影縫少尉戦隊着任前編

とある日男爵家の招待パーティがあり、西大尉は女男爵として
ある陸軍基地に呼ばれてその男爵家の家督を継いだ男性の所に行ってた。



西大尉「(ここの男爵家のお坊ちゃまは踏ん反りかえって、司令部にいるだけの私の目にも
止まらない男性。両親にはいろいろ言われてるけど目に叶う婿様はいるのかね。)」
とある程度社交場の挨拶で一回りしてから会場の一角で休んでいた。

周りを見渡しても、腰ぎんちゃくな奴らばかりでつまらなない。
そうだ、と基地の戦術機部隊の衛士でも見に行くかと席を外す。
(かわいい子いるかなあw)
とニヤソと人知れずニチャアとした顔をして基地の戦術機部隊の方に移動する。

と、途中、なにか通路の端で何か聞こえる。
衛士A「おい、だから影縫、お前は不気味なんだよ。いつも負傷して、何を考えているか
解らんし、仏頂面で回りを見下して、機体は壊して帰ってくる。何様なんだよ。」

衛士B「どうせ、負傷した奴らの後ろで隠れて何もしてないんだろ。」
と数人の衛士に囲まれてる小さい女性衛士がいる。
どうも負傷してるらしく片目と頭に包帯と、手にも包帯がまかれている。
影縫広子(かげぬいひろこ)少尉と言う名前だった。



表情は常にぼーっとして焦点が定まっていないような感じで短く答える。
影縫少尉「、、、ぬいはちゃんとやってる。」

衛士A「だから、適当な事いってるんじゃねえよ。(# ゚Д゚)」
衛士B「ふざけんな(# ゚Д゚)。」
と殴られる。

それを見た西はプチンと切れて、いきなり囲んでいた数人の衛士をぶん殴り、のし倒した。
西大尉「いたいけな女の子を殴るとか、ほんと最低ね。文句があるなら零独立強襲戦隊所属のこの私
西武子が相手になるよ。いつでもいい、殴り込みでも苦情でもなんでも受けるわよ。」

と、影縫少尉の前に立ちいい放つ。
衛士C「、、、こいつ知ってる。女男爵様だ。。。」
と引き気味に言う。

ふんと、興味がなさそうに囲んでいた衛士たちを片目で睨みつけ退散させる。
西大尉「可愛い子がこんなことされてると余計なことだったかもしれないけど。
ごめんね。こんなことしたら居づらいよね。もしよかったらうちの子(戦隊にこない?)にならない?」
と肩膝を地面につき手を取り誘う。

相変わらず表情は常にぼーっとして焦点が定まっていないような感じだが広子は短く言う。
影縫少尉「、、、うんなる。」

そこにさっきの奴らが憲兵を連れて戻ってくる。
憲兵A「おい、そこの奴。詰め所まで来てもらう。おとなしくしてもらうぞ。」

広子からのその言葉を待ってましたと聞いてニヤソと笑って西は。
西大尉「じゃあ、お持ち帰りさせてもらう。」
影縫少尉をお姫様抱っこして窓から出て乗ってきた米国製の超高級なアンティークな

自分の車に乗りこみかっ飛ばし戦隊に帰る。

戦隊の基地に急いで帰り、そのまままたお姫様抱っこして戦隊長室へドアを蹴りこんで入る。
中には奈月少尉の機体の陽炎の件で真木整備班長と奈月少尉がいて戦隊長と話していた。
驚く3人。

西大尉「亜美、お願いがある、この子お持ち帰りしちゃった。うちの子(第一小隊)付きにして。」
といきなり、変な事を言う。

呆れる亜美。
亜美戦隊長「はぁ西、男爵家のパーティで何があったの?まずそこからよ。」
と状況を聞く。



こういうことが有ってお持ち帰りしたと話す西。

ドン引きする3人。
亜美戦隊長「えーー、、、まあ私も落合整備兵の時に真木さんと一緒に無茶したけど。。
西も大概ね。しかし第一小隊はもう予算も定員もオーバーよ。
うーんどうしようか。このまま帰らすのは酷だし、、この子負傷してるし。うん?。」
と何か広子の思いが聞こえたのか、聞く。
亜美戦隊長「貴官のお名前は?得意な事は?」
と聞く。

