奈美が初めて戦術機に乗る話(真木編)

 

※奈美が初めて戦術機に乗る話(奈美編)の同時期の真木さん視点です。

京都防衛戦後、ゴーストが正式に戦隊の衛士として復帰する頃に戻る。
甲本大尉が戦隊に合流し戦力も増えてきた頃であった。

唐突に戦隊長より第六警戒小隊の件で戦隊長室へ呼ばれる。
警戒型不知火も納入され、メインパイロットのゴースト准尉も傷が癒え復帰する。
それにバックアップ担当の奈美准尉も着任した。何かあったかなと思いつつも整備兵達に
指示を出しつつ戦隊長室へ向かい話を聞いた。


その帰り道、整備ハンガーへ戻りつついろいろ思案していた。
姉妹には色々出会ってから何か隠しているというか、私を前から知っていた?
そして何かを隠していると考えていた。

真木班長「戦隊長は何故そこまでして奈美准尉を前線に出したいんだ?確かに彼女の才能は非凡だが、
まだまだ前線に出るのは無茶が過ぎる...これも姉妹の隠し事に繋がっているって訳か...?」
そうブツブツと話しながらハンガーへ向かう真木。



そう呟きながら、何故か医務室に寄り道をしていた。
真木班長「アイツに聞いてもしゃあないかもだが、1人で悩むよりはマシか...失礼するよ!ヤブ医者はいるかい?」
そう言って医務室の扉を開ける。

診察室で女性隊員の診察をしている明日香。
司軍医長「はーい。ちゃんとこの薬飲んでね。あ、お酒は夜一緒に飲みましょう。ちゃんと来るんだよ~。」
困惑しながら女性隊員は頭に??が付きつつ着替えて真木に敬礼をして出ていく。



司軍医長「おー、沙奈江~。ちょうど診察終わったから呑もうよw。」
と一升瓶を取り出してすでに吞みだしている。


真木班長「アンタみたいに勤務中に飲酒はしないよ。一つ聞きたいんだが、アンタから見て早雲姉妹はどう写ってる?」
呆れながらも本題を話した。

ガーンみたいな傷ついた顔をして一口飲んでうーんと一瞬困った表情を浮かべて答える。
司軍医長「、、、医者として言えるのは何か違和感がある。色々カルテを見たけど、、
何か解らないけど違和感が。なにかが解らないけど私の結論はあの姉妹にはあるよ。
何か悪い事してるとかそんなんじゃないけど。二人ともほんと優しいしね。皆の為に動いてるし。」
と答える。

真木班長「皆の為に動いていて優しいのは分かってるさ。問題は隠し事が多いと言う印象が強いのさ...。
このまま隠し事がある状態だと、真に戦隊として上手くいくのか、なんて言う思いがアタシにはあるんだ。
まぁ、人には言えない隠し事は一つや二つあるのも分かってはいるんだけどね...。」

うーんと考え込みながら、さらに一口呑む。
司軍医長「ぷはぁ。うーん。まあそこはどうなんだろうね。
それなりに戦隊の指揮はちゃんとやってるみたいだけど。
あ、凜ちゃんとかゴーストちゃん辺りなんか知ってるんじゃない。よく奈美ちゃんと居るし。
何か?から護ってるように見えるけど。。。
まあ、一番姉妹と付き合い長い橘っちなら何かしら知ってるんじゃない。」

真木班長「だとしたら話さないだろうさ。なんせ隠し事だしな。」

明日香はうーんと考え込む。
司軍医長「だよね~。うーん、じゃあ奈美ちゃんに呑ませて押し倒して色々聞いたら。
それが一番早そうwまあ周りがぜったい止めると思うけど。」
と冗談を言うが、そのあと
司軍医長「二人とちゃんと話した方がいいんじゃない。沙奈江がそう思うなら。。
それとも機密とか知りたいなら、、、南條のおっさん中将に直談判するとか。それしかないと思うよ。」
と真面目に答える。

真木班長「そうだな...ありがとう。後はアタシ自身でなんとかしてみるさ。飲み過ぎるなよ?」
そう言って、真木は医務室を後にした。

司軍医長「あーい。まあ根を詰め過ぎないようにね~。うん、大丈夫~。」
と手をひらひらさせて真木を見送りつつまた酒を呑む。

真木班長「さて、とりあえずハンガーに戻るか。」
そう歩き出し、ハンガーに戻ると丁度凜が自身の機体を見上げているのを見つけた。


真木班長「甲本か、何か機体に不具合でもあったか?それとも要望かい?」
そう話しかける。

凜が振り向き敬礼する。
甲本大尉「真木班長。いえ、不具合はありません。稼働率が高くて助かります。
出来ればもうちょっと機動力上げていただけると助かります。
まあ、一緒に組む第二中隊の副官である小隊員の衛士次第ですけどね。」
と答える。



真木班長「機動力か、分かったよ。なぁ甲本、アンタから見て早雲姉妹はどう映ってるんだい?」

真木に聞かれて答える凜。
甲本大尉「早雲姉妹?そうですね。信頼にたる戦友ですかね。妹の奈美准尉は守ってあげたい
感じがすごくする子ですけど。」
と真木の意図はどこにあるのか少し戸惑い答える。

真木班長「姉妹は何か隠し事が多い様に見えるんだ。それが悪い訳じゃないが...。

このまま隠し事があるままでいいのかと言う、
まぁアタシのお節介なのか、はたまたただ隠し事を知りたいと思っているのか...。」

凜はまあ、カンの鋭い真木ならうすうす感ずいているとは思っていたので小声で。
甲本大尉「、、、下手なお節介なら撤退すべきですよ。私から言えることはそれだけです。
あとは本人達とよく話し合った方がいいです。真木班長次第ですけど。」
と言う。

真木班長「撤退ね...こうやって関わっている時点で既に撤退と言う二文字はあってない様な物だろ?
その口振りだと知ってる訳だな?」
真木も小声で返した。

真木の決意を聞いて首を振る。
甲本大尉「、、、申し訳ありません。私からはこれ以上言えません。
ですから首を突っ込むならちゃんと早雲姉妹と話し合ってください。」

真木班長「アイツらがそう簡単に話してはくれないと思えないけどね...。
分かった、別の奴らにも聞いてみるさ。ありがとよ。」
そう言って、整備班の元へ向かう。

凜は敬礼して整備ハンガーより移動していった。

日も傾いて来た頃、休憩の為喫煙所であるハンガー横でタバコを吸っている最中に紫音がこちらに来た。

真木班長「橘か、珍しいねアンタが来るなんて。一旦どうしたんだい?」

敬礼して答える紫音。
橘副官「いえ、戦術機部隊の副官として整備班との調整をしにまいりました。
明日の件ですよ。警戒型不知火の機体等の確認と第六警戒小隊結成式の調整がありましたからね。。
これが戦隊長からのオーダーです。」
と明日の奈美の初の搭乗に備えて準備内容のリストを渡す。

リストを一通り読んだ後、紫音に話す。
真木班長「マジで乗るんだな...アタシとしてはあのまま載せるのには不安でしかないんだけどね...。
確か、姉妹と親しいんだったな?アンタから見て、どう写ってるんだい?」

まっすぐに真木を見て答える。
橘副官「、、、私にとって戦隊長は、亜美は私の全てですよ。信頼に値する女性です。
妹の奈美准尉は言わずも真木さんが一番知っているかと。
彼女ならやりとげますよ。何があっても。確かに前途多難ですけどね。」
と答える。



そして目を細めて眼鏡を外し小声で真木の意図を考えてさらに伝える。
橘副官「真木大尉殿、貴官は何をしようとしてますか。
その内容によっては自分は貴方の敵になるかもしれません。
ですが、亜美の、奈美ちゃんの悲しむ顔は見たくない。
そうならないと思っていますが、、、姉妹は貴方を慕っています。
そしてその想いから、いえ自分が言ってはいけない事です。
では明日の件、特に奈美准尉を宜しくお願い致します。」
と一瞬苦しそうな表情を浮かべてすぐに眼鏡を付けて、敬礼して戦隊長室へ戻る。

真木班長「...なら何故、隠し事をするんだい?思いは言葉にしなきゃ伝わらないよ。」
そう思い、またタバコを吸い始める真木。

ゴーストが明日の演習の為に機体のセッティングに行く。
ゴースト准尉「明日の演習で自分が使う撃震の機体はどちらでしょうか。セッティングお願いします。
必要があれば警戒型不知火のもお願いします」
と整備兵達に頭を下げて依頼する。



それを真木は遠目から見つめて呟く。
真木班長「アイツも、知っているんだろうな...。」

ふと視線を感じて振り向くゴースト。
その先には、、、真木班長が複雑な顔をしている、気がした。。
整備兵と話して、機体に乗りながら対応してる。
終わったら話しかけてみるかと思いつつ。

真木班長「さて...どう話したら良いかね。」

そう言って吸い終わったタバコを灰皿に入れ、また当たらしく吸い始める。

整備兵と二人で撃震の管制ユニット内で設定を行っている。
ゴースト准尉「以前の情報をそのまま入れてくれればよいかと。直前の京都防衛戦時のパーソナル情報ありますよね。」
整備兵A「ああ、それで行けるはずだ。機動振りでいいか。」
ゴースト准尉「宜しくお願い致します。」
と設定を行っていた。

その時、別の整備兵が管制ユニットに入って来た。
整備兵B「おい、こっちに手を貸してくれ。」
整備兵A「え?じゃあここは誰がやるんだ?」

直後に真木も入って来て、答える。
真木班長「アタシがやろう。アンタはそっちに手伝いに行きな。」

整備兵A「あ、姉御!了解です!」
整備兵B「すみません姉御、無理言ってしまって。」
どうやらどうしても来て欲しかった用事がある様で、真木が助け舟をだしたのだった。

ゴースト准尉「真木さん自ら。恐縮であります。
、、、何か聞きたいことあるのではないですか。」
と先ほどの視線を感じていたのでゴーストから話す。

真木は設定しながら喋る。
真木班長「聞いて、答えてくれるのかい?」

う、と藪蛇な事を言ってしまったと思いつつも答える。
ゴースト准尉「、、、内容によりますが。ただ真木さんが何をしたいのか、
そしてその内容が危険が伴うものでなければ。。」
と渋い顔をして答える。
(真木さんには嘘はつきたくない。必要な嘘なら仕方ないが。。だが)

真木班長「姉妹の事だよ。アタシに対して隠し事あるだろ?何故隠してるんだい?」

どう答えようか迷いつつも
ゴースト准尉「、、、それは戦隊長殿も早雲准尉も真木さんの事を大切に思っているからです。」
と小さな声で答える。

真木班長「大切にね。ならアタシにも話すべきなんじゃないか?
アタシだって姉妹の事は大切だよ。アタシは知ってはいけないのかい?」

ゴースト准尉「、、、真木さんを危険に晒してしまうのが嫌だから。
これ以上変えてしまった事で真木さんを、、苦しめたくないから。
だから、、。」
とこれ以上どうしようかとどういえばいいのか解らず、言葉に詰まる。

真木班長「アタシだけ知らない方が苦しいよ。
アタシも姉妹の事を思ってるし、今まで色々背負い込んで来た。

アイツらを見て、アタシはアイツらの重荷も背負い込みたいんだ。
凄く重い物を持っている事は側から見て感じるんだよ。」

ゴースト准尉「、、、解ってます。真木さんはそう言うに決まってる。優しいから。
でも真木さんの個人の武の強さでなんとでもなるわけでも無いのです。だから。
重荷で真木さんを追い込んでしまうのが、、、自分からはこれ以上言えません。」
と口を閉ざす。

真木班長「言ってくれないのは分かっていたさ。はいよ、出来た。アタシは失礼する。」
そう言って管制ユニットから出ていく真木。

脱力したように、どさっと背もたれにもたれるゴースト。
ゴースト准尉「(失望させたよなあ。これ。でも、、、後は真木さんが直接腹を割って話すしかないと思う。」
と出て行った真木に目を向ける。

その後陽が落ち、終業したハンガーを閉めてながら悩んでいた。
真木班長「どうすりゃ良いんだ...」

その悩んだ真木を見ていた武子がそばによる。
西大尉「、、、問い詰めてみればいいんじゃないですか真木殿。」
とあっけらかんと言う。



真木班長「西か...なんだって急に。」

左目が無い眼帯をかけていない残った右目を細めて言う。
西大尉「、、、真木殿嗅ぎまわっているの解ってますよ。」
と答える。

真木班長「そうだな。それがどうしたんだ?アタシを戦隊から叩き出すか?」

西大尉「そんな事しませんよ。亜美が惚れ込んで引き抜いた方を。
あ、奈美ちゃんを私が癒してあげて西家の子にするのもありかな。
そうすれば政治的にも。」
とニヤソな顔つきになる。



真木班長「冗談は良い、一つだけ聞かせてくれ。
アンタは姉妹の秘密を知っているんだな?」

やっと聞く気になったと思い答える。
西大尉「知らない事になっている。でないと亜美の戦友で居られないのと、奈美ちゃんを護ってやれないから。」
とある意味肯定して言う。

真木班長「そうかい...なら、やはり直接か...。」

武子がニッコリ笑う。
西大尉「それでいいと思うでありますよ。。皆、真木殿と姉妹の間で揺れ動いてる。
教えてあげたいけど、、政治的にそして真木殿の斯衛の立場があるのを
解って言えないのでありますよ。そこを解ってあげて欲しいでありますよ。」
と答える。

真木班長「そうかい...アタシは、知るべきだと思ってる。アタシの感がそう言ってるんだ、
知らないと後悔するって。ありがとよ西。」
真木はそう言うと、戦隊長室を見据えた。

西大尉「、、、そうでありますな。知るべきでありますな。
まあ、けんか腰でなくゆっくり聞いてあげていただけると。
奈美ちゃんからまずは聞いてあげれば、話しやすいのでは。」
と真木に手をヒラヒラさせて整備ハンガーを出て行くのであった。

真木は決意して、姉妹に話を聞こうと思うのであった。

だか、その前に事件は起こる。

→第零独立強襲戦隊興亡記~外伝1998年:とある日の第六警戒小隊の訓練風景(狙われた奈美さん)編へ続く。

END


翌日結局早雲戦隊長と奈美准尉の訓練用衛士強化服を撮ってお小遣い稼ぎしていた
斯衛軍出身派の整備兵は真木に怒られて整備ハンガーで縛りあげられていたw
(西少佐はお小言言って没収しただけだなのでご注進はしてないそうですw)

 

陸軍出身派整備兵A「(www。いいざまだ。そんなことしてるから真木大尉殿に見つかって縛りあげられるんだよ。

もうちょっとお小遣い稼ぎはハゼの干物作成とかな、内々ですむ問題でやらないと。)」

とクスクスわらっていたとかなんとか。

砂原整備兵「なぁにそこでヒソヒソしてるんだコラ。」
隠れてコソコソしている陸軍派閥の整備兵に肩を組んだ砂原。後ろから菊間も来ていた。

砂原整備兵「知ってんだぞ、アンタらだって奈美ちゃんの恥ずかしい写真を撮ったんだってことをよ。
ホレ、姉御にチクらない代わりに寄越せ。」
菊間整備兵「砂原、そう喧嘩腰にならないで下さい。同じ整備班で揉め事は今後の機体整備に影響が出ますよ?」

