出雲奪回作戦後編
岡山の前線司令部(HQ)までは無事に輸送され、斯衛部隊とともに出撃を開始する。
戦隊は2部隊に別れ、亜美直率の斯衛攻勢部隊の直接支援部隊で出雲方面へ。
また、補給地点ポイントの護衛および陣地構築の工兵部隊を中核とした防御部隊で
作戦を実施する。
亜美戦隊長「戦隊全力出撃!、各中隊、遊撃分隊は所定の作戦通りに斯衛の攻勢支援を行ってください。
ローア1、遊撃分隊は自由に動いてください。我々が支援します。」
と真木には自由に行動させる。

西少佐「第一中隊了解、バロネス1よりディフェンス1、2ついてきなさい。第五砲撃小隊は後方より砲撃支援。
右翼より薙ぎ払いながら前進する。」

凜大尉「第二中隊も了解、左翼から機動戦にてBETA群を突破するわよ。
光線級を見かけたら最優先で吶喊します。ブラックキャット2、ゴースト1行くわよ。ついてきなさい。」
それぞれ中隊長が命令を出す。

真木少佐「了解だシルバーフォックス1!
ローア1から遊撃分隊各機へ、アタシ達が一番忙しいよ!しっかり着いて来な!。」

菅中尉「エイド0了解、ローア1、2の支援を行いながら前進、エイド1行くわよ。」
八島准尉「エイド1了解。支援行動に移ります。
(奈月さんは大丈夫かな。いざとなったらそっちの支援もしたい。)」

奈美が戦域情報を確認し、斯衛と連携を取りながら各戦術機の配置を亜美に確認しながら
各遊撃分隊と中隊に指示を出す。

ここまでは順調であった。斯衛の突破力は抜群で、瞬く間に前線がさらに前に進んでいく。
奈美准尉「順調ではありますが、、出雲方面のBETA群は、どれぐらいの数がいるのでしょうか。。」
と懸念していた。
亜美戦隊長「、、、そこは斯衛に任せるしかない。あとはどこまで奪還できるかだが。
奈美、一度だけ私の許可なしでやりたい事していいわよ。斯衛との調整も無視していいわ。
だから電子戦術オペレーターとしてできることを最大限しなさい。」
と言う。
奈美准尉「!!!(亜美姉さん、、有難うございます。)
はい、解りました。戦隊長、有難うございます。頑張ります。」
と答える。
上月副官「...ローア1、コレは不味いかも知れないです。」
彼の感が何かを感じたのか真木にそう言う。
真木少佐「...気のせいだと思いたいが、確かに順調過ぎる。何か来ると考えるべきだね。
ローア1よりシルバーフォックス1!其方は異常ないか!逆にないなら気を付けてくれ!。」
戦域情報を見ていた奈美。
嫌な感じがする。前線HQの防衛部隊が少ない、それに後方に何か。。
奈美准尉「戦隊長!ローア1の内容を確認しましたが嫌な感じがします。」
即座に真木に伝える亜美。
亜美戦隊長「シルバーフォックス1よりローア1。今のところ、順調ですが、ゴースト0が気になることを。
HQとの間が開き過ぎなのと後方に何か嫌な気配があると。」
真木少佐「そこから増援が来る可能性ありか...アタシ達が様子を見にいく。
挟撃されたら不味いからね。」
そうこうしているうちにいきなり前線HQの反応が消え、前線でもHQあたりの後方にもBEATが大量に出てきて乱戦になる。
かなりの数で斯衛は各個撃破されて行く。
そして奈美にある意識が流れ込んでくる。
??「(沙奈江すまない、やはりこの作戦は問題があり過ぎた。私は、部下を守らなければ。)」
奈美准尉「(う、この方は、。頭が痛い。この思いは。もしや真木さんの同期の方の。」
即座に亜美の許可を受けずに真木に伝える。
苦しそうに伝える奈美。
奈美准尉「、、、ローア1、真木さん。すぐにこの座標地点に。真木さんの戦友さんが危険な状態です。
え、、、要塞級が4体も、早く行ってください。」
いきなりあらわれたBETA群に絶望的な顔をして伝える。
亜美は黙認してそれを許可する。
真木少佐「何...戦友...恭子が!ありがとう、ローア1はコレより友軍救助に急行する!。」
真木の武御雷はすぐさま反転、急行した。
すぐに亜美は戦隊の配置を変える。
亜美戦隊長「(この移動では、機動戦重視の方が良さそうね。)シルバーフォックス1よりブラックキャット2、ゴースト1
ローア1、2について行きなさい。エイド1、2はブラックキャット1の指揮下に変更。
第五砲撃小隊はゴースト0の指示に従い、ローア1、2の進路上のBETAを砲撃で薙ぎ払え。」
と伝える。
ゴースト准尉「ゴースト1了解、ブラックキャット2行きましょう。時間が惜しい。
最大戦速で突っ込んでローア1、2の道を開きましょう。」
奈月中尉「ブラックキャット2了解!勿論!この為に私達はいるんだから!。」
奈美准尉「承知しました。ゴースト0より第五砲撃小隊、照準設定を遊撃分隊の前に設定。
砲撃支援にて進路を誘導します。この情報内容で、徐々にずらして砲撃支援をお願いします。
第五砲撃小隊長「了解、ゴースト0の指示に従う。」

ゴースト准尉「その通りです。ゴースト1吶喊します。どけええBETAども。道をこじ開ける。」
と57mmG3-SG1多目的突撃砲を3点バーストで撃ちながら背中の突撃砲を使いつつつ銃剣でどつきながら前進する。
また後ろからは奈美准尉指示する第五小隊の精密砲撃支援がローア1達、遊撃分隊の前に着弾しBETA群を粉砕して行く。
そして巧みに弾着地点をずらしながら目標移動ポイントへ誘導する。
ゴースト准尉「さすがだゴースト0。この砲撃での着弾で味方に被害は出ていない上に目標ポイントへ誘導するとは。
ローア1、2目標ポイントへは道は開かれた。行ってください。背後はブラックキャット2と必ず護ります。」
奈月中尉「ローア1!後ろは気にしないでください!。」
奈月も得意の機動戦でBETAを蹴散らしていく。
真木少佐「ありがとう...間に合わせてみせる!」
上月副官「ローア1!貴方の後ろは大丈夫です、恭子様の元へ行って下さい!」
上月もそう叫んだ。