影縫少尉「影縫広子少尉。、、、ぬいは拠点防衛戦が得意。負傷した仲間を助けるのが任務。」
とボソッとここでも焦点の合わない目線で答える。

亜美戦隊長「、、、(まてよ。うちの防衛部隊用の第三小隊にどうだろうか。)
真木さん、編成予定中の第三防衛小隊用に影縫広子少尉を使ってみたいのだけどどうでしょうか、
機体は何がいいと思いますか。」
と真木に聞く。

そう言われ、真木は口を開く。
真木班長「別に構やしないけど、まずは後援者の南條中将に報告は必要じゃないのかい?
まぁ、あのオッサンなら既に把握してるんじゃあねぇか?
もし使うかか...、無難に不知火と言いたいが、あいにく予備パーツ確保の為にこれ以上出せる機体はない。
撃震か陽炎になるだろうな。」



亜美戦隊長「そうですね、人材確保は任せられているけど事後報告はしておきます。
お持ち帰りしてますしね。。。
そう、不知火は無理ね。影縫少尉どっちがいい?あと武装のオーダーはある?」

一瞬考えるが
影縫少尉「ぬいぬい(陽炎)がいい。」
そして武装に関しては
影縫少尉「、、、ぬいは突撃砲と楯で、予備はもう一つ楯と突撃砲の予備弾倉。」
みんな驚く装備であった。
亜美戦隊長「、、、真木さんこのオーダー行けますか?楯が予備含めて2枚って。。」

真木班長「盾が2枚?機動性が落ちるような装備構成だし、聞いたことねぇな...まぁ用意は出来る、大丈夫だ。
問題は機体だな...。」

亜美戦隊長「、、、ですよね。(ぬいぬいって何?)機体は、、防御編成なら陽炎は、、
撃震ですかね。どうせ機動性落ちるなら92式多目的追加装甲もつけてはどうでしょうか。
奈月少尉、さすがに陽炎に機動性を捨てるとあまり利点がなくなるわよね?」
と二人に聞く。

奈月少尉「はい、と言うか第二世代戦術機から機動力を持ってBETAの攻撃を回避するので、
戦術機から機動力を奪うなら、戦車を引っ張って来た方がいいと言う事になります。」



亜美戦隊長「、、、そうよね。。まあ、戦車と違って格闘戦できるし、装甲はあるけど。
となると、撃震ね。」

それを聞いて影縫少尉の顔色がしょんぼりしているように見える。
影縫少尉「ぬいは、機動戦苦手。防衛戦がいい。だから装甲欲しい。」

それを聞いた真木は頭を掻く。
真木班長「言うてもな、BETA相手に装甲は通用しないんだよ。

通用したなら、世代を跨いで軽量化及び機動性重視にはならないさ。
否定したくはねぇが、こればっかりはアタシもお手上げだよ。」

亜美は思案して端末を操作している。
亜美戦隊長「、、、そうねえ。この子の人事情報見てみたけど撤退戦とか防衛戦で確かに

楯でBETAを受け止めてとかそらして撃破しているみたい。

それで粘って、味方を助けてそのまま帰ってくる感じの事をしてるわ。
負傷だらけに機体が毎回損傷してるみたいだけど。。。」

うーんと悩む。
亜美戦隊長「光線級吶喊時の盾役とか可能な気がするのでその方向で武装で行きますか。楯は1枚で。
メインは突撃砲と楯で予備武装は突撃砲と予備弾倉ですかね。

それなら他の小隊の予備弾倉を回せますしどうでしょうか?」
と妥協案を出す。

真木班長「そうなるだろうな...、後は盾自体に追加装甲を付けて光線への耐久性を上げるか...

