話は1998年の一旦中国地方防衛戦の頃に戻る。

大阪の信太山駐屯地所属であった丸芽 信(まるめ しん)特務大尉(37歳)は心配していた。
ついに日本へBETAが来たかと。
しかも最悪なタイミングで、これでは海軍の支援は受けられない。今防衛戦に参加させれば、部下もどうなるか。

通信兵A「作戦司令部より独立機械化工兵戦術機中隊(2個小隊)に全力出動命令が出ました。作戦
内容をお伝えしますので司令部までお願いします。」

丸芽特務大尉「わかった。俺のマーシー1(工兵用の戦術機撃震の改良型)を出してくれ。」



畑中副官「私も援護に行きましょうか。」



丸芽特務大尉「さすがに冗談だよ、第二小隊の連中のジープに便乗するさ。
彼らの話は何というか聞いてるだけで面白いからなあ。」

畑中副官「そうですね、それはわかります。」

丸芽特務大尉「じゃあ、行ってくる。色よい作戦指示が飛んでくるといいな。」
と部下の2人に話して、通信兵Aにアテンドされて丸芽と畑中が司令部に出頭する。

丸芽特務大尉「独立機械化工兵戦術機中隊、丸芽特務大尉、畑中副官出頭しました。
出動命令とのことですが。」

信太山駐屯地司令「ご苦労、今しがたBETAが九州と中国地方への侵攻が始まった。
出せる戦術機は少ないが、後方防衛拠点の姫路司令部より陸軍南條中将の
第17独立守備戦術機中隊(空挺部隊)が出撃、展開している。
これの支援と避難民の護送を含めて遅滞防衛戦を頼みたい。かなりの激戦だ。
ここを突破されると帝都京都が危ない。頼むぞ。」
と命令を出す。

丸芽特務大尉「承知いたしました。ではいつも通りに。」
基地司令に敬礼をして格納庫へ戻る。

畑中副官「さて、暴れるとしましょう。」 

そして丸芽の工兵部隊は空輸されて姫路に移動する。

通信兵が出迎える。
通信兵「お待ちしていました。私は南條中将の第17独立守備戦術機中隊の通信兵です。
情報をお伝えします。1小隊は九州の関門橋と関門トンネルを爆破してBETAの侵攻を遅滞させてください。
もう1小隊は私たちの第17独立守備戦術機中隊(空挺部隊)の第二小隊の支援をお願いしたいです。
可能ですか?」

丸芽特務大尉「わかった。九州に行くのは俺たちでいいか?」

春原特務中尉(第二小隊長)「あかん。隊長はこっちをお願いします。
第二小隊の機材のほうが損耗率が低いんや、ウチらが行かせてもらわんでは兵士の名折れですわ。」

丸芽特務大尉「しかし十分な援護も見込めるか分からないんだ、死にに行くようなもんだぞ。」

春原特務中尉「それは隊長も同じです。うちら話し合いました、行きます。行かせていただきます。」

丸芽特務大尉「ああ、そこまで言うならわかったよ。武運を祈る。必ず生きて帰るんだぞ。」

畑中副官「可能も何も、やらなければならないのでしょう?

ああ、前線までの移動はそちらが手配してくれるということですね?
第一小隊は本州に残り第17独立守備戦術機中隊第二小隊の援護を行います。
第小隊は九州に向かい、遅滞戦術に従事します。」

通信兵A「もちろんですよ。前線の補給ポイントまでうちの部隊のトラックと護衛部隊付きで行きますので、

その先は第17独立守備戦術機中隊第二小隊と合流して防戦をお願いします。
場合によっては、島根県沿岸部のとある海軍補給基地まで行って、基地隊員と避難民を護送していただきます。」

丸芽特務大尉「わかった。春原、こっちも場合によっちゃあ死にに行くようなもんだとよ。お互い生きてまた会えるといいな。」

春原特務中尉「ほいでは中隊長さん、また会いましょ」

通信兵A「有難うございます。では移動でお疲れでしょうがすぐに前線臨時補給拠点側に行ってもらいますか?
手配はできております。」

丸芽特務大尉「わかりました。独立機械化工兵戦術機部隊総員、聞いたか。行くぞ!。」

こうして、独立機械化工兵戦術機中隊は前線に移動した。
こうして第一小隊は前線臨時補給拠点側に到着した。
そこはもう攪乱していて、重症者や衛士の死体が無造作に並べられていて、
治療を行っていたり、戦術機の補修を行っていた。