真木少佐「上月...。」
上月副官「振り返る暇があれば直ぐに行け!親友を、同期の桜を、我らが戦友を...今度こそ...!。」
真木少佐「あぁ当たり前だ!頼むよ!」
こうして真木と上月は崇宰大尉が指揮する部隊の所まで行くことが出来たが、
すでに戦線は崩壊し、崇宰大尉の機体は、損壊し指揮下の部隊を撤退させていた。
真木少佐「恭子!無事か!返事をしやがれ!。」
そう叫びながら崇宰の周りにいるBETAを殲滅しながら言う。
崇宰大尉「、、、う。沙奈江か。まさか来てくれるとは。私はもう駄目だ。捨て置け。
皆は。唯依達は撤退出来たか。。」
真木少佐「っ!ふざけんな!アタシが来たんだ、絶対連れ帰ってやる!動けるか?。」
そんな事を言う崇宰に真木は切れながら答える。
その言葉を聞きながら恭子は少し前までは震えながら泣いていたが。
崇宰大尉「やはり、沙奈江の言葉を聞くと元気になる。貴様は、生きて戻れ。。」
とそこで機体からの通信は途切れる。
バイタルチェックもかなり怪しく反応はとぎれとぎれになる。
真木少佐「恭子、おい!まさか...。」
真木は直ぐ様、崇宰の機体の管制ユニットをこじ開けた。
乗っていた崇宰は重症、真木は直感で分かってしまった。
真木少佐「こ、コレじゃあ...いや、まだだ。死なせてたまるか!。」
そんな直感を押し殺して、自身の武御雷の補助シートに乗せて急発進した。
真木少佐「ローア1よりシルバーフォックス1へ!
要救助者を確保!医療班を、医療班の準備をしてくれ!
おい恭子!生きてるよな!もう少しの辛抱だから!気をしっかりしてくれ!。」
しかし、急発進の機動に体がついて行かず、恭子は気を失う。
亜美戦隊長「!!!、シルバーフォックス1了解。
ゴースト0、補給ポイントの医療班に至急重傷者衛士ありの連絡と手配を。」
奈美准尉「了解です。すぐに手配します。(やはりこれが変えられないことなのでしょうか。
いえ、絶対に助けてみます)。」
と泣きそうになりながら手配する。
なんとかBETAを蹴散らしながら奈月やゴーストがいる地点まで撤退するが、恭子は持ちそうにはない。
真木少佐「恭子!。」
真木は異変に気付き直ぐに崇宰を横にさせて、心臓マッサージをする。
真木少佐「恭子!アタシはまだ、なにも、何も話してない!
今までのこと、コレからのことだって!アタシの親友!アンタはこんな所で死んじゃあダメなんだ!」
彼女の直感が告げる。
手遅れだ、間に合わなかった、助からない...と。
真木少佐「...るさい、うるさい、うるさい!恭子は、助かる。助けてみせる!」
そこで目を覚ます恭子。晴れやかな表情であった。
崇宰大尉「、、、沙奈江私は貴様が嫌いだった。会った瞬間そう思った。
だが、お前と共に学び、修練し共に戦った日々は私にとってすごく羨ましくも新鮮な日々だった。
有難う。、、、私は部下を護れたのだろうか。唯依は、撤退出来たのか。。う、ぐはぁ。」
と吐血しながら真木に最期の力を振り絞って言う。
真木少佐「だったら生きて、生きて自分の目で見やがれ!
アタシも初めて会った時は高飛車な奴だとは思ったさ!でも、アンタ程の友は今後も出てこない!
だから、だから!。」
心臓マッサージをやめ、恭子を抱き上げる。
崇宰大尉「すま、ない。斯衛のみん、な、を頼む。」
恭子は満足そうに、真木に抱きかかえられ安らかな顔をして逝く。。。
愕然とするゴースト。
ゴースト准尉「!!!(助けられなかった。これが、、これがこの作戦の結果か。無念)
ローア1、もう残り推進剤も弾薬もすくない。すみやかに戦隊と合流して防衛地点に転進することを
具申致します。」
真木少佐「な、何言ってんだよ。恭子、助けが、助けが来たんだぞ?なぁおい...おい!何か言ってくれよお姫様!
頼む...頼むから...!。」
真木自身も分かっている筈の事態、だが、真木は親友の死を受け入れず、声を掛けていた。
真木少佐「お願いだ...目を覚ましてくれ...」
真木の目から涙が流れ落ちそうになり、表情も悲壮な顔になっていった。
真木は恭子の体を摩る。勿論何も反応はなく、恭子の体は冷たくなっていく。
そのころ戦隊がいる地点で亜美達は必死に防戦していた。
が、先行している真木達の地点には師団以上のBETA群が押し寄せている。
奈美には痛いほど崇宰大尉や真木の想いが聞こえていた。
奈美准尉「(、、、だめ。変えられない。でも真木さんを死なせるわけにはいかない)
ゴースト0より、遊撃分隊撤退してください。、、、お願いです。真木さん。
師団以上のBETAが押し寄せてきます。」
と弱弱しく泣きそうになりながら伝える。
真木は亜美の通信を、聞き涙を拭って恭子の遺体をゴーストに差し出した。
真木少佐「ゴースト1...崇宰恭子の遺体を持って先に撤退してくれ。
アタシは...殿をやる。」
瞳のハイライトがなくなっている様に見え、そして表情は、一言で言うなら酷いとしか言えなかった。
崇宰大尉の遺体を受け取るが、首を横に振り答える。
ゴースト准尉「、、、(ひどい表情だ。この方を失うわけにはいかない。)
上月副官殿も戻らせるのですか?ならば、自分も残ります。
奈月さん、崇宰大尉殿をお願いします。私はまだ暴れ足りない。殿をするならやはり2人でやるべきだ。
上月副官殿と奈月さんは崇宰大尉殿をちゃんと連れて帰って。」
真木の状態を察して言う。
奈月中尉「そ、そんな!なら私だって残ってBETAを殲滅するべきです。
その方がまだ全員の生存する可能性は上がります!。」
そんな事を言う中で、静かに聞いていた上月は真木を殴りつけた。
真木少佐「っ!何をするんだい上月!。」
上月副官「何をするのは貴方だ!此処で死ぬ気か!恭子様は貴方が此処で死んで欲しいと?
違う!生きて欲しい筈だ!
それなのに、貴方はまた私いや、中隊の皆んなの思いを無下にしたのと同じく、恭子様の思いを無下にするのか!。」
帰って来た上月の怒りの言葉、それはかつて足を無くしてヤケになっていた時の言葉と同じだった。
更に上月は真木に詰め寄る。
上月副官「撤退しましょう!今の貴方じゃマトモに戦闘なんかできない!
貴方の親友を、貴方の手で連れ帰ると言う大役をしてください!。」
ゴースト准尉「、、、そうですよ。くどいようですが、真木さんあなたは戦隊にとってお姉さんであり、母親なんですよ。
崇宰大尉殿もそんなこと望んでません。それにほら。」
上空を見上げると、数少なくなっていた砲弾を全てこちらに回して、第五砲撃小隊の砲撃が再開されている。
ゴースト准尉「戦隊長も奈美さんもあなたの為に必死になっている。
これ、力を使ってますよ。あなたはあの二人を廃人いやもしかしたら死なせたいのですか。
それでも狂い死したいのでありますか?」
と自分も死にたがってはいたがそう言う。
真木少佐「...撤退しよう。」
全てを押し殺して、真木はゴーストから崇宰の遺体を貰い、自身の機体へと戻る。
その姿は痛々しく、表情は無表情に徹し、奥歯を噛み締めていた。
今直ぐにでも涙を流したい、そのままBETA群に特攻したい、そんな考えを全て自身の心の奥底へ、
既に折れてる筈の心へしまった...最早仕舞い込めないだろうそこへ。
ゴーストは罪悪感に包まれていた。泣きたいだろうな。悔しくて心が折れているだろう。
でも、真木さんには生き残ってもらわなければ困る。戦隊の要であることは確かであった。
秘匿回線で上月副官と奈月中尉に通信をつなげる。
ゴースト准尉「、、、申し訳ありません。姉妹をだしに真木さんをしがらみに括り付けてしまいました。
いかようにも後で処分は受けます。
ですが、あの真木さんの表情は自分が味わった、京都防衛戦時の
部下を失った状況と同じと推測します。だから上月さんなら支えられるかと。
私が奈月さんや奈美さんに支えられたように。私が言えたぎりでではありませんが。。お願いいします。」
後退しながら伝える。
上月副官「...私と少佐は、大陸派遣時から戦友を失い続けてます。
その時から彼女を支えて来ましたが...今回のは、分からないです。下手を打てば、少佐は...。」
奈月中尉「真木さん、あの人は生きて欲しい、報われて欲しいよ。私に何ができるのかは分からないけど。」

