隊機長「了解、先に降下させる。」
予備機輸送隊機長「こちらも了解、最終防衛ラインにバラまきます。」

藤田中尉「2番機了解、だってよ3番機。低高度で激突すんじゃねぇぞ?」
槙村中尉「静かに操作しろよ...3番機了解。」

第五砲撃小隊小隊長「こちら展開完了、支援砲撃開始します。」

亜美戦隊長「了解、では降下準備。葉吹大尉、お願いします。帰りは戦術機母艦に回収してもらいますが、必要があれば
補給物資の輸送何度か宜しくお願い致します。」

葉吹大尉「了解ですわ、戦隊本部小隊から順次投下します。、、、投下開始。」
それぞれ戦隊本部小隊から第六警戒小隊まで順次投下していく。

藤田中尉「しまって行けよ!投下開始!」
槙村中尉「投下くらいは静かにしてくれ、3番機投下開始する。」

全小隊が降下を無事完了し、輸送機部隊が戦隊基地へ帰投して行く。

亜美戦隊長「第三防衛小隊を前衛として、アローフォーメーション。
左翼第一中隊、右翼第二中隊、中央は戦隊本部小隊で分けて戦闘を開始する。
各中隊展開、攻撃開始。」

平家中尉「了解、前面は僕た第三防衛小隊に任せて、必要があれば楯に使ってくれていい。」


影縫少尉「私達が、盾になるぬい。任せて。」


西大尉「了解、バロネス1よりバロネス2、第一中隊は左翼に展開、薙ぎ払え。」


東野中尉「了解、バロネス1。切り刻んでやりますよ。第一中隊前へ。」



凜大尉「ブラックキャット1よりブラックキャット2。第二中隊は機動戦でかき回す、各小隊に指示を出して。」


奈月少尉「ブラックキャット2了解。
第二中隊傾聴、本中隊は作戦通り機動戦でBETAを掻き乱します。撃破ではなく、注意を引く事を主眼に置いて。」



ゴースト准尉「こちら第六警戒小隊了解、ゴースト1、注意を引きつつ支援狙撃します。」

奈美准尉「ゴースト0より全機へ、BETAの侵攻速度が速いです。戦域情報は常に最新分を送りますので、
注意して戦闘してください。孤立すると危険です。」



奈月少尉「だそうです。第二中隊は最新情報を逐一見ながら動いて下さい。
それでは...第二中隊、狩りの時間です!」

こうして戦闘を開始したが、第六波の要塞級はそれなりに撃破できたが第7波以降の大量のBETA群により徐々に押されていく。
小型種から戦車級クラスまでが平野部に雪崩れ込んでくる。
亜美戦隊長「く、数が多すぎる。アメリカ軍も帝国陸軍もやはり支援は無理無いか。
後退しつつ、第五砲撃小隊と合流し遅滞戦闘を行い、民間人の輸送船への回収まで時間を稼ぐ。
戦隊本部小隊が最後尾、前衛は第二中隊で下がる。」
と両津港方面へ後退しつつ戦闘を継続して行く。

そのころ出撃した真木大尉達の方へ場面は移る。
葉吹大尉「こちら一番機より真木大尉へ、良いのですか?もうこの辺りはすでにBETAが入り込んでる。
シェルターが近くにあるわ。佐渡島守備隊残存の戦術機が居る。もっと両津港側の戦隊が展開してる方面が良いかもしれませんわ。
武器弾薬はどこに下ろしますか。」

真木大尉「アタシ達は構わない。なるべく前線へ向けて飛んでくれ、武器弾薬は後方の撤退方面に沿う形で頼む。
アタシ達2人だけじゃ遅滞させる事が出来て上出来だろうからね。」

上月副官「シェルターと残存部隊の状況はどうですか?場合によってはそちらの救助から先にやる必要が出ると思いますので。」

それに悲しみの顔をして答える。
葉吹大尉「すでに、、シェルター内の民間人は蹂躙されたらしいわ。今生き残りが居るか確認しているとの事ですわ。
佐渡島守備隊の残存部隊は数機残って戦っていますが、、、、ほとんど全滅したとの事。戦術機部隊に確認したところ、
こちらはほとんど機体が損害を受けてるらしいので支援が欲しいとの事。
武器弾薬は承知しましたわ。3番機、そのまま両津港方面へ順次投下して行って。」