その中で、第17独立守備戦術機中隊第二小隊は臨時で部隊の指揮を執っていた甲本凜中尉を中心に激を飛ばし、

亜美の捜索の相談、補給の指示、休息を行い弾薬等を補充し、
民間人を後送してもらう指示を出していた。

丸芽特務大尉「BETAがそこかしこにウヨウヨしてやがるな。対BETA地雷をもっと持ってきたほうが良かったかも。」
 

畑中副官「それを設置する人手がないでしょう。」
 

丸芽特務大尉「そうだ畜生、もどかしいな。」

その話を聞きつけて、第17独立守備戦術機中隊の第二小隊の副官である橘紫音(たちばなしおん)中尉が声をかける。
橘副官「貴方はもしや我が隊を支援していただける独立機械化工兵戦術機中隊の方々ですか?
私は、第17独立守備戦術機中隊第二小隊の副官、橘少尉と申します。」
と敬礼する。



丸芽特務大尉「初めまして。私は独立機械化工兵戦術機中隊長兼第一小隊長、丸芽信特務大尉だ。
我々にやってほしいことは何でも相談してくれ、できる範囲なら何でもする。」


橘副官「、、、中国地方はもうだめです。我々に与えられた任務の基地防衛ですが前
線の第341海軍補給基地は最期まで防戦し、うちの小隊長の両親は部下と避難民を逃がして

基地もろとも爆破して戦死しました。
 

今、小隊長はここのB地点でそれに耐えられず、発狂して1人で前進してしまい見失いました。
勝手なご依頼ですが、、、一緒に捜索してもらえますか。」
と頭を下げて懇願する。

丸芽特務大尉「人探しとは、工兵遣いの荒い指示だことで。だがわかった、行かせてもらおう。」

橘副官「有難うございます。」
こうして早急に戦術機の補給をすまして地点Bより先に進んだ場所で、
BETAの残骸が多数見つかる地点にて、ボロボロになった戦術機が1機見つかる。

亜美は生きていた。普段は人の前では泣くことはないが泣いていた。
亜美中尉「、、、はぁ、はぁ。何とか、危なく、頭に血が上りすぎて、、戦死する所だった。。

妹に感謝しなければ。
、、甲本中尉お願いがあります。私は両親の基地に行きたい。。。

一緒に来てもらえますか。せめて、遺体だけでも連れて帰りたい。。」
と話す。



凜中尉「了解です。もとより援軍がなければ全滅でした。行きましょう。」



橘副官「こちらの方々は独立機械化工兵戦術機中隊の方々です、南條中将が支援部隊を出してくれたようです。」

亜美中尉「助かります。私は第17独立守備戦術機中隊第二小隊の小隊長早雲亜美中尉です。宜しくお願い致します。」

丸芽特務大尉「よろしく。しかし全くもって困ったもんだ、命を無駄にしかねない行為は慎んでもらいたいものだね。
俺たちの仲間は今頃九州と本州の境界で命を燃やしているころだぞ。」

畑中副官「やめてあげましょうよ、感情が昂った末の行動に合理なんて求めるんじゃありません。」

丸芽特務大尉「ああすまない、少し気に入らなかっただけさ。」

亜美中尉「、、、申し訳ありません。その通りです。私は指揮官失格です。
それでも助けたかったのです、防衛を行っていた、両親も、味方部隊も。。」

丸芽特務大尉「そうか……。許してくれとは言わんが謝らせてくれ、さっきはすまなかった。」

亜美中尉「いえ、言っていることはその通りです。私達にとっては本当に
良くしてもらった育ての親でしたので、無念です。」
と前線の第341海軍補給基地へ行く。

途中散発的にBETAに遭遇するが全て独立機械化工兵戦術機中隊の丸芽が爆発物を使って倒していく。
亜美中尉「(これはすごいな、ただの工兵部隊ではない、BETAを爆破等で叩き潰して行く工兵など聞いたことが無いが。。)」

丸芽特務大尉「よし、これで露払いは終わった。あとはこのルートをつぶされないよう敷設した対BETA地雷を待機モードにして、
さらに先へ進むだけだ。」

畑中中尉「掩護は任せてください。」

こうして第341海軍補給基地に到着するも、がれきの山とBETAの残骸以外は何もなかった。
何とか両親の壊れたドックタグだけを見つけることをができたのみであった。

 