ゴースト准尉「大丈夫です。上月さんだけではありません。奈月さんも私も支えます。
、、、ですが今回のこの件、姉妹にも影響がすでに作戦前から出ています。
亀裂が入らなければいいですが。その時は私は奈美さんの味方です。
これだけは変えられません。ですからそうならないようにしたいです。」
と奈美から聞いていたためことの顛末が姉妹と真木に亀裂が入って欲しいくない事を伝える。
上月副官「そうですね...一番はそこが問題です。」
こうして答えが出ないままに戦隊がいる地点まで撤退する。
亜美戦隊長「良く戻ってきてくれた。ローア1は先に崇宰大尉殿を連れて補給ポイント経由で後退してください。
上月副官も護衛をかねて戻ってください。
ここからは私が防衛戦の指揮を執ります。
ディフェンス1、2と第六警戒小隊を殿に後退を開始する。
速やかかに補給ポイントの工兵隊と合流し遅滞防衛戦を展開し、斯衛軍の撤退を支援する。」
と命令を伝える。
奈美准尉「(、、、真木さんが心を閉ざしてる。私にできる事が無い。どうすれば。)」
と心を痛める。限界に近かった。だが表情には出さずに戦域管制を行い、著しい戦闘の推移を確認し
情報を亜美に伝えていた。
真木少佐「...ローア1了解。」
上月副官「ローア2了解。少佐、行きましょう。」
真木少佐「言われなくても、分かってる...。」
上月副官「少佐、今回の件は...。」
上月がなんとか真木に言葉をかけようとするが、
真木少佐「上月。」
上月副官「はい。」
真木少佐「何も、何も言わないでくれ。聞きたくない。」
無感情にそれだけ言うと、真木の方から通信を切られた。
上月副官「それだけ、それだけ少佐は...。」
撤退して行く真木と上月を見ながら
姉妹は真木が心を閉ざして愕然としていることを知った。だが今は、いかに斯衛の撤退支援を行うか、
戦隊の隊員を無事に撤退させることが最重要であった。
亜美戦隊長「待たせた。工兵部隊。陣地構築はどうですか。」
ニヤッと不敵に笑い、丸芽が答える。
丸芽特務大尉「もちろん、完璧に陣地構築しましたよ。
対BETA地雷原に工兵用爆薬をしこたまと。陣地も頑強に粘れるようにしました。
斯衛部隊を逃がすまで持ちこたえてみますよ。」