そんな会話に槙村が間に入った。
槙村中尉「失礼大尉、どうやら悠長な事を言っている暇は無いみたいです。
シェルター内部を確認している戦術機の周りにBETAが接近しつつあるみたいだ。シェルターに武御雷を降ろす事を進言します。」

葉吹大尉「そうね、真木大尉よろしくて。ここで降下した方が良いかと。
3番機はそのまま武器弾薬を投下してから合流して。」
と指示を出す。

槙村中尉「3番機了解しました。」


真木大尉「そうだね、アタシが行こう。上月は戦隊の本隊近くへなるべく接近して降下、

支援砲で戦隊本部小隊の援護をしな。」


上月副官「了解です。葉吹大尉、お願いします。」


真木大尉「と言う訳で藤田、シェルター上空までなんとしてもアタシを送れ。墜落させたらただじゃ置かないからな!」


藤田中尉「応よ!真木の姉御!ちゃんとオレが送り届けてやるさ!」
そうして3番機は武器弾薬の投下を、1番機・2番機は散開して降下地点に向かう。

葉吹大尉「承知しました。では1番機は両津港方面へ、2番機はすぐに真木大尉殿を降下させて、光線級がかなり周りにいるわ。
注意して、ちゃんと戻ってくるのよ。」
と伝える。

シェルターにて唯一の生存者である少女を救出した佐渡島守備隊の駒木咲代子少尉は、
自身の乗る戦術機 撃震に載せ離脱しようとするもBETAに囲まれてしまう。
駒木少尉「クッ...切り抜けないと...」

少女を心配しながらも戦闘をせねばと決意する瞬間、前方にいた要撃級が上空から降り注ぐ36mm弾の雨に打たれ倒された。
駒木少尉「え?一体どう言う...。」

上を見ると、炎上した輸送機から一機の見慣れない黒い戦術機が突撃砲を撃ちながら降下して来た。
真木大尉「うおぉぉぉぉぉ!ソイツに近寄るなぁ!」



撃震を囲んでいたBETAを弾を撃ち尽くす限りに撃ち込み、降下していた黒い戦術機 武御雷は撃震の前に着地する。

駒木少尉「え、援軍...なの?」

真木大尉「あぁ、助けに来た。そこの撃震無事か?」

いきなりの事で困惑する駒木を他所に真木は無事を確認する。
駒木少尉「な、なんとか...と言うかそちらの所属は何処なんですか?。」

真木大尉「アタシの所属?アタシは斯衛...いや第零独立強襲戦隊の真木沙奈江大尉だ。
動けるな?後方を今から蹴散らして道を開ける。
すまんが其処からは自身で撤退してくれ、アタシは他の救援に向かわなきゃならないからね。」

駒木少尉「大尉...!失礼しました!了解致しました。」
こうして、真木大尉は駒木少尉を撤退させ、自身も後方を蹴散らしながら両津港方面へ向かう。

その頃の亜美達は両津港の手前の最終防衛ラインの防御壁側に展開していた。
佐渡島防衛部隊の戦術機部隊を後退させつつここを護っていたが、すでに弾薬は尽きかけ、
戦術機部隊に戦死者はまだ出ていないが損害も出始めている。
亜美戦隊長(く、すでに第三防衛小隊は機体に損害が出ている、第五砲撃小隊の武装の弾薬はすでに無し。
これ以上は持たせられない。ここにとどまるのは私達だけでいい。それならば)

亜美戦隊長「ただいまを持って戦隊の指揮権をバロネス1の西大尉に移譲する。戦隊保全の為に、第二中隊は優先後退命令を発動、
両津港にて海軍の移送用舟艇の護衛とその後は手配していた海軍の戦術機搭載艦へ乗り本土へ撤退せよ。
ブラックキャット1頼んだわよ。第三防衛小隊と第五砲撃小隊も連れて行って。」