呆然とする亜美。。

亜美中尉「、、、お父さん、お母さん。何処。なんで(泣。」

通信兵「第341海軍補給基地近辺の沿岸部に師団以上の複数のBETA群の上陸を確認、
また九州方面より山口方面へ侵攻しているBETA群も止められません。
中国地方からは全部隊撤退せよ、これは上級司令部よりの命令である。」
と言ってくる。
こうして泣く泣く亜美達は姫路に戻った。

だが、独立機械化工兵戦術機中隊の第二小隊は戻ってきていなかった。
そこに第二小隊から通信が入る。

丸芽特務大尉「第二小隊、春原(とうばら)か?徳嶺(とくみね)か、ほかの戦闘要員か。

どうなってる、50分前に関門海峡は落ちたと聞いたが。」

通信兵「九州方面無線傍受拠点より、一時間前に受信及び発信された通信のリレーです。

第二小隊からの最後の通信になります」

丸芽特務大尉「!。」

通信兵「以下音声データです。」

春原特務中尉(とうばら)「らしくないことは、するもんやないな。皆、付き合わせてすまんかった。堪忍な。」

空柴少尉(からしば)「らしくないことやってこそ、人生ってやつじゃないですか。俺は春原小隊長について来れてよかったと思いますよ。」

佐竹少尉(さたけ)「私もです。春原小隊長、これまでありがとうございました。来世があるならまた会いたいですね。」

春原特務中尉「これより第二小隊は作戦行動を停止する。全員、自由に行動せよ。俺は先に行く。じゃあまたな。」

亜美中尉「、、、そんな。。」

丸芽特務大尉「畜生、あいつら……。」

畑中副官「……、独立機械化工兵戦術機中隊は、……、我々四人だけになりましたね。」

丸芽特務大尉「畜生!これだから、これだから!くそ……。」 

亜美中尉「九州には、斯衛の真木大尉殿や弥栄少尉、ゴースト軍曹達も配備されていたはず。

生きているのか。。。」
と絶望する。

そして別れの時。
亜美中尉「丸芽特務大尉殿有難うございました。あなた方のおかげて目標地点まで行けました。
そして両親の形見も。私は、もうこんな思いをしたくない。私は自分の部隊を作るつもりです。
もしよかったらその時はお力をお貸し願いたいです。その時は受けてくれますか。」
と相談する。

丸芽特務大尉「ああ、その時が来たらご一緒させていただきたい。

君が率いるその部隊のために、俺も生き延びてやるさ。」

こうして丸芽と亜美は別れた。その後しばらく二人は出会うことはなかった。

そして帝都京都防衛戦に時は移る。
すでにBETAに帝都は蹂躙され、丸芽達は味方と協力しながらBETAを防戦していたが、何せ数も多く、
味方は押され、喰われて行く。地獄の中で丸芽達は何とか戦っていた。

丸芽特務大尉「撤退だ、味方が下がっている!。」

畑中副官「戦線はもうすぐ崩壊するでしょう。司令部が落ちたようですし、隊長の判断を支持します。」

丸芽特務大尉「よし。マーシー3、マーシー4!応戦しつつ撤退だ、壊走する味方の背後を守る!」 

丸芽は目前に迫る要塞級に破砕爆薬筒三本をまとめて投げつけると、
爆薬を設置して畑中中尉の戦術機とタイミングを合わせて後ろ向きに飛びながら接近するBETAを
突撃砲で攻撃しつつ遠隔操作で先ほど設置した爆薬を起爆する。

爆発に舞い上がるBETAを撃ち抜いた畑中中尉機は突撃砲のマガジンを交換すると、射撃準備態勢のままマーシー3、
マーシー4と合流して壊走する部隊の流れに乗り、殿集団の先頭に合流した。 

丸芽特務大尉「俺はこのまま殿集団の後ろに行ってもいい。」

畑中副官「死にますよ、もう爆薬も残り少ないのに。私は掩護しませんよ。」

丸芽特務大尉「俺はもう嫌だ。死にたい。」

畑中副官「馬鹿なんですか隊長!?あなた何言ってるんですか?