陸軍出身派整備兵B「ぐ(バレていたか)そこはじゃあこれで(ハゼの干物を何枚か新聞紙でくるんだものを)
どうだ、今後とも仲良くやっていこうぜ。」
陸軍出身派整備兵A「解ったよ。こちらも回そう(姉妹の訓練用衛士強化服の写真を渡す。)

 

で?お二人はどっちが好きなんだよw。」
と茶化す。

砂原整備兵「...へぇ。どうしようかな。」
などと言っていると、今度は菊間が陸軍出身派整備兵の胸倉を掴む。

菊間整備兵「ふむ、なるほど...それで我々を買収すると?そうですね、あの人が見てなければ考えたんですが...。」
そう後ろを向くと真木が仁王立ちしていた。

真木班長「アンタら...どうやら全員仕置きが必要みたいだね。」

菊間整備兵「そのようで、とりあえず仲良くハンガーに宙吊りでどうでしょうか?」

真木班長「おやっさんの仕置きまで継承はしたくなかったんだけどね...菊間、やるよ。」

菊間整備兵「了解です姉御。」

砂原整備兵「ってちょっと待て!俺も吊るされるのか!」

菊間整備兵「そりゃ頷き掛けたんですから同罪ですよ。大人しく宙吊りになって下さい。」

砂原整備兵「ふざけんな!姉御!助けて!」

真木班長「知ってんだぞ、アンタが奈美の強化装備姿を舐めるように見ていたのは...。」

砂原整備兵「チクショウ、あれで見るなってのが無理な話ですよ!」

陸軍派閥の二人は愕然として言う。
陸軍出身派整備兵A、B 「あー、整備班長殿(ガクガクブルブル)お慈悲を。。
そうだそうだ。整備ハンガーで見えるところでやるのが行けないんだ(◎_◎;)
それに整備兵はひもじい思いしてるからせっかく予算を増やしてるのに(シクシク)。
宙吊りだけはご勘弁を(;^ω^)」

真木班長「言ったはずだ。見せ物じゃないと、なのにアンタ...貴様らはアタシの言う事を聞かなかった...。
それ以上に、誰が予算を増やせと言った!勝手なことばかりしやがって!問答無用だ!貴様らを見せ物にしてやる!」

そう言って、砂原を含めた3人は宙吊りにされた。
こうして整備班の宙吊りお仕置きは斯衛から伝統で戦隊に引き継がれたとかなんとかw

と、それを横目に陸軍に所属してる2名の整備兵が戦術機の横で隠れて話していた。
??「やはり何かあの姉妹はあるな、仕掛けてみるか。」
??「そうしよう、バレないように。ばれたら一度撤収してまた変わりが来るさ。」

奈美が初めて戦術機に乗る話(奈美編)

 

帝都京都防衛戦後、ゴーストが正式に戦隊の衛士として復帰する頃に戻る。
甲本大尉が戦隊に合流し戦力も増えてきた頃であった。

第六警戒小隊編成の為、
警戒型不知火も納入され整備班が初期設定を行っていた。
亜美が戦隊長室で書類をにら睨めっこしていた時にふと
亜美戦隊長「?あーーーー、忘れてた。奈美もしかして、、」



珍しく慌てる亜美を見て紫音が話しかける。
橘副官「?どうされました。亜美。奈美ちゃんがどうしました。」



亜美戦隊長「、、、今更なんだけど、奈美って中国地方戦線防衛戦から京都防衛戦時まで
確か急遽衛生兵とか後方勤務で確か臨時で急遽従事してたはず。
と言う事は、、戦術機に搭乗する訓練受けられなかったのでは。。。」

橘副官「あ、、、さすがに基礎、初期訓練は終わっていたと思ってましたが、
今人事データベースの記録を見ましたが、、そのあたりの訓練を行うあたりから招集がかかって、
これはできていませんね。」

亜美戦隊長 「参ったわね、そこを考慮して無かったわ。、、、とりあえず真木さんと
西に相談するから呼んで。」

橘副官「承知しました。」
と二人を戦隊長室に呼ぶ。

真木と西が呼ばれて戦隊長室に来る。

西大尉「どうした亜美。来たぞ。珍しいな慌てた感じがしてたけど?」



真木班長「確かに、隊長業務で相談したい事でもあるのか?」



今更ながらの事に、申し訳なさそうに言う。
亜美戦隊長「第六警戒小隊の人員の件です。警戒型不知火も納入されましたし
ゴースト准尉も負傷から復帰できる状態だったのですが、、
今更なことが発覚しました。」

武子が怪訝な顔をして言う。
西大尉「?特に問題なさそうだけど、ゴースト准尉復帰するなら
奈美ちゃんと組ませてすぐに小隊結成できるじゃん。どうしたの?」

真木班長「今更な事?奈美准尉が戦術機に乗った事がないとかか?
そんな馬鹿な事はないか...この戦時下で、適正あるやつは軒並み乗ってる筈だしな。」

亜美戦隊長「、、、真木さんの言う通りです。
実は訓練任務はスケジュールに組まれていたのですが、BETAの侵攻が早く、
看護兵として臨時に後方での任務についていたのでその時間がなかったようです。
今更まさかと思い、人事データベースを見たらそんなことになってまして。
言っても始まらないので、訓練させるしかないと思いまして。」

武子がそれに飛びつく
西大尉「はい、はい。私が訓練教官やるよ。ちゃんと優しく教えるから。 」
とニヤソな顔つきになり何かくだらないことを考えているように見える。



亜美戦隊長「あのな、西。。考えてること解るわよ。。」
あきれたように答える。

真木班長「おいおい...そんな状態じゃあ戦術機整備を預かる者としても、
元衛士としても容認出来ないね。訓練させるとして、どうするんだい?」

西大尉「もちろん手取り足取り教えるよ。(じゅるり)
、、、ただなあ、奈美ちゃん体力無いからほんと苦労すると思うよ。
しかも基礎訓練すらやれてないんじゃないかな。京都帝都防衛戦まで激戦続きだったから。」
とちゃんと奈美の事を思い、少し真面目に後半は答える。

亜美戦隊長「、、、座学も必要ですね。まあそのあたりは飲み込みが早いから大丈夫だとして、
実地訓練が短期で行けるのか。」
と思案している。

真木班長「座学もか...そんで其処のロリコン変態が講師を志願しているけど、そのままやらせるのかい?」
西の反応に嫌そうな顔をしながら話す。

亜美は少し思案顔になり。
亜美戦隊長「まだ戦隊はそこまで出来上がってないので訓練が主な任務状態ですね。
皆手すきではありますから何とかお願いして協力してもらうようにするとして、、、
座学は西と甲本大尉にお願いして、実機訓練は真木さんお願いできますか。


多少手荒でも構いません。搭乗できなければ、、、南條中将に預けるしかなくなります。
まあ、、その方がいいのかもしれませんが。」
と少し暗い顔をする。

武子が亜美を気にかけて言う。
西大尉「大丈夫だよ。手元に置いておきたいのは解る。そしてそれは家族だからだけではなく
奈美ちゃんの能力も必要だと言うことも。あの電子戦術オペレーターのスキルはすごいよ。
間違いない、戦隊での必須な人員だと思う。ちゃんと協力するよ。」
と真面目に答える。

真木班長「了解した。斯衛仕込みのスパルタで行かせてもらうよ。」

亜美戦隊長「そうですね。構いません。しごいてやってください。
それでねをあげるのであればどだい無理ですから。」

こうして午後から急遽奈美の即席での戦術機に乗る訓練を始めた。
まずは座学から。

基礎や戦術機の機能等は抜群に覚えが良く、講師の凜も驚くほどであった。
甲本大尉「、、、よく知ってるわね。私がこのころは覚えることが精一杯だったのに。
(この子、こんなに覚えが早いうえに、知識が豊富。戦術機議論にも参加できて、
しかも作戦発案もできる。むしろ座学は必要ないのでは。)」



奈美准尉「恐縮です。基礎や応用理論は電子戦術オペレーターの教育で覚えてきました。」
と嬉しそうに謙虚に優しく微笑む。



だが、、肝心の衛士強化服の事や知らない事もあった。

甲本大尉「衛士強化服はドレーンユニットを股間にがっちりはめ込む。
これで長期間の作戦にも対応できる。だがこれの影響で。。
毛を剃らないと。。大変なことになるよ。」

驚く奈美。
奈美准尉「え?剃るのですか?」

甲本大尉「そうだ、剃るのだ。しかも全身。でないとユニットを外す時に地獄を見るよ。」
と答える。

奈美准尉「ええ、?えええええ?」
と恥ずかしそうに困った顔になり言う。

その姿をこっそり見ている亜美と真木。

亜美戦隊長「うーん、大丈夫かなあ。心配。。」
と。

珍しく真木に心配そうな顔を向ける。
(何とかしてあげてくださいみたいな顔に)

真木が飛び出して答える。
真木班長「奈美准尉、戦場で恥ずかしがってる暇ないよ!それにアンタが最初に着る強化装備も、訓練用のを勿論使う。
つべこべ言わずにさっさと剃りな!」

そう言って、真木は持っていた訓練用の衛士強化装備を見せる。

奈美は訓練用の衛士強化服を見て、、真っ赤になり涙目になる。
奈美准尉「そ、え?ええ(汗)、衛士の方々はこれを着て訓練していたのですか。。
こんな、見えちゃいますよ。。は、恥ずかしいです。」
とオロオロする。だが決心する。

奈美准尉「、、、解りました。明日からの実地訓練にまでに剃って、
訓練用の衛士強化服を着ます。」
と覚悟を決める。

真木班長「その意気は良し。他の奴とは違って、アタシは厳しく行くよ。覚悟しておきな!。」

立ってお辞儀の敬礼で答える。
奈美准尉「は、はい。真木さん宜しくお願い致します。 」

甲本大尉「はい、じゃあ今日は終わりね。明日に備えて色々準備して早く寝てね。」
と伝える。

奈美准尉「解りました。明日に備えて整えておきます。」
恥ずかしそうに、頭が湯沸かし器になっている感じでぷしゅーとなっていて
その場にいる西達に頭を下げてから自室に戻る。ふらふらしている感じで危なさそうな歩き方であった。

亜美が入ってくる。
亜美戦隊長「、、、真木さん、甲本大尉有難うございました。奈美准尉どうですか
やれそうですかね。頭の中混乱してる。でもこれを乗り越えてもらわないと。。」

武子はにやにやしながら答える。
西大尉「奈美ちゃんの訓練用衛士強化服楽しみだなあw」

凜はあきれながら答える。
甲本大尉「誰もが衛士を目指すものが通る道だわ。特に女性は。
でも、、座学はそれ以外は完璧よ。むしろ私が教えてもらった事もある。
あの電子戦術オペレーターの能力はすごいわね。


あの子が戦術機に乗れたのなら、こんなに頼もしい事は無いわ。
あのスキルすごい。確かまだこのスキルを持っている通信科の人材ほとんどいないのでは。
貴重な人材だと思う。」

真木班長「確かに飲み込みは早いし、スキルも高い。戦隊が発足してなくて、
足を失って無かったらアタシが斯衛に引き抜きたい位の人材だよ。
だが...あの手の秀才は実機に弱い事が多いとアタシの感が告げている。時間食わなきゃいいがね...。」

亜美がそれは正しいと同意する。
亜美戦隊長「、、、真木さんがそこまで言うとはやはり私の直感は正しかった。
あの子の能力は戦隊に必要です。ですから、どうしても搭乗できるようにしないと。」
と奈美の去った後を見る。

そして、真木には微笑みを向ける。
亜美戦隊長 「そんな未来があるのなら、私も奈美と一緒に志願して真木さんの部隊に是が非でも入隊してますよ。
絶対に真木さんを見つけて、一緒に戦ってます。」
とも答える。

真木班長「よせやい、照れるじゃないか...。」
そう言われて嬉しそうに返した。

凜が言う。
甲本大尉「まったく、妬けるわねえ。まあとにかく泥水をすすらせても早急に
乗れるようにしないと。衛士のように戦術機を手足のように動かすわけではなく
搭乗してオペレートが出来ればいいのだから。あとは相方しだいですね。」
と答える。

武子も答える。
西大尉「そう、搭乗して、まあ高機動に耐えられなくてもいい。
まずは乗れることだよね。そこまでやはり私が手取り足取り。」

あきれる亜美。
亜美戦隊長「だから、西は座学担当でしょう。あとは真木さんに任せます。」
と答える。

真木班長「おう、体力が無くても慣らす為に乗せるからな。
あと、剃り忘れてなきゃ良いが...アタシは処理を忘れて地獄を見たよ。」

亜美戦隊長「ええ、体力が続けばいいですが。。
剃り忘れは、、私も最初やってしまいました。
誰もが通る道ですね。明日着替える前にチェックして、
いえこれは本人の、奈美のするべきことです。私が出来ることをしてあげるようにします。」
と答える。

そして翌日に。
第六警戒小隊結成式を兼ねて整備ハンガーで亜美も来ていた。
亜美もなぜか訓練用衛士強化服を着て軍刀を前にして、ゴーストが目線をそらして奈美を待っていた。
真木と凜大尉と西少佐もいる。



ゴースト准尉「(、、、なんで戦隊長まで訓練用強化服着てるんだよ。。

奈美准尉のためか。。久しぶりの感覚が)。」
と心の中でアワアワしている。

とそこに奈美が整備ハンガーの入り口で入ろうか入るまいかオロオロしていた。
何か泣きそうな恥ずかしそうな顔をしてる。

亜美戦隊長「、遅い、何をしていた。今すぐそこに並びなさい。早雲准尉。」

真木班長「ゴースト!テメェ今更羞恥心を持つな!いつも着ている奴と変わらないんだぞ!
戦隊長、奈美准尉を引っ張って来ても?」

整備班員達に何時も檄を飛ばす姿が常時になった体勢の、正に鬼軍曹な真木は亜美にそう言う。

奈美が痛そうな、恥ずかしそうな顔をして答える。
奈美准尉「あの、そのだって、亜美姉え、いえ戦隊長申し訳ありません。
真木大尉さん申し訳ありません、今行きます。」
と言いながらもじもじしながらゴーストの隣に並ぶ。
周りの視線と整備兵たちの心の声が聞こえて頭の中がパニックになっていた。


ゴースト准尉「(いけない、初心に戻ってしまった。あの訓練兵時代に)
失礼しました。真木大尉殿。」
と普段の平常心に戻り休めの姿勢で戦隊長を正面に見えいる。

真木班長「テメェら!何ジロジロ見てやがる!見せもんじゃねぇぞ!
少しでもじっくり見てみやがれ!宙吊りにしてやるからな!」
そんな怒号を整備班員を始めとした周りに浴びせて、整備班員達は作業に集中する。

