出雲奪回作戦後編

岡山の前線司令部(HQ)までは無事に輸送され、斯衛部隊とともに出撃を開始する。
戦隊は2部隊に別れ、亜美直率の斯衛攻勢部隊の直接支援部隊で出雲方面へ。
また、補給地点ポイントの護衛および陣地構築の工兵部隊を中核とした防御部隊で
作戦を実施する。

亜美戦隊長「戦隊全力出撃!、各中隊、遊撃分隊は所定の作戦通りに斯衛の攻勢支援を行ってください。
ローア1、遊撃分隊は自由に動いてください。我々が支援します。」
と真木には自由に行動させる。



西少佐「第一中隊了解、バロネス1よりディフェンス1、2ついてきなさい。第五砲撃小隊は後方より砲撃支援。
右翼より薙ぎ払いながら前進する。」



凜大尉「第二中隊も了解、左翼から機動戦にてBETA群を突破するわよ。
光線級を見かけたら最優先で吶喊します。ブラックキャット2、ゴースト1行くわよ。ついてきなさい。」
それぞれ中隊長が命令を出す。



真木少佐「了解だシルバーフォックス1!
ローア1から遊撃分隊各機へ、アタシ達が一番忙しいよ!しっかり着いて来な!。」



菅中尉「エイド0了解、ローア1、2の支援を行いながら前進、エイド1行くわよ。」


八島准尉「エイド1了解。支援行動に移ります。

(奈月さんは大丈夫かな。いざとなったらそっちの支援もしたい。)」



奈美が戦域情報を確認し、斯衛と連携を取りながら各戦術機の配置を亜美に確認しながら
各遊撃分隊と中隊に指示を出す。



ここまでは順調であった。斯衛の突破力は抜群で、瞬く間に前線がさらに前に進んでいく。
奈美准尉「順調ではありますが、、出雲方面のBETA群は、どれぐらいの数がいるのでしょうか。。」
と懸念していた。

亜美戦隊長「、、、そこは斯衛に任せるしかない。あとはどこまで奪還できるかだが。
奈美、一度だけ私の許可なしでやりたい事していいわよ。斯衛との調整も無視していいわ。
だから電子戦術オペレーターとしてできることを最大限しなさい。」
と言う。

奈美准尉「!!!(亜美姉さん、、有難うございます。)

はい、解りました。戦隊長、有難うございます。頑張ります。」
と答える。

上月副官「...ローア1、コレは不味いかも知れないです。」
彼の感が何かを感じたのか真木にそう言う。

真木少佐「...気のせいだと思いたいが、確かに順調過ぎる。何か来ると考えるべきだね。
ローア1よりシルバーフォックス1!其方は異常ないか!逆にないなら気を付けてくれ!。」

戦域情報を見ていた奈美。
嫌な感じがする。前線HQの防衛部隊が少ない、それに後方に何か。。
奈美准尉「戦隊長!ローア1の内容を確認しましたが嫌な感じがします。」

即座に真木に伝える亜美。
亜美戦隊長「シルバーフォックス1よりローア1。今のところ、順調ですが、ゴースト0が気になることを。
HQとの間が開き過ぎなのと後方に何か嫌な気配があると。」

真木少佐「そこから増援が来る可能性ありか...アタシ達が様子を見にいく。
挟撃されたら不味いからね。」

そうこうしているうちにいきなり前線HQの反応が消え、前線でもHQあたりの後方にもBEATが大量に出てきて乱戦になる。
かなりの数で斯衛は各個撃破されて行く。
そして奈美にある意識が流れ込んでくる。

??「(沙奈江すまない、やはりこの作戦は問題があり過ぎた。私は、部下を守らなければ。)」

奈美准尉「(う、この方は、。頭が痛い。この思いは。もしや真木さんの同期の方の。」
即座に亜美の許可を受けずに真木に伝える。

苦しそうに伝える奈美。
奈美准尉「、、、ローア1、真木さん。すぐにこの座標地点に。真木さんの戦友さんが危険な状態です。
え、、、要塞級が4体も、早く行ってください。」
いきなりあらわれたBETA群に絶望的な顔をして伝える。
亜美は黙認してそれを許可する。

真木少佐「何...戦友...恭子が!ありがとう、ローア1はコレより友軍救助に急行する!。」

真木の武御雷はすぐさま反転、急行した。


すぐに亜美は戦隊の配置を変える。
亜美戦隊長「(この移動では、機動戦重視の方が良さそうね。)シルバーフォックス1よりブラックキャット2、ゴースト1
ローア1、2について行きなさい。エイド1、2はブラックキャット1の指揮下に変更。
第五砲撃小隊はゴースト0の指示に従い、ローア1、2の進路上のBETAを砲撃で薙ぎ払え。」
と伝える。

ゴースト准尉「ゴースト1了解、ブラックキャット2行きましょう。時間が惜しい。
最大戦速で突っ込んでローア1、2の道を開きましょう。」

奈月中尉「ブラックキャット2了解!勿論!この為に私達はいるんだから!。」

奈美准尉「承知しました。ゴースト0より第五砲撃小隊、照準設定を遊撃分隊の前に設定。
砲撃支援にて進路を誘導します。この情報内容で、徐々にずらして砲撃支援をお願いします。

第五砲撃小隊長「了解、ゴースト0の指示に従う。」





ゴースト准尉「その通りです。ゴースト1吶喊します。どけええBETAども。道をこじ開ける。」
と57mmG3-SG1多目的突撃砲を3点バーストで撃ちながら背中の突撃砲を使いつつつ銃剣でどつきながら前進する。
また後ろからは奈美准尉指示する第五小隊の精密砲撃支援がローア1達、遊撃分隊の前に着弾しBETA群を粉砕して行く。
そして巧みに弾着地点をずらしながら目標移動ポイントへ誘導する。

ゴースト准尉「さすがだゴースト0。この砲撃での着弾で味方に被害は出ていない上に目標ポイントへ誘導するとは。
ローア1、2目標ポイントへは道は開かれた。行ってください。背後はブラックキャット2と必ず護ります。」

奈月中尉「ローア1!後ろは気にしないでください!。」
奈月も得意の機動戦でBETAを蹴散らしていく。

真木少佐「ありがとう...間に合わせてみせる!」

上月副官「ローア1!貴方の後ろは大丈夫です、恭子様の元へ行って下さい!」
上月もそう叫んだ。



真木少佐「上月...。」

上月副官「振り返る暇があれば直ぐに行け!親友を、同期の桜を、我らが戦友を...今度こそ...!。」

真木少佐「あぁ当たり前だ!頼むよ!」

こうして真木と上月は崇宰大尉が指揮する部隊の所まで行くことが出来たが、
すでに戦線は崩壊し、崇宰大尉の機体は、損壊し指揮下の部隊を撤退させていた。

真木少佐「恭子!無事か!返事をしやがれ!。」
そう叫びながら崇宰の周りにいるBETAを殲滅しながら言う。

崇宰大尉「、、、う。沙奈江か。まさか来てくれるとは。私はもう駄目だ。捨て置け。
皆は。唯依達は撤退出来たか。。」

真木少佐「っ!ふざけんな!アタシが来たんだ、絶対連れ帰ってやる!動けるか?。」
そんな事を言う崇宰に真木は切れながら答える。

その言葉を聞きながら恭子は少し前までは震えながら泣いていたが。
崇宰大尉「やはり、沙奈江の言葉を聞くと元気になる。貴様は、生きて戻れ。。」
とそこで機体からの通信は途切れる。
バイタルチェックもかなり怪しく反応はとぎれとぎれになる。

真木少佐「恭子、おい!まさか...。」

真木は直ぐ様、崇宰の機体の管制ユニットをこじ開けた。
乗っていた崇宰は重症、真木は直感で分かってしまった。

真木少佐「こ、コレじゃあ...いや、まだだ。死なせてたまるか!。」
そんな直感を押し殺して、自身の武御雷の補助シートに乗せて急発進した。

真木少佐「ローア1よりシルバーフォックス1へ!
要救助者を確保!医療班を、医療班の準備をしてくれ!
おい恭子!生きてるよな!もう少しの辛抱だから!気をしっかりしてくれ!。」