ああそうか、そんなだからこの年になっても奥さんの一人もいないんですよ。」

丸芽特務大尉「そこまで言わなくてもいいじゃないか!もうあれだ、死ぬのはいったんやめだ。
お前に面と向かって泣き顔を見せてやるまで生き延びてやる!」

秋村特務少尉「隊長、味方の防御陣地が見えてきました!」

丸芽特務大尉「ここはもう一杯だろう。もっと後方の補給拠点まで行かないと。」

畑中副官「隊長は隊長としてなら尊敬できるけれど人間としては私のお眼鏡にも適いませんよ、ほんと。

奥さんになる人は大変ですねえ。」

丸芽特務大尉「いねえよ畜生!もうこっちは悔し涙が噴き出しそうなんだよ!もうやめてくれ。

モニターが霞んで見えなくなる!」
こうして丸芽達はなんとか帝都防衛戦を生き延びた。

そして現在、第零独立強襲戦隊興亡記~外伝1998年:如月少佐との出会い①の数日後のお話。

戦隊長の執務机でいつものように執務で多忙の中考えていた。
亜美戦隊長「(、、、、まさか戦隊基地にBETAが奇襲をかけてくるとは思わなかった。
それに、、、真木さんにも負担をかけて負傷させてしまった。基地の隊員にこんなことはもう二度とさせない。
基地の防衛計画を見直さないと。

、、、そう言えば、あの時の独立機械化工兵戦術機中隊はまだ存命なのだろうか。
丸芽特務大尉達をなんとかうちの戦隊付きにして基地の防衛部隊と
戦術機部隊の戦隊本部小隊を兼ねて所属してもらえないだろうか。
南條叔父様に相談してなんかとかうちに引っ張ってもらえ得ると嬉しいが。。)」
と南條中将に通信端末で相談する為に連絡を取る。



亜美戦隊長「南條中将、少しお時間ありますか。戦隊基地の防衛についてお願いがございます。」

南條中将「やぁ戦隊長。話を聞こうじゃないか。」
南條中将「基地防衛か、確かに何も対策してなかったからね...。」



亜美戦隊長「先日のBETAの戦隊基地への攻撃の件です。
真木さんを負傷させてしまいました。痛恨の極みです。
大陸でも奇襲を受けて解っていたのにこんなことになってしまいました。。

そこで基地防衛計画を考えました。1個小隊規模で構いません、戦術機部隊が欲しいです。
普段は真木大尉の指揮下で基地の防衛が基本です。

で、その部隊ですが健在であれば、欲しい部隊がいます。
覚えていますか?支援の手配をしていただいた
あの中国地方戦線防衛戦で共に戦った独立機械化工兵戦術機中隊です。

作戦行動時は工兵戦術機部隊として直接私の戦隊本部小隊に所属させたいです。
工兵部隊の異動権限は私にはありませんですのでお願いしたいです。」
と伝える。

南條は黙って聞いた後口を開く。
南條中将「なるほど...あの独立部隊だな。運が良いよ戦隊長、今私預かりになっている。

直ぐに手配しよう、構わんかね?」

驚く亜美。
亜美戦隊長「なんと、、、そんな事が。お願いしたいです。明日にでも可能であればお願い致します。」

南條中将「勿論だ、直ぐに向かわせる。連絡が無ければ最前線送りだったろうからね。」

亜美戦隊長「そんなことになっていたとは。。彼らのような優秀な部隊を最前線ですりつぶすような事は
避けらたのは良かったです。有難うございます。では手配宜しくお願い致します。」

南條中将「楽しみにしてくれ。」

亜美戦隊長「はい、有難うございました。(敬礼。」
翌日、南條の言った通りその部隊が戦隊基地に到着した。

彼らは最前線に今日送られる予定だった。しかしなぜか急遽異動命令が通達された。
陸軍の第零独立強襲戦隊と言う独立部隊のようだ。

丸芽特務大尉「消耗品として前線に飛ぶ覚悟を決めたと思ったら緊急異動ときたもんだ。

まったく、上さんの混乱が伺えるってもんだぜ。」

畑中副官「第零……直属部隊でしょうか。」

丸芽特務大尉「知らん。俺は部隊番号の規則性なんぞには詳しくない。

第零が直属部隊なら上の無茶を聞くだけのマシなお仕事かもしれんが。」

畑中副官「まあ何にせよ我々は犬死を免れたわけですね。

代わりに送られる隊には申し訳ありませんが、マシな命令はもらっておきましょう。」

秋村特務少尉「隊長たち、卑屈過ぎない?」

君原少尉「それはまあ仕方ないだろう。中間管理職とその女房役なんてものには、
私たち下っ端にはあまりわからない苦労があるものだ。」

秋村特務少尉「まあそうだね。」

戦隊基地正門で疑問点を話している待っていると、見知った男の軍人が来る。
見知った顔が見えた。中国地方戦線防衛戦で共に戦った橘紫音中尉であった。
橘副官「お久しぶりです、独立機械化工兵戦術機中隊の方々。私です、中国地方防衛戦でお会いした橘です。」
と敬礼して迎える。