畑中副官「防衛準備は完了です。大規模なBETA部隊の攻撃にも対応できます。
戦隊各機体は補給をすませてください。終わり次第整備兵や基地要員は退避させます。」

秋村特務少尉「、、、腕がなります。九州、西日本防衛戦の失敗の鉄は踏みませんよ。
帝国陸軍機械化工兵戦術機部隊ここにありを斯衛に見せつけますよ。」

君原少尉「きおってもしょうがないよ。やれることやってとっとと帰りましょう。」
とそれぞれ言う。

亜美戦隊長「感謝する。それでは戦隊主力部隊は弾薬と推進剤の補給。それまでは工兵部隊に任せる。
その後は工兵部隊を中心に護衛として第一中隊を中心に塹壕防衛戦を行う。
第二中隊は側面攻撃および、光線級が現れた場合は最優先目標として殲滅を優先する。」
と指示を出して補給を行い、防衛戦を行う。
かなりの数のBETAの攻撃をしのぎ、撃破していく戦隊。
途中何度となく、斯衛の部隊が撤退して行く。
かなりの味方を撤退させられたはずだ。
橘副官「戦隊長。そろそろ弾薬が尽きます。この辺りで。」

丸芽特務大尉「そうだな、対BETA地雷も看板だ。工兵用爆薬も残り少ない、ここで一気に使い
後退すべきだ。戦隊長。」
まだ前線で奮闘している斯衛の部隊がいる。だが、これ以上は、戦隊の皆を戦死させるわけにはいかない
と亜美は思い、撤退を決意する。
亜美戦隊長「拠点防衛をただいまを持って放棄する。工兵部隊を先頭に、第二中隊と第五砲撃小隊を先に。
後衛に第一中隊を、殿に戦隊本部小隊で撤退する。全機後退せよ。」
指示を出しつつ誰も残っていないか確認を行った。
こうして、戦隊は機体がボロボロになりながらも全員基地に帰ることが出来た。
機体から降りた姉妹は真木を探した。
真木がいたのは、基地から少し離れた野原。
崇宰の遺体を抱きしめながら膝から崩れ落ちる体制でいた。
真木少佐「...だからアタシがいないとダメなんだよ。何か言えよ恭子、頼むから...頼む...。」
ハイライトのない瞳でたわいのない話を崇宰の遺体に話し、帰って来ない彼女の言葉を待っていた。
真木少佐「アンタらしくもない、アンタならバカ真面目に答えるだろ?なぁ、黙ってないで何か言ってくれよ?
いつもみたいに貴様って、言ってくれよ...。」
その声を聴いた姉妹は真木の所に行く。奈月とゴーストも少し間を開けてついて行く。
姉妹はどう声をかければいいか悩んでいたが。。
奈美が真木を抱きしめて一緒に泣く。
亜美戦隊長「、、、真木さん離してあげましょう。埋葬してあげないと。
このままの姿では可哀そうです。」
と言う。
真木少佐「そんな筈ない!勝手に恭子を殺すな!
ただ、そう!ただ寝ているだけだ、そうなんだろ恭子!。」
分かっている筈なのに受け入れようとしない真木。
ここは鬼になるしかないか。
と亜美が真木をぶん殴り、崇宰大尉の亡骸を丁寧に受け取り、戦隊の基地で保存させるように連れて行く。
そんな真木に寄り添う奈美。いつものように真木が落ち込んだ時のように胸に抱きかかえて。
奈美准尉「泣いていいのですよ。真木さん。
(ああ、ごめんなさい。私は役立たずです。ここまで嫌な予感がしていながら何もできなかった。)」
と後悔している。
真木は亜美を追いかけるために奈美を押し退けようとするも、やめて奈美を引き摺りながら亜美の元へ追い縋り、
彼女の服を掴んだ。
真木少佐「やめてくれ...アタシの...アタシの、たった1人の親友なんだ...恭子を救えるなら、アタシの命なんて捧げて良い。
頼むから、アタシから恭子を...奪わないでくれよ...。」
真木の顔は最早いつもの顔は無く、悲しみの感情が溢れ、最早涙さえ出てなく、弱々しい懇願の声を出していた。
普段の真木さんなら絶対にしない行動に愕然とした。
亜美戦隊長「ダメです。今の真木さんは昔に戻ってます。
どうしてもと言うなら私を切り捨てて崇宰大尉殿を連れて行ってください。」
と真木を突き放し、背を向けて基地に戻る。
(、、、真木さんに切られるならそれでもいい。こんな、こんな思いは私だけが背負えばいい。たとえ嫌われても。)
と思いつつ真木の姿に愕然としつつ。
奈美は真木を止められず、戦闘で力を使いきっていたためそこでくずれて転倒して倒れる。
真木少佐「恭子...うぅ...あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!。」
真木は膝から崩れ、叫び、地面を叩く。
だが、亜美を追いかけ無かった。彼女自身も、分かってはいる。だがそれを受け入れるには、彼女の心はもう限界だった。
だが真木は涙が出なかった、最早涙も枯れてしまったのか...叫んだ後の真木はその場で蹲った。
少しの静寂の後、真木はゆっくりと立ち上がり森の方へと歩いていく。
上月副官「少佐!」
真木少佐「来るな。もう、もう、疲れた...。」
それだけ言うと、振り返らず歩いていく。
見かねて近くで心配していた奈月とゴーストが奈美に近づく。
ゴースト准尉「ああ、もう。真木さんが行ってしまう。
奈月さん、奈美さんをお願いします。自分は真木さんを追いかけます。」
奈月中尉「う、うん。分かった。こっちは任せて。」
時子は周りの様子や戦隊長が険しい顔をしているのを見て、
もしや真木さんに何かあったのかと、影縫少尉に解散を伝えて奈月の所に行った。
平家中尉「どうしたの?奈美准尉大丈夫?戦隊長が険しい顔をして基地内に戻っていたのだけど何かあったの?」
と聞く。