真木班長「良いか!座学で習ったが、衛士強化装備は戦術機を動かすのには絶対必要な装備だ!
奈美准尉!何故そんな色の装備が訓練用か分かるか?」

今にも泣きそうな奈美。いつもの優しい真木さんでは無く鬼軍曹であった。
そして、剃り残しがあって痛くて、周りの視線と思いが聞こえて半分パニックになっていた。
奈美准尉「、、、申し訳ありません。解りません。」
と少し考えたが解らず答える。

真木班長「羞恥心をなくす為だ馬鹿者!そんな本来なら破廉恥な色の装備を着る事により、
羞恥心をなくす事が必要だからだ!作戦において、トイレに行く時間は勿論ない、

管制ユニットの中で装備の中で漏らすのが普通だ。
それを始めた羞恥に慣れる為でもある。モジモジするな!
それと、貴様案の定剃り残しをしたな!痛みを伴うから、今後はツルツルにしておけ!剃り残しは禁止だ!」

奈美准尉「解りました。申し訳ありません。次からは念入りに処置します。」
もう、半泣きになりながら答える奈美。

亜美がそれを引き継いで第六警戒小隊結成式と訓練内容を伝える。
いつも簡素な命令伝達を心がけているが、、なぜか長い。

ゴースト准尉「(、、、これは訓練兵向けだな。羞恥心を捨てさせるために。
しかし、衛士でない早雲准尉には酷すぎるが、なれなければ死を意味する。
でも、、、ちょっとそそるなあ、久々になんかもぞもぞする)」
と広い視線で戦隊長を見つつ、奈美に見惚れていた。

凜大尉と武子がこそこそ隣でしゃべっている。
西少佐「(うへへ、やっぱり奈美ちゃん可愛いいし、良いスタイルと姿してるなあ
?おや~あ。整備兵の一部が真木殿に隠れて何かしてるな。オイタはちょっと裏でお叱りしておかないと。)」
ニヤソな顔つきをしている。



凜大尉「また、顔つきがポンコツ芋男爵になっているわよ。まったく。
(しかし、戦隊長わざとやってるわね。訓練兵時代を思い出す。
いつもなら簡素で短い解りやすい命令を出す方なのに。)」
と言っていた。



亜美戦隊長「であるので、まずはゴースト准尉はリハビリを兼ねて甲本大尉と演習。
好きに戦いなさい。その間奈美准尉は真木さんにお預けします。
しごいてあげてください。以上。第六警戒小隊結成式は終了。
それぞれ訓練で練度をあげなさい。」
と終わり、亜美が真木にこっそり宜しくお願い致しますと言って着替えてから戦隊長室へ戻る。

真木班長「よし!戦隊長の指示通りに動くぞ!
ゴースト准尉と甲本大尉は模擬戦!
奈美准尉はアタシと実機訓練だ!時間が惜しい、直ちに掛かれ!」

ゴースト准尉「了解、直ちに撃震に搭乗し、甲本大尉殿と演習に取り掛かります。
、、、早雲准尉。宜しくお願い致します。無理しないでね。一緒に搭乗して任務が遂行できることを
楽しみにしてます。」
と言い敬礼して撃震に乗り込んで行く。

奈美准尉「承知致しました。はい、私、、、頑張ります。このために戦隊に来たのです。(お辞儀をして)
(真木に対して)グラウンドに移動します。」
とすでに痛さと整備兵たちの心の思いがかなり心に聞こえてふらふらになっていたが
移動した。

真木班長「先ずは更に羞恥に慣れてもらう、軽く10周グラウンドを走って来い!駆け足!」

奈美准尉「は、はい。走ってきます。」
が、1周する前にすぐに息が切れ、半周でばったり倒れていた。

それを演習場所から別のモニタで見ていたゴーストは。。
ゴースト准尉「(これ、、マジで大丈夫か。。そもそも衛士でもないのに無理があるが、、
あの京都帝都防衛戦時の支援を見ると絶対に一緒に組みたい。)」

甲本大尉「、、、奈美准尉の心配してるのはいいけど、私相手に余裕ね。
まったく隙だらけだよ。集中しなさい。」
と一気に詰められて長刀でぶん殴られる。
すんでで盾でそれを受け止める。

 



ゴースト准尉「(手を抜いたらすぐやられる。集中しないと。)」
と凜に向き演習を行う。

西が暇そうに奈美を見ている。
西少佐「(真木殿いいなあ。しかしこの様子だと、戦術機乗ったら通常移動で気絶しそう。
まあ慣らすしかないか。。)」
とニヤソな顔つきではなくちゃんと心配しながら見ていた。

真木班長「貴様!よくそんな調子で戦術機に乗る等とふざけた事を言う者だな!
マトモに一周さえ出来ないのに、戦術機に乗れると思うな!立て!」



息も絶え絶えで、混乱しながら立ち上がるが、、
奈美准尉「、、、も、申し訳ありません。すぐに。あ」
と少し走りかけてそのまま倒れ、気を失う。

真木班長「...はぁ。こんなんで本当に乗れるのか?この調子なら、実機訓練なんて夢のまた夢だよ...とりあえず医務室だな。」
溜め息を吐きながら医務室に奈美を運ぶ。

医務室にて
司が奈美の状態を確認してる。
司軍医長「、、、この子何かおかしい。そもそももともと体力とかないみたいだけど。。
明らかに体力が無さすぎ、でもカルテ上は問題ない(南條中将が書き換えている)
それに何か体の作りが、、沙奈江何か知ってる?
カルテがおかしいのは戦隊長も同じだけど。。」
と話す。



真木班長「アタシも分からないよ。でもこの調子じゃあ戦術機には乗せられないね。
これから戦隊長室に行って話してくるよ。」

そこに心配したゴーストが失礼しますと入ってくる。
ゴースト准尉「、、、やっぱりこうなりましたか。
ただ、京都帝都防衛戦時の早雲准尉のオペレートは的確でした。
この方が居れば状況が一変する時も把握して、部隊の損耗率を抑えてくれる気がします。
 

自分もフォローします。と言うか明日から私も一緒に訓練します。
同じ機体に搭乗するバックアップ要員ですから。
でも戦隊長に相談するしかありませんね。」
と言う。

真木班長「確かに、彼女のバックアップは良いのは認めるよ。
でもね、マトモに通常機動も出来ないとBETAに殺されに行くようなもんだ。
相談は勿論するが、なら後方でオペレーター職に就くのが良いとアタシは思うね。」

ゴーストは確かに真木の判断は正しいと思ったが。
ゴースト准尉「、、、この早雲准尉のスキルは多分前線で戦術機部隊とHQとの間の補佐を兼ねていると思われます。
多分、後方でのCP担当が妥当だと思いますが、それではスキルが発揮されないのでは。
ですが、本人、」
と、そこに目を覚ました奈美がゴーストの腕の袖をちょんと引っ張り答える。

奈美准尉「、、、申し訳ありません。でも私、頑張ります。だから乗せてください。
ゴホ、ゴホ。」
とせき込むが真木とゴーストに懇願する。



司軍医長「、、はいはい。とりあえず今日はこのまま休みなさい。
医者として許可は出せないよ。」
と言う。

真木班長「アタシに、沢山の戦友達を死地に送ったアタシに...。
マトモに戦術機に乗れない彼女を死地に送れ、と?」
そう、下を向きながら言う。

その悲しそうな真木を見て、奈美は知られても良いと思い手を握りしめる。
そして未来を見せる。
奈美がゴーストとともに警戒機に乗り、戦隊の戦術機に支援をしている姿であった。
奈美准尉「、、、絶対に真木さんを護って見せますだから、あ(汗。」
とそこでまた気を失って寝息を立てて寝ていた。

真木班長「なんだ...今の映像は...とにかく、戦隊長室に行こうか。」

真木とゴーストは戦隊長室へ行く。
亜美は解っていたように二人を入れて、長机に座らせて話を聞く。

真木班長「単刀直入に言おう。あの無さすぎる体力じゃあ、そもそも戦術機の適正があるのか疑問になるほどだ。
後方でのオペレーター職に就くのが良いと勧めるよ。」
先程、脳内に出たあの映像...幻覚だったのかと悩む真木。

ゴーストは迷っていた。真木と同じ意見だというべきなのか。
それともあの京都帝都防衛戦の支援が的確であれほど戦域を見て状況を推移しているのを把握できて指示が出せる方ならば
一緒に任務に就くべきなのかと。

亜美戦隊長「、、、それは解ってはいました。確かに後方でのオペレータ職に就くのが良いのは。
ですが、あの力は戦隊に必須です。それに真木さんにはまだ言えてないことが私達姉妹にはあります。
真木さん。奈美が見せたそれは本当の事です。これ以上は言えません。


そして、申し訳ありません。まずは訓練用シュミレーションで高速機動戦等を省いた通常移動で
まずは様子を見ていただけませんか、その間に基礎体力訓練も少しずつで良いので。
ゴースト准尉と二人での戦闘を見れば解ります。
その上で判断してください。お願いします。」
と亜美が最敬礼で頭を下げて真木に頼む。
どうやら妹だからだけではない様だ。

真木班長「...なるほど。アンタの気持ちも、あの映像も信じるよ。でも...」
真木は言い淀む。

亜美は解っていたが言う。
亜美戦隊長「もう一度だけ訓練用シュミレーションでの戦闘をさせてください。
真木さんがそれで落第と言うなら諦めます。」
と食い下がる。

さらに
亜美戦隊長「、、、私はこの戦隊の衛士達を死なせるために創ったわけではありません。
そのための1つのパーツに奈美が必要なのです。ですからお願いします。」
とさらに真木の横に来て頭を下げる。

と、そこでふとゴーストは思った事を言う。
ゴースト准尉「真木さん、貴方なら西大尉殿や、甲本大尉殿、橘副官や私が束になってもかなわないですよね。
では、奈美准尉がそこに支援でいれば。その演習やってみませんか。
それでどうするか決めませんか」
と答える。

真木班長「分かったよ、それで行こう。」
真木も渋々了承した。

亜美戦隊長「お願いします。それでだめなら奈美はこの戦隊から出します。」
と決意して答える。

そして翌日、演習に取り組む。
驚く西と甲本大尉。

甲本大尉「え、、マジで言ってます。ほとんど何もかもすっ飛ばして、訓練用シュミレーション機に搭乗させて
支援させるのですか?」

驚きつつも何か西家の情報網で知っているので答える武子
西大尉「まあ、いいんじゃない。それで解るでしょう。あ、私奈美ちゃんがやってくれるに
豪華な西家の本物ディナーかけるよ。」
と真木と戦えるのが嬉しいのか不敵に笑って答える。

亜美が演習内容を伝える。
亜美戦隊長「西と甲本大尉、橘副官と警戒型不知火の二人で真木大尉と演習を行います。
この結果次第です。奈美准尉をどうするかは」
と言う。

真木班長「悪いが手を抜くつもりはない。それだけは断言しておくよ。」

亜美戦隊長「もちろんです、斯衛のお力を存分にお見せてください。
シュミレーションならそれができるはずです。」
と答える。

奈美准尉「、、、私にできる事が有るはずです。
真木さんを絶対に納得させます。」
と言う。

菊間整備兵「シュミレーションプログラムの設定を変えておきました。
機体は瑞鶴です。これなら、姉御の現役時代の如く動ける筈です。
ですが、シュミレーションとはいえ片足がないんです。無理はしないで下さい。」

真木班長「アタシにとって瑞鶴が一番乗りなれた機体だ。それ以外が撃震しかなかったってのもあるが、
スペックが高いからって今直ぐ模擬戦をやるのに、シュミレーター内とはいえ乗りなれない機体に乗るのはそれこそ相手を馬鹿にするに等しい。
これで、アタシの実力が十二分に出せるって訳だ、ありがとよ。」

亜美戦隊長「では、各位訓練用シュミレーション機に乗り込み戦闘開始。」
と指示を出す。

全員が乗り込み。
西大尉「さて、どうやる?いいよ奈美ちゃん、好きに動かして。任せるよ。」
と言う。

凜大尉「そうね、この戦いは貴方の試験だから言う通りに動くわよ。」

橘副官「真木大尉殿は斯衛しかも大陸帰りの凄腕です。
それが今再現できるのであれば勝ち目は普通無いはずです。
ですが奈美准尉あなたの支援があればもしやかもしれません。
頑張りましょう。」
とにこやかに優しく言う。

ゴースト准尉「、、、今回はなるべく動かない状態で行きますね。
早雲准尉のやりたいようにしてください。」

奈美准尉「皆さん有難うございます。真木さんは抑えられないと思いますが、
何とかできるかと思います。


まず西大尉さんが真木さんと近接戦闘で攻撃、凜大尉さんと橘中尉さんが中距離支援で
機動戦でかき回して、とどめはゴースト准尉さんお願い致します。
それとゴーストさん、私の事は名前で、その方が間違えにくいと思うので。 」
とすでにげっそりしているが優しく微笑む奈美。

ゴースト准尉「了解した。では奈美准尉宜しく。それでいきましょう。」
と各位が了解と言い奈美の指示に従い展開して、真木を取り囲み包囲していく。

真木班長「数はこちらが不利、でも一番怖いのは意識外からの狙撃...時間を掛ければこちらが負ける。短期決戦だね。」

真木に接敵し、2本の長刀で攻撃する武子。
西大尉「真木殿お覚悟を、そりゃーー。」
と攻撃をする。

そして、凜と橘が連携して射撃を繰り返す。

奈美准尉「ゴーストさん3人の支援を、3点バーストで動きを封じてください。」
と指示を出す。
ゴースト准尉「了解、支援攻撃開始。」

真木班長「...1人が吶喊し、動きを止め残りが機動力を奪う。理想的な動きだ...だが!」

西機の長刀を弾き、橘機へ向け蹴りを入れ遮蔽物とし、その隙をついて凛機の左腕を切り落とした。

真木班長「目の前にいるアタシの目を誤魔化せないよ。しっかりと、焼き付けな。斯衛衛士の実力って奴を...!」

ゴースト准尉「く、当たらない。さすが真木さん。斯衛は伊達ではない。」

奈美さん「まだです。今ので、真木さんの速攻の動きが解りました。
必ず当ててみます。もう少し、もう少し真木さんを拘束してててください。
西大尉さんそのまま橘中尉さんを引きはがして真木さんに張り付いてください。


甲本大尉さんそのままこちらに引き寄せつつ距離を取って射撃してください。
橘中尉さんは真木さんから離れて甲本さんの後ろから第二線を張ってください。」
とそれぞれ指示を出す。

真木班長「片腕のない甲本機は後だ、先ずは橘。貴様だ!」
ガンマウントを展開し、橘機へ向け吶喊する。

そうはさせないと、武子が真木に張り付きつつ
ゴーストが支援して、紫音を逃がす。
その間に凜も距離を取りつつ射撃を行う。

奈美は強化服が痛く、そして少しずつ警戒機を動かしながら対応していたため
体調はボロボロで有った。そして
奈美准尉「う、ゲホ。(オロロとちょっと見せられない感じになっている)」