しかし、急発進の機動に体がついて行かず、恭子は気を失う。
亜美戦隊長「!!!、シルバーフォックス1了解。

ゴースト0、補給ポイントの医療班に至急重傷者衛士ありの連絡と手配を。」

奈美准尉「了解です。すぐに手配します。(やはりこれが変えられないことなのでしょうか。
いえ、絶対に助けてみます)。」
と泣きそうになりながら手配する。

なんとかBETAを蹴散らしながら奈月やゴーストがいる地点まで撤退するが、恭子は持ちそうにはない。
真木少佐「恭子!。」

真木は異変に気付き直ぐに崇宰を横にさせて、心臓マッサージをする。

真木少佐「恭子!アタシはまだ、なにも、何も話してない!
今までのこと、コレからのことだって!アタシの親友!アンタはこんな所で死んじゃあダメなんだ!」

彼女の直感が告げる。
手遅れだ、間に合わなかった、助からない...と。
真木少佐「...るさい、うるさい、うるさい!恭子は、助かる。助けてみせる!」

そこで目を覚ます恭子。晴れやかな表情であった。
崇宰大尉「、、、沙奈江私は貴様が嫌いだった。会った瞬間そう思った。
だが、お前と共に学び、修練し共に戦った日々は私にとってすごく羨ましくも新鮮な日々だった。
有難う。、、、私は部下を護れたのだろうか。唯依は、撤退出来たのか。。う、ぐはぁ。」
と吐血しながら真木に最期の力を振り絞って言う。

真木少佐「だったら生きて、生きて自分の目で見やがれ!
アタシも初めて会った時は高飛車な奴だとは思ったさ!でも、アンタ程の友は今後も出てこない!
だから、だから!。」
心臓マッサージをやめ、恭子を抱き上げる。

崇宰大尉「すま、ない。斯衛のみん、な、を頼む。」
恭子は満足そうに、真木に抱きかかえられ安らかな顔をして逝く。。。

愕然とするゴースト。
ゴースト准尉「!!!(助けられなかった。これが、、これがこの作戦の結果か。無念)
ローア1、もう残り推進剤も弾薬もすくない。すみやかに戦隊と合流して防衛地点に転進することを
具申致します。」

真木少佐「な、何言ってんだよ。恭子、助けが、助けが来たんだぞ?なぁおい...おい!何か言ってくれよお姫様!
頼む...頼むから...!。」

真木自身も分かっている筈の事態、だが、真木は親友の死を受け入れず、声を掛けていた。
真木少佐「お願いだ...目を覚ましてくれ...」
真木の目から涙が流れ落ちそうになり、表情も悲壮な顔になっていった。

真木は恭子の体を摩る。勿論何も反応はなく、恭子の体は冷たくなっていく。

そのころ戦隊がいる地点で亜美達は必死に防戦していた。
が、先行している真木達の地点には師団以上のBETA群が押し寄せている。

奈美には痛いほど崇宰大尉や真木の想いが聞こえていた。
奈美准尉「(、、、だめ。変えられない。でも真木さんを死なせるわけにはいかない)
ゴースト0より、遊撃分隊撤退してください。、、、お願いです。真木さん。
師団以上のBETAが押し寄せてきます。」
と弱弱しく泣きそうになりながら伝える。

真木は亜美の通信を、聞き涙を拭って恭子の遺体をゴーストに差し出した。
真木少佐「ゴースト1...崇宰恭子の遺体を持って先に撤退してくれ。
アタシは...殿をやる。」

瞳のハイライトがなくなっている様に見え、そして表情は、一言で言うなら酷いとしか言えなかった。

崇宰大尉の遺体を受け取るが、首を横に振り答える。
ゴースト准尉「、、、(ひどい表情だ。この方を失うわけにはいかない。)

上月副官殿も戻らせるのですか?ならば、自分も残ります。
奈月さん、崇宰大尉殿をお願いします。私はまだ暴れ足りない。殿をするならやはり2人でやるべきだ。
上月副官殿と奈月さんは崇宰大尉殿をちゃんと連れて帰って。」
真木の状態を察して言う。

奈月中尉「そ、そんな!なら私だって残ってBETAを殲滅するべきです。

その方がまだ全員の生存する可能性は上がります!。」

そんな事を言う中で、静かに聞いていた上月は真木を殴りつけた。

真木少佐「っ!何をするんだい上月!。」

上月副官「何をするのは貴方だ!此処で死ぬ気か!恭子様は貴方が此処で死んで欲しいと?
違う!生きて欲しい筈だ!
それなのに、貴方はまた私いや、中隊の皆んなの思いを無下にしたのと同じく、恭子様の思いを無下にするのか!。」

帰って来た上月の怒りの言葉、それはかつて足を無くしてヤケになっていた時の言葉と同じだった。
更に上月は真木に詰め寄る。

上月副官「撤退しましょう!今の貴方じゃマトモに戦闘なんかできない!
貴方の親友を、貴方の手で連れ帰ると言う大役をしてください!。」

ゴースト准尉「、、、そうですよ。くどいようですが、真木さんあなたは戦隊にとってお姉さんであり、母親なんですよ。
崇宰大尉殿もそんなこと望んでません。それにほら。」

上空を見上げると、数少なくなっていた砲弾を全てこちらに回して、第五砲撃小隊の砲撃が再開されている。

ゴースト准尉「戦隊長も奈美さんもあなたの為に必死になっている。
これ、力を使ってますよ。あなたはあの二人を廃人いやもしかしたら死なせたいのですか。
それでも狂い死したいのでありますか?」
と自分も死にたがってはいたがそう言う。

真木少佐「...撤退しよう。」
全てを押し殺して、真木はゴーストから崇宰の遺体を貰い、自身の機体へと戻る。
その姿は痛々しく、表情は無表情に徹し、奥歯を噛み締めていた。

今直ぐにでも涙を流したい、そのままBETA群に特攻したい、そんな考えを全て自身の心の奥底へ、
既に折れてる筈の心へしまった...最早仕舞い込めないだろうそこへ。

ゴーストは罪悪感に包まれていた。泣きたいだろうな。悔しくて心が折れているだろう。
でも、真木さんには生き残ってもらわなければ困る。戦隊の要であることは確かであった。

秘匿回線で上月副官と奈月中尉に通信をつなげる。
ゴースト准尉「、、、申し訳ありません。姉妹をだしに真木さんをしがらみに括り付けてしまいました。
いかようにも後で処分は受けます。

ですが、あの真木さんの表情は自分が味わった、京都防衛戦時の
部下を失った状況と同じと推測します。だから上月さんなら支えられるかと。

私が奈月さんや奈美さんに支えられたように。私が言えたぎりでではありませんが。。お願いいします。」
後退しながら伝える。

上月副官「...私と少佐は、大陸派遣時から戦友を失い続けてます。
その時から彼女を支えて来ましたが...今回のは、分からないです。下手を打てば、少佐は...。」

奈月中尉「真木さん、あの人は生きて欲しい、報われて欲しいよ。私に何ができるのかは分からないけど。」



ゴースト准尉「大丈夫です。上月さんだけではありません。奈月さんも私も支えます。
、、、ですが今回のこの件、姉妹にも影響がすでに作戦前から出ています。

亀裂が入らなければいいですが。その時は私は奈美さんの味方です。
これだけは変えられません。ですからそうならないようにしたいです。」
と奈美から聞いていたためことの顛末が姉妹と真木に亀裂が入って欲しいくない事を伝える。

上月副官「そうですね...一番はそこが問題です。」

こうして答えが出ないままに戦隊がいる地点まで撤退する。

亜美戦隊長「良く戻ってきてくれた。ローア1は先に崇宰大尉殿を連れて補給ポイント経由で後退してください。
上月副官も護衛をかねて戻ってください。

ここからは私が防衛戦の指揮を執ります。
ディフェンス1、2と第六警戒小隊を殿に後退を開始する。
速やかかに補給ポイントの工兵隊と合流し遅滞防衛戦を展開し、斯衛軍の撤退を支援する。」
と命令を伝える。

奈美准尉「(、、、真木さんが心を閉ざしてる。私にできる事が無い。どうすれば。)」
と心を痛める。限界に近かった。だが表情には出さずに戦域管制を行い、著しい戦闘の推移を確認し
情報を亜美に伝えていた。

真木少佐「...ローア1了解。」

上月副官「ローア2了解。少佐、行きましょう。」

真木少佐「言われなくても、分かってる...。」

上月副官「少佐、今回の件は...。」
上月がなんとか真木に言葉をかけようとするが、

真木少佐「上月。」

上月副官「はい。」

真木少佐「何も、何も言わないでくれ。聞きたくない。」
無感情にそれだけ言うと、真木の方から通信を切られた。

上月副官「それだけ、それだけ少佐は...。」

撤退して行く真木と上月を見ながら
姉妹は真木が心を閉ざして愕然としていることを知った。だが今は、いかに斯衛の撤退支援を行うか、
戦隊の隊員を無事に撤退させることが最重要であった。

亜美戦隊長「待たせた。工兵部隊。陣地構築はどうですか。」

ニヤッと不敵に笑い、丸芽が答える。
丸芽特務大尉「もちろん、完璧に陣地構築しましたよ。
対BETA地雷原に工兵用爆薬をしこたまと。陣地も頑強に粘れるようにしました。
斯衛部隊を逃がすまで持ちこたえてみますよ。」