丸芽特務大尉「おお橘中尉、キミ生きとったのか。」

畑中副官「まあ彼だって優秀な人物ですし、隊長がまだこうして生きているのですから彼だって生きているでしょうよ。」

丸芽特務大尉「そうも限らんのが戦場だろう。俺たちは例外をたくさん見てきたぜ、

第二小隊にせよ守れなかった連中にせよ。」 

橘副官「はい、皆さんもよくご無事で。あの時は有難うございました。
ここではなんですから、戦隊長室へ。ここはあの時の私たちの小隊が中核となっている部隊です。
早雲中尉は進級され大尉になり我が第零独立強襲戦隊の戦隊長となっています。
と彼らを戦隊長室へ案内する。

戦隊長室へアテンドし入室する。
そこには執務机で忙しそうに難しい顔をして書類仕事をしている亜美がいる。
橘副官「戦隊長、失礼します。独立機械化工兵戦術機中隊の皆さんをお連れしました。」

丸芽特務大尉「久しぶりですね、小隊……いや戦隊長殿。本日をもってこの隊に着任しました、
独立機械化工兵戦術機中隊長の丸芽特務大尉です。
一体全体どういうわけなんですか、俺たちは前線で打破できそうもない防衛線の孤立を打破するために
犬死せよと命令を受けたところで呼ばれたんですが。」 

 

丸芽たちを見た亜美は微笑む。

亜美戦隊長「お久しぶりです、皆さん。あの時は有難うございます。
私が第零独立強襲戦隊の戦隊長、早雲亜美大尉です。
約束通り、仲間を、民間人を護れる部隊を創りました。今回あなた方独立機械化工兵戦術機中隊の
力が欲しく、異動してもらいました。まさか最前線に送られる直前で、ほんとに間一髪な異動でしたよ。
南條中将にお礼を言わないと。」
と脱帽しているのでお辞儀式の敬礼をする。



丸芽特務大尉「なるほど、あの時の約束を果たせということですな。」

そして思い出したように話す。
丸芽特務大尉「そうだ、戦隊長。謝りたいことがあるのです。

前にお会いした時、気に入らないなどと言ってしまいすみませんでした。
あの時のあなたの気持ちを、俺は帝都京都防衛戦でようやく理解しました。

あの時の俺は、指揮官失格と言われて仕方のない行動をしてしまった。」

亜美は彼もまたつらい思いをしてきたのと後悔しているのを心の中が見えて微笑み答える。
亜美戦隊長「、、、大丈夫です、謝罪は必要ありません。

 

確かにその通りですから、そして後悔してしまうことは多分にあります。
ですが、生きてれば次はより良い選択ができるかと。

 

丸芽特務大尉殿にとってそうなれるように部隊になじんでいただければそれでいいのですよ。
少し辞令と今後の話をしたいのでそちらの長机に皆さん座ってください。


紫音、真木整備班長に申し訳ないけど戦隊長室へ来てもらって。
あと全員分のお茶とお茶請けを。」

橘副官「承知しました。真木整備班長をお呼びしますね。」
とお茶とお茶請けを用意し隣の副官室へ移動する。

丸芽特務大尉「ここまで色の濃い茶は久しぶりだな。」

畑中副官「そうですね、前線のすぐ手前じゃあ補給の乱れで三十煎めの茶を飲む羽目に……。」
それに答える亜美。

亜美戦隊長「大陸での撤退戦時はそうでしたがこの基地ではなるべく全員に良いものを配給してます。
私のできる範囲内ですが。兵、下士官にも同じものを出してますよ。
いつ何があるか解らないですしストレスはなるべく減らしてあげたいですから。」