奈月中尉「真木さんが、森の方へ行ってしまったんです。ゴーストさんが追いかけて行きましたが...。」
顔を曇らせて答える時子。
平家中尉「そうなの。解ったわ。ボクも探してみる。弥栄中尉は早雲准尉を連れて行って。」
と伝えてゴースト達を追いかける。
走って追いかけた時子。
ゴーストが真木と言い合いをしている。
真木少佐「もう、良いだろゴースト。アタシじゃ結局何も変えられないんだ。アタシは疲れたんだ、楽になりたい。」
目どころか、表情までも死んでいる真木。
ゴースト准尉「、、、それを聞いたら姉妹は悲しみますよ。
何のために真木さんを生かしたのですか。死なせるためではないです。
それをしたら悲しみますよ。後を追うかもしれません。それでも
良いのですか?良いのであれば止めません。私も地獄に付き合います。」
と言い放つ。
真木少佐「...勝手にすれば良い。もうアタシはダメなんだ。疲れたんだ、もう嫌なんだよ。」
そんな事を言い放ち、その場を後にしようとする。
そんな真木をゴーストは肩に手をかけて静かに切れてぶん殴る。
ゴースト准尉「、、、元下士官としてのやり方をしました。あなたは斯衛部隊で指揮官ですよね。
これでいいのですか真木少佐殿。」
それを追い付いた平家も泣きながら言う。
平家中尉「それが、真木さんの今の本当にしたいことなのですか。
大陸で言ってくれたことは何だったのですか。ボクは、ボクは、あの時の真木さんの言葉で
救われた。だから生きています。だからだから。ゴースト准尉もやめて欲しいであります。」
真木少佐「大陸から戦ってきたからだ。多くの戦友を失って、今でも失い続けて、そして親友を...失、なっ、た...
それでも、それでもと、アタシはやってきた...でも、それももう限界なんだよ。
お願いだ、楽にさせてくれ。」
平家の言葉に反応するが、真木はそう言って、再び蹲る。
ゴースト准尉「、、、楽にさせてくれ?それは斯衛の上官殿に言うべきでしょう。
私たちがとやかく言うことではないです。」
と冷たく言う。
平家中尉「、、、それはできないです。BETAを殲滅させるか、我々が滅ぶまで続くでしょう。」
真木少佐「なら、放っておいてくれ。」
ゴーストの挑発を無視し、変わらず蹲る真木。
ゴーストは今は無理かと、
ゴースト准尉「、、、そうですか。自分が言いたいことはそれだけです。では。」
と敬礼してその場を去る。
平家中尉も真木の行動を寂しそうに見つめゴーストとともに行く。
平家中尉「、、、こんなの、真木さんじゃない。。。ボクは待ってますよ。」
と言い。
真木少佐「...待たなくても良い。」
それだけ呟き、真木は何も言わなかった。
ゴーストに追いつく時子。
平家中尉「、、、どうするの?ゴースト准尉。」
愕然としつつも答える。
ゴースト准尉「真木少佐殿には復活してもらわなければ困ります。これは戦隊の根底を揺るがす事態です。
気持ちは痛いほどわかるつもりですが。。戦隊長の所に行きましょう。相談します。」
二人は戦隊長の所に行く。
途中上月副官と会う。
上月副官「少佐は、やはりダメでしたか...。」
そうゴーストと時子に言った。
ゴースト准尉「、、、申し訳ありません、自分では真木さんを救ってあげることはできませんでした。
しかし、このままでは。戦隊長と相談しましょう。」
平家中尉「、、、真木少佐殿がこんなことになってしまっては。ボクにできること何か、何かないのか。」
二人共無念そうな表情をする。。
上月副官「2人のせいではないです。少佐は、自身の心よりも誰かの支えになろうと、
自身の負の感情を抑えてました。
彼女自身の心は脆いのに...いつかはこうなっていた筈です。それが今だっただけですよ。」
ゴースト准尉「、、、ですがこのままでは戦隊は崩壊するかもしれません。真木さんは戦隊の要、必ず復帰していただく。
とりあえずは戦隊長に状況報告と今後の相談をしましょう。で良いですね?上月副官殿。」
と戦隊長の執務室へ促す。
上月副官「異論はないよ、行こうか。」
3人は戦隊長室にに向かい、橘副官の入ってくださいと言われて入る。
??ゴーストは訝しがる、いつもならどんなに執務に追われててもにこやかに声をかけてくれる戦隊長。それが反応がない。
中に入ると亜美が執務机で両肘を机について手で顔を覆って考え込んでるように見える。
紫音が困った顔をこちらに向けてくる。
やはり、戦隊長もこたえているんだなと思うゴースト。
報告をする。
ゴースト准尉「真木少佐殿は今はだめかもしれません、いかがいたしましょうか。自分は、これ以上の説得は難しいかと。」
平家中尉「なんとか、なんとかならないでしょうか?」
とオロオロ狼狽するばかりであった。
上月副官「戦隊長、真木少佐について申し訳ありません。私も、彼女を支えるのには力不足のようです。」
(こんな、情けない顔見せられない。。)
顔を見せずに答える亜美。
亜美戦隊長「、、、仕方ないです。私にも奈美にもできなかった。でもこのままでは。
上月副官、崇宰大尉を南條中将を通して斯衛軍にお返します。
その時、真木さんを実家に帰らせます。
これは命令、しばらく無期限で謹慎をしてもらいます。、、、上月さんは真木さんのそばにいたいのでしたら、
一緒に斯衛に戻っていいのですよ。」
と目を合わせずに顔を隠した状態で言う。
平家中尉「で、ですが戦隊長それでは。」
驚く時子。
上月副官「いえ、戦隊の整備班は落合さんが纏めてはいますが、整備班にも事務方は必要です。
連絡係としての仕事もありますので、戦隊に残りますよ。」
亜美戦隊長「、、、こちらはなんとかします。今は真木さんをなんとかしないと。
その為なら構いません。そばにいて支えてあげられるのは貴方だと私は思います。
上月さんの心のうちはどう思っていますか。」
と心の中を探る。
上月副官「...私の心を探ろうとしないでください。
少なくとも、今は私が寄り添っても彼女は良くはならないです。貴方こそ少佐に寄り添うべきかと。」
亜美戦隊長「、、、申し訳ないです。私達姉妹ではもう無理ですよ。」
とみんなの前では弱音を吐くことはない亜美がそう言う。
正直、泣きたくなっていた。真木さんに嫌われたと。ここまでかと。
だがみんなの前ではそんな事は言えなく、またそんな表情を向けたくなかった。
ゴースト准尉「、、、戦隊長が諦めるのですか?貴方が諦めたら誰が真木さんを救えるのですか。
貴方が諦めたら奈美さんも心が折れますよ。このままでは全てが。指揮官がそれでは。
お願いです、少し時間を開けてからもう一度真木さんと話し合ってください。」
と頭を下げる。
それを見た平家中尉も同じ行動をする。
平家中尉「お願いします。」