畑中副官「防衛準備は完了です。大規模なBETA部隊の攻撃にも対応できます。
戦隊各機体は補給をすませてください。終わり次第整備兵や基地要員は退避させます。」



秋村特務少尉「、、、腕がなります。九州、西日本防衛戦の失敗の鉄は踏みませんよ。
帝国陸軍機械化工兵戦術機部隊ここにありを斯衛に見せつけますよ。」


君原少尉「きおってもしょうがないよ。やれることやってとっとと帰りましょう。」
とそれぞれ言う。


亜美戦隊長「感謝する。それでは戦隊主力部隊は弾薬と推進剤の補給。それまでは工兵部隊に任せる。
その後は工兵部隊を中心に護衛として第一中隊を中心に塹壕防衛戦を行う。
第二中隊は側面攻撃および、光線級が現れた場合は最優先目標として殲滅を優先する。」
と指示を出して補給を行い、防衛戦を行う。

かなりの数のBETAの攻撃をしのぎ、撃破していく戦隊。
途中何度となく、斯衛の部隊が撤退して行く。
かなりの味方を撤退させられたはずだ。

橘副官「戦隊長。そろそろ弾薬が尽きます。この辺りで。」


丸芽特務大尉「そうだな、対BETA地雷も看板だ。工兵用爆薬も残り少ない、ここで一気に使い
後退すべきだ。戦隊長。」

まだ前線で奮闘している斯衛の部隊がいる。だが、これ以上は、戦隊の皆を戦死させるわけにはいかない
と亜美は思い、撤退を決意する。

亜美戦隊長「拠点防衛をただいまを持って放棄する。工兵部隊を先頭に、第二中隊と第五砲撃小隊を先に。
後衛に第一中隊を、殿に戦隊本部小隊で撤退する。全機後退せよ。」
指示を出しつつ誰も残っていないか確認を行った。

こうして、戦隊は機体がボロボロになりながらも全員基地に帰ることが出来た。
機体から降りた姉妹は真木を探した。

真木がいたのは、基地から少し離れた野原。
崇宰の遺体を抱きしめながら膝から崩れ落ちる体制でいた。

真木少佐「...だからアタシがいないとダメなんだよ。何か言えよ恭子、頼むから...頼む...。」
ハイライトのない瞳でたわいのない話を崇宰の遺体に話し、帰って来ない彼女の言葉を待っていた。

真木少佐「アンタらしくもない、アンタならバカ真面目に答えるだろ?なぁ、黙ってないで何か言ってくれよ?
いつもみたいに貴様って、言ってくれよ...。」

その声を聴いた姉妹は真木の所に行く。奈月とゴーストも少し間を開けてついて行く。
姉妹はどう声をかければいいか悩んでいたが。。

奈美が真木を抱きしめて一緒に泣く。

亜美戦隊長「、、、真木さん離してあげましょう。埋葬してあげないと。
このままの姿では可哀そうです。」
と言う。

真木少佐「そんな筈ない!勝手に恭子を殺すな!
ただ、そう!ただ寝ているだけだ、そうなんだろ恭子!。」
分かっている筈なのに受け入れようとしない真木。

ここは鬼になるしかないか。
と亜美が真木をぶん殴り、崇宰大尉の亡骸を丁寧に受け取り、戦隊の基地で保存させるように連れて行く。

そんな真木に寄り添う奈美。いつものように真木が落ち込んだ時のように胸に抱きかかえて。
奈美准尉「泣いていいのですよ。真木さん。

(ああ、ごめんなさい。私は役立たずです。ここまで嫌な予感がしていながら何もできなかった。)」

と後悔している。

真木は亜美を追いかけるために奈美を押し退けようとするも、やめて奈美を引き摺りながら亜美の元へ追い縋り、

彼女の服を掴んだ。

真木少佐「やめてくれ...アタシの...アタシの、たった1人の親友なんだ...恭子を救えるなら、アタシの命なんて捧げて良い。
頼むから、アタシから恭子を...奪わないでくれよ...。」

真木の顔は最早いつもの顔は無く、悲しみの感情が溢れ、最早涙さえ出てなく、弱々しい懇願の声を出していた。
普段の真木さんなら絶対にしない行動に愕然とした。
亜美戦隊長「ダメです。今の真木さんは昔に戻ってます。

どうしてもと言うなら私を切り捨てて崇宰大尉殿を連れて行ってください。」
と真木を突き放し、背を向けて基地に戻る。
(、、、真木さんに切られるならそれでもいい。こんな、こんな思いは私だけが背負えばいい。たとえ嫌われても。)
と思いつつ真木の姿に愕然としつつ。

奈美は真木を止められず、戦闘で力を使いきっていたためそこでくずれて転倒して倒れる。

真木少佐「恭子...うぅ...あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!。」

真木は膝から崩れ、叫び、地面を叩く。
だが、亜美を追いかけ無かった。彼女自身も、分かってはいる。だがそれを受け入れるには、彼女の心はもう限界だった。

だが真木は涙が出なかった、最早涙も枯れてしまったのか...叫んだ後の真木はその場で蹲った。

少しの静寂の後、真木はゆっくりと立ち上がり森の方へと歩いていく。

上月副官「少佐!」

真木少佐「来るな。もう、もう、疲れた...。」

それだけ言うと、振り返らず歩いていく。

見かねて近くで心配していた奈月とゴーストが奈美に近づく。
ゴースト准尉「ああ、もう。真木さんが行ってしまう。
奈月さん、奈美さんをお願いします。自分は真木さんを追いかけます。」

奈月中尉「う、うん。分かった。こっちは任せて。」

時子は周りの様子や戦隊長が険しい顔をしているのを見て、
もしや真木さんに何かあったのかと、影縫少尉に解散を伝えて奈月の所に行った。
平家中尉「どうしたの?奈美准尉大丈夫?戦隊長が険しい顔をして基地内に戻っていたのだけど何かあったの?」
と聞く。


奈月中尉「真木さんが、森の方へ行ってしまったんです。ゴーストさんが追いかけて行きましたが...。」

顔を曇らせて答える時子。
平家中尉「そうなの。解ったわ。ボクも探してみる。弥栄中尉は早雲准尉を連れて行って。」
と伝えてゴースト達を追いかける。
走って追いかけた時子。


ゴーストが真木と言い合いをしている。
真木少佐「もう、良いだろゴースト。アタシじゃ結局何も変えられないんだ。アタシは疲れたんだ、楽になりたい。」
目どころか、表情までも死んでいる真木。

ゴースト准尉「、、、それを聞いたら姉妹は悲しみますよ。
何のために真木さんを生かしたのですか。死なせるためではないです。
それをしたら悲しみますよ。後を追うかもしれません。それでも
良いのですか?良いのであれば止めません。私も地獄に付き合います。」
と言い放つ。

真木少佐「...勝手にすれば良い。もうアタシはダメなんだ。疲れたんだ、もう嫌なんだよ。」

そんな事を言い放ち、その場を後にしようとする。

そんな真木をゴーストは肩に手をかけて静かに切れてぶん殴る。
ゴースト准尉「、、、元下士官としてのやり方をしました。あなたは斯衛部隊で指揮官ですよね。
これでいいのですか真木少佐殿。」

それを追い付いた平家も泣きながら言う。
平家中尉「それが、真木さんの今の本当にしたいことなのですか。
大陸で言ってくれたことは何だったのですか。ボクは、ボクは、あの時の真木さんの言葉で
救われた。だから生きています。だからだから。ゴースト准尉もやめて欲しいであります。」

真木少佐「大陸から戦ってきたからだ。多くの戦友を失って、今でも失い続けて、そして親友を...失、なっ、た...
それでも、それでもと、アタシはやってきた...でも、それももう限界なんだよ。
お願いだ、楽にさせてくれ。」

平家の言葉に反応するが、真木はそう言って、再び蹲る。

ゴースト准尉「、、、楽にさせてくれ?それは斯衛の上官殿に言うべきでしょう。
私たちがとやかく言うことではないです。」
と冷たく言う。

平家中尉「、、、それはできないです。BETAを殲滅させるか、我々が滅ぶまで続くでしょう。」

真木少佐「なら、放っておいてくれ。」
ゴーストの挑発を無視し、変わらず蹲る真木。

ゴーストは今は無理かと、
ゴースト准尉「、、、そうですか。自分が言いたいことはそれだけです。では。」
と敬礼してその場を去る。

平家中尉も真木の行動を寂しそうに見つめゴーストとともに行く。
平家中尉「、、、こんなの、真木さんじゃない。。。ボクは待ってますよ。」
と言い。

真木少佐「...待たなくても良い。」
それだけ呟き、真木は何も言わなかった。

ゴーストに追いつく時子。
平家中尉「、、、どうするの?ゴースト准尉。」

愕然としつつも答える。
ゴースト准尉「真木少佐殿には復活してもらわなければ困ります。これは戦隊の根底を揺るがす事態です。
気持ちは痛いほどわかるつもりですが。。戦隊長の所に行きましょう。相談します。」
二人は戦隊長の所に行く。