丸芽特務大尉「ありがたいことです。温かい飯と良い茶の香りは力の源、

どんな演説よりも心に響くとはよく言ったものです」

亜美戦隊長「その通りです。そしてそれは階級に差があってはいけないと私は思います。
部隊は家族です。私はそのことを戦死した両親から教わりました。」

丸芽特務大尉「家族、ですか。我々の中隊もそこに加わるというわけですね。」

畑中副官「うちの中隊自体がもともと丸芽隊長を長男として三人がそれに姉妹として続くような構成ですからね。」

亜美戦隊長「戦隊は家族、姉妹、兄弟です。仲良くしてくださいね。
私には妹がいますが、戦隊ではみんなが家族です。とりあえずはようこそ、我が戦隊へ。」

そうこう世間話をしていると一人の女性整備兵が戦隊長室へ入ってくる。
呼び出しに応じて、真木が入ってきた。

真木班長「失礼するよ。どうかしたのかい戦隊長。」



亜美戦隊長「先日の負傷の所、呼び出して申し訳ない。こちらにお座りください。」
と長机の椅子を引いてこちらにと座らせて紹介する。

丸芽特務大尉「!(これは、、、ただの整備兵ではないな、まごうことなき歴戦の衛士だ。)」
丸芽は真木から整備兵らしからぬ気品を感じた。

亜美戦隊長「丸芽特務大尉、こちら斯衛から出向していただいている我が戦隊の戦術機整備班長の真木沙奈江(まきさなえ)大尉です。
真木整備班長、こちらの方々は独立機械化工兵戦術機中隊の丸芽特務大尉、畑中中尉、秋村特務少尉、君原少尉です。
特務が付く方は機械化工兵戦術機部隊の方であとはその護衛兵です。」

真木班長「へぇ、工兵戦術機部隊ね...それで整備班長のアタシがどうしろと?
アイツらを率いろとか言うのかい?」

亜美戦隊長「はい、そのことでお願いがあります。先日の基地防衛戦で痛感しました。防衛部隊が欲しいと。
戦術機部隊が任務中で私が出撃している時は真木さんに預けます。
防衛部隊指揮官として彼らを指揮下に防衛戦等をお願いします。
また彼らは基本私直轄の戦隊本部小隊付きとします。戦闘任務にも参加してもらいます。」

真木班長「なるほど、アタシで良いのかい?」

亜美戦隊長「もちろんです、斯衛だから陸軍だからとかそんなことはこの戦隊では関係ありません。
斯衛であることの尊敬はもちろんあります。ですから真木さんに基地防衛の指揮官をお願いしたいのです。
彼らは撃震を使用します。工兵戦術機も撃震を改良しています。そのあたりは今ここで聞いて頂ければ。」

真木班長「分かったよ、アンタの頼みだ。基地防衛の指揮、アタシがやるよ。
改めて、帝国斯衛軍整備班長の真木沙奈江だ。
かつては大陸派遣 第三独立守備戦術機中隊を率いていた事はあるが、今は唯のロートルさ。宜しくな工兵共。」

戦隊長に対して
丸芽特務大尉「なるほど、衛士にして戦術のプロフェッショナル、と。
よろしくお願いします、なんかうちの君原と話が合いそうな服装ですね。」

君原少尉「薄着で整備する本職、意外といるもんですね。」

真木班長に対して
丸芽特務大尉「これでロートルなら俺はアホロートルですよ。」

畑中副官「間違いじゃないのがなんとも。」

真木班長「このまま作業するかよ、ちゃんと上は着るさね。
んで、防衛と言ってもどうするんだい?前回は自前の地雷やらバリケードやらで時間稼ぎして、
銃撃てる奴らを総動員して、私が不知火で出て結局如月少佐がいなけりゃお陀仏だったわけだが...。」  

亜美戦隊長「そこは大丈夫です、彼らは対BETA用の爆破関連の専用武装もありますし、

工兵戦術機の護衛用戦術機もあります。
それを使って防衛していただきたい。それなら戦術機で防衛できますし、
真木さんは戦術機に搭乗しなくても基地全体を統括して指揮に専念できるかと。」  

丸芽特務大尉「工兵専用機はパワーが命ですので、駆動系の整備は念入りにお願いします。
両腕の二番変速装置の減速ギアはこまめに交換してやってください、よく壊れます。よろしくお願いします。」

追加でさらに真木に言う。
丸芽特務大尉「爆破機材の補給手配が済んでいるなら、高性能爆薬の目方を見てやってください。
あれをうまいこと4発まとめて爆発させれば要塞級も大ダメージを食らうこと請け合いです。
対BETA地雷の敷設も素早くできますし、意外と強いはずですよ。」 

畑中中尉「工兵部隊の武装ですこちら戦術機整備班で扱えるかご確認をお願いします。」
と工兵部隊の一覧についての仕様書を渡す。

そこに武装の一部が記載されていた。
武装について
・爆破機材(大)
制式名称は「90式特型爆破機材」、橋や大型建造物、高層ビルなどを破壊するための爆破機材である。
「二つ重ねれば重コンクリート製のダムに穴をあける威力」を目指して開発されたため、破壊力とサイズの両立がなされている。
4つを集中運用すれば要塞級も撃破可能。