上月副官「いえ、少佐は今がダメなだけです。彼女は貴方のことを嫌ってはいませんよ。
もしそうなら、彼女はもっと貴方を罵ったりする筈ですから。
少佐は、貴方でなければ救えないですよ。」
亜美は思った。
(、、、私に真木さんを引き止められるの?奈美が悲しんでる。いや、まだ未来は決まってない
3人の、皆の思いを無駄にできない。)
と、顔を上げる。
3人は決意したその顔をみる。
亜美戦隊長「解りました。真木さんを今一度救って見せます。」
と言う。
上月副官「戦隊長、いや早雲亜美さん。少佐を宜しくお願いします。」
亜美はその思いに応えるように話す。
亜美戦隊長「解りました。真木さんを助けたい。今までずうっと私達を見てくれたのです、やれることをやります。」
その後解散して、亜美は南條中将に連絡を取り、斯衛に繋いでもらうように手配する。
亜美戦隊長「と言うことです。できれば真木舞香中佐殿に来てもらうのが良いかと思いますがお願いできますか。」
その頃、真木はまだ演習場近くの森の方で絶望から目が死んだ状態で1人になっていた。
そこに武子が来る。いつものお茶らけた感じではなく静かに怒っているようだ。
西少佐「真木殿、いつまでその状態でいるのですか。」
真木少佐「...何の様だ?アタシを笑いにでも来たか?」
そう吐き捨て、西の顔を見ようとしない。
西少佐「、、、誰もそんなことしないでありますよ。
だが、今の貴方は、、、姉妹を地獄に突き落とすつもりですか。」
と静かに答える。
真木少佐「地獄か...此処が既にそうだろ?
少なくともアタシにはそうだ、結局アタシは何も出来ちゃいない。
衛士に復帰して、息巻いていたアタシは馬鹿だとしか思えないよ。」
そんな自虐的な発言をする。
首を振る武子。
西少佐「、、、生きていても地獄かもしれない。
だが、貴方は九州でBETAに喰われそうになった時何を思っていたのですか、
それを姉妹は、、奈美准尉はその思いに答えたいがために貴方を助けたはずだ。
そしてあなたは姉妹に寄り添い結果を出してきた。
戦友を助けられなかったのは、誠に遺憾ではあります。
それでもBETAを殲滅するまで我々の血みどろの戦いは続きます。
あがくしかない、それは貴方にもわかっているはずだ。
それとも皆で喰われて終わりにしますか。」
真木少佐「結果?ただアイツらや他の奴らが凄いだけだ。
...足掻いて来たさ、言われなくても...でも、アタシはもう疲れた。
もう、いいだろ...。」
西少佐「、、、そうですか戦隊の司令部、まして中核の将校がそれを言いますか。姉妹の害になるのであれば。。。
貴方はしかも斯衛の武人。
ならばここで自害するかBETAに喰われて終わりにするか選んでください。」
と冷たく言い放つ。
真木少佐「そうかよ、始末はつけるさ。」
そう言うと真木はゆっくり立ち上がり、フラフラと森の奥へ進んでいく。
武子は思った。あとは真木殿が自分で立ち直るしかしないと。
必ず戻ってくると思いその場を去る。
真木は1人、森の奥に入り。誰もいないことを確認して、不意に持っていた拳銃を頭に突きつけた。
真木少佐「これで、これで楽になれる...恭子、皆んな...。」
そう引き金を引く瞬間、恭子が死に際に言った言葉が頭をよぎる。
(斯衛のみ、ん、な、を頼む。)
響く銃声、だが真木に銃弾は貫かず、空を切り真木は地べたを舐める状態でいた。
真木少佐「はぁ、はぁ...どう、して、だよ...アタシは楽に、なりたい、のに...もう、良いだろ...。」
そう、また何度も自害しようとするも再び同じことが起こり、弾は尽きてしまった。
真木少佐「っ!あぁ!」
弾がなくなった拳銃を地面に叩きつけ、真木は叫ぶ。
真木少佐「どうして、どうして死なせてくれない!楽になりたいのに!どうして...」
そう思う真木の脳内には、戦隊の仲間達と、早雲姉妹の姿だった。そう、真木にとっての大事な物はまだあるのだ。
真木少佐「...そうか、アタシにはまだ残っているんだったっけ...でも...。」
そう言いながら真木は立ち上がり、変わらず足取りが重くフラフラしながら基地へ向かった。
その頃、病室のベットで目覚める奈美。
奈美准尉「、、、あ。私また。う。頭が痛い。真木さんが悲しんでる。。。私、何もできなかった。」
と悲しみに暮れる。
そばにいた奈月中尉と八島准尉とゴースト准尉。
困った顔をしつつ、ベットの奈美の目線に合わせて話すゴースト。
ゴースト准尉「まだですよ。奈美さんずうっと戦闘前からフォローしてたじゃないですか。
力を使ってまで。。ここからはそれはなしで、奈美さんのできることしましょうよ。」
と思いつつもさらに傷つけてしまうことを懸念していた。
洸騎はポロっとゴーストが言ってしまった力とは?と思ったが、奈月の顔を見て、これは言うべきではないなと
思いつつ奈美を気遣う。
八島准尉「そうですよ。ゴーストの言う通り。まだ決まったわけではありません。
まだこれからですよ。諦めたらそこで終わりです。ね、奈月さん。」
と奈月にも声をかける。
奈月中尉「うん、此処まで私たちを引っ張って来た真木さんが一抜けするのは許せないよ。
最後まで引っ張ってもらわないと。」
ゴースト准尉「、、、そうですね。指揮官としてこんな終わり方をしてほしくない。
だからさ。できることやっていこうよ。ね?奈美さんできることあるでしょう。
皆を、元気出してもらえること。それをやりましょうよ。でも無理しちゃ駄目ですよ。
私も手伝うからね。」
と元気づける。
ハッとする奈美。
奈美准尉「私にできること、、、します。今から仕込みしますね。」
とベットを出ようとする。
奈月中尉「奈美、貴方いや亜美姉さんと2人なら、真木さんを救えるよ。」
奈美准尉「有難うございます。奈月お姉ちゃん。では早速差し入れを整備班にしたいので
一緒にお願いできますか?」
と言う。
奈月中尉「勿論、手伝うよ!。」
嬉しそうに微笑んで、奈月の手を取り調理室へ向かう。許可を得て
真木達整備班の為に食堂にて仕込みを始める。
それを手伝うゴースト達。
そしてさらに場所は変わる。
戦隊長室にて亜美が南條中将に連絡を入れている。
亜美戦隊長「、、、以上が今回の作戦結果です。最後に。助けられなかった崇宰大尉殿を明日引き渡ししたいので
斯衛の方を申し訳ありませんが横浜基地に来ていただけませんか。
また、可能であれば真木舞香中佐殿もお願いします。
今の状態では真木さんを置いておけません。無期限の実家での待機を命じます。」
と伝える。
南條中将「...崇宰殿の件は了承した。だが真木少佐の件は、余りにも度が過ぎるな。
すぐにでも病院又は営倉入りだろう...普通はな。」
真木の件に関しては、南條は辛口だった。