余り勧めたくないけどね。」

亜美戦隊長「そうですね。それでいくしかないですね。機動戦が苦手なら。影縫少尉それでいい?」

影縫少尉「、、、はい。」
と陽炎に乗りたいのかしょんぼりしつつも短く答える。

亜美戦隊長「と、言うかまずはその負傷の傷が癒えるまで、安静にしなさい。」

ふるるふと頭を横にふり答える。
影縫少尉「問題ない。可能であれば機体見たい、設定できるのならそのまま行く。」
と答える。

真木班長「いや、許可できないね。
整備班長として、元衛士としても見過ごせない。奈月、彼女を医務室へ連れて行きな。

無理矢理でも構わないよ。」

奈月少尉「はい、そんな状態じゃマトモに初期設定なんて出来ません。医務室で休んでください。」

西大尉「そうね。私が連れて行ってくる。」

亜美戦隊長「そうよね。とりあえず、真木さん機体と武装等の初期設定お願いします。
傷が癒えてから対応させますね。私はこの後南條中将に報告しておきます。」

奈月少尉「西大尉が連れて行くのですか...、変な気を起こさないでくださいね?」
そこら辺の信用がないのか、奈月はジト目で西を見つめる。
真木班長「西...んな事言って格納庫に連れていたらぶん殴るからな?」

西大尉「グハ、信用無いですなあ。じゃあ奈月ちゃんに任せるよ。みんなありがとね。
私はじゃあ奈美ちゃんに頼んで差し入れ持って行かせるよ。」
と手をひらひらさせて戦隊長室から一人出ていく。

真木班長「...今の状態の西なら大丈夫だな。」

亜美戦隊長「まあ、西は基本的にあんな感じだけど優しいやつよ。
ちゃんと難民の子とか引き取って学校に通わせたりやりたい事やらせてあげてるみたですよ。
メイド服着させるのは、、あれですが。じゃあ、奈月少尉は影縫少尉を連れて行ってあげて。宜しくね。」
と同期の桜の西をフォローする亜美。

奈月少尉「了解です。」

真木と奈月が戦隊長室を出た後、亜美は南條中将に連絡する。
二人が戦隊長室を出た後、亜美は南條中将に連絡する。
亜美戦隊長「すみません、1点事後報告ですがよろしいですか?」

南條中将「ふむ...大方西大尉が拾って来た少尉の事だね?戦隊長、君の口から報告を聞かせてくれ。」


やはり真木さんの言う通りバレバレかと話す。
亜美戦隊長「はい、西大尉が男爵家の招待パーティをやっていた基地の子を虐められていたのを
助けて、連れてきたようです。名前は影縫広子少尉です。
私の見立てでは、防御戦に特化した人材かと。まだ未定だった第三防衛小隊に編入させたいと思っています。
ちょっと心が病んでいますが、、大丈夫かと。それに仲間思いです。あそこまで負傷を毎回していても
ちゃんと仲間を連れて帰ってます。うちの隊で守り役になって欲しい思います。」

南條中将「スカウトは任せるとは言ったが、野良猫を拾って来たとは訳が違うんだがな...。
だがこちらも影縫少尉の情報を見たが、有能な衛士と言うのは分かった。好きにしたまえ。」

亜美戦隊長「はい、申し訳ありません。有難うございます。では失礼します。」
と冷や汗をかきながら通信を切る。

そして戦隊長室を出たあとの奈月少尉と影縫少尉の所へ。
奈月少尉の袖をちょんとひっぱり声をかける。
影縫少尉「、、、別に大丈夫、ぬいぬい見たい。」
と奈月に言う。

奈月少尉「怪我をして、無理している人こそ大丈夫と言うのは信用出来ません。
大人しく医務室で休んでください。」
広子からの発言をそう言って聞かない奈月。

ちょっとしょんぼりしているように見えるがぼーっとして焦点が定まっていないような感じで答える。
影縫少尉「、、、うん解った。」
とおとなしくついていく。

奈月は医務室のドアを開け、司を呼ぶ。
奈月少尉「司さん、司軍医長はいますか?怪我人がいるので見て欲しいんですが。」

司が診察室からひょっこり顔を出し
司軍医長「うん?奈月ちゃんどしたの。あれ?この子だーれ?見たことないねえ。
まあとりあえず見るよ。」
と酒を吞みながらやっている。



奈月少尉「西大尉が連れて来た見たいです...。少なくとも、下心があるからじゃないのは確かかと。」

司軍医長「あー、西ちゃんまたやってるのか、あの方よくそうやって拾ってくるのよね。」
そうして負傷した傷を見る。


司軍医長「ありゃ、りゃ。こりゃすごい傷跡だねえ。何度も負傷している。
これ、今回のこの傷も結構な重症だったんじゃないかな。でももう治りかけてる。
1週間かからずに治りそうよ。包帯と薬ぬってと。じゃあ、看護兵あと頼むね。
ベットに寝かせといて。」
と看護兵に任せて影縫少尉を連れて行かせる。