・爆破機材(小)
制式名称は「89式Ⅰ型爆破機材」、比較的小型の障害物を破砕するための爆破機材である。
小型種〜突撃級、要撃級クラスなら吹っ飛ぶ威力があり、地雷よりも攻撃範囲が広い。

・対BETA地雷
「86式対BETA指向地雷」。起動すると上向きに高威力指向性爆発を起こす地雷。
サイズはそこまで大きくない(戦術機がこれを持つと人間がど〇兵衛のカップを持っているくらいのサイズ感に見える)。

・91式破砕爆薬筒
BETAの集団にやり投げよろしく投擲するために作られた(要はスケールアップしたバンガロール爆薬筒)

工兵機体の一機あたり基本装備は
爆破機材(大)は2個(過積載で3個)、もしくは爆破機材(小)8個(過積載で10個)と
対BETA地雷が背中に30個と腰部に下げたラックに5個×2で合計40個、
突撃砲が1門と弾倉5個くらい?
(・91式破砕爆薬筒はオプション装備なので爆破機材(大)一つと爆薬筒四つが交換で装備できる感じ)

亜美戦隊長「予算は確保しておきます、真木さん申し訳ない戦術機の種類と武装が増えて大変ですが
整備班で工兵の専用武装について補給、整備含めて見てもらえますか。」

真木は渡された資料を読んだ。
真木班長「へぇ、面白そうじゃないか。工兵の兵装に関しては砂原達、兵装開発部に一任している。改めて投げてやりな、驚くほど喜ぶよ?」      

亜美戦隊長「有難うございます。ではこのまま整備ハンガーについれて行って整備班の紹介と可能でしたら
機体設定の確認等含めて可能でしたら装備一覧の仕様書を渡していただけますか?」
                                    
真木班長「任せな、整備班の領分だからよ。」

亜美戦隊長「有難うございます。無理のない様に整備お願い致しますね。
人員の補充も必要であれば言ってください。では工兵部隊のご案内をお願いします。

真木が先導して整備ハンガーに4人を連れていく。
 

途中軍医長の司とすれ違う。
司軍医長「お!沙奈江ちゃん~、元気してる?先日の防衛戦の件もあるから少しずつ休憩しながらだよ。
ちゃんと体休めてね。あ、お酒飲めば治るかw
あれこの子達だーれ?うち(戦隊の)の子じゃないね。」



真木班長「あぁ、独立機械化工兵戦術機中隊って奴らだ。今日から新しく部隊に配属になるんだとよ、
あと基地防衛時にはコイツらを率いる事になるってさ。」   

司軍医長「そうなんだ。。でもそれは良かった。この前のBETAはほんとびっくりした。
あんなことはもう起こってほしくないし、沙奈江も指揮に専念できるのがいいね。
あ、私、この戦隊の軍医長の司明日香大尉、よろしく~。体調の事でなんかあったら、いつでも医務室おいで~。
とりあえず、着任おめでと。今度一緒にしこたま飲もうね~。歓迎するよ。」    
といつものように一升瓶を開けて一口飲む。

独立工兵戦術機中隊の面々はその姿と一升瓶に驚くが
丸芽特務大尉「、、、独立機械化工兵戦術機中隊の隊長の丸芽特務大尉だ。すまんが私は酒が飲めない(二日酔いする)ので歓迎はジュース等で頼む。 」

畑中副官「中隊副官兼2番機の畑中です。工兵の護衛兵です。隊長?胸見過ぎですよ、彼女できないのがバレバレですわ。」 

秋村特務少尉「3番機の秋村特務少尉です。工兵担当です、お酒良いですぜひともしこたま飲みたいです。」

君原少尉「4番機護衛兵の君原少尉であります。いいですね。私もご相伴にあずかりたいです。」

司軍医長「了解~、じゃあ沙奈枝江、今度みんなで飲もうね~。私これから診察行ってくるからまたね~。」
と一升瓶をひらひらさせて移動する。   

真木班長「相変わらずの飲んだくれヤブ医者だな。」
そんな事を言い、少し歩いた後整備ハンガーに到着する。

砂原整備兵「姉御、お疲れ様です!後ろの見ない顔はなんですか?」

真木班長「おう砂原、後ろのは独立工兵戦術機中隊って連中だ。挨拶しな。」

砂原整備兵「はい。第零独立強襲戦隊 整備班所属、兵装開発部長の砂原才蔵だ。宜しくな!」

丸芽特務大尉「独立機械化工兵戦術機中隊の隊長、丸芽特務大尉だ。本日付で戦隊に配属となった。宜しく頼む。
こいつらは中隊の部下だ。左から畑中副官、秋村特務少尉、君原少尉だ。特務が階級につくのが工兵スキル持ちであとは護衛兵担当だ。」