途中上月副官と会う。

上月副官「少佐は、やはりダメでしたか...。」
そうゴーストと時子に言った。

ゴースト准尉「、、、申し訳ありません、自分では真木さんを救ってあげることはできませんでした。

しかし、このままでは。戦隊長と相談しましょう。」

平家中尉「、、、真木少佐殿がこんなことになってしまっては。ボクにできること何か、何かないのか。」
二人共無念そうな表情をする。。

上月副官「2人のせいではないです。少佐は、自身の心よりも誰かの支えになろうと、
自身の負の感情を抑えてました。
彼女自身の心は脆いのに...いつかはこうなっていた筈です。それが今だっただけですよ。」

ゴースト准尉「、、、ですがこのままでは戦隊は崩壊するかもしれません。真木さんは戦隊の要、必ず復帰していただく。
とりあえずは戦隊長に状況報告と今後の相談をしましょう。で良いですね?上月副官殿。」
と戦隊長の執務室へ促す。

上月副官「異論はないよ、行こうか。」

3人は戦隊長室にに向かい、橘副官の入ってくださいと言われて入る。

??ゴーストは訝しがる、いつもならどんなに執務に追われててもにこやかに声をかけてくれる戦隊長。それが反応がない。

中に入ると亜美が執務机で両肘を机について手で顔を覆って考え込んでるように見える。
紫音が困った顔をこちらに向けてくる。

やはり、戦隊長もこたえているんだなと思うゴースト。

報告をする。
ゴースト准尉「真木少佐殿は今はだめかもしれません、いかがいたしましょうか。自分は、これ以上の説得は難しいかと。」

平家中尉「なんとか、なんとかならないでしょうか?」
とオロオロ狼狽するばかりであった。

上月副官「戦隊長、真木少佐について申し訳ありません。私も、彼女を支えるのには力不足のようです。」

(こんな、情けない顔見せられない。。)
顔を見せずに答える亜美。
亜美戦隊長「、、、仕方ないです。私にも奈美にもできなかった。でもこのままでは。

上月副官、崇宰大尉を南條中将を通して斯衛軍にお返します。

その時、真木さんを実家に帰らせます。
これは命令、しばらく無期限で謹慎をしてもらいます。、、、上月さんは真木さんのそばにいたいのでしたら、

一緒に斯衛に戻っていいのですよ。」
と目を合わせずに顔を隠した状態で言う。

平家中尉「で、ですが戦隊長それでは。」
驚く時子。

上月副官「いえ、戦隊の整備班は落合さんが纏めてはいますが、整備班にも事務方は必要です。
連絡係としての仕事もありますので、戦隊に残りますよ。」

亜美戦隊長「、、、こちらはなんとかします。今は真木さんをなんとかしないと。

その為なら構いません。そばにいて支えてあげられるのは貴方だと私は思います。

上月さんの心のうちはどう思っていますか。」
と心の中を探る。

上月副官「...私の心を探ろうとしないでください。
少なくとも、今は私が寄り添っても彼女は良くはならないです。貴方こそ少佐に寄り添うべきかと。」

亜美戦隊長「、、、申し訳ないです。私達姉妹ではもう無理ですよ。」
とみんなの前では弱音を吐くことはない亜美がそう言う。
正直、泣きたくなっていた。真木さんに嫌われたと。ここまでかと。
だがみんなの前ではそんな事は言えなく、またそんな表情を向けたくなかった。

ゴースト准尉「、、、戦隊長が諦めるのですか?貴方が諦めたら誰が真木さんを救えるのですか。
貴方が諦めたら奈美さんも心が折れますよ。このままでは全てが。指揮官がそれでは。
お願いです、少し時間を開けてからもう一度真木さんと話し合ってください。」
と頭を下げる。

それを見た平家中尉も同じ行動をする。
平家中尉「お願いします。」

上月副官「いえ、少佐は今がダメなだけです。彼女は貴方のことを嫌ってはいませんよ。
もしそうなら、彼女はもっと貴方を罵ったりする筈ですから。
少佐は、貴方でなければ救えないですよ。」

亜美は思った。
(、、、私に真木さんを引き止められるの?奈美が悲しんでる。いや、まだ未来は決まってない
3人の、皆の思いを無駄にできない。)

と、顔を上げる。
3人は決意したその顔をみる。

亜美戦隊長「解りました。真木さんを今一度救って見せます。」
と言う。

上月副官「戦隊長、いや早雲亜美さん。少佐を宜しくお願いします。」

亜美はその思いに応えるように話す。
亜美戦隊長「解りました。真木さんを助けたい。今までずうっと私達を見てくれたのです、やれることをやります。」

その後解散して、亜美は南條中将に連絡を取り、斯衛に繋いでもらうように手配する。
亜美戦隊長「と言うことです。できれば真木舞香中佐殿に来てもらうのが良いかと思いますがお願いできますか。」

その頃、真木はまだ演習場近くの森の方で絶望から目が死んだ状態で1人になっていた。

そこに武子が来る。いつものお茶らけた感じではなく静かに怒っているようだ。
西少佐「真木殿、いつまでその状態でいるのですか。」

真木少佐「...何の様だ?アタシを笑いにでも来たか?」
そう吐き捨て、西の顔を見ようとしない。

西少佐「、、、誰もそんなことしないでありますよ。
だが、今の貴方は、、、姉妹を地獄に突き落とすつもりですか。」
と静かに答える。

真木少佐「地獄か...此処が既にそうだろ?
少なくともアタシにはそうだ、結局アタシは何も出来ちゃいない。
衛士に復帰して、息巻いていたアタシは馬鹿だとしか思えないよ。」
そんな自虐的な発言をする。

首を振る武子。
西少佐「、、、生きていても地獄かもしれない。
だが、貴方は九州でBETAに喰われそうになった時何を思っていたのですか、
それを姉妹は、、奈美准尉はその思いに答えたいがために貴方を助けたはずだ。
そしてあなたは姉妹に寄り添い結果を出してきた。


戦友を助けられなかったのは、誠に遺憾ではあります。
それでもBETAを殲滅するまで我々の血みどろの戦いは続きます。
あがくしかない、それは貴方にもわかっているはずだ。
それとも皆で喰われて終わりにしますか。」

真木少佐「結果?ただアイツらや他の奴らが凄いだけだ。
...足掻いて来たさ、言われなくても...でも、アタシはもう疲れた。
もう、いいだろ...。」

西少佐「、、、そうですか戦隊の司令部、まして中核の将校がそれを言いますか。姉妹の害になるのであれば。。。
貴方はしかも斯衛の武人。
ならばここで自害するかBETAに喰われて終わりにするか選んでください。」
と冷たく言い放つ。

真木少佐「そうかよ、始末はつけるさ。」
そう言うと真木はゆっくり立ち上がり、フラフラと森の奥へ進んでいく。

武子は思った。あとは真木殿が自分で立ち直るしかしないと。
必ず戻ってくると思いその場を去る。

真木は1人、森の奥に入り。誰もいないことを確認して、不意に持っていた拳銃を頭に突きつけた。
真木少佐「これで、これで楽になれる...恭子、皆んな...。」

そう引き金を引く瞬間、恭子が死に際に言った言葉が頭をよぎる。
(斯衛のみ、ん、な、を頼む。)

響く銃声、だが真木に銃弾は貫かず、空を切り真木は地べたを舐める状態でいた。
真木少佐「はぁ、はぁ...どう、して、だよ...アタシは楽に、なりたい、のに...もう、良いだろ...。」

そう、また何度も自害しようとするも再び同じことが起こり、弾は尽きてしまった。
真木少佐「っ!あぁ!」
弾がなくなった拳銃を地面に叩きつけ、真木は叫ぶ。

真木少佐「どうして、どうして死なせてくれない!楽になりたいのに!どうして...」
そう思う真木の脳内には、戦隊の仲間達と、早雲姉妹の姿だった。そう、真木にとっての大事な物はまだあるのだ。

真木少佐「...そうか、アタシにはまだ残っているんだったっけ...でも...。」
そう言いながら真木は立ち上がり、変わらず足取りが重くフラフラしながら基地へ向かった。

その頃、病室のベットで目覚める奈美。
奈美准尉「、、、あ。私また。う。頭が痛い。真木さんが悲しんでる。。。私、何もできなかった。」
と悲しみに暮れる。

そばにいた奈月中尉と八島准尉とゴースト准尉。
困った顔をしつつ、ベットの奈美の目線に合わせて話すゴースト。
ゴースト准尉「まだですよ。奈美さんずうっと戦闘前からフォローしてたじゃないですか。
力を使ってまで。。ここからはそれはなしで、奈美さんのできることしましょうよ。」
と思いつつもさらに傷つけてしまうことを懸念していた。