ゴーストが支持の有ったポイントの岩の陰に機体を奈美が楽にできる状態に倒す。
ゴースト准尉「(これ以上は)奈美准尉、もうギブアップした方が。。」

首を振り答える。
奈美准尉「いえ、できません。真木さんを納得させないと。」
すうっと息を吸い精神を統一する、白い光が見える。
奈美が能力を開放する。

ゴースト准尉「?!!この光、九州防衛戦の。そこまでやるのは
(俺にできるのは補佐してあげることだけど少しでも楽にしてあげないと)
早く決着付ける。。」

真木は何か常に隙を見せれば、狙撃が来る気配を感じた。
それでもその何かは真木の足を気にかけているような優しい気配が。
それは九州防衛戦のあの時を思い出す。

それぞれの機体に白いそれは出てくる。
紫音は無理しないように言いつつ、武子は喜びながら笑いながら真木に突っ込む。
凜はまた幽霊がーとか言いながら半泣きになりながら紫音と連携しながら真木をある地点に追い込もうとしていた。

真木班長「誘われている...抜け出したいが、周りの奴らの妨害で満足に動けない...
これが奈美准尉の力ってか...だが、まだ底じゃあねぇだろ!」

変わらず格闘戦を仕掛ける西機の腕を掴み、誘導地点であろう場所とは逆の場所に自機諸共突っ込む。

真木班長「さぁ、格闘戦をする機体がもう一機必要になるんじゃないかい?誘導したければ前に出て来やがれ!」
多少の被弾、最悪片腕が使用不能になるのを考慮した策だ。

その誘いに乗る奈美。
奈美准尉「フォメーションを変えます。2トップ。
橘中尉さん前に近接戦闘で西大尉さんをバックアップ。甲本大尉さんは真木さんの後背を取るように
中距離で追い込んでください。ゴーストさん、指定ポイントに真木さんが押しこまれたら
3点バーストで射撃、その後単発狙撃で撃ちぬいてください。動きは解りました。ここです。」
と息も絶え絶えだがそれぞれに指示を出す。

真木班長「来たか!さぁ、アタシを誘導してみな!」
そう言いながら、西機の長刀を破壊し、橘機を残りの突撃砲で牽制しながら

西機を自身の繰り出す斬撃で押し込んでいく。

真木班長「どうした西!アンタそれでも大尉か!片足無い衛士崩れに押されて情けなくないのか!
それとも手加減しているのかい!」

真木の挑発に武子は答える。
西大尉「もちろん、こんなものではないでありますよ。西家の刀術をお見せしよう。」
と2振りの長刀を捨て、今度は短刀2振りを取り出し普段は見せない機動戦での攻撃に切り替える。
なかなか珍しい戦い方であった。いつもの長刀での大胆な大振りではなく、
的確に戦術機の弱点を狙いつつ攻撃をしてくる。
押し込みつつ奈美の指示するポイントへ誘導する。

真木班長「はん、短刀二刀流による機動戦がアンタの得意分野か!」
そう誘導されながらも、西機を牽制しながら今度は橘機へ牽制をかける。

真木班長「橘!西だけに攻撃が行くと思うなよ!」
そう西機の攻撃をギリギリ避けながら、橘機へ突撃砲を撃ち、
運良く橘機の突撃砲一つを破壊し、真木機の突撃砲は弾切れした。

それを解っていたように突撃砲を捨て、長刀を出し、
西と一緒に格闘戦を行う。
橘副官「もちろんですよ、そのためのフォメーション変更です。
それに今真木さんの突撃砲は弾切れです、甲本大尉の牽制が出来なくなりました。
ここまでは奈美准尉の詠み通りです。」
と言う。

真木班長「そうだろうな。さて、射撃の腕はいかほどか、無駄弾を吐いていないだろうな甲本!」
恐らく牽制であろう射撃を回避しながら、機体性能では劣っている筈の瑞鶴で、ニ機を相手に引かずの格闘戦をしていく。

凜はそれにこたえる。
甲本大尉「もちろんよ、私だって伊達に中国地方戦線や京都防衛戦を乗り越えていない。
まだ残量はありますよ。」
と真木の死角に奈美の支援を得て的確に撃ちこみ指定ポイントに動かさざるをえない状態に追い込む。

真木は誘い込まれた、いや、"わざと誘い込まれた"と言っても過言じゃなかった。
真木班長「流石のオペレート力だ。確かに、認めてやる。最後だ...アタシに狙撃を命中させ...て...あ...え?」
そう言いながら、狙撃を回避しようとするが動きが鈍くなる。

そう、模擬戦をしながらも真木はこれが中国地方防衛戦の時に出来ればと、ふと思った、思ってしまった。

その影響か、自身の心の奥に押し込んでいた負の感情が一気に表に出て来た、何も出来なかった無念や悲しみなどが溢れ、

唐突に吐き気が襲う。

奈美が気が付く。
奈美准尉「真木さん。(今は終わらせないと)ゴーストさん3点バースト。その後に狙撃で。」
とゴーストに伝えつつ奈美は力を使って九州防衛戦の時と同じように真木を包み込む。
(大丈夫です。大丈夫ですから真木さんは無力では無いです。だから)

ゴースト准尉「はい、(?何だろう、何か真木さんにあったのか?)」
と疑問に思いつつも3点バーストで真木機を攻撃する。

真木機は避けず命中し、撃破判定を受けた。
真木班長「あ、アタシは...オェ。」
そんな事は見ておらず、真木は自身の過度な負の感情の漏出の影響で嘔吐していた。

奈美と同じく真木の状態が急激に悪くなったことを見た亜美は演習中止を言う。
亜美戦隊長「!!そこまで、真木さんの撃破判定で終わりです。」
と急いで真木機に取りつき機体のドアを開け真木の状況を見て周りに見えないように
真木を抱きしめ背中をさする。嘔吐物が付くのも気にせず。

真木班長「アタシは...アタシは...オェ。」
そう、真木は後悔の念を吐露しながら、同時に嘔吐をする。手どころか全身が震えていた。

亜美は真木を包み込み、優しい顔つきで真木を介抱する。
亜美戦隊長「、、、大丈夫、大丈夫ですよ。真木さん。」

そしてその真木の思いが、後悔の念が奈美に流れ込む。
ゴーストが異変を感じて奈美に駆け寄る。
ゴースト准尉「奈美准尉、ああ、大丈夫、じゃない。すぐに医務室へ。」

奈美准尉「真木さん、あああ、オエ。。あ、ああ。」
吐きながら気を失う。
慌てるゴースト。

真木班長「ハァ...ハァ...ウッ...亜美、すまない。医務室へ連れて行ってくれ。」
吐き気はある物の、何とか嘔吐は治った真木は立ちあがろうとするも大きくふらつき、地面に手をついてそう言った。

もちろんと言いつつ真木の片腕を首に回し訓練用シュミレーション機から出て指示を出す。
亜美戦隊長「演習終了。早雲准尉の演習結果は後程精査して伝える。
衛士達は申し訳ないけど、後始末をお願いします。解散。」
と手短に伝えて真木を医務室へ連れて行く。
その前をゴーストがアワアワしながら奈美を先に医務室へ連れて行く。

亜美に背負われた背中から、真木は呟く。
真木班長「なんで、なんでアタシなんだ...アタシだけ生き残るんだ...もっと、生きるべき奴らがいた筈...」
弱々しくそう呟いていた。

亜美はその呟きに答える。
亜美戦隊長「、、、生き残るべき方は確かに一杯いました。私達の両親も。ですがこれが運命です。
それに奈美が悲しみますよ。奈美はどうしても、、、。」
と言いかけて止める。

真木班長「なら、アタシだって九州で死ぬのが運命じゃあ...。」
そう言い切る前に真木は気を失った。

亜美はそれに呟くように答える。
亜美戦隊長「そうだったかもしれません。ですが、そこで運命を変えてしまった。
私達姉妹を赦してください。」
と悲しそうに答える。

そして医務室へ。
明日香がびっくりして二人をベットに運ばせる。
司軍医長「えーーー、二人もしかも沙奈江がああもう嘔吐物まみれ。
まずはふき取ってからね。」
と二人を看護兵に指示を出して綺麗にしてから二人部屋に真木と奈美を入れて寝かせる。
夜真木が先に目を覚ます。

真木班長「...医務室か。」
真木はベッドから起き上がり、自身の手を見た。まだ微かに震えている。
真木班長「情けないのはアタシだね...模擬戦で動けたから、なんであの時こう出来なかったんだって...あの時...アタシは...。」

そう呟くと、真木は涙を流していた。いつもなら誰にも見せない姿を真木はしていた。
真木班長「今更だろう。悔やんだって、帰って来ないのは分かってるのに...どうしてこうもアタシは...アタシは...弱い奴だよ。」

震えて泣いている真木に隣から弱々しい声が聞こえる。
奈美准尉「、、、違います。真木さんはお強いです。それに生き残ってしまってだから、、、悩んでます。
ごめんなさい、私、真木さんを助け、、。。」

真木はその声を聞き、自身は涙を流しながら、身体がまだふらつきがあるが、奈美に近づき抱きしめた。

そうしなければとの義務感があった。
真木班長「言いたい事はよく分からないけど、アンタは凄いよ。今はアタシの事は良いから、ゆっくり休みな。」
涙を流しながらも、微笑む。



悲しそうに泣きながら答える。
奈美准尉「、、、ごめんなさい。私が真木さんを地獄に、悩ませる事を。
それでも助けたか、、、」
とそのままぐったりとして目を閉じる。

真木班長「悩ませる事か...それは違うさ。人は悩み、後悔し、失い、傷付きながらも今を必死に生きてる。
アンタが言いたいことは少しわかったよ、アタシを思ってくれてありがとう。」

真木がそう言った直後、奈美は寝ているようだが誰かの声が聞こえる。
??「Вы ничего не можете защитить. Если вы продолжите гнать
 этого парня в пучину отчаяния, это тело будет моим. 
В лучшем случае почешите ноги.」
(訳:くっくっく、お前は何も守れない。このままこいつを絶望の淵に追い込んでくれればこの体は私の物になる。
せいぜい足掻くがいい。)

真木班長「守れない?足掻け?全部が聞き取れた訳じゃないが、ふざけた事を...。」
その言葉に苛立ちを覚えたが、奈美を寝かせてそう言う。
真木班長「とにかく、戦隊長室へ行くか。」

真木はふらつく体のままヨロヨロと戦隊長室へ辿り着き、ノックもせず開けて入る。
真木班長「よぅ、邪魔するよ。」

来るのが解っていた亜美はしかめっ面で答える。
他の3人はびっくりして振り向くが。
亜美戦隊長「、、、真木さんふらついてます。まだベットで寝ててください。」
と強めに言う。

真木班長「そう言う訳には行かないだろ。奈美についての話だ。」

甲本大尉「ちょ、真木大尉ちゃんと休んでください。」
凜はふらつく真木を支えて座らせる。

亜美戦隊長「、、、演習結果についての話なら聞きましょう。」
と答える。

真木班長「見てたんだろ?なら結果の通り、奈美は模擬戦に勝った。つまり合格だよ。最後のは...アタシの不意のトラブルだ。
上手く処理できなかったアタシに非がある。それで良いだろ?」

亜美は答える。
亜美戦隊長「、、、あれでは勝ったとは言えません。トラブルが無かったとして、
真木さんが教官としての答えが欲しいです。奈美は合格なのですか。」
と真木の目を見据えて話す。

真木班長「電子戦術オペレーターとしては文句なしの合格だ。
2人乗りとは言え、戦術機に乗せるのは今でも不安要素しかないけど...。」

すこし表情を緩めて。
亜美戦隊長「良かった。確かに。少しずつでも搭乗させるのは体力をつけてもらわないといけませんね。
では奈美は正式に第六警戒小隊のバックアップ要員にします。
少しでも体力をつけてもらうように訓練は続けます。
では真木さんはちゃんと体調を整えるために医務室へ戻ってください。」
と答える。(凜に目配せして連れて行かそうとする)

真木班長「待ってくれ!戦隊長、アンタと妹が何かを隠しているのは知ってる。
進んで知る気もないし、奈美が寝ている筈なのにロシア語を話していたのも気になるが...一つ言わせてくれ。
世話をかけた、ありがとう。」

亜美は苦しそうな、悲しそうな顔をして答える。
亜美戦隊長「、、、ごめんなさい。真木さん。私達は、、、」
と言いかけたが巻き込みたくない亜美は何も言えず項垂れて見送る。

凜が困った顔をして真木を促す。
甲本大尉「、、、真木大尉行きましょう。」

真木班長「あぁ...甲本、頼む。」

医務室へ戻る途中、無言な二人。
凜が意を決して言う。
甲本大尉「真木大尉、貴官は姉妹の重荷を背負えますか。
姉妹は貴方をとても慕っている。私には少しだけしか背負ってあげられない。」

真木班長「...アイツらには借りがある。それに放って置けない、

そのままにしていたら消えてなくなりそうな儚さを感じるよ。」

凜はほっとする。
甲本大尉「やはり真木大尉ならそう言うと思いました。
確かにほおっておけない。できれば居なくならないように支えてあげたいですね。」
と話していると医務室へ着く。

ベットに真木を寝かせ言う。
甲本大尉「、、、姉妹を助けてあげてください。とこのことは私からの独り言です。」
と敬礼して出ていく。

真木班長「彼女達を支えるなら...隠している事を知るのが良いのか...背負って見せるさ。それくらい、恩は受けた筈だからな。」
隣の奈美を優しい視線で見守りながら眠りにつく真木であった。
END
数日後、ゴーストが警戒機のシュミレーション機に乗り1人訓練していると急に武子が入ってきた。
ゴースト准尉「!、どうしたのでありますか西大尉殿?」

武子がニヤソな顔つきになってゴーストに紙っ切れを放り渡す。
西大尉「整備兵の一部が、第六警戒小隊結成式でなーんかしてたから、没収とちょっとね。
真木さんに言うと可哀そうな事になるからそこまでにしたけど。好きに使いな。
ゴースト准尉なら悪い事には使わないはずだからあげるよ。」
といいつつすぐに手をひらひらして出てていく。

ポカンとするゴースト、放り投げれた紙を慌てて受け取って見ると。
ゴースト准尉「ちょ、西大尉殿。これ私がどやされれるんですけど(汗
(いや、欲しいけど。これ絶対真木さんと戦隊長に説教の上、奈美准尉にああ、どうしよう)」
と頭を抱えつつ困りつつも嬉しそうであったとかw



※第零独立強襲戦隊興亡記~外伝1998年:とある日の第六警戒小隊の訓練風景(狙われた奈美さん)編へ続く。

第零独立強襲戦隊興亡記~外伝1998年:真木と両親との話奈美編

佐渡島防衛戦後、早雲姉妹は自分達が行ったことを悔いて、
反省しみんなと共に生きていきたいと思いそう行動するように心がけていた。
激戦の後、少しBETAの侵攻は止まり戦力回復に努めている頃であった。
姉妹は、一つだけ心残りがあった。

真木大尉のご家族の事であった。母親と妹とは和解できたようだが、父親との確執は深いようだ。
できれば姉妹は私たちのように後悔が残る別れにはなってほしくないと思い何かできることはないかと考えていたが
何もできない日々を過ごしてた。