畑中副官「お世話になります。こちら我が工兵隊の機体リストと武装一覧です。癖のある装備なのですがどうぞよろしくお願いいたします。」
と撃震の改良型である工兵用機体のスペック一覧と工兵機体専用武装の仕様書を砂原に渡す。
秋村特務少尉・君原少尉「宜しくお願い致します。(敬礼)

砂原は受け取ると、黙って読み進める。

真木班長「どうだ?兵装開発がひと段落して、新たなネタが出て来て嬉しいだろ?」

砂原整備兵「なんすか、この素敵な武装と撃震の改良型は!確かに良さそうですが、まだまだ弄り様は有りますね。
生憎、改造...いや開発に使えるガラクタの類は、前回の兵装開発などで潤ってます。徹底的に弄り倒してやるぜ...。」

真木班長「程々にしときな?」

丸芽はこの整備班はすごいな、さすが斯衛の整備班だと感心する。

畑中副官「有難うございます。改良の余地があるとは、、例えばもっと小型化できるかとか
工兵装備はかさばるのでそういう事ができるとありがたいですね。  
撃震は特に工兵改良型は重量オーバーなのですぐに部品の交換が必要になるや稼働率に問題がありまして、
そこが解決できるとありがたいです。」

とそこにゴーストと奈美が来る。
奈美准尉「真木さんお体大丈夫ですか、無理しないでくださいね。」
と先日の防衛戦の件を心配してる。  



ゴースト准尉「(うん?、この方々衛士か?階級が特務大尉殿に特務少尉殿がいらっしゃる。
という事は相当の腕と下士官上がりの歴戦の方だな。すごい。私のような単なる兵上がりじゃない)。」


丸芽もゴーストを見て
丸芽特務大尉「(、、、准尉?単なる士官候補生あがりではないな、それなりに経験を積んだ衛士と見た。
隣の女性准尉は?予備士官上がりか?何か特殊なスキルを持っているな。)」
とお互いに何かを感じ取っている。  

真木班長「ハハハ!大陸での戦いや九州に比べれば屁でもないね。んな心配する必要はねぇよ。
工兵共、コイツは戦隊長のお気に入りのゴースト准尉だ。アタシのお墨付きでもある。」

奈美准尉「良かったです。でも無茶しないでくださいね。
あ、私早雲奈美准尉と申します。電子戦術オペレーター要員です。
衛士ではありませんが戦術機部隊の第六警戒小隊のバックアップ要員です、戦術機部隊を前線で支援いたします。」
と会釈式で頭を下げる。

ゴースト准尉「いや、お気に入りとかお墨付きって(汗)単なる学の無い二等兵上がりの兵隊ですよ。
でもそういっていただけると嬉しいですよ、真木さん。確かに大陸や九州は地獄でしたね。。。
あ、自分は戦術機部隊の第六警戒小隊の衛士ゴースト准尉であります。工兵部隊ですか、特務とは歴戦の下士官上がりの方ですね、すごいです。
宜しくお願い致します。(敬礼 」  

丸芽特務大尉「独立工兵戦術機中隊の隊長、丸芽特務大尉以下4名だ。本日付で戦隊に配属となった。宜しく頼む。」

畑中副官「なんですか隊長その雑な紹介。宜しくお願いしますね。」

お互い自己紹介をする。

真木班長「よし、工兵連中はそのままゆっくりしてな。アタシは整備班に合流して、機体整備するからよ。」

丸芽特務大尉「了解、今後とも宜しく頼みます。」
と敬礼して真木を見送る。

丸芽特務大尉「さて、ゆっくりしてなとのことなのでうちの隊は今日は自由行動。皆好きにしてていいぞ。基地見学とか
色々したいやつは行ってこい。」

奈美准尉「よかったらご案内しますよ。」
と優しそうに微笑み声をかける。

ゴースト准尉「(まあ、この方々なら問題はないかな、、戦隊長もそこを調べて考えて配属させてると思うし)
あ、奈美さん、自分も一緒に行きますよ。」
と言う。

こうして丸芽達、独立工兵戦術機中隊は戦隊に配属された。
思う存分爆破技術を駆使して、また基地防衛の戦力として戦隊で活躍していくのであった。
END