医務室から離れたのを確認して奈月に話す。
司軍医長「それよりも深刻なのは、、あの目ね、ぼーっとして焦点が定まっていないような感じ。
何か過去にあったんじゃないかな。心の方が心配。奈月ちゃん同じ少尉なんだから
見てあげてね。だめなら奈美ちゃん頼ってもいいかも。」
と言う。

奈月少尉「なるほど...、分かりました。ありがとうございます。」

と、そこに奈美が来る。
奈美准尉「失礼します。西さんが新任の異動者の方に差し入れしてほしいと言われて来たのですが。」
とお弁当と合成玉露のお茶を持って来ている。

奈月少尉「奈美、お疲れ様。あの子の為に持って来たんだね。」
和かに語りかける。

優しい視線で言葉を返す。
奈美准尉「はい、かなり精神がボロボロになっていると聞きました。私に何かできることはありませんか。」
と心配しながら答える。

奈月少尉「精神がボロボロ...私も少し前はそうだったね...奈美。
あの子の心、読める?寄り添うだけじゃ、解決しないと思うから。」

奈美は考える。自身への負担は大きい、でも助けたい。ならばやることは一つ。
奈美准尉「もちろんです。ただかなり神経がすり減らしてると思います。
ご飯を食べさせたら睡眠導入剤を与えて、レム睡眠状態で探るのがいいかもしれません。」
と答える。

司軍医長「うん、うん。いいね。あの子を助けてあげてね。任せたわよ。
これ睡眠導入剤、強めだからすぐに寝れると思うよ。」
と奈月に渡しながら言う。

奈美准尉「じゃあ、行きましょう奈月さん。」
と一緒に病室へ行く。

奈月少尉「えぇ、司軍医長ありがとうございます。」

一升瓶をフリフリして二人を見送る司。
そして二人は広子の病室へ行く。

ノックして入る奈月と奈美。

奈美准尉「初めまして、私はこの戦隊に所属している早雲奈美准尉です。
こちらは弥栄奈月少尉さんです。どうぞよろしくお願いいしますね。
西大尉さんがまだご飯食べてないだろうからと言われたのでこれ良かったら食べてください。」
とお弁当と合成玉露を差し出す。

広子は変わらずぼーっとした焦点の合わない目でこちらを見て
影縫少尉「、、、影縫広子少尉。よろしく。ご飯いらない。。食べてもどうせぬいは。。」
と答える。

奈月少尉「そんな事言わないで?どうせとか言って、そのままにしたらそれこそ何も変わらないよ?」

影縫少尉「、、、ぬいはもういい。」
とぷいと横を向き拒否をする。

それを見た奈美は。
奈美准尉「、、、仲間を護りたいのではないのですか?それなら奈月さんの言う通りです。
何も変わりません。何かを変えるにはまずは自身を労わらないと。。」
と優しく、こちらを向かせ、弁当を開けて、お箸を持たせる。

何かを考えているようだが
影縫少尉「、、、ごめん。ぬいは食べる。」
と少しずつだがぎこちない手つきで食べ始める。
ホッとし安心するする二人。

影縫少尉「、、、美味しい、久々に暖かい食事した。」
と、ポロりと包帯でおおわれていない目から涙を流す。

奈月少尉「影縫少尉、いや同じ階級だから影縫さんと呼ぶね?
貴方は私と似てる、何も守れず仲間を死に追いやる事しか出来ないと嘆いていた、
少し前の私と似てる。でも変われるよ、此処なら。」
奈月は影縫の左手を取る。

影縫少尉「ありがと。、、ぬいは変われるかな。。うんいいよ。そう呼んで。。」
と泣きながら食べる。
そして食べ終わる。
と、奈美がこっそり奈月に薬をと言う。

奈月少尉「えぇ、呼ばせて頂くわ。大丈夫、変われるよ。」
そう意識を向けさせ、水に薬を入れる。

影縫少尉「、、、ご馳走様。おいしかった。ぬいぬい(陽炎)見たい。格納庫行く。」
と立ち上がりベットから出ていこうとする。

奈月少尉「そんな慌てなくて良いよ?明日でも機体は見れるし、そんなふらついた体じゃダメだよ?」

奈美も慌てて止める。
奈美准尉「そうですよ。陽炎は逃げませんよ。大丈夫です。今日はもうゆっくりしましょう。」
とベットに戻す。

影縫少尉「、、、うん、解った。でも寝たくない・・・。寝たら悪夢が。」
と少し怖がる広子。

奈月少尉「大丈夫、私と奈美がそばに居るから。悪夢は見ないよ。約束するよ。」
奈美さん「そうですよ。一緒にいます。だから大丈夫です。」
と奈月に薬を入れたお水をと目配せする。