それを聞いた凜は、事前に聞かされていた最悪の時の話がついにかと思いこわばった顔で答える。
凜大尉「、、、亜美、解ったわ。第二中隊は後退する。両津港まで引くわ。
民間人の移送用舟艇がすべて出るまでは港を死守します。」
と撤退していくが、第六警戒小隊は残っている。

それを見た奈月は察して具申する。
奈月少尉「ブラックキャット2よりブラックキャット1へ、第六警戒小隊がまだ引いてません。
そのまま前線へ残るなら、私が警戒型不知火の直掩に周ります。許可をお願いします。」

凜大尉はそれを聞いて、暗い顔をして答える。
凜大尉「ブラックキャット2、第六警戒小隊には優先後退命令は出てない。これ以上の直掩は不要。引くわよ。
港の防備を固める。それを言ったら誰も彼も戻りたがる。許可はできない。第四小隊の八島准尉も同じ気持ちよ。
解ってあげて。」



それを聞いた奈美は泣き笑いの顔をして、
奈美准尉「、、、奈月お姉ちゃん、ごめんなさい。私達が佐渡島防衛部隊と共に時間を稼ぎます。
港にいる民間人を必ず本土へ連れて行ってあげてください。」
と伝えて、亜美の元へ行く。



奈月はそんな事を聞いても引かなかった。
奈月少尉「...命令は聞けません。此処で引いたら、絶対後悔する。
此処まで奈美と戦隊長と共に来たのにはいそうですかと、見捨てるなんて出来ませんっ!
帰還後、いかように私を罰しても構いません。弥栄奈月少尉は今から独断行動をさせて頂きます!」

凜大尉は西日本防衛戦時の戦友を思い出し、どうすべきかと悩むが、、そこに亜美が割り込む。
亜美戦隊長「、、、弥栄少尉の独断行動に対して、戦隊長として命令する。一切の戦術機の操作をはく奪、
そのまま自動操作。凜大尉。後を任せるわ。、、ごめんね、奈月。私の愛おしいもう一人の妹。。。
これが私達の運命なの。第六警戒小隊は通信確保のため、最後尾で支援せよ。」
と絶望した顔で言う。

奈月は動かないレバーを操作しても動かない。だが、それでも激しく動かしていた。
奈月少尉「行かないで...行かないで下さい!私だって護衛兵の筈です!
私はまだ戦えます!こんな、こんな別れなんて...あぁぁぁぁぁぁぁ!」
大粒の涙を流し前線へ向かう戦術機を見るしかなかった。

そして覚悟を決めて。亜美が言う。
亜美戦隊長「第一中隊の残存部隊は最終防衛線の空いた隔壁で防衛、戦隊本部小隊は平野部にて死守、
第六警戒小隊ゴースト0、1ついて来なさい。」

武子はその指示に対して答える。
西大尉「あー佐渡島の残存部隊は下げていいんじゃないかな。私が穴埋めするよ。
バロネス2、佐渡島の残存部隊と共に第二線を張って、阻止しなさい。解るわよね。」

東野中尉「、、、バロネス1。さよならは言いませんよ。最終防衛線で待ってますよ。西先輩。
ちゃんとおとなしく四の字固めくらってくださいよ。」

苦笑して答える武子。
西大尉「あー、それは嫌だけどお胸が当たるなら戻るかもよw」
とくだらないことを言って、戦術機の手をひらひらさせてから亜美達に合流する。

残存の佐渡島防衛隊の坂崎中隊長以下を下げつつ東野中尉も下がる。。
その代わりに西大尉が亜美の左側につく。

西大尉「懐かしいわね。士官学校時代もこうして右が紫音で左が私で3人で良く戦闘をやっていたわ。
今回は奈美ちゃんも後ろにいる。バックアップも完璧、行けるわよ。」
と、大量のBETAの前に両手に長刀を抜刀して切り込もうと用意する。

亜美戦隊長「海軍の支援ももうない、逝くか。ごめんね、紫音、西。そしてゴースト。
付き合わせてしまって。」
と言いつつ、抜刀して、突撃砲を構えて切り込む。
もう、周りがBETAに埋め尽くされ、どうにもならない状態で、各機が乱戦になり、機体損害が増していく。
そろそろかとゴーストがSDSの装置を出そうしたその時であった。