そんな中、奈美は真木の思いが聞こえて来た。
真木班長(クソ親父め。結局アタシの足のリハビリにも、佐渡島に出撃するのにも顔を出さなかった...。
ガキの頃からそうだ、アタシのことなんぞ何も思ってない。)

戦術機部隊の待機室でゴーストと佐渡島防衛戦の振り返り等を行っていた奈美は
ビクッと整備班ハンガーの方を振り向く。



ゴースト准尉「奈美さん?どうしました。」



奈美准尉「、、、真木さんの思いが少し聞こえました。ちょっと行きたいです。」

ゴースト准尉「了解、いいですよ。個人的な話になりそうだから一緒に行きますが整備ハンガーの外で待機しますね。」
と二人で整備ハンガーに行く。

奈美は真木さんはどこにいらっしゃいますかと整備班に聞く。

整備兵A「姉御かい?休憩に行くって言ってたけど...」

砂原整備兵「ん?ゴーストと奈美、お疲れちゃん!どしたの?」

整備兵A「お疲れ様です、砂原さん。実は2人が姉御を探しているみたいです。」

砂原整備兵「姉御?姉御なら、右二つ目のハンガーの屋根でタバコ吸っていると思うぜ?
最近はそう空を見上げているって聞いたから間違いないはずだ。」

ゴースト准尉「お疲れ様です。ちょっと奈美さんが真木さんに話が有るみたいで。」
と正直に話す。

奈美准尉「有難うございます。行ってきますね。」
と奈美はハンガーの屋根へ行く。

屋根に上って、きょろきょろとしてあ、真木さんと見つけて。
どうお声かけしようかと思い、そろりそろりと後ろから静かに真木さんに近づく。

真木班長「アタシの背後を取ろうなんて、良い度胸してるじゃんか。って奈美か、

どうした?今アタシは休憩中なんだけど。」
直ぐ様振り返り奈美を見つけるが、直ぐに空を見上げてタバコを吸っていた。

真木の側には灰皿にタバコの吸い殻が山の様になっていた。



奈美准尉「あはは、さすがにばれちゃいますよね。だーれーだをして見たかったのですが。」
と冗談を言う(ちらっとたばこの吸い殻の山を見て)
 

隣に座って奈美は真木の手を取る。
どう言えばいいのか解らないが、それでも真木さんの心を軽くしたいので率直に話す。
奈美准尉「、、、お父様とはあの後うまくいってないのですね。」

真木班長「...あぁ。口から出てきた言葉は家の事と国や民の事ばかり。

アタシのことなんて考えちゃいないのさ。」

悩む奈美。
奈美が悩んで泣いていた時真木さんはいつも胸に抱いて慰めてくれた。

ならばと奈美も同じ行動をし、前に項垂れてた真木を慰めるように
同じように抱きしめる。
奈美准尉「、、、まだ解りませんよ。それが父親の役目と思って、そう言っているのかもしれません。
それにこの前の、お煎餅の件があります。心の内はまだ解りませんが。。。

そうですね。真木さんお願いがあります。亜美姉さんが言ってました。
真木さんのご両親にお礼にお伺いしたいと、ただ亜美姉さん多忙ですので、その代わりに私を
ご両親にお会いさせてくだい。その時に何かお父様の心情を知りたいのとできれば不仲を解消できればと思います。」

真木班長「...家族の問題だとか言って突き放す気はないけど、こればかりは解消できないと思ってる。

それでもやりたいのかい?」

奈美准尉「もちろんです。ダメだったら申し訳ありません。でもそれでも私、真木さんのお役に立ちたい。。。
それに何度も言いますが、私たちの家族のようにはなってほしくないですから。
このままだともし万が一の事があったら後悔が残りますよ。だから。。。」
と答える。

真木班長「アンタの事情に突っ込んだんだ。アタシの事情には突っ込むなとは言わないよ。
んで?どうする?アタシの実家にでも行くかい?」

奈美准尉「ありがとうございます。はい、ぜひ行きたいです。
あ、お母様と妹さんの好きなお菓子ってあるのですか?
手土産を何か持っていきたいです。それとも私が何か作っても良いのでしたらそれでもいいですが。」

真木班長「そこら辺は任せるよ。」

奈美准尉「解りました。では、買っていくのとシンプルなケーキでも作りますね。
じゃあ、これから亜美姉さんに話してきます。日程調整してきますね。」
と頭をなでて(よしよしして)会釈して離れる。

整備ハンガーに戻ってきた奈美。
ゴースト准尉「お、話は終わったのですね。こちらも終わってます。
この後は?」


奈美准尉「亜美姉さんにお願いしたいことがあるのでこのまま戦隊長室へ行きます。
いいですか?」


ゴースト准尉「もちろんですよ。あ、砂原整備兵と整備兵Aさん有難うございました。
ではまた。」
2人はそれぞれ整備兵に挨拶して戦隊長室へ行く。

戦隊長室で奈美が亜美に相談する。
奈美「、、、と言うことです。この前亜美姉さん言ってましたよね。
正式にお礼とご挨拶を兼ねていきたい、でもやることが山積みで行けないと。


代わりに私では駄目でしょうか。一応予備士官ですが。階級の事を言われると本来は西さんか橘さんあたりが
行くべきかと思いますが、今回は姉妹としての個人的お礼をとりあえずと真木さんのお父様の事を
何とかしたいです。ですから私、行きたいです。」
と懇願する。



考え込んでいる亜美。
亜美「、、、そうね今回は個人的なお礼をということで、戦隊としては後日時間を作って正式に斯衛にご挨拶に
行かないとね。解りました。奈美にすべて任せたわ。真木さんをお願いね。


あと、今回は護衛兵はつけないわよ。なぜ個人的な事にとも思われて、いろいろ秘密が漏れてしまうのも困るから。
だから、真木さんから離れないようにね。あの方なら足が万全なら遅れを取ることは万が一にもないはずだから。」
心配しつつもそう言う。



そこからは奈美が直接真木を通して進めて行った。
調整が取れて一週間後真木の実家へご挨拶へ行くこととなった。

当日朝戦隊基地の営門にて。
亜美戦隊長「奈美、お土産ちゃんと持った?忘れ物無い?何かあったらちゃんと真木さんを頼るのよ。
真木さん宜しくお願い致します。」
と珍しくオロオロして奈美を心配している。

そんな様をため息を吐くが答える。
真木班長「そんなオロオロする必要ねぇさ。アタシの実家、ってか仮の住まいだからね。
大したもんはないよ...どうせ親父は家には居ないさ。」



奈美准尉「もう、亜美姉さん。大丈夫ですよ、そんな何かある予兆もないですし。
でもいらっしゃらないと困りますね。その時は、もし行けるのなら斯衛の基地に面会に行きたいですね。」

亜美戦隊長「まあ、真木さんがいるなら大丈夫なんでしょうけど。と、とにかくいってらっしゃい。
時間がかかるようでしたらそちらでどこか宿に泊まってきても良いですからね。
勤務扱いになってますが、お休み扱いで構いませんのでご挨拶以外は自由にゆっくりされてくださいね。」
と見送る。

真木班長「ったく、ただ単に実家帰るだけだっての。遅くならない内に帰るさ。」
奈美准尉「では行きましょう。真木さん。亜美姉さん行ってきますね。」
小さく手を振って奈美は亜美から離れて基地を出る。

2人を見送る亜美と紫音。とその横をサングラスをかけた髪の長い私服姿の誰かが通り過ぎようとして止まって敬礼する。
見た目は、、普段と違い解らないが菅中尉であった。

答礼する亜美。
亜美戦隊長「、、、申し訳ないです。何もないとは思いますが奈美の事をお願いしますね。」

菅中尉「もちろんですよ。私で良ければなんでもします。まあ、真木大尉がいらっしゃれば何もないと思いますが、
いざとなったら、早雲准尉を抱えて逃げますから。」
と小声で伝えて基地を出る。



菊間整備兵「おやおや菅中尉、休暇ですか?
私も丁度真木家に用があるので連れて行って下さい。
何、私がいたら城内省の諜報員にいちいち止められる事はありませんよ?」

菊間整備兵「それに、諜報員の腕は私の方が上ですから私もいた方が安全ですよ?戦隊長殿?」
ムカつく様な笑みを3人に向けた。

亜美戦隊長「まったく、、、奈美に酷いことをしないなら別に構わないわよ。
、、、それだけは止めてね。その時はこの軍刀を抜くわよ。そんなことにならないと
思いたいけど。」

ちょっとカチンとした菅。悪い顔(グラサンで見えずらいが)をして
菅中尉「、、、まったく菊間整備兵?休暇な訳ないでしょう。こんな変装して。。
早雲准尉の護衛よ。真木さんもいるし、ちょっと気になる事が発生してるから。
でも表立っては護衛兵は出せない。だから早雲戦隊長が私を付けたのよ。
 

ま、斯衛に何か言われなくて済むなら助かるわ。
じゃあ、旦那にでもなってもらいましょうか。」
と茶目っ気たっぷりに菊間整備兵の腕を取り夫婦がするように組む。

菊間整備兵「おや、宜しいので?私は一向に構いませんよ」

菅中尉(、、、まったく隙もなにもなくて面白くないわね。胸まで当ててるのに。)
と、やれやれな顔になる菅中尉。

こうして真木の実家に二人はついていく。

真木家に着くと、出迎えたのは母舞香だった。
舞香中佐「あら!沙奈江、お帰りなさい!其方は奈美ちゃんね、
沙奈江から聞いているわ。いらっしゃい。」
真木班長「あぁお袋。ただいま。」

ぺこりと会釈をして話す。
奈美准尉「はい、お久しぶりです。早雲奈美准尉です。
この度はお時間を取らせて誠に申し訳ありません。


これ、良かったら差し入れです。皆さんで食べてください。
先日の差し入れとてもおいしかったです。」
と会釈して両親の知り合いの京都菓子メーカのなじみの方から仕入れた
グリンティーと京菓子と奈美が作ったチーズケーキを渡す。
そして、、もう一つ京都の老舗が作ったお煎餅も。

奈美准尉「ケーキは私が作ったもので、、美味しくなったら申し訳ありません。
お煎餅はお父様へお渡しください。」
と伝える。



舞香は和かに答える。
舞香中佐「あら!こんなに沢山...。そんな気を使わなくても良いのに...奈美ちゃん。ありがとう。」
舞香は奈美を抱きしめた。

真木班長「お袋!せめて家に入ってやってくれよ!」
沙奈江は少し呆れ顔で言う。

舞香中佐「あら、ごめんなさい。こんなに素敵な子が頑張っているなんてね...。
今からでも真木家の子に...なんでもないわ。さぁ、上がってちょうだい。」

舞香の行動にびっくりしながらも嬉しそうにほほ笑む奈美。
奈美准尉「あ、有難うございます。嬉しです。

(お母さん見たい。いえ、真木さんのお母さんですね。同じ感じで優しい。素敵な方。)

はい、失礼します。」
と言って真木家へ入る。

通されて客間にて待つ。
舞香中佐「お待たせ。せっかくだから一緒にケーキを食べていただけるかしら?」
舞香は沙奈江と共にケーキとお茶を運んできた。
真木班長「ったく、そんな張り切らなくていいってんのに...。」

沙奈江は奈美の座っていた横に座ると、タバコを咥えて火をつけようとした途端、舞香にタバコを盗られた。
舞香中佐「沙奈江、お客様の前でタバコを吸うんじゃありませんよ?」

真木班長「お袋!別に良いじゃねぇか!」
舞香中佐「ダメです、ウチは全面禁煙よ!」
真木班長「わぁったよ...。」

舞香中佐「それにしても...貴方達を見ていると、撃震のテストパイロットを思い出すわね。
何故かしら...。」

珍しくしおらしい真木さんを見て、ほほ笑む奈美。真木さんのお母さん、素敵な方だなと思いつつ。

その言葉にはっとする奈美。
奈美准尉「、、、もしかして母をご存じですか?1976年頃、母の亜紀は陸軍で戦技研に所属していました。」

奈美准尉「有難うございます。では一緒にいただきますね。」
とケーキを食べる。

舞香中佐「76年の陸軍戦技研...そして亜紀...やはり楓中尉の子達なのね!
私も当時は技術中尉として、出向していたわ。何せ日本初の戦術機、派閥争いをしている暇もなかったから。」

奈美准尉「そうでしたか、それはまたうれしいご縁です。
でも両親は、、、中国地方防衛戦で部下の方と民間人を護るために戦死しました。
、、、申し訳ありません。湿っぽい話を。


今日はそうではなく、姉の早雲亜美戦隊長の代わりで代理で来ました。
早雲戦隊長は多忙で、佐渡島防衛戦以降も時間が取れずにいまして。

申し訳ありません、姉の亜美は後日陸軍の部隊長として正式に面会させていただけますと嬉しいです。
まずは、この度のご助力有難うございました。真木さん達のおかげで
私達姉妹は助かったようなものです。あまり多くは話せなく申し訳ありませんが、
私たちはここで終わる予定でした。それを助けて頂きました。
特に真木大尉さんは。。」
ちらっと微笑み感謝の視線を真木に送りつつ。

奈美准尉「両親が戦死してから絶望の毎日でしたが、、、真木さんのおかげで
私達姉妹は先に進みたいと、そして今後もちゃんとなんでも相談して一緒に生きていきたいと。

お姉さんでもあり戦隊のお母さんである真木さんが大好きです。
本当にありがとうございました。」
と深々と頭を下げる。

それをみた舞香は、沙奈江に顔を向ける。
舞香中佐「奈美ちゃん...沙奈江、私が知らない所で沢山の命を救って来たんだね。
貴方が九州の実家を出て行くのを声を掛けずにひっそりと見送った時は、凄く心配したわ...貴方は凄いわ、私の誇りよ。」

真木班長「...お袋。それだけ聞けてアタシは、衛士になって良かった。
そのまま技師になっていたら叶わない出会いと、救えない命だった。アタシを黙って出してくれて、ありがとう。」
沙奈江は自然と涙を流しており、舞香はそれをみて黙って沙奈江を抱きしめた。

2人の思いが聞こえて、奈美は嬉しかった。優しそうに微笑みつつも。。
奈美は両親の事を思い出し、少し寂しそうであった。
奈美准尉「(でも、良かった。九州で真木さんを助けられて、これが多分私たち姉妹の分岐点だったのだと
今は思える気がします。あれから絶望的な夢見の内容が現実では少し変わって来ている
気がします。)」

抱きしめた2人は離れる。

真木班長「お袋。それでよ...アイツは、親父は家にいるのか?」
舞香中佐「お父さん?それなら、最近斯衛軍の戦術機研究場に篭りっきりよ。
滅多に帰って来ないわ。」


寂しそうな顔をする舞香に、沙奈江は苛立った。
真木班長「...あのクソ親父め。アタシだけじゃなく、お袋まで捨て置きかよ。」

それに心を痛める奈美。
奈美准尉「あの、多忙そうですが、、、お父様に面会することは可能でしょうか。
陸軍所属で予備士官である私では、、駄目かと思いますが。。


ぜひお礼の一言だけでもと、お父様の家族への思いを知りたいです。
お願い致します。私にできることは少なく、変えられないかもしれませんが。」
と舞香に頼む奈美。

舞香は苦笑いをしながら答える。
舞香中佐「あの人は、仕事以外の面会は基本しないのよ。
時間が勿体無いって言ってね。家にいても、大した世間話もないわ。」
 

そんな話している中で、客間に沙奈江の父、真木政宗が入ってきた。
政宗少佐「...なんだ、お前か沙奈江。それに見ない顔だが、まぁ良い。」
(生きているのなら、それで良い。心配もしたが、流石私と舞香の子だな。ならばこれ以上私がする必要もないな。)
それだけ言うと興味を無くした様にその場を離れようとする政宗。