洸騎はポロっとゴーストが言ってしまった力とは?と思ったが、奈月の顔を見て、これは言うべきではないなと
思いつつ奈美を気遣う。
八島准尉「そうですよ。ゴーストの言う通り。まだ決まったわけではありません。
まだこれからですよ。諦めたらそこで終わりです。ね、奈月さん。」
と奈月にも声をかける。

奈月中尉「うん、此処まで私たちを引っ張って来た真木さんが一抜けするのは許せないよ。
最後まで引っ張ってもらわないと。」

ゴースト准尉「、、、そうですね。指揮官としてこんな終わり方をしてほしくない。
だからさ。できることやっていこうよ。ね?奈美さんできることあるでしょう。
皆を、元気出してもらえること。それをやりましょうよ。でも無理しちゃ駄目ですよ。
私も手伝うからね。」
と元気づける。

ハッとする奈美。
奈美准尉「私にできること、、、します。今から仕込みしますね。」
とベットを出ようとする。

奈月中尉「奈美、貴方いや亜美姉さんと2人なら、真木さんを救えるよ。」

奈美准尉「有難うございます。奈月お姉ちゃん。では早速差し入れを整備班にしたいので
一緒にお願いできますか?」
と言う。

奈月中尉「勿論、手伝うよ!。」

嬉しそうに微笑んで、奈月の手を取り調理室へ向かう。許可を得て
真木達整備班の為に食堂にて仕込みを始める。
それを手伝うゴースト達。

そしてさらに場所は変わる。
戦隊長室にて亜美が南條中将に連絡を入れている。
亜美戦隊長「、、、以上が今回の作戦結果です。最後に。助けられなかった崇宰大尉殿を明日引き渡ししたいので
斯衛の方を申し訳ありませんが横浜基地に来ていただけませんか。


また、可能であれば真木舞香中佐殿もお願いします。
今の状態では真木さんを置いておけません。無期限の実家での待機を命じます。」
と伝える。

南條中将「...崇宰殿の件は了承した。だが真木少佐の件は、余りにも度が過ぎるな。
すぐにでも病院又は営倉入りだろう...普通はな。」
真木の件に関しては、南條は辛口だった。



亜美は困った顔をして言う。
亜美戦隊長「、、、叔父様。私だって両親が戦死した時は発狂しました。奈美のお陰で戻れたのです。
それに真木さんは私たちの希望です。甘いと思われますが、、私は復帰されると思います。
ですから、時間をください。今は休息の時です。斯衛の上層部がどう言うか解りませんが。
お願いします。」
と真木を庇うために頭を下げる。

南條中将「まぁ...な、今更彼女に抜けられても困るのは事実だ。
彼女以上の人材はいないのも事実だし、言っては悪いが私も真木沙奈江と言う一個人に、
亜美ちゃんのお願いもあって今まで相当入れ込んできた。
ああは言ったが、今更自ら手放す気は毛頭無い。
手は尽くそう。」

司令官として、上官としての返答ではなく叔父として答えてくれた南條に感謝しつつ答える。
亜美戦隊長「有難うございます。叔父様。私たちにできることはすべてします。
ですが、一度休息は必要かと。このままこの後は何事もなければいいですが、、」
と不安そうな顔になる。

南條中将「私も、彼女の経歴を見直したが凄いな。大陸から戦い続けているし、何よりあんな性格だ。
溜まっていた物が吹き出したらあぁなるな。」

亜美戦隊長「はい、だから。今は休息の時です。無理に何かをさせるよりも実家に帰らせて
謹慎をしてもらって自身を見つめなおしてほしいです。」

南條中将「そうだな...。」

こうして答えが出ないまま報告は終わり、手配をしていく亜美。

翌日、整備班達が戻ってきた戦隊の戦術機を徹夜で整備している。
整備兵は皆、黙々と作業をしているが、真木の状態を聞いて士気が下がっていた。

奈美はいつものようにお重箱を持って整備ハンガーを訪ねる。
そうするとどうも真木少佐と上月副官が言い争いをしてるように見えた。
周りの整備班達も止めていたが。。

上月副官「今、なんて言いました?」

真木少佐「ねなかった...死ねなかった...。
アタシは自力で死ぬ事もできやしない、臆病者だ...。」
そんな表情が死んだ顔と、正気のない目で上月を見る真木。

上月副官「まだ、まだそんな事を言うんですか!
そう嘆いたって、恭子様は帰って来ないんですよ!
今までだって、貴方は苦しくても受け入れてきたじゃ...」

真木少佐「だからだよっ!
だから!もう!もう...アタシは無理なんだよ...
でも、自力で死ぬ事さえ出来なかった...どうすりゃ良いんだ...。」

真木さ、と言いかけて、固まる奈美。
その様子を見てゴーストと奈月は真木達の状況を確認する。
ゴースト准尉「(、、、奈月さんこれ、真木さんこのままだと厳しいかもしれない。どうするべきか。。。)」
と小声で伝える。

いつもの戦隊の支えになっていた彼女の姿はなく、全てに絶望しながらも、
自害さえ出来ず、最早自分と言うのが分からなくなっている真木の姿だった。

奈月中尉「(殴っても、逆効果だよ。でも優しくしても落ち着くとは思うけど立ち直るかは...)」
ゴースト准尉「(もう、一度殴ってる。これ以上は。。。)
二人とも途方に暮れていた。

上月副官「貴方は大陸から戦ってきた!戦友達の死を見ながら、そして貴方はそんな戦友達の思いを背負っているんです!
貴方が死んだら、誰が背負うんですか!先に行った戦友達は、捧げた命の行方を知りたいはずです。

そんな使命を、呪いを、姉妹に背負わせるんですか?。」

真木少佐「っ!...ひ、卑怯だ...そうやっていつまでアタシを縛れば良いんだよ...。」

その上月副官の言葉と真木の言葉と心の中の声が聞こえて、奈美は絶望し、重箱を床に落とした。
奈美准尉「、、、真木さ、ん。(私は、私は真木さんを生かして苦しめてしまったの。)、ああ、ああーーー(泣。」
大泣きしてその場から去っていく。

ゴーストはプチっと切れて奈月に言う。
ゴースト准尉「(奈月さん、奈美さんを頼みます。俺は真木さんを再度ぶん殴る。頭にきた。)」
と言って静かに真木の前に行く。

奈月中尉「ゴ、ゴーストさん!な、奈美待って!。」
どちらを追いかけるか悩み、奈美を追いかける奈月。

ゴースト准尉「、、、縛る?呪いなら人類全体にすでにかかってますよ。
あの優しい奈美さんをここまで追い込ませて何を言ってるのですか?。」
と腑抜けた真木をフルボッコにしようと両手で殴りかけようとしたその時であった。

亜美戦隊長「ゴースト准尉、そこまで。斯衛の真木舞香中佐殿が来られています。
先ほど崇宰大尉殿は我が戦隊の儀仗隊に見送られ斯衛に引き渡しました。
そして、真木少佐貴方は実家にて無期限の謹慎を言い渡します。
真木中佐殿後はお願いします。」

亜美の言葉でハッとしたゴーストは寸での所で止めて
舞香中佐に敬礼する。

舞香中佐「ご苦労様です。ゴースト准尉、腑抜けた沙奈江をボコボコにしたい気持ちは察しますが、抑えて下さい。」
そして舞香は沙奈江を見る。

舞香中佐「話は聞いてますよ沙奈江。腑抜けましたね。」

真木少佐「腑抜けた?アタシは最初からこれだよ...ただこうやって曝け出してなかっただけださ...。」

舞香中佐「縛られているのは、誰だってそうよ。親友や家族を失った衛士だっている。
気持ちは分かるけど、受け入れなさい。」

真木少佐「分かってるよ!分かってるさ!でも...アタシは...。」

舞香中佐「確かに重症ね。沙奈江少佐は此方が引き取ります。ここまで面倒を見てくれてありがとう。」

ゴースト准尉「、、、申し訳ありませんでした。真木中佐殿にお任せします。」
怒りに任せて行動したことに恥じつつ、謝るゴースト。

亜美は舞香の手を両手で握りしめて直接伝える。
亜美戦隊長「(、、、真木さんをお願いいたします。私たち姉妹はいつまでも待っています。
必ず戻ってくると信じています。)」

舞香は亜美の手を握り返して、想いを伝え返す。
舞香中佐「(ええ、でも沙奈江を救うのは貴方達の役目だと思うわ。暫くは面倒をみるから任せてね。

ちゃんと迎えに来るのよ?)」

亜美はその思いに答える。
亜美戦隊長「(はい、こんなことになってしまいましたが、奈美も必ず戻ってきます。
二人で迎えに行きます、それまでお願いいたします)」
と答えて敬礼してあとは上月副官達に任せると整備ハンガーから出ていく。