亜美は困った顔をして言う。
亜美戦隊長「、、、叔父様。私だって両親が戦死した時は発狂しました。奈美のお陰で戻れたのです。
それに真木さんは私たちの希望です。甘いと思われますが、、私は復帰されると思います。
ですから、時間をください。今は休息の時です。斯衛の上層部がどう言うか解りませんが。
お願いします。」
と真木を庇うために頭を下げる。
南條中将「まぁ...な、今更彼女に抜けられても困るのは事実だ。
彼女以上の人材はいないのも事実だし、言っては悪いが私も真木沙奈江と言う一個人に、
亜美ちゃんのお願いもあって今まで相当入れ込んできた。
ああは言ったが、今更自ら手放す気は毛頭無い。
手は尽くそう。」
司令官として、上官としての返答ではなく叔父として答えてくれた南條に感謝しつつ答える。
亜美戦隊長「有難うございます。叔父様。私たちにできることはすべてします。
ですが、一度休息は必要かと。このままこの後は何事もなければいいですが、、」
と不安そうな顔になる。
南條中将「私も、彼女の経歴を見直したが凄いな。大陸から戦い続けているし、何よりあんな性格だ。
溜まっていた物が吹き出したらあぁなるな。」
亜美戦隊長「はい、だから。今は休息の時です。無理に何かをさせるよりも実家に帰らせて
謹慎をしてもらって自身を見つめなおしてほしいです。」
南條中将「そうだな...。」
こうして答えが出ないまま報告は終わり、手配をしていく亜美。
翌日、整備班達が戻ってきた戦隊の戦術機を徹夜で整備している。
整備兵は皆、黙々と作業をしているが、真木の状態を聞いて士気が下がっていた。
奈美はいつものようにお重箱を持って整備ハンガーを訪ねる。
そうするとどうも真木少佐と上月副官が言い争いをしてるように見えた。
周りの整備班達も止めていたが。。
上月副官「今、なんて言いました?」
真木少佐「ねなかった...死ねなかった...。
アタシは自力で死ぬ事もできやしない、臆病者だ...。」
そんな表情が死んだ顔と、正気のない目で上月を見る真木。
上月副官「まだ、まだそんな事を言うんですか!
そう嘆いたって、恭子様は帰って来ないんですよ!
今までだって、貴方は苦しくても受け入れてきたじゃ...」
真木少佐「だからだよっ!
だから!もう!もう...アタシは無理なんだよ...
でも、自力で死ぬ事さえ出来なかった...どうすりゃ良いんだ...。」
真木さ、と言いかけて、固まる奈美。
その様子を見てゴーストと奈月は真木達の状況を確認する。
ゴースト准尉「(、、、奈月さんこれ、真木さんこのままだと厳しいかもしれない。どうするべきか。。。)」
と小声で伝える。
いつもの戦隊の支えになっていた彼女の姿はなく、全てに絶望しながらも、
自害さえ出来ず、最早自分と言うのが分からなくなっている真木の姿だった。
奈月中尉「(殴っても、逆効果だよ。でも優しくしても落ち着くとは思うけど立ち直るかは...)」
ゴースト准尉「(もう、一度殴ってる。これ以上は。。。)
二人とも途方に暮れていた。
上月副官「貴方は大陸から戦ってきた!戦友達の死を見ながら、そして貴方はそんな戦友達の思いを背負っているんです!
貴方が死んだら、誰が背負うんですか!先に行った戦友達は、捧げた命の行方を知りたいはずです。
そんな使命を、呪いを、姉妹に背負わせるんですか?。」
真木少佐「っ!...ひ、卑怯だ...そうやっていつまでアタシを縛れば良いんだよ...。」
その上月副官の言葉と真木の言葉と心の中の声が聞こえて、奈美は絶望し、重箱を床に落とした。
奈美准尉「、、、真木さ、ん。(私は、私は真木さんを生かして苦しめてしまったの。)、ああ、ああーーー(泣。」
大泣きしてその場から去っていく。
ゴーストはプチっと切れて奈月に言う。
ゴースト准尉「(奈月さん、奈美さんを頼みます。俺は真木さんを再度ぶん殴る。頭にきた。)」
と言って静かに真木の前に行く。
奈月中尉「ゴ、ゴーストさん!な、奈美待って!。」
どちらを追いかけるか悩み、奈美を追いかける奈月。
ゴースト准尉「、、、縛る?呪いなら人類全体にすでにかかってますよ。
あの優しい奈美さんをここまで追い込ませて何を言ってるのですか?。」
と腑抜けた真木をフルボッコにしようと両手で殴りかけようとしたその時であった。
亜美戦隊長「ゴースト准尉、そこまで。斯衛の真木舞香中佐殿が来られています。
先ほど崇宰大尉殿は我が戦隊の儀仗隊に見送られ斯衛に引き渡しました。
そして、真木少佐貴方は実家にて無期限の謹慎を言い渡します。