真木班長「待てよ、娘に会ってそれだけか?ってか仕事じゃないのかよ?」
政宗少佐「着替えをとりに帰って来ただけだ。そして、お前が生きてここに居るだけで私は十分だ。
技師としても活躍しているなら、文句は無い。それ以上に話す必要もな。」
政宗は終始冷たく話し、沙奈江はそれに苛立っている。

奈美は真木の手を握りしめ、待ってくださいと心の声で訴えかける。

奈美准尉「お待ちください、真木政宗少佐さん、少しだけお時間いただけませんか。
私は陸軍第零独立強襲戦隊所属の早雲奈美准尉と申します。この度は私達姉妹を助けて頂きありがとうございました。
あと、先日のお煎餅の差し入れ有難うございました。おいしかったです。
あれには及びませんが、、、真木舞香中佐さんにお渡ししていますのでどうぞ食べてください。」
と頭を下げる。

政宗少佐「...早雲か、斯衛軍基地で騒ぎを起こした奴の妹か。悪いが仕事に戻らねばならん、
そして話は仕事以外はする主義でもないんでね。気持ちだけ受け取っておこう。」

慌てる奈美。去ってしまいそうな正宗のそばに行き座り話す。
奈美准尉「申し訳ありません、確かに姉は騒ぎを起こしました。
それは謝罪いたします。ですが、お待ちください。少しでいいのです。

それに、、、お父様ちゃんと心配されてます。それを言葉で言うべきだと思います。
私は、、、両親と最期に言葉を交わせませんでした。万が一そのような事があれば
後悔しますよ。お願いです。ちゃんと言葉にしてご家族全員に言ってあげてください。」
と涙目になりながら、頭を畳にこすりつけてまでお願いをする。

政宗少佐「別に君の姉が悪いとは言ってない。
こうしている間にも、日本にBETAは侵攻している。こうやって話す時間も惜しいんだ...。
私は斯衛軍人として、1人の技師として、やらなければならないんだ。」

そう言い放った直後政宗は、沙奈江に殴られた。
真木班長「このクソ親父!黙って聞いていれば、こんなにアタシ達の心配しているのに、口から出るのは国の為ばかりか!。
それでも人の親かよ!口に出さなきゃ分からないこともあるだろう!」

政宗少佐「必要ない。お前が今更私の言葉が必要には見えん。お前は立派な大人だろう?
今更良い父親になるつもりも、向き合う気もないのは既に分かっている筈だ。」

真木班長「...昔からそうだ、アタシの事なんてお袋任せ。アンタは仕事ばかり、アンタの愛情なんて知らない。」
政宗少佐「愛情は、舞香から貰っているだろう?私は一家を守る為に、国を守る為に働いている。
家督を継いだ者として当然な責務をしているだけだ。」

奈美准尉「まって、真木さん駄目。違うのです。お父様ちゃんと真木さん達の事思ってる。だから待ってください。」
殴られた正宗に簡易応急キットのポシェットより処置用の物を出し手当てする。

賭けに出る奈美。そして正宗に話す。
奈美准尉「もちろんBETAの事は最優先だと思います。でも家族のこともこのままだと、心は皆さん離れたままですよ。
それだと国のため、民間人の為といいつつ根本的な事から間違ってます。」
と処置をしつつ両手を正宗の頬に当て、自身の力を使って絶望なその血まみれの未来を見せる。

冷や汗をかきつつ、少し震えながら伝える。
奈美准尉「、、、家族が愛し合ってこそ、その力は発揮されます。こんなことになってしまう未来があるのですよ。
そのためにはお父様が変わっていただかないと、、、でなければ真木さんの、九州での違った未来の先がこうなっていたのですよ。」
そこで、奈美は自分の能力をフルに使いすぎ、バタリと倒れる。

いきなり見せられた、普通ではあり得ない光景を政宗は驚愕し、警戒して奈美を見た。
政宗少佐「...確かに壮絶だが、それを見せられる君は一体何者だ?。」
倒れる奈美にそう呟く政宗。

真木班長「奈美!クソ親父、奈美に何を見せてもらったんだよ?。」
政宗少佐「あり得る最悪の未来という奴、だそうだ。それを信じる気は無い、だが沙奈江。
確かに口に出さなければ分からないのも事実だ。
はっきり言おう、少なくともお前に愛情がない訳じゃ無い。家出したのも心配した。
だが、お前ならなんとかなるとも信じていたよ。真っ直ぐ自分を貫ける、お前ならな。」

そこへ、舞香も割って入ってくる。
舞香中佐「2人とも、奈美ちゃんが倒れているじゃない!とりあえず客間に寝かせなさい。」
奈美を寝かせた後、3人で会話が始まった。

真木班長「今更だな...あぁ、そうかよ。真っ直ぐ自分を貫けるから、何も言わなかったと?
わかる訳ないだろクソ親父が!アタシのやる事なす事否定したのはなんだったんだ?」

政宗少佐「あぁ...何を言われても自信を曲げない強さを手に入れて欲しいのと、お前が心配だったからだ。」
それを聞いた舞香が、更に割って入る。

舞香中佐「いや、それを言葉にしないと分からないでしょう!
まさか仕事中もそうじゃないでしょうね?。」

政宗少佐「そんなはずは...、そうかもしれない...。」

そんな話をしているところに、インターフォンが鳴る。
菊間整備兵と慌てた菅中尉が引っ張られる形で訪問する。
チャイムがなったので沙奈江が玄関に行くと、そこには菊間と慌てている菅中尉がいた。

真木班長「菊間と、菅中尉?なんでアンタら2人がいるんだい?」
菊間整備兵「あぁ、私は舞香中佐に報告がありましたので、菅中尉は奈美さんのお目付け役なのに
遠くからしか見てないので、こうやって連れて来ました。上がっていいですか?」
真木班長「あぁ、しかもありかりがたい。渡りに船だよ。」

2人は沙奈江に連れられ、客間に行き舞香と正宗、と同じく座った。
舞香中佐「あら道長君。まさか来るのが被るなんてね...、あら其方の方は?。」
菊間整備兵「こちらは私の思い人でしてね、こんな別嬪さんと共に居られるとは男冥利に尽きます。」
などと基地を立つ前の菅中尉の意趣返しをしていた。

ちょっと慌てて菊間に小声で声をかける。
菅中尉「(、、、こら!!!、菊間君、私仮にも結婚してて未亡人なのよ、

結婚指輪もはめてるし意趣返しなんかして)(# ゚Д゚)」
と隣で正座している菊間の足を見えないようにつねるw

菅中尉「御初にお目にかかります。急に押しかけ申し訳ありません。
私、早雲准尉達と同じく第零独立強襲戦隊所属の菅嘉代子と申します。
宜しくお願い致します。」
とご挨拶する。

舞香中佐「あら御丁寧に、帝国斯衛軍中佐の真木舞香よ。娘と道長君が世話になっているみたいね。
大丈夫、冗談なのは分かってるから。」

この方には敵わないなと思い話す。
菅中尉「いえ、菊間君はともかく真木大尉殿にはお世話になっております。
私まで押しかけて良かったのですか?」

舞香中佐「良いわよ。沙奈江の仲間なら大歓迎だわ。それに、変な事を働こうとしても道長君は優秀な諜報員だから。」

菅中尉「有難うございます。それは認めます。ちょっと偉そうですけどね。せっかくですから聞いてしまいます。
菊間君は何用で、あと早雲准尉は?。」
と、姿が見えない事に心配する。

真木班長「奈美に関してはアタシから言うよ、単刀直入に言うと、奈美が力使って両親にバレた。」

菊間整備兵「私は整備兵として、現在の戦隊内の戦術機状態の報告ですよ。

ウチは機体パーツの確保に四苦八苦してますから。
今回は、諜報員としての報告はありませんよ、残念でしたね。」

その言葉にああとため息をついて。
菅中尉「ああ、もう。あの子優しすぎるのよ。戦隊長の心配した通りだったのね。
また、自分から秘密をばらしてまで。もうちょっと自分たちの事も考えて自重、、、
しないわね。姉妹は優しすぎるから。。特に好きな人達や仲間には。。

それと、、菊間君。別に残念がってませんよ。諜報がしたいわけではないので、

今回は早雲准尉の護衛でついてきただけよ。
でもそれはもしかして補給を斯衛が行ってもらえるのかしら、それはありがたいことですが。
政治的な話が、まあこれは南條中将がなんとでもしてくれるでしょうね。
それで私はどうすれば良いですか、戦隊の防諜役の諜報員として。」
と言う。

真木班長「どうするかね...お袋、奈美の事は秘密にできるか?墓場まで持って行く位の奴なんだけど。」
舞香中佐「勿論よ。そ、れ、に、そもそも力を使わせた原因にもなった正宗さんは、勿論!賛同してくれわよね?。」

舞香は即答し、正宗に圧力をかける。
正宗少佐「あ、あぁ...勿論墓場まで持っていこう...。」

ありがたいとことだ。さすが、真木さんのご両親と思った菅中尉。
菅中尉「有難うございます。彼女達は、、、公に知られると、、、政治的に利用されたり、
実験道具にされたり、下手をすれば某国に引き渡され最悪な事になりかねません。
ですからそうしていただけると助かります。」

ふぅと一息ため息をついて。
菅中尉「無茶ばかり。。これは、、さすがに南條中将には報告しておかないといけませんね。。。」

正宗少佐「そんな危ない橋を彼女は...、菅中尉。この秘密は外部に漏らさない事を固く誓おう。
実の娘を蔑ろにしていた私が言える立場ではないがな。」

真木班長「全くだぜ...。」
舞香中佐「まぁまぁ2人とも、中尉。そこらへんのことお願いしてもいいかしら?」

菅中尉「有難うございます。お二人のお言葉を信じます。はいちゃんと考慮して報告しておきますわ。
後日南條中将から話がありましたら良しなにお願い致しますわ。」

舞香中佐「えぇ頼むわ。あら、大変。この後戦術機の新規武装考案の会合があったわね。
ごめんなさい沙奈江、そんなに時間掛からないと思うから。」

真木班長「おいおい...、分かったよ。」

こうして話は終わり舞香と政宗は研究所に戻った。
そして夕方頃。

客間に寝かされていた奈美は夢を見ていた。
晴輝と亜紀が良くやったと、でも自分の体の事も慈愛しなさいと。


 

涙を流し、覚醒する。
奈美准尉「(お父さん、お母さん。。。)、あ、私。。倒れたんだ。」
と頭がズキっとして頭を押さえる。」

真木班長「やっと目が覚めたかい。お寝坊さんだね...。」
沙奈江は奈美の横でタバコを吸っていた。

真木の表情が晴れた感じにみうけられた。
奈美准尉「、、、真木さんごめんなさい、余計なことをしてしまいました。
お父様とは話し合えたのですか。」

真木班長「あぁ、前よりかはまともに話し合えたさ。結果的に言葉足らずが過ぎる冷たい奴と言う事でケリがついた。
少なくとも、愛情はあった事は認めたよ...、ったく癪だね。
これならいっそのことない方が吹っ切れたかも知れないってのに...。」

あ、これは失敗させてしまったのかと気を落とす奈美。
奈美准尉「私の行為は余計な事だったでしたか。。。申し訳ありません。
それでも、私。家族とは仲良くしてほしいと思います。だから、だから。」
頭の中が混乱して、真木の思いを汲めなかった奈美は愕然とし、真木に抱き着き咽び泣く
奈美准尉「ごめんなさい、結局私は真木さんの家族を駄目にしてしまったのですね。。。」

真木班長「何を言ってんだい?家族関係は前よりも良くなったんだよ?
前から、何を聞いても頑なに答えなかったクソ親父が初めて自分の心情を話したんだ。奈美、アンタには感謝してるよ。」

その言葉にホッとする。
奈美准尉「それなら、良かったです。真木さんのお役に立てたなら。お父様冷たい方じゃなかったですよね。
思いははっきり聞こえました。あ、、、でも能力を使ってしまいました。
まずはお二人に秘密にしてもらわないと。。ご両親に今からお会いできますか?」

真木班長「それに関しては心配は要らないよ。あの後、菊間と菅中尉を偶然見つけてね。
2人を巻き込んで、すまんが先に両親にバラして約束させた。会うなら後日になるな。」

奈美准尉「、、、そう、ですか。お忙しいですものね。お二人とも。
その時は亜美姉さんと一緒にお伺いしてちゃんと話さないといけませんね。
私のせいで亜美姉さんまで危険にさらしてしまった。。真木さんのご両親なら大丈夫だと思いますが。。


菅中尉さんが来られてたんですか、、、もう亜美姉さん本当に心配性なんだから。でもうれしい。
ちゃんと考えてくれてたんですね。あ、ではもう戻らないといけませんね。妹さんにお会いできなかったのは残念ですが。」
とふらつきながら立ち上がる。

真木班長「おっと、無理すんな。」
奈美を支える沙奈江。

真木班長「アイツは大丈夫だ、話に聞く限りじゃ今ん所忙しいみたいだしまた今度だな。
よっしゃ、帰るか〜。」

支えられた奈美は真木の温もりを感じて少し苦しそうだがほほ笑む。
奈美准尉「あ、有難うございます。そうですね。また後日。。。素敵なお父様とお母様ですね。」
と支えられつつ真木家を出る。

そして少したった頃。二人を遠くから見ている軍人らしき人物たちが話している。
??「ターゲットはあの准尉らしいな。しかしそんな眉唾な謎能力もっているのか。」
??「と言う話ですが、確認しようがないですね。」


??「ふむ、今回は確認だけの命令だったが少し、試してみるか。」
とサイレンサー付きのライフルを取り出し、スコープ越しに真木を狙う。
??「た、隊長、ターゲットが違うのと斯衛に手を出すのは。」
??「大丈夫だかすらせる程度だ。」

真木に支えられながら少しまだ頭がぼおっとしているが誰かが何かを言っているのが聞こえる。
はっとして、真木に抱き着き姿勢を低くさせて守るように言う。
奈美准尉「真木さん、危ない、伏せて。」

真木班長「ちょ!どうした奈美っ!」

瞬間、銃弾が近くを掠めた。

真木班長「狙撃!ふざけんな、此処は将軍の膝元だぞ!こんな事すれば斯衛が...いや奈美大丈夫か?」

冷や汗をかきながら震えながら答える。
奈美准尉「だ、大丈夫です。まだ来ます。動かないで。」
とそのまま真木をぎゅっと抱きしめる。
もう一発は当たりそうになったたがそこに菅中尉が割り込んで入り、
カバン式の防護楯を展開させる。