何処からの狙撃か、周りのBETAが正確に撃ち抜かれていった。
上月副官「全く、私達を置いてけぼりにしたのにそんな活躍では、戦隊長は務まりませんよ?」

上月の乗る白い武御雷が狙撃し、そして周りのBETAが両断されて行き、亜美の目の前に黒い武御雷がいた。
真木大尉「よう亜美。アタシ達を除け者にして楽しいことしてんじゃないよ、アタシ達も混ぜな。」
真木沙奈江が亜美を助けたのだった。

それを見て驚く姉妹。
亜美戦隊長「、、、奈美の夢見が外れた。そんなことが、、、。その通りですね。上月副官、私は失格です。
でも、有難うございます。私達は生きて良いのでしょうか。」
と話しながら足掻いて機体を動かす。

咽び泣く奈美。
奈美准尉「、、、こんな事が、ああ、真木さんごめんなさい。私達は。。。」

ゴースト准尉「(良かった。まさか二人が完全復活で来るとは。。これならみんなで後退できるはず後ろを護り後退できるようにしないと。)」
と中刀から57mmG3-SG1多目的突撃砲に持ち替えて支援狙撃に専念する。

上月は警戒型不知火の直掩に回る。
上月副官「奈美准尉、ゴースト准尉ご無事ですか?私が前衛をしますので、貴方達は射撃しながら下がって下さい。」
白い武御雷は長刀を構える。

真木大尉「亜美!アンタも下がりな!大丈夫だ、この機体 武御雷なら問題無いさ!。」
黒い武御雷も前に出る。

上月副官「其処で見ていて下さい。斯衛衛士の名は伊達でも、酔狂でもない事を。」
真木大尉「今見せてやるからよ!」
2機は果敢に突撃する。

亜美戦隊長「下がるなら、みんなと一緒です。戦隊全機後退しつつ、遅滞戦闘にカカレ。
いい?紫音、西。ローア1,2と合わせて下がるわよ。」

ゴースト准尉「ローア2、有難うございます。支援射撃しながら後退します。」
奈美准尉「ローア1を中心に徐々に後退してください。こちらも距離を測りつつ後退します。
ブラックキャット1、民間人の移送状況はいかかですか。」

凜大尉「現在、80%もう少しよ。」

舞うかの如く、2機の武御雷はBETAを蹴散らしながらも後退していく。
真木大尉「ローア2!まだやれるよな!」

上月副官「勿論です。ローア1も息上がってませんよね?」
真木大尉「ヘッ!そう言えるなら大丈夫だな!」

上月副官「ローア1、もう少しで撤退完了の事です。」
真木大尉「そうかい、九州に比べれば余裕はある。気を引き締めな!」
上月副官「了解!」

奈美准尉「、、、ローア1とローア2すごい。。こんな近接状態で、舞うかの如く的確に処理して後退させてます。」
亜美戦隊長「バロネス1、ローア1のカバーに入って。もう少しで民間時の護送が終わる。そしたら
全員で後退、HQ(南條中将)が手配してくれた戦術機母艦が来ている、それで戻りましょう。」

そんな中何故か藤田が通信に横入りを入れる。
藤田中尉「戦隊長!奈美准尉無事か!」
奈月少尉「ちょ、ちょっと藤田さん!勝手にユニットの中に入らないで下さい!」

どうやら操縦できない状態でユニットを開けていた奈月の所に入り、通信に割り込んだようだ。
藤田中尉「別に減るもんじゃないだろ!シェルターまでレーザーの雨を避けて来たんだからよ!
まぁ、降下直前でエンジンに命中して危うく爆散する所だったけどな!ハッハッハッ!」
奈月少尉「うわぁ...」
奈月はドン引きしていた。