亜美戦隊長「(、、、奈美も苦しんでいいる、奈月が癒してくれてばいいが
駄目なら私も動かなければ)。」
とゴーストが慌てて奈美を追いかけていくのを横目で見ながら戻る。

真木は舞香中佐に連れられて実家に戻っていった。
その頃、奈美は泣きながら走っていたが、疲れきって誰もいない所で口を手で閉じで
静かに泣いていた。絶望していた。私は何のために作られて、こんなことをしてしまったのかと。
そうしていると、髪の色が変わっていた。ロシア人のような白い色に。

追いついた奈月はそれを見て困惑する。
奈月中尉「奈美...何その髪色。いつ染めたの?。」

あ、と気が付いて悲しみに暮れて顔を隠す。
奈美准尉「、、、み、見ないでください。私は、私たちは日本人では無いのです。
ソ連で造られて、元々この色だったんです。両親が知り合いの技術者に頼んで
ロシア人としては見えないように今の色にしてくれたのです。
元に戻ったのは、初めて。ごめんなさい。私たちここにいられない。」
と奈月に嫌われたと思い、頭を隠すように通路の奥に隠れようとする。

奈月中尉「待って!そう勝手に思い込みしないでよ!。」
そう言って奈美を抱きしめる奈月。

奈月中尉「私がいつ嫌いなんて言ったの?そう思ったの?心を読めるなら、分かるよね?。」

奈月の暖かい思いが流れ込んでくる。
奈美准尉「ごめんなさい。ごめんなさい。奈月お姉ちゃんの思いが解りました。
でも、でも私、私。皆を不幸にしたのでは、、、だから、真木さんが、
何も変えれなかった。私ここにいて良いのですか。」
と抱きしめられてぎゅっと奈月を抱きしめ返して言う。

奈月中尉「本来なら、何も変えられないのが当たり前なんだよ。
でも奈美がいたからこそ変えられて、救えた命がある。自分で決めて良いんだよ?。」

奈美は涙で濡れた顔で答える。
奈美准尉「、、、いいのですか?私、このままで。自分で決めて。
救えているのでしょうか。私は皆さんのお役に立ててるのでしょうか。」

そこに遅れてきたゴーストも声をかける。
ゴースト准尉「悪いことなんてない、奈美さんの優しさが皆を救っているよ。
ですよね。奈月さんもそうですよね、、って奈美さんの髪の色が。」
と慌てる。

奈月中尉「勿論!。」

二人の言葉に泣き笑いの表情になる。
奈美准尉「有難うございます。嬉しいです。私これからもできることします。
真木さんを救いたい。わ、ゴーストさん?。」

奈美の頭に上着をかぶせて言う。
ゴースト准尉「、、、とその前にまずその髪どうにかしないと。。
とりあえずこっそり、司軍医長にですかね。。このままだとスパイ扱いされそう。」
と二人に言う。

奈月中尉「そうだね。素早く行こう。」

二人は奈美の姿を隠しながら、司軍医長の所へ連れていく。
こうして真木は戦隊を去り、戦隊は暗い雰囲気となるが、姉妹達皆は戻ってくると信じて
進んでいくのであった。
END

 

出雲奪回作戦前編

時は2000年5月頃に進む。
千葉県にある帝国陸軍習志野駐屯地の南條中将の執務室から始まる。
何か大規模な作戦が発動されるのか南條中将と秘書官の七瀬は忙しく調整作業を行っていた。

そんな中で南條中将は執務室で斯衛、厳密には斑鳩からの使いとして、真木舞香中佐が来ていた。
舞香中佐「お忙しいところ失礼しますわ中将。先日の件、大変感謝しております。」

南條中将「いえいえ舞香さん、貴方方も娘さんの沙奈江少佐も、私と戦隊にとってはかけがえのない存在です。
さて、出雲作戦でしたな。貴方の口から詳細は聞かせて頂けると言う事で良いですかな?。」



舞香中佐「勿論ですわ。斑鳩閣下から任されておりますので、お話させて頂きますわね。」
そうして、執務室にて戦隊と斯衛軍部隊による作戦の詳細が話された。

舞香との話後、南條は香月へ通信を繋げる。
南條中将「やぁ香月博士。耳に入れて欲しい話、作戦があってね。」

横浜基地の施設が完成に近いのがうれしいのか機嫌が良さそうな夕呼。
香月副司令「なによ、楽しそうに話しかけてきて、気味が悪いわね。あ、うちの伊隅達は貸せないわよ。」
と、最初からピリャリと言いたいことは言っておく。

南條中将「おや残念。これから戦隊と斯衛部隊の合同作戦があるから、それの共有だよ。
情報共有不足で不測の事態が起こるのは避けたいからね。」
香月の言う事を聞いてないのか、はたまたあえて無視しているのか、どこ吹く風で話す南條。

香月副司令「何が『おや残念』よ、そんなこと全然思ってないくせに。
ほんと、たぬきオヤジよね。
あ、もうじじいかしら。あまりにも孫を可愛がるデレデレなおじいちゃんにしか見えないけど」
と嫌味なのか、からかってる。

だが、斯衛の言葉には反応する。
香月副司令「日本帝国軍が動くのね、しかも斯衛軍主体の作戦ね。戦隊を一度戻して欲しいと。」
とズバリ見抜く。

南條中将「その通りさ。あぁ、事実だから否定しないさ。」

香月副司令「うちは戦隊を作戦参加のために一時的にお返しするで良いのかしら。
その他できることがあれば国連軍として支援するわよ。作戦内容を聞きたいわね。」

南條中将「あぁ、勿論話そう。国連軍は、支援をお願いしたい。」

香月副司令「了解よ。で、何をして欲しいの?」

南條中将「戦術機の武装と弾薬、そちらの方の根回しも頼みたい。」

作戦概要を聞きちょっとピクっとなる。
香月副司令「、、、武装と弾薬ね、それは大丈夫よ。しかしこの作戦目標遠くない?
出雲?しかも前線司令部(HQ)は岡山?こんなんで、ちゃんと成功するの。

出雲からは高級司令部がある京都まで350Kmもの距離よ。
あんたは舞鶴?海軍と共同するならそこが良さそうだけど。」
と作戦に不安を感じとる。

暗い顔をする夕呼。
香月副司令「、、、よほど斯衛は自信がある作戦のようね。
でも、今武御雷がようやく量産にこぎつけたとは言え、
まだそこまで前線に配備が追い付いてないと聞いているわよ。
戦隊を無事返してあげなさいよ。
そのままこき使ってやるんだから。」
とツンデレのように言う。

南條中将「勿論だ、死なせるつもりはない。彼女らはこの先必要だからな。」

香月副司令「そうね、私にとってもよ。研究が捗るわ。
で、戦隊は全員なの?工兵戦術機部隊?とか真木少佐とかも連れて行くの?」

南條中将「メインは斯衛だとは言え、戦隊の価値を示す機会なのは変わらない。
大々的に斯衛軍に戦隊の価値を示す為にも、なるべく全機出撃させる予定だ。
真木少佐は言わずもがなだ、彼女は斯衛軍からの出向で、先行型の武御雷を使っているんだ。
出ないわけにいかないだろう。」

南條中将「彼女が活躍したらしたで、斯衛からの要請が強くなるだろうな。
佐渡島での復帰戦以降、斯衛軍から再三真木沙奈江少佐の斯衛軍復帰を求められてるが、
本人が容赦なくその要請蹴ってるからね。
おかげで、斯衛側から色々と愚痴やら何やら聞かされて飯が更に不味くなるよ。全く。」

香月副司令「まあ、全力出撃よね。解ったわ。こちらとしては特に問題ないわ。
今は戦隊とは連携演習ぐらいなので。その先ね。必要なのは。
そうね、それは言われたら愚痴りたくなるわね。ご愁傷様。
、、、一つだけ言っておきたいことがあるわ。」
と横向きで顔だけ画面に向けていた夕呼はきっちり正面を向く。

南條中将「何かな?」

香月司令「、、、あまり姉妹に能力を使わせない事ね。
この前のうちの食堂でのうちの衛士とのいざこざで姉の方が倒れかけて
私が直接処置したけど、あれは半分は人間よ。生態的には作り物のまがい者だけど。
脳が追い付いて来てない。だから脳溢血に近い状態だったわ。
あまり危険な事はさせない方がいい。この先同じことが起これば
それこそ命の保証はできないわ。自我もなくなるかもしれないわ。」
と言う。

南條中将「...あぁ、私も能力の使いすぎは行けないとては尽くして来たが、結局2人は使ってしまう。
情けない限りだよ、叔父失格だな。」

香月副司令「、、、まあ仕方ないと言えばしかたないのかもしれないけど。このご時世。
叔父失格はないと思うわよ。あの姉妹があんたを見ている視線をみてそう思うわ。」
と答える。