菅中尉「奈美准尉、無茶しちゃだめよ。あなた護衛対象でしょう、早く真木大尉、奈美准尉を連れて基地に戻って。
ここは私が何とかしますから。」

ぐったりとしているが、それでも真木を抱きしめる。
絶対に真木さんには負傷させないという思いで。

菅中尉「菊間君いるんでしょう、こっちはなんとかするから敵を排除して。」

菅中尉がそう言った直後に銃声が鳴り、その後は銃弾が飛んで来なかった。

菊間整備兵「全く、油断も隙もあったもんじゃないな。」

狙撃地点には、既に菊間が到着しており持っていた拳銃でライフルを撃ち抜き、破壊していた。

菊間整備兵「君達なら知ってるはずだけど、此処らへんは城内省の工作員がいるんだよね。
私以外にも今此処に来るけどどうする?
私とやり合う?それとも尻尾巻いて逃げるかい?」

??「く、斯衛の犬が、しくじった。貴様らにはそのうちうち痛い目を見てもらう。
ここはおとなしく引かせてもらう。」
と言って尻尾を巻いて逃げ出す。
??「(、、、しかしこれは思わぬ情報が手に入ったな。事を起こすときには
あの戦隊と姉妹は厄介だ。なにかしら手を打たねばな。)」
と考えながら引いていく。

菅中尉「、、、ふう。さすがね。菊間君。すでに動いていてくれてたのね。」
と、しゃべっていると、ドサッと奈美が倒れる。苦しそうな表情をしている。
さすがに1日に2回も能力を使ってしまい動けなくなる。

菊間整備兵「あらら、奈美ちゃん大丈夫ですかね?」

そう言う菊間を尻目に、真木は奈美を抱き起こした。

真木班長「菊間、一応聞くが連中を追わないのか?」

菊間整備兵「ええ、新たな情報を手に入れる為に泳がせました。
本当ならとっ捕まえたいですが、ありゃ情報吐いてくれないでしょうし、
それに私の考えが正しければあれは陸さんのクーデター派でしょう。既にマークは付けてます。」

菅中尉「そう、それなら仕方ないわね。ああもう、もっと自分の事を大事にしてほしいわ。
早雲姉妹は。特に奈美准尉。真木大尉をどうしても助けたかったのね。。。
気持ちはわかるけど。。。優しすぎる。だから守ってあげたいのだけど。」

菅中尉「これ、たぶん真木大尉を狙ったんじゃないわよね。ここで斯衛とことを起こす気は
ないと思うし、試したのね、奈美准尉を。。。」

菊間整備兵「...確かに、こりゃ捕まえるべきだったかなぁ。

まぁ逐一監視はしてますから、大事になっても対応はできますよ。」

菅中尉「、、、そうね。基本戦隊の基地にいれば姉妹は安全だと思いますし、戦闘中であれば、
少なくとも内輪もめしないと思いますから。
基本今後は奈美准尉は基地の外に出さない方がよろしいかと。


ああ、南條中将に報告するのが悩ましいわ。手を打ってくれるとは言え、
危険にさらせてしまった。」

真木班長「反省は基地に帰ってからにしてくれ、私が奈美を抱えるから、2人は車を回してくれ。」
菊間整備兵「了解です姉御。」

こうして4人は戦隊の基地へ戻った。
奈美は即入院。

戦隊長室で真木から報告をする、亜美達

(事情をしっている橘副官や上月副官、凜大尉と奈月少尉、ゴースト准尉もいる)が

それを聞いている。
そこに奈美を処置した司軍医長も合流する。

真木班長「...と言う訳だ、飛んだ帰省になっちまったよ。一々タラレバを垂れても仕方ない。」

奈月少尉「真木さんは大丈夫だったんですよね?」



真木班長「あぁ、奈美のおかげだよ。菊間、ちゃんと追跡しているんだろうね?」
そう菊間に聞いた。

菊間整備兵「抜かりなく、連中の正体は分かり切ってますし此処からはこちらの仕事ですよ。」

亜美戦隊長「、、、そう。奈美はちょっと自重してもらわないと。。。でも真木さんのお父様の件や、
自分のことで真木さんを負傷させたくなかったのでしょう。私でも同じ事をするわ。
目を覚ましたらなんて言えばいいのか。しかし、三芳中将の気にしていたことが起こってしまうなんて、
菅中尉にはそのまま南條中将の所に行って報告してもらってます。


菊間整備兵、今後は共闘していただけると助かります。そのあたりは菅中尉とよく相談してくださいね。
で、司軍医長奈美の様子はどうですか?1日で2回も能力を使ったことなんてなかったし、
どうなるか、、」
と心配している。やはり奈月かゴーストを付けるべきだったと後悔している。

司軍医長「うん、奈美ちゃん苦しそうにしてたから鎮痛剤と、睡眠薬飲ませせて
寝かせたよ。肉体的には大丈夫そうだけど。。。精神的にはわからない。
精神が持てばいいけど。」
どこればかりはわからないとお手上げと言う。



真木班長「菊間、やはり今からでも連中をとっ捕まえて...。」

菊間整備兵「姉御、それは出来ません。此処でそれをしたら泳がせた意味が無くなり、

トカゲの尻尾切りになります。すみませんが耐えて下さい。」

亜美戦隊長「、、、そうですね。私も真木さんと同じ考えです。
軍刀で切り刻みたいぐらいです。でも、ここは南條中将と菊間整備兵にお願いします。」
と怒り心頭ながらに言う。

静かに聞いているゴーストであったが心の内では亜美と同じく怒り心頭であった。
ゴースト准尉「(、、、一人なら出向いて殲滅してきてもいいけど、今はやっては迷惑がかかるなこれ。。。)。」
とおとなしくしている。

菊間整備兵「勿論です。少なくとも、将軍様のお膝元である仙台で斯衛軍人を狙ったんです。
城内省は躍起になってますし、私の飼い主からも南條中将と協力して今回の件を行った一派の逮捕を命じられてますので。」

菊間整備兵「ゴースト准尉、その怒りは閉まって下さい。バレバレですよ?」

ゴースト准尉「、、、今はおとなしくしてますが、いずれ仕返しの場は設けていただけるのですよね。
それならおとなしくしておきますよ。」
と答える。

亜美戦隊長「そうですね。菊間整備兵それでお願いいたします。
、、、しかし私たちがいては迷惑が。実際真木さんにも。。やはり私たちは。。」
と悩む亜美。

真木班長「はぁ...亜美、今更な事を言うんじゃないよ。これを覚悟して此処にアタシ達はいるんだ、
それを言うのは、アタシ達をバカにすると同じだよ?」

亜美戦隊長「、、、申し訳ありません。覚悟はすごくうれしいですし実際私たちを助けてもらってます。
ですが、、でも有難うございます。」
と悩みつつも答える。

真木班長「ですがもないよ、アタシ達は家族だろ?
支えて、支えられてなんだから一々抱え込むんじゃないよ...。言いたいなら言いな?」

亜美戦隊長「、、、そうですね。家族ですから。だから私たち姉妹はみんなを傷つけたくないですし、
失うことはしたくないです。もうあんな思いは両親だけで十分です。」
とぽつりぽつりと話す。

真木班長「その気持ちは嬉しいけど、アタシ達は守られる存在じゃない。
同じくらい2人を守りたいんだ、佐渡島の件は2度とごめんだよ。」

亜美戦隊長「はい、もうあんなことはしません。必ずみんなに相談します。
でも緊急時には奈美と同じことはしてしまうかも。
それは真木さんだけではないです。みんなもですよ。
奈月も大好きな妹、家族よ。だから考えるよりもそう動いちゃう、奈美もだからそうしたと思います。」

真木班長「あぁ、そうしてくれ。菊間、亜美とゴーストの件、分かってるよな?」
菊間整備兵「勿論、ちゃんとその機会は用意しますので。」

ゴースト准尉「その機会の時はお供いたしますよ。最低限ぶん殴るぐらいしないと気がすみません。」

亜美戦隊長「じゃあ、話はここまでね。でも真木さんとお父様上手くいって良かったです。
私も今度正式に詫びに行かないと行けませんね。
真木さん私も今度連れてってくださいね。」
と伝える。

真木班長「あぁ、勿論連れて行くさ。」

場所は変わり、南條中将の執務室へ。
菅中尉が報告をしている。
菅中尉「、、、と言うことがありました。とりあえずは早雲准尉の状態は不明です。
こんなに短時間に2回も能力を使ったこともなく、どういうことがあるかは司軍医長は不明とのことで
今はまた倒れて鎮痛剤と、睡眠薬飲ませせて寝かせています。とのことです。」

南條中将「ご苦労菅中尉。それにしても、可能性として考慮はしていたがまさか実行するとはな...。

全く、阿呆の考える事は理解できん。」



菅中尉「まさか、斯衛の、しかも将軍殿下のおられる所で銃をつかうとは、、
それほどの危険を冒してでも知りたかったのかと。。しかしこれで一部姉妹の情報が漏れてしまいました。
真木家は墓までもっていって口を閉じていただけるとのことで、ご両親の方々は信用できますが。


姉妹は優しすぎます。自分たちの危険をわかっていて、ここまで。
どうにか守ってあげたいですが、、このままでは厳しいですわ。
とりあえず、早雲准尉は当面戦隊の基地かここ以外には出さない方がよさそうです。
危険すぎます。」

南條中将「勿論、そのつもりだ。
だが、彼女達がそれを分かっていてくれているのか...。情報はいつか漏れる。問題はその連中の対処だよ。」

菅中尉「そうですね。彼女たちにもちゃんと解ってもらわないと。でも、親しい仲間のためなら自重しないでしょうね。
そもそも陸軍でもこんな内部分裂してる暇があるなら
ちゃんとBETAとの戦いを意識してほしいです。ですが、、、ことは姉妹たちだけではなく
もっと大きなことを起こそうと画策しているのが怖いですね。
アメリカ軍も撤退してしまいましたし。。。」

南條中将「あるいは、米国の裏工作か...これは解決するのは長引く事を覚悟せんとな。」

菅中尉「アメリカの介入ですか、、まさかこれは大事になりそうですね。
姉妹に興味があるのでしょうか。できれば静かに生活させてあげたいですが。
西大尉にもちゃんと話して、そのあたりは何かできるといいですが。」

南條中将「私も慎重に立ち回らないと行けなくなる、厄介なこの上ない。」

菅中尉「わかりました。私も今まで以上に慎重に立ち回り戦隊の防諜に努めます。
何かあれば姉妹に伝言しておきますが、もしくは直接早雲准尉のお見舞いかねて
行きますか?」

南條中将「いや、私が行っても何もならんだろう...今はそっとしよう。」

菅中尉「そうですか、、すくなくとも姉妹は喜ぶと思いますが、、
執務も多忙そうですから、、無理強いは致しません。
では、報告は以上となります。」

南條中将「あぁ、護衛任務ご苦労。何かあれば逐一報告を頼む。」

菅中尉「承知いたしました。では戦隊の基地に戻ります。」
敬礼をして退出する菅中尉。
(これは、また一波乱ありそうな気配ね。その時は私で姉妹を守ってあげられるのか、、、)
と思いつつ基地に戻る菅であった。

翌日、戦隊の医務室の病室にて
看護兵「あ、どうやらそろそろ早雲准尉覚醒しそうですよ。」
と心配してきている真木大尉、奈月少尉、ゴースト准尉に伝える。

奈月少尉「奈美...。」

そう呟き俯く奈月。真木はため息を漏らした。

真木班長「ったく、お寝坊さんだな...心配したよ。」

奈美准尉「、、、う、私。。。??ここはどこでしょうか??」
ゴースト准尉「??奈美さん、だ、大丈夫ですか?」

奈月少尉「奈美!良かった...!」
目が覚めた奈美を、奈月は抱きしめる。

真木班長「コラ、奈月。奈美は起きたばかりだぞ?少しは加減しな。奈美、体調はどうだい?」

戸惑いの表情を見せる奈美。
奈美准尉「??い、痛いです。申し訳ありません。どちら様でしょうか。
もしかして私を助けてくれたのですか。有難うございます。」
普段のように優しそうな顔をしつつ皆を怯えつつ見る奈美。
ゴースト准尉「な、奈美さん?冗談ですよね。。💦」

奈月少尉「え...奈美、嘘だよね?」
驚く奈月に、真木が割って入る。

真木班長「奈美、何を言ってるんだい?アタシ達が分からないのかい?
ヤブ医者...明日香はどこにいるんだ!」

そして気が付く奈美。
奈美准尉「??、、、そもそも私、私は誰なんでしょうか。」
愕然とした、困惑した表情を浮かべる奈美。

いつものように一升瓶を持ち歩き、ふらふらしながら扉をバーンと開けて病室に入ってくる司。 
司軍医長「沙奈江ちゃーん、呼んだー?お、奈美ちゃん起きたの?良かったねー。これは呑まないと。」

真木班長「んな事してる場合か!奈美の記憶が吹っ飛んでんだよ!
とりあえず診ろ!アタシは亜美を呼んでくる!」
そう言って司の一升瓶をぶんどり、亜美の元へ真木は向かった。

司軍医長「え?奈美ちゃんなんかあったの?ていうか一升瓶分捕らないでよ(泣)」
といいつつ、奈美を触診し始める。
司軍医長「、、、取り敢えず見た感じで違和感があるのは、、髪色が白色に少し見える。これなに?
特には何もおかしな所はないけど、精密検査するかな。奈月ちゃん奈美ちゃんどんな感じ?」

奈月少尉「それが、自分の事さえ分からない位記憶をなくしているみたいです...。」
変わらず俯きながら、奈月は答えた。

司軍医長「うーん、見た感じは特に問題なさそう。ただ人造人間だから。。なんとも言えない。
精密検査してみるか。看護兵、奈美准尉の精密検査するら準備して。」

看護兵A「承知しました。軍医長。」
と司軍医長と駆け足で病室を出ていく。

ゴーストは近寄り、ベットに横たわってる奈美の視線に合わせて膝をつき、
優しく愕然とした奈美に話し、手を握ろうとする。
ゴースト准尉「大丈夫ですよ、ゆっくり休めば思い出しますよ。」

ゴーストを見た奈美は何かを思い出したのかビックっとし震えて錯乱する。
急に奈月に抱き着きガタガタ震えてゴーストを拒否する。
奈美准尉「嫌、、嫌。来ないでください。もうあんな事は嫌ぁぁぁぁ。」

ゴースト准尉「(、、、この拒否感もしかして、前世の記憶が、、だとしたら俺はここにいちゃいけない。)」
泣きそうななんとも言えない顔をして、奈月に託す。

ゴースト准尉「、、、奈月さんあとは頼みます。俺はちょっとしばらく一人で任務を行います。
でも奈美さんの近くで見えないところで護衛兵は継続しますので。」
と悲しそうな表情をして病室を出ていく。

奈月少尉「ゴーストさん!。」
そんなゴーストを止めようと声を掛けるが、聞いてくれなかった。奈月は奈美を抱きしめる。

奈月少尉「大丈夫、私がいるから。大丈夫、だから今はいっぱい泣いて良いよ?
(ゴーストさん...、此処にいるべきなのは私ではなく貴方ですよ。
確かに前世の記憶で怯えていても、奈美の側にいるべきなのは貴方だよ。)」