それを聞いた奈美。
奈美准尉「え?藤田中尉。お体大丈夫なのですか。ちゃんと奈月、、さんの言う事聞いておとなしく待っててください。」
とお姉ちゃんと言えず答える。

あきれる亜美。
亜美戦隊長「まったく、藤田中尉、有難う二人を運んできてくれて。ちゃんとみんなで帰りましょう。」

藤田中尉「大丈夫だ!レーザーで不時着したのは何度もあるからよ!いやぁ、避難船近くに不時着できて良かった〜、
またやりたいぜ。」

奈月少尉「あの、同じ輸送機に乗っていた人達が凄く怯えてるんですけど...。」

藤田中尉「ったく情けねぇな...応!勿論だ戦隊長!それが輸送機乗りの役目だからよ!。」

凜大尉「移送用舟艇での民間人移送完了との事。シルバーフォックス1、今よ全機撤退命令を。」

亜美戦隊長「よし、みんな良く持たせてくれた。全員で撤収よ。低く低高度を飛んで、
迎えの戦術機母艦まで光線級のレーザから回避していくわよ。ローア1、一緒に撤退します。」

それを聞いて、奈美は。
奈美准尉「、、、ゴーストさん。」
ゴースト准尉「もちろんですよ。行きましょう。謝らないと。」
と凜大尉が奈月少尉の片腕を引いて、動きが鈍くなっているところを片方から支えて、高速移動で撤退する。

奈美准尉「、、、奈月、、さんごめんなさい。私は、絶望から、それに今まで、こんな展開はなかったのです。
だから無理やりこうしてしまいました。でも本当は一緒に居たいのです。、、
こんな事をしてしまって今さらですが駄目でしょうか。」
と絶望した顔で伝える。

奈月少尉「ダメな訳ないよ!一緒にいる、絶対離れないから...。」

そう話している所に上月の武御雷が近づいた。
上月副官「奈美准尉、貴方がした事はこういう事なんですよ。
後で戦隊長と一緒に来てくださいね、大尉は凄く怒ってますから...。」

2人の話を聞いた奈美は嬉し泣きをして答える。
奈美准尉「お父さんとお母さんの時は変えられなかった。。帝都防衛戦の時から何かが変わってきてる気がします。
そう、それは真木さん達や奈月お姉ちゃん達のおかげなんですよね。私も離れたくないです。

上月副官さん、はいようやく解りました。みんなで考えて動けば変えられるんだと。
はい、もちろんです亜美姉さんと一緒に真木さんの所に出頭します。」
ゴースト准尉「(これは、やはり俺もついて行かないといけないな。。。)」
 

戦隊は無事回収され、母艦内のハンガーに強化装備姿の真木が腕を組み仁王立ちをして、
姉妹と橘副官とゴーストを正座させていた。
真木大尉「...で?アタシ達を除け者にした理由を改めてアンタらの口から聞かせて貰おうか。」
見るからに不機嫌で怒っているのが分かり、控えている上月は苦笑いしていた。

亜美戦隊長が答える。
亜美戦隊長「真木さん、私の判断です、私が独断で全てを決めて強行しました。
理由は真木さんと上月副官さん達を含めて生きて欲しかったらからです。
、、、今まで奈美の夢見は外れた事がなかったですし、、両親も助けられなかった。
だからこうしました。」
橘副官とゴーストは言い訳はしないで黙っている。

真木は静かに聞き、口を開いた。
真木大尉「...この大馬鹿が!
何が夢見だ!何が生きて欲しかっただ!スカウトする時アタシに守る部隊を作るなんて言って、
結局姉妹と西と橘とゴーストだけ犠牲になるなんて事をして...、馬鹿以外の何者でもないよ!
アンタの語った理想に惹かれて、アンタについて行って戦隊を作ったのに、

アンタらが居なくなったらついて来た奴等の思いを無下にするつもりかい!
アタシらだって部隊の一員なんだ、戦隊長の癖に何故ソレを理解しない!
命令しな!助けるために一緒に戦ってくれと!唯其れを言うだけの事じゃないか...!。」

真木大尉「だから、だから...もうあんな事をしないでくれ。頼むから...。」
最早自身でも、まとまりがない事を理解しつつ吐き出した。

控えていた上月が割って入る。
上月副官「貴方達の気持ちは南條中将殿の言葉で分かってます。ですが、我々だって戦隊の一員です。
痛いほど分かりますが、残される我々の気持ちも汲んで下さい。残されるなら共に逝くのが良いと思っているんです。」
上月副官「真木大尉は残された者の痛みをよく知ってますから...」