奈月少尉「この水を飲んで落ち着いて?」
影縫少尉「、、、うん。ありがと。」
とお水をゆっくり全部飲む。

奈美准尉「はい、コップは受け取ります。横になってゆっくりしましょうね。」
とコップを受けとり、ベットを倒して寝る体制にする。

薬が効果が高いのか、それともほとんど毎日寝てないからなのか。
影縫少尉「、、、眠い。。嫌だ。寝たくない。」
と抗いながらもすうっと寝落ちする。

奈美准尉「、、、寝れたようですね。奈月さん、何かあったらお願いしますね。
私、影縫少尉さんの心の中を覗いてみます。」
と広子の手を取り奈美自身のおでこに当てる。

奈月少尉「えぇ、頼むね奈美。」

解りましたと答えて集中する奈美。

広子の心の中をのぞく。
そこでは、、、過去の思いが残存してあった。

それは四国での撤退戦の頃であった。
あの悪名高い阿久津司令の指揮下であった広子は、、、高松方面で重症者と置き去りにされていた。
阿久津司令はなんと、重症者を餌に、囮にして部隊は本土に先に逃げ去っていた。

その時の内容を感じ取る奈美。
ぞっとする光景であった。BETAの集団に見捨てられた重傷者や動けない衛士たちが次々と捕食されていく。
地獄であった。
奈美はガタガタ震えて、発狂しそうになる。
奈美准尉「、、、な、、なんてことを。。。酷い。こんな。。。。」
と呻き泣き出す。



奈月少尉「奈美、どうしたの?そんなに酷いのが見えたの?」



それを聞いた奈美は右手で奈月の手を握り締めてその内容を伝える。
阿久津司令のあくどい嫌な笑い顔と捕食されている重症で動けない衛士たちが奈月にも見える。

奈月少尉「あの男の被害者だったんだね...。私もいつもアイツに前線に送られていて、
酷い目に遭って来た。そうなってもおかしくないよ。」

そしてそこで広子は気絶してた。そこに友達だったとても仲の良い衛士が

息も絶え絶えながらに残った腕で広子を起こす。

??「ひろちゃん。起きて。貴方なら怪我をしていてもいつも帰ってきた。
だから、、、、1人で本土方面に行って。私は動けないから、、、」
 

目を覚ます広子。
影縫少尉「、、、ぬいは嫌。いつも一緒。逃げる時も一緒、頑張って夏っちゃん。」
と足も負傷して動けない友達だった戦友をかばう。みんな喰われてしまった。次は私達の番だった。
と、そこに、一陣の風が吹き抜け、戦術機の陽炎が現れた。蝶が舞う如くBETAをなぎ倒して行く。


奈美准尉「??え?これは。。これ奈月さんでは。。。」
と掃討が完了すると、そのまま本土方面へ転進して行く。
それを戦友を抱きかかえて呆けて見ている。素敵なぬいぬい。私もああなりたいと思う広子であった。

奈月少尉「どうしたの?何かあった?」

その光景も奈月に見せる。
奈美准尉「、、、この機体番号奈月さんですよね。お互い顔を知らないですが、
影縫少尉さん達を助けたんですよ。奈月さんが。」
と伝える。

奈月はその言葉に驚く。
奈月少尉「私、が...?何も救えず、失ってばかりだと思っていたけど...、そうじゃなかったんだね。」

撤退戦で阿久津司令の酷い命令で奈月も壮絶な戦いをしていたが、気が付いていなかった。

こんな事があったとは。


奈美准尉「、、、だからぬいぬい好き、なのですね。これは顔も知らなかった奈月さんに憧れているのですよ。」
と泣きながら伝える。

そして近場で放棄された、管制ユニットがこじ開けられて、片腕がない撃震を見つけて急いで乗り込み
仲の良い友達の衛士を補助席に乗せるだが息も絶え絶えであった。

そして、後日何とか本土行の輸送船にたどり着き乗り込む事ができて大阪湾に到着するが、、。
仲の良かった戦友が言う。
??「ひろちゃんありがとう。ごめんね。助けてもらったけどもう、終わりみたい、、、。」
と言う。