ガタガタ震えながら泣きながら奈月にすがる奈美。
奈美准尉「嫌、嫌、痛くしないで、もう嫌、殴らないで、もうああ~止めてぇーーー!!!!。」
そして、何かぶつぶつと言っている、言葉はわからないが、おそらくロシア語に聞こえた。


奈月少尉「奈美...私は、どうすれば良いんだろう...。」
奈月は奈美を抱きしめる事しかできず、悩んでいた。

そこに司と看護兵が戻ってきて
司軍医長「ありゃ、ちょっと錯乱してるね。しかたない、鎮静剤と睡眠導入剤投入するか。」
と奈美に投与する。

奈美は怯えて震えながら泣きながら目を閉じ眠る。
司軍医長「奈月ちゃん、奈美ちゃんを精密検査で連れていくね。」
と奈月の手を握っている手を放しストレッチャーで連れていく。

さらに入れ違いで真木と亜美が入ってくる。
亜美戦隊長「奈月、奈美は、奈美はどうなの。やはり無理をさせ過ぎた。ああ。」
と愕然とする。

奈月少尉「はい、私は何も出来なかったです。」
亜美の目を見れず、またもや俯く奈月。そんな彼女の肩を真木は叩いた。

真木班長「何言ってやがる、奈美の側にいて寄り添ったんだ。出来てるじゃねぇか、偉いぞ奈月。」
奈月少尉「真木さん...。」

みんなの前で動揺したことを後悔して、普段の表情に戻る。
亜美戦隊長「いや、何もできてないわけじゃないわ。奈美を妹をちゃんと抱きしめてくれた。
それでいいのよ、できることはあるわ。で、聞きたいのは奈美はどんな状態だったの
私に何かできることがあるかもしれない。だから真木さんが出てからの事を聞かせて。」

真木班長「恐らくだけど言動から見て、例の能力の使い過ぎで記憶が吹っ飛んでいるみたいだ。
少なくとも戦隊の記憶は丸々無いみたいだね。」

奈月少尉「前世の記憶が蘇ったのか、錯乱していました...。」

亜美戦隊長「そう、昔から能力を使った時は具合が悪くなってよく伏せていたけどそれもこんなことはなかった。
真木さんや奈月を助けた時や中国地方防衛戦時はあれは3週間ぐらい?の間で3回も立て続けに使った時は倒れた。
それでもここまでででは。

さすがに1日に2回もは無理がたたったのだと思うわ。原因は解らないけど前世に記憶がシフトしたのかも。
私たちはもしかしたらその記憶が基本にあるのかもしれないわ。
それだと、回復はしないでしょうね。ただ、、私にできることはあるかも。」

そこで寂しそうにしながら。
亜美戦隊長「私たちは人では無い、だから記憶を渡すことができます。ちょっと違うけど
上月副官を目覚めさせた時のようなことをすればあるいは呼び戻すことができるかもしれない。

ただ、その時はまた私が倒れるとと思います。その時は西大尉と凜大尉に指揮権を一時的に
渡すので、真木さん補佐をお願いできますか。」

真木班長「応よ、アタシも大尉だしね。任せときな。」

亜美戦隊長「有難うございます。では司軍医長から話を聞いてからどうするか決めますので、
所で、ゴースト准尉は?一緒にいたのでは?」

奈月少尉「悲しい顔をして、出て行きました。恐らく、あの状態では自分がいたら逆効果だと思ったかもしれないです。
奈美に一番寄り添えるのは、ゴーストさんだけなのに...。」

はあ、と悲しそうな顔をして
亜美戦隊長「、、、そうか。いつまでも前世の記憶が呪いのように私たちに付き纏う。
もういい加減何とかしないといけないのだが、私も振り払えてはいないのですよ。リビングデットと言うのかな。。。
ふとたまに深夜執務に追われていて寝落ちした時に思い出し、私は戦術機ごと喰われた。

あの最期と研究者たちの扱いに何度絶望したことか。。でも私には紫音がいつもいてくれた。
助けられた。ゴースト准尉もそうしてほしいと思う。だが、私とは状況も違う。
記憶が戻ったとしても、しばらくは二人は離した方がいいのでしょうか。」
と悩む亜美。

真木班長「いや、二人一緒にさせるべきだ。あの二人で警戒小隊なんだ。
解決するのだって、アタシらができる事じゃない。
二人で乗り越えなきゃ行けない事だと、アタシは思うよ。」

亜美戦隊長「そう、ですよね。二人で乗り越えないといけない事ですよね。
私も紫音と乗り越えて見せます。
でもまずは記憶を呼び戻すまではしばらく専属で奈月少尉にお願いしようかと思います。

いい?奈月。そのあとは奈月とゴースト准尉でいつものように護衛兵は回します。
で、いいですかね。真木さん。」

真木班長「良いんじゃないか?奈月はそれで良いか?」
奈月少尉「はい、大丈夫です。」

亜美戦隊長「真木さん有難うございます。奈月、奈美は奈月を慕っている。だからそばにいてあげて
ごめんね。本当は私がすべきなのだけど。。。」

とそこに司軍医長が看護兵を伴ってストレッチャーで奈美を連れてくる。
ベットに寝かせて、みんなに伝える。
司軍医長「結果から言うと、何が起きてるのかわからない。体には異常はなさそうだけど。
たぶん、精神的にかなりなことが起こって混乱してこうなったんじゃないかと思うけど。
普通に生活はできるけど、、、記憶が戻るかは解らないね。どうしようかなあ。。」
とお手上げ状態な事を言う。

真木班長「なるほど...ここからは亜美、アンタだけが頼りになるね。頼んだよ?」

亜美戦隊長「とりあえず今日は夜になったので様子を見て明日落ち着きを取り戻していたらやってみます。
奈月お願いできる?奈美を。奈月の思うようにやっていいから。」
と言う。

奈月少尉「分かりました。」

そしてみんなが解散して、奈月のみが残り奈美は睡眠導入剤が聞いて眠り続けている。
苦悶の表情を浮かべてロシア語で何かを呟いてる。

奈美准尉?「Это тело мое, и я верну его тебе. 
Ты должен исчезнуть.」
(訳:この体は私の物、返してもらうわ。アンタは消えなさい。)

そしてそれに対して優しい声が誰かに助けを求めているよに見える。
奈美准尉「Нацуки-сестренка, пожалуйста, 
помоги мне, я исчезаю. Мне это не нравится.」
(訳:奈月お姉ちゃん、助けて私、消えてしまう。こんなの嫌。)

ロシア語は解らないが、奈月には一つ理解できて聞こえたような気がする。
奈月と。。。

奈月少尉「え...今私の名前を...?だって、記憶がないんじゃ...。」
困惑する奈月。

記憶は失ってはいるが、奈美は夢の中でもう一つの人格に支配されそうになり苦しんでいた。
でもなぜかその名前が出てきた。なぜだかわからないでも。。
とても素敵な方で頼れる姉のような気がして言葉が出たようだ。

奈月は奈美の手を握る。
奈月少尉「奈美...私がついてるから...大丈夫だから...。」
そう言って、寄り添っていた。

そうするとその思いが伝わったのか、苦しそうだったのが安らかな表情になって
寝息を立てて静かになった。嬉しそうな顔に見えた。

奈月少尉「...これで良かったのかな?とりあえず落ち着いて良かった。」

そして同じころ、戦隊基地の外で桜の木の横で体育座りをして顔を膝にうずめて泣いているゴースト。
ゴースト准尉「(たらればでいまさらだけど無理やりついていくべきだった。いつも後悔ばかり。
どうしよう、不甲斐なさすぎる、、、今の俺じゃあ何もできない。)」

と、そこに八島准尉が来る。
気配を感じて目をごしごしして頭を上げる。

ゴーストの泣いている表情を見ていなかったと感じで隣に座り話しかける。
八島准尉「、、、大変だったな、早雲准尉。聞いたよ。何があるのかわからんけど、男性はとりあえず近づくなと言われたよ。
貴様はいつも一緒なのにここにいるという事はよっぽどのことがあったんだな。
まあ、飲めよ、何ができるかわからないけど。一緒に考えよう。」
と合成ビールの瓶をわたす。そばにいてくれる、同期の桜の戦友、ありがたいことであった。

ビール瓶を受け取りちびちび飲む。
ゴースト准尉「うん、ありがとう。しかし、こればっかりは。。。どうするべきか。
しばらくは一人で任務を行って様子は見るけど。」

八島准尉「そうだね、そうしよう。みんな心配してるし何か対応してるよ。
何、大丈夫だよ。また二人でやっていけるさ。」



こうして夜はふけていった。
翌日戦隊の指揮権を一時的に西と凜に渡し、亜美と真木が朝早くに奈美の病室に行く。
司軍医長も来た。

亜美戦隊長「奈月ありがとう。奈美は今落ち着いてる、これなら戻せるかもしれない。
じゃあ、後の事はみんなにお任せしますね。」
と真木と奈月と司を見て言う。

真木班長「おう、任せときな。奈月、頑張ったな。」
奈月少尉「亜美さん、私が言うのもなんですが、奈美をお願いします。」

亜美戦隊長「もちろんよ、私の二人とも可愛い愛すべき妹だもの。絶対に戻してみせるわ。」
と言い奈月の頭を優しくなでる。

そして奈美のベットの横に座り、奈美を抱き起し両手を奈美のほほに当ててさらに自身の額を当てる。
自分の記憶と奈美の戦隊での現世の思い出を奈美に精神的に伝える。
亜美戦隊長「(奈美、戻ってきてお願い。みんな悲しんでる。優しいあなたを待ってるわよ。
このままさよならは悲しすぎる。今の世界に戻ってきて。苦しいこともあるけど、それでも
前世よりはましよ。大丈夫私がフォローするからもどってこれるわよ。」

と、10分ぐらい無言の時間が過ぎたころであろうか、ピクっと奈美が反応して目を覚ます。
奈美准尉「あ、私、??、、、ああ亜美姉さん、ごめんなさい。戻ってこれました。」
と泣きながら亜美を見る。
その亜美はそのまま崩れるように奈美の胸に気絶して動かなくなった。

真木が先頭で入ってきた。
真木班長「入るよ。奈美!良かった、目覚めたんだな!」

奈美に近づき喜ぶ真木に、奈月は亜美に近いた。
奈月少尉「亜美さん、お疲れ様です。ベッドに行きましょう。」
奈月は亜美を担いだ。

奈月に運ばれて亜美はそのままベットに横になった。
仕事の激務からかいびきをかいている。だか苦しそうではなさそうではあった。

奈美は喜び真木に抱き着く。
奈美准尉「よかった。真木さんを護れた。ごめんなさい。狙われていたのは私だったのです。
それを能力を見たかったみたいで、真木さんを危険にさらしてしまいました。ごめんなさい。」
とひたすら謝る。
こんな時でも真木を心配し謝罪する奈美であった。

真木班長「謝る必要はない。アンタが無事ならそれで良いんだよ。」
そう、優しく言った。



奈美准尉「ありがとうございます。皆さんのおかげで戻れました。
それと奈月お姉ちゃん、寝てる間に私、苦しんでいたけど奈月お姉ちゃんのおかげで
精神が崩壊せずにすみました。本当にうれしかった。有難うございます。

亜美姉さんが助けてくれたのは確かですが、あの時本当に怖かったんです、
心が壊れそうになって、、でも奈月お姉ちゃんは思い出せたのです。」

奈月少尉「うん、力になれて良かった。」


そこに廊下でこそこそ声が聞こえる。
八島准尉「だから、もう大丈夫だよ。行って来いよ。」
ゴースト准尉「いや、でも。、、、また何かあったら。」

八島准尉「(やれやれ、あんだけ夜戦とかでは攻撃、突撃精神旺盛なのにこんな時は、
こうなるんだよな。だったら。)」
と病室のドアをいきなり開けて。
八島准尉「失礼します。(敬礼)お届け物であります。中にいれてやってください。」
とゴーストを叩き込んでドアを閉めて出ていく。

叩き込まれたゴーストはつんのめってみんなの前で悪態をさらす。

ゴーストを見て察した真木は、奈月に声を掛ける。
真木班長「そうだ、亜美を連れて行かないとね。奈月、亜美を担いで別室に行くぞ。」

奈月も気付き、同意する。
奈月少尉「了解です。ゴーストさんは、引き継ぎお願いします。」

そうゴーストに一方的に言って、二人は亜美を連れて出て行った。
ゴースト准尉「いや、あの二人ともいてくださいよ。(汗)。」

二人っきりになったゴーストと奈美は無言になった。
無言に耐え切れなくなり、ゴーストは話す。
ゴースト准尉「、、、もう大丈夫なのですか、奈美さん。」
奈美准尉「はい、皆さんのおかげで。ごめんなさい。私、ゴーストさんを遠ざけてしまいました。」
と申し訳なさそうに言う奈美。

ゴースト准尉「いや、それはしょうがないことです。今はもう大丈夫なの?その、俺がいてもいいの?。」

奈美准尉「はい、大丈夫です。あの時は怖かったですけど。ゴーストさんもそうですが
戦隊の男性の方々はみんな優しいですから。」

ゴースト准尉「それならよかった。おかえりなさい奈美さん。あまり無茶しないでくださいね。
みんな心配してますよ。」

奈美准尉「はい、自重できればいいのですけどでも、、、私にできることはこれしかないのと
皆さんを護りたいので。。」

ゴースト准尉「そんなことないですよ。奈美さんの優しさやサポートでどれだけ
みんな助かってることか。だからね、大丈夫。それよりも自身を労わってくださいね。。」
とお互いにびくびくしながら真っ赤になりながら手を絡ませる。

それを廊下でドアを少し開けて覗いている司。
まるで酒のつまみのようにしながら吞んでいる。
司軍医長「いけ、そこだゴーストちゃん、押し倒しちゃえwww。」
と小声で言っている。

後ろから、真木が司の肩を掴んだ。
真木班長「よう、軍医長。丁度亜美を診て欲しかったんだよなぁ。野暮な事してないで、来やがれ。」

司を無理矢理担いだ。
奈月少尉「そうですよ、邪魔するなら...、撃ち抜きますよ?」
奈月も笑顔で言うが、目が笑ってなかった。

ひきつった顔をしながら真木に担がれながら答える司。
司軍医長「あははは(汗)やだなー、沙奈江ちゃんも奈月ちゃんも目が怖いよ。
私は二人を応援しているだけであって、みゃーーーー、やめてーーーー。お酒は没収しないで~。」
とかなんとか亜美がいる病室に連れていかれたのであった。

こうして真木家はその後家族の中は仲良くなり、真木大尉も憂いなく任務に集中することができたのであった。
END
、、、場所は陸軍のとある基地にて。
??「やはりあの姉妹は特殊な能力を持っているようです。」
??「そうか、ことをなすすときに排除すべきか、あの戦隊を含めて、今後交渉も含めて何か手を打たなければな。
南條中将やら斯衛もやっかいだ。慎重に事を進めていこう。」
きな臭い話があったがまたそれは後日の話となる。