亜美戦隊長「申し訳ありませんでした。それを理解できていなかったのは私でした。
命令して変えられるのであれば、、、、いくらでもそうしようと思ってました。
でもそれで両親は助けられなかった。そして大陸では守りたかった若い二等兵も、奈月少尉のお兄さんも。。。
でも間違っていました。だから共にこれからは相談して共に戦い、共に生きていきたいです。」
と答える。

真木大尉「亜美っ!」
真木は人目を気にせず、亜美を抱きしめる。

真木大尉「本当、本当に心配したんだよ...、この大馬鹿戦隊長、アタシの大切で大事な戦友。」
真木大尉「それだけじゃない、掛け替えのない家族だよ。」

それをびっくりして、真木の優しさに触れて人目がある所では泣いたことが無い亜美が泣き叫ぶ。
亜美戦隊長「、、、うぁあああああ。。。ごめんなさい、私が間違っていました。
真木さんと一緒に居たい。大切にされたい、大切にしたい。大好きな真木さん。」

一緒に抱きつく奈美。
奈美准尉「ごめんなさい、真木さん。私達変わりたい。今度こそ。みんなと共に。」
ゴースト准尉「(良かった。やっぱり戦隊長色々限界だったんだよな。俺でもこうしたかな。
でも京都防衛戦で思い知った。自分の力では部下すら護れないと。でも今回は護れたのかな。。。)」

奈月少尉「良かった...本当に良かった...!」

藤田中尉「ヘッ!輸送機ぶっ壊しても届けられて良かったぜ。」

上月副官「第零独立強襲戦隊、再出発ですね大尉。」

真木大尉「あぁ...!」

泣き止んだ亜美がそういえばと
亜美戦隊長「しかし、武御雷。真木さん戻られてしまうのですか、、斯衛に。。。」
と真っ青な顔をして聞く。。

真木大尉「あぁ、それなら...。」

菊間整備兵「ご心配はありませんよ戦隊長、姉御いや真木沙奈江大尉は戦隊に居続けられますので。」
物陰から何故か菊間が出て来た。

真木大尉「菊間アンタ...なんでこんな所に。」

亜美は驚く。
亜美戦隊長「菊間整備兵どういう事ですか。」

菊間の心を読み切れなく答える。
奈美准尉「、、、何かありそうですね。」
と答える。

菊間は2人の態度に驚く。
菊間整備兵「おやおや、既に私がただの整備兵じゃない事は勘付かれたと思いましたが...、
私の"本来"のスキルも錆びていないようで...詳細は戦隊基地に着いてからにしましょうか。
其処に盗み聞きをしている菅中尉も含めて、お話しますよ。」

真木大尉「改めてだけど、信用していいんだよな?。」

上月副官「確かに、武御雷を融通して頂けはしましたが...。」

菊間整備兵「勿論ですよ姉...真木大尉。」

菅中尉「まったくもう、、、。姉妹は戦隊内に内部に、私達の中にスパイがいるなんて考えてないのよ。
例の第六警戒小隊の件は別ですが、それを含めて信頼していて思ってもなかったの。
だからね、菊間整備兵の事も感づいていないのよ。
感づいても、、たぶんそのままにしていたと思うわよ。」



菊間整備兵「まぁまぁ、戦隊にかなり斯衛が絡みますからバラさないと信用に関わると思ったんですよ。
さて改めて私は斯衛軍整備兵、そして城内省情報部斑鳩家配下の密偵をしております。菊間道永です、どうぞ宜しく。」
メガネを外し営業スマイルを菊間はする。

驚く亜美。
亜美戦隊長「これは、、、でも、真木さんの配下で整備兵としての菊間さんをなら構いません。
確かに真木さんをスカウトする時に違和感が有ったのは有りますが。。
心を読めなかった。これは奈美もそうね。」
奈美准尉もコクコクとうなずく。

~後編へ続く。