南條中将「なら良いんだがな...さて、ついでだけどそのまま戦隊長に作戦を伝えてくれ。
私が行くなどよりも確実に早いし、準備も早く始められるからな。」

香月副司令「了解したわ。この後作戦の前準備等あると思うので、一時的に私の配下から外すわ。
好きに使ってちょうだい。でも任務が終わったら私の配下に戻すわよ。こき使うから。」

南條中将「いや、創設から支援している私の方が配下と言っても良いんだがね...。
まぁ今の所そうだから否定する気はないが。
私は別件で出雲作戦だけを見るわけにはいかなくなったからな...。」

恭次郎が司令部に行かない事を聞き顔を曇らせる夕呼。
香月副司令「またまた、この狸おやじが何をいってるの。
あんたが暗躍してるから姉妹が、戦隊が活躍できるのに。
しかし、、、この作戦いかに斯衛とは言え、さすがにきついと思うわ。
あんたが、司令部に居なければ何かあったら敗退するかもしれない。
戦隊をちゃんと帰らせてあげなさいよね。
でないと、私が好き勝手にこきつかえなくなるじゃない。」

南條中将「そうしたいんだが、反抗作戦の裏で色々やらかそうと言う不届者もいるみたいでね。
陸軍は私の管轄、戦隊に牙が向いてしまうのだけは避けなければならんからな...。」

香月副司令「、、、確かに帝国陸軍で不穏な気配があるわね。
そいつらが決起する恐れがあることをこちらでもつかんでいるわ。
何かあったら横浜基地に来なさい。匿ってあげるわよ。
今までのよしみで。それならあんたもこき使える。」
と冗談を交えて言う。

南條中将「ははは、最悪そうしようかとは思うよ。まぁ先ずは打てる手を打つさ。
出雲作戦は任せるよ、早めに片付けて来る。」

香月副司令「解ったわ。さっさと片付けて戦隊の支援をなさい。
私もできるだけこの基地の補給物資を戦隊に貸してあげるように手配しておくから。」

南條中将「それではな。」
そうして通信は切れた。

香月副司令「、、、まずは補給物資の手配をして、これは貸しにして後で返してもらう。
さて、戦隊の首脳メンバーを呼ぶか。」
と周りにいる香月副司令付きのオペレーターに声をかけ、手配と戦隊のメンバーを呼び出す。

すぐに出頭する4名(亜美戦隊長と橘副官、真木少佐、上月副官)
亜美戦隊長が香月副司令に頭~、中と敬礼の号令をかけて
真木少佐達も併せて敬礼する。

香月副司令「敬礼は不要よ。私嫌いなの。狸おやじから指令が来たわよ。
あんた達戦隊は一時的に私の指揮下から離れて斯衛主体の作戦である出雲奪還作戦に
出撃してもらう。一緒にこの基地の補給物資と弾薬を狸おやじに頼まれたから持って行っていいわよ。
あとはこの作戦指令書を見て頂戴。ちゃんと帰ってきなさいよ。解散。」
と電子データを橘副官に送り作戦に興味が無いのか他の作業で指令室より出ていく。

亜美は会釈式の敬礼を行い退出を見送り真木を見る。



真木少佐「ついに斯衛との合同作戦か...アタシも斯衛なのになんか変な感じだな。」
そう言いながら、真木は頭を掻く。



上月副官「出向と言う扱いですが、我々は斯衛ではなく第零独立強襲戦隊ですからね。」


真木少佐「そうだね、もしかしたら恭子に会えるからもしれないな。」

上月副官「少佐、崇宰様に失礼のない様にして下さい。周りの目もありますから。」

亜美戦隊長「いま、送られてきた内容をまとめた橘副官に作戦概要をざっと見せてもらいましたが、、、。。
これはちょっと不安を感じます。確かに斯衛は強い。一騎当千の方々ばかりです。
ですが、この時期にしかもまだ大阪以降先の九州よりの出雲地方とは。
もちろん私も行きたいです。両親の、せめて遺骨を回収したいので。
ですが、、、」
と何か嫌な感じがするのか一瞬うつむき。

亜美戦隊長「、、、ここでは国連軍の方々に聞こえてしまうので、戦隊の会議室で作戦概要の詳細確認等を
行いましょう。紫音、独立機械化工兵戦術機中隊の丸芽特務大尉と畑中副官、空挺輸送機部隊の葉吹大尉を至急呼んで。
詳細を詰めましょう。」
と国連軍側の司令室を出る。

真木少佐「何...?あぁ、そうしよう。」

戦隊の会議室にて詳細を確認する亜美達。
亜美戦隊長「この作戦どう思います。どうやら真木中佐殿が例のお方からの指示で南條中将あてに
来たみたいですが。。
私たちは側面支援?それは良いのですが。。。」

真木少佐「アタシと上月は強制出撃だな、それで問題は何かあるかい?」

亜美戦隊長「、、、前線司令部と最前線の出雲との距離が離れすぎです。
しかもまだ西日本を完全制圧もしていないはずです。
しかも、、高級司令部の京都から350kmも先ですよ。
舞鶴に海軍部隊もいますが、それも遠い。
これ、前線と司令部が分断されたら、戦線が崩壊してしまいます。
何かあったら、補給も受けられません。斯衛の上層部はどうしてこんな無茶を。
確かに出雲のBETA群の拠点を潰すのは必要ですが、後方との分断されてしまう事をどう考えているのでしょうか。」

真木少佐「...正気じゃないねこりゃあ。確実に補給を蔑ろにしてる、大した抵抗がないとたかを括っているのか。
斯衛衛士の腕と武御雷の性能を信じている自信もありそうだな、大陸と九州・中国地方での地獄の撤退戦を知らないと見たよ」

上月副官「慢心、でしょうか?斯衛がまさかそんな...」

亜美の話を聞き、重く見る真木と斯衛に慢心があるのかと不安に駆られる上月。


亜美戦隊長「確かに武御雷は強い。斯衛の衛士も強い。ですが、武御雷は1ケ月の生産量はまだ少ないはず。
前線にはまだそんなに配備されていないのでは。。真木さん、今一度可能であれば舞香中佐殿に意見具申を
お願いしたいです。もう作戦は決まっていて厳しいかと思いますが。。」

真木の話を聞きつつ。
亜美戦隊長「真木さん、独立機械化工兵戦術機中隊は今回防衛用に使いましょう。
前線での爆破等ではなく、補給物資と弾薬を多数積載してもらって。何かあったら斯衛にも融通しましょう。
空挺輸送機部隊は我々を送ったのちは後方の完全に安全な場所で待機。
何かあれば我々以外も構わない、空輸して後退してください。」

葉吹大尉「承知しましたわ。できることをやりましょう。」



独立機械化工兵戦術機中隊の丸芽特務大尉と副官の畑中中尉も同意する。
丸芽特務大尉「、、、これは厳しい戦いになりそうですな。しこたま補給物資と弾薬を積み込みます。」


畑中中尉「承知しました。工兵戦術機中隊は今回は補給部隊として動きます。」



亜美戦隊長「申し訳ない、それでいいでしょうか真木さん。ちなみに、真木さん達はだれか連れて行きますか?
第四支援小隊出しましょうか?」
と言う。

真木少佐「あぁ、一度お袋...舞香中佐に意見具申してみる。流石に2機じゃあキツイからね、お願いするよ。
だけど、正面から殴りに行く係は悪いがアタシにやらせてくれ。頼む。」

亜美戦隊長「はい、意見具申お願いします。了解です。
第四支援小隊を真木さんの小隊に付けますね。
正面はお任せします。私の戦隊本部小隊は真木さんの後ろから支援、状況に応じて両翼にも回るか他の斯衛の支援を行います。
右翼に第一中隊、左翼に第二中隊、少し後方に第五砲撃小隊の陣形で行きましょう。
良いですか?」

真木少佐「問題ないね。」

亜美戦隊長「解りました。ではその形で。私達戦隊は、この斯衛部隊の側面支援みたいですね。
この方は確か明星作戦でお会いした方でしょうか?」

真木少佐「あぁ!アタシの同期の桜、五摂政家 崇宰家の崇宰恭子だよ。
身分は違うけど、親友と呼べるのは後にも先にも恭子だけさ。」

亜美戦隊長「なるほど、同期の桜良いですよね。私も紫音と西が居ます。
二人が居ればこの上なく良い戦いがです。同期っていいですよね。」
とにっこり微笑む。

真木少佐「あぁ、良いもんさ。やっと話す機会が出来そうだよ。」

亜美戦隊長「良いですね。これは俄然やる気が出ると言う物ですが。。
まあ私たちもやることをやるように西達に展開して、当日までに演習で
対応しましょう。」

真木少佐「そうだね、任せる。アタシは中佐に意見具申をしてくるよ。」
そう言って、会議室を後にした。

舞香中佐「はい...あら沙奈江。どうしたのかしら?」

真木少佐「ようお袋。要件は分かってんだろ?。」

真木は母 舞香に連絡し、短くそれだけ言う。

舞香中佐「作戦での意見具申って訳ね、悪いけど覆せないわ。
私もあの作戦概要を見て、技術者としてだけど直ぐに具申したわ。
だけど、閣下も斯衛軍全体の勢いを完全に抑え切れなかったみたい。
無理にでも抑えることは出来るみたいだけど、色々と軍内部で亀裂が入る恐れがあるって言っていたわ。ごめんね沙奈江。」