残った仲の良い友人の衛士の手を握り締めて言う。
影縫少尉「、、、嫌、嫌だ。夏っちゃんとこの先も一緒に生きたい。」
だが、その言葉の返事は聞けず、こと切れた。。。。
そこで広子の心は壊れた。泣いた。。もう嫌だ。誰も結局助けられないのだと。

奈美は愕然とした。その思いが奈美の精神を圧迫させる。そして、、、
ここで限界とばかりに奈美がガタっと崩れ落ち、倒れこみ意識を失う。


奈月少尉「奈美...、ありがとう...。私も、影縫さんを助けられるかも知れない。ゆっくり休んでね?」
奈月は倒れかけた奈美を優しく介抱して隣の空き部屋のベットに奈美を寝かせる。

奈月少尉「私なりに、頑張って見る。今はゆっくり休んでね?」
奈月はその場を後にした。

そして夜中になった頃広子は目が覚めた。
なぜか過去の夢を見ていた。助けられなかった夏っちゃんが優しくこっちを最後に見ていたような。
そして助けてくれたぬいぬい(陽炎が)とても素敵だった。私もあんな風に機体を操作したい。
と、周りに誰もいないのを見てベットから抜け出す。
ぬいぬいが見たい。どうせ出撃させられるなら戦術機の近くにいた方がいいと。
そう思いふらつきながら整備ハンガーに行く。

今日の夜の任務は戦隊では即応体制はなく、近隣の南條中将の戦術機部隊が受け持っていた。
そのため、夜間は整備班は引き上げて整備ハンガーには誰もいないようであった。

あった、、ぬいぬい(陽炎)がある。でもこれちょっとカスタムしてるかも。
と思い陽炎の前まで来て飽きもせず、見上げてぼーっとしてる。
影縫少尉「(、、、私もあの時のようなぬいぬいを動かせる操作ができたら

夏っちゃんをたすけられたのかな。)」
と、壊れた表情で見つめてる。

真木班長「なんだい、誰かいたのかって確か影縫少尉か。そんな体で此処まで来るとは、頑丈なんだな...。」
ハンガーを締め、自室に戻ろうとしていた真木が影縫を見つけ、近くに来た。

影縫少尉「、、、ぬいは頑丈。誰も護れてないけど、だけどぬいぬいは華麗に舞って回避して、
BETAをやっつけてた。ああなりたい。でもぬいは。。。できない、助けたい友人も助けられなかった。」
としょんぼりする。

真木班長「舞ね..戦術機で舞うなら、奈月の奴が得意だよ。
それに、自誉るなよガキンチョ。助けたい命を助けられなかったのはアンタだけじゃねぇ、
アタシもそうさ...アンタ、変わる気はあるかい?あるなら、此処で頑張れば変われるよ。」

ボソッと答える広子。
影縫少尉「、、、ぬいは変わりたい。でもどんくさい。だからぬいぬいは無理。撃震でいい。
それでここでがんばる。だけど、、みんな気味悪いと言う、、。
ずうっとそうだった。。。心が痛かった。」

真木班長「誰も気味が悪いなんて言わないさ...。そうだな。
アンタが来る前に来た奴は、前の部隊の連中から死神なんて言われて忌み嫌われてた。
でも此処で皆を信じて前に進んだ結果、変われたんだよ。アンタも変われる、時間は掛かるとは思うけどね。」

影縫少尉「、、、変われたんだ。ぬいも、、、。うん、少しずつやる。明日から。」
と死んだ目をしていたが今はすこし生きる目つきに変わってきたように見える。

真木班長「さて!もう遅いから病室に戻りな?怪我人と具合悪い奴を乗せる気はないからな?」

恨めしそうに真木を見つめる広子。
影縫少尉「、、、うん。ぬい戻る。でも、明日また乗りにくる。」
とふらふらしながら戻る。

真木班長「強情な奴だな、上月に殴られた時のアタシもあんな感じだったのかなぁ。」
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