真木中佐殿後はお願いします。」
亜美の言葉でハッとしたゴーストは寸での所で止めて
舞香中佐に敬礼する。
舞香中佐「ご苦労様です。ゴースト准尉、腑抜けた沙奈江をボコボコにしたい気持ちは察しますが、抑えて下さい。」
そして舞香は沙奈江を見る。
舞香中佐「話は聞いてますよ沙奈江。腑抜けましたね。」
真木少佐「腑抜けた?アタシは最初からこれだよ...ただこうやって曝け出してなかっただけださ...。」
舞香中佐「縛られているのは、誰だってそうよ。親友や家族を失った衛士だっている。
気持ちは分かるけど、受け入れなさい。」
真木少佐「分かってるよ!分かってるさ!でも...アタシは...。」
舞香中佐「確かに重症ね。沙奈江少佐は此方が引き取ります。ここまで面倒を見てくれてありがとう。」
ゴースト准尉「、、、申し訳ありませんでした。真木中佐殿にお任せします。」
怒りに任せて行動したことに恥じつつ、謝るゴースト。
亜美は舞香の手を両手で握りしめて直接伝える。
亜美戦隊長「(、、、真木さんをお願いいたします。私たち姉妹はいつまでも待っています。
必ず戻ってくると信じています。)」
舞香は亜美の手を握り返して、想いを伝え返す。
舞香中佐「(ええ、でも沙奈江を救うのは貴方達の役目だと思うわ。暫くは面倒をみるから任せてね。
ちゃんと迎えに来るのよ?)」
亜美はその思いに答える。
亜美戦隊長「(はい、こんなことになってしまいましたが、奈美も必ず戻ってきます。
二人で迎えに行きます、それまでお願いいたします)」
と答えて敬礼してあとは上月副官達に任せると整備ハンガーから出ていく。
亜美戦隊長「(、、、奈美も苦しんでいいる、奈月が癒してくれてばいいが
駄目なら私も動かなければ)。」
とゴーストが慌てて奈美を追いかけていくのを横目で見ながら戻る。
真木は舞香中佐に連れられて実家に戻っていった。
その頃、奈美は泣きながら走っていたが、疲れきって誰もいない所で口を手で閉じで
静かに泣いていた。絶望していた。私は何のために作られて、こんなことをしてしまったのかと。
そうしていると、髪の色が変わっていた。ロシア人のような白い色に。
追いついた奈月はそれを見て困惑する。
奈月中尉「奈美...何その髪色。いつ染めたの?。」
あ、と気が付いて悲しみに暮れて顔を隠す。
奈美准尉「、、、み、見ないでください。私は、私たちは日本人では無いのです。
ソ連で造られて、元々この色だったんです。両親が知り合いの技術者に頼んで
ロシア人としては見えないように今の色にしてくれたのです。
元に戻ったのは、初めて。ごめんなさい。私たちここにいられない。」
と奈月に嫌われたと思い、頭を隠すように通路の奥に隠れようとする。
奈月中尉「待って!そう勝手に思い込みしないでよ!。」
そう言って奈美を抱きしめる奈月。
奈月中尉「私がいつ嫌いなんて言ったの?そう思ったの?心を読めるなら、分かるよね?。」
奈月の暖かい思いが流れ込んでくる。
奈美准尉「ごめんなさい。ごめんなさい。奈月お姉ちゃんの思いが解りました。
でも、でも私、私。皆を不幸にしたのでは、、、だから、真木さんが、
何も変えれなかった。私ここにいて良いのですか。」
と抱きしめられてぎゅっと奈月を抱きしめ返して言う。
奈月中尉「本来なら、何も変えられないのが当たり前なんだよ。
でも奈美がいたからこそ変えられて、救えた命がある。自分で決めて良いんだよ?。」
奈美は涙で濡れた顔で答える。
奈美准尉「、、、いいのですか?私、このままで。自分で決めて。
救えているのでしょうか。私は皆さんのお役に立ててるのでしょうか。」
そこに遅れてきたゴーストも声をかける。
ゴースト准尉「悪いことなんてない、奈美さんの優しさが皆を救っているよ。
ですよね。奈月さんもそうですよね、、って奈美さんの髪の色が。」
と慌てる。
奈月中尉「勿論!。」
二人の言葉に泣き笑いの表情になる。
奈美准尉「有難うございます。嬉しいです。私これからもできることします。
真木さんを救いたい。わ、ゴーストさん?。」
奈美の頭に上着をかぶせて言う。
ゴースト准尉「、、、とその前にまずその髪どうにかしないと。。
とりあえずこっそり、司軍医長にですかね。。このままだとスパイ扱いされそう。」
と二人に言う。
奈月中尉「そうだね。素早く行こう。」
二人は奈美の姿を隠しながら、司軍医長の所へ連れていく。
こうして真木は戦隊を去り、戦隊は暗い雰囲気となるが、姉妹達皆は戻ってくると信じて
進んでいくのであった。
END