真木少佐「良いさお袋、ハナから無理だとは思っていたさ...一つだけ聞きたいんだけどよ、

前線に行く斯衛部隊の衛士達を捨て駒にする。なんてのはない、よな...?」
舞香の言葉を聞き、内心募った不安を抑えられずそう真木は言った。

舞香中佐「あんな作戦だけど、少なくとも捨て駒扱いはしないわ。

もしそうなる様な時の為に、第零独立強襲戦隊が召集されたのでしょうね。」

真木少佐「なるほど、前線部隊のケツ拭きって訳か...あぁ、任せておいてくれお袋。」

舞香中佐「じゃあ、お願いね?真木沙奈江少佐。」

真木少佐「勿論であります、真木舞香中佐。」
そうして連絡を切る。

真木が母親と話している間、亜美は一度解散させて戦隊長室にて南條中将に連絡をとる。
亜美戦隊長「斯衛の出雲作戦計画案について意見具申があります。
今お時間ございますでしょうか?」

南條中将「時間はあるが...戦隊長、言わなくても分かるだろう?」
亜美の言葉に南條はいつもより重く口を開く。

亜美戦隊長「(やはり、と言うか南條叔父様がここまで口を濁すなら、もう決定は覆すことは
できないのか。ならば。。)
、、、承知いたしました。だた一言だけ。この作戦、失敗しますよ。
ですが南條叔父様が行けと仰るなら行きます、どこであろうとも。
両親もそう言うでしょう。」
と恭二郎の目を見据えて言う。
それは最後まで味方を戦線を護ってみせると言う決意を目線で伝える。

南條中将「私から伝える命令はただ一つだ...多くの戦友を守り、無事に帰還せよ。
1人も欠ける事は許さん。」
南條も亜美の目を見てそう言った。

南條中将「第零独立強襲戦隊の、役目を果たして来なさい。」

亜美戦隊長「、、、できる限りの事は致します。それが両親の願いでもありました。
ですが、戦隊で最後に帰還するのは私です。
指揮官は攻撃時は先頭に、後退時は最後にです。これだけは変えられません。
ですから全員は、、、いえ、失礼いたしました。(敬礼。」
と逃げるように通信を切る。

南條中将「こう言う時に、何か励ましの言葉を贈れない所が叔父失格の証だな...。」
そう1人愚痴る南條。

戦隊長室にて亜美は頭を抱えていた。
亜美戦隊長「(、、、やってしまった。せっかく南條叔父様が気をつかってくれているのに。
私は、、、。いやもうやってしまったことは仕方ない。任務を完遂すべく動くしかない。)
紫音、真木少佐と上月副官、西少佐と甲本大尉、それに丸芽特務大尉と畑中中尉、葉吹大尉、落合副長を会議室に呼んで。
これから出雲奪還作戦での戦隊の内容を説明するわ。それから作戦実行の近くまでに演習を重ねて攻勢も防衛戦も
できるようにできる限りやれることをしよう。」

紫音は、亜美の苦悩を見て、微笑み答える。
橘副官「、、、承知いたしました。大丈夫ですよ今回は、真木少佐殿達もいますからね。
戦隊全員で戦線を支えましょう。できる限りのことを想定して訓練しましょう。」



亜美戦隊長「そうね、そうしましょう。」
と紫音は戦隊首脳部メンバーに通達し、再度会議室に集まる。

真木少佐「中佐に連絡したけど、無理だったよ。そっちは...無理だったみたいだね。」

亜美戦隊長「、、、南條中将にも意見具申しようとしましたが、さすがに斯衛の作戦に
口を出すことはできなかったみたいです。政治で動いてます今回の作戦。
帝国陸軍の1部隊である私たちにどこまでできるか果たして解りません。
ですが、できることはしたい。なので攻勢作戦内容だけでなく、
何かあったときの防衛戦も考えて動きたいです。
できますか皆。我々は最悪味方の、斯衛の撤退時の対応を優先で動きます。」
と全員を見て話す亜美。

真木少佐「アタシ達戦隊の創設理由ってそうだろ?誰かが誰かの逃げ道を確保しなきゃならないんだ、
アタシ達がその役目をやらないで一体誰がやるんだってさ。」

西少佐「亜美、私はお前について行くさ。やりたいように命令を出せ。
その通りに動くさ。」
と片目の女男爵は不敵な笑みを浮かべて答える。



凜大尉「もちろんよ。もうあの中国地方防衛戦のような悲惨な戦いをしたくないわ。
私は今度こそ仲間を護りたい。」
と凜も答える。



葉吹大尉「戦隊長のやりたいことをどうぞ行ってください。私たちはそれを支援いたしますわ。」
とにっこり笑い答える葉吹。

丸芽特務大尉「もちろんだ。戦隊長。我々も九州の防衛戦では仲間を失った。
もうあんな思いは嫌だ。だが覚悟を決めた兵(つわもの)は、窮地にあっては無敵となる。
やれるさ、この戦隊ならな。」

畑中中尉「大きくでましたね、大尉。見栄を張るのも大概にした方がよろしいかと
普段なら言っていましたが……、今ばかりは私もその見栄に乗りましょう。」 

真木少佐「つー訳だ戦隊長、指示をしな。アタシ達の為せる事を、為しに行こうじゃねぇか!」

亜美戦隊長「皆さん、、、有難うございます。では詳細を詰めて、後日全体に任務を伝えましょう。」
こうして亜美達は防衛戦を含めての出雲奪回作戦の戦隊の行動計画を立て後日作戦に参加する
戦隊隊員を大きな会議室へ集め、作戦概要を説明する。

亜美戦隊長「以上が、作戦内容となる。今回は斯衛部隊による、出雲地方の奪還作戦だ。
我々は、斯衛部隊の側面支援を第一に攻勢をかける。なお、HQは岡山に置くことと決定されている。」

ざわつく会議室内。
亜美戦隊長「、、、質問は随時受け付ける、だが、作戦はもう決まっていて我々には覆す権限はない。
前線でできることをするしかない。万が一に備えて今回は撤退戦と防衛戦のプランも想定した。
こちらもよく読み込むように。」
と言う。

奈美に小声で声をかける。
ゴースト准尉「(、、、京都から350㎞ぐらいありますよね。これ、補給やら後方の警戒やら大丈夫なんでしょうか、
さすがに斯衛といえどもこれはきついのでは。それぐらい余裕なのでしょうか斯衛にとっては)。」



奈美准尉「(さすがにそこまでの余裕は斯衛にあるとは思えません。それに西日本と九州地方も
まだ奪回できてない状態で。。これは確かに成功すれば西日本の橋頭堡になりえます。
ですが、、南條中将でも意見具申は出来なかったらしいので上の方で政治で動いてるかもしれません。)」



後ろでその小声の話を聞いていた洸騎は珍しく人前でしかめっ面になる。
八島准尉「(、、、まったくまたお上の都合で、これか。これはひと悶着どころでないことが
現場で起こりそうだな。。)」
と小声で愚痴っていた。



奈月中尉「な、なんですかこの作戦!斯衛の前線部隊が私達がいないと孤立しているのと同じです!
これじゃあ捨て駒と変わらないじゃないですか!」



奈月は声を荒げ、真木と亜美に強い目線を向ける。

真木少佐「アタシだって、納得出来ないさ。だが南條のオヤジさんも匙投げてる。
ならば、アタシ達はどれだけ斯衛部隊の損失を減らすかを考えるべきだ。」

真木は冷静に返した。

奈月中尉「ですが...!」

珍しく、武子が間に入る。
西少佐「、、、そこまでだ。亜美達もそこは解っている。解っていてどうしようもないんだ。
うちも上層部につてはあって、情報は得ているが、どうにもならなかった。
だから、前線でできる事をするしかない。
、、、こんなんだから上層部に行きたくないのは認めるがな。」
とボソッと最後のは言う。

凜もなだめる。
凜大尉「こういう上層部の命令は覆らないわ。それは九州と西日本、京都で散々味わったわ。
だから、現場で変えていきましょう。ね?奈月中尉。」

奈月中尉「...分かり、ました。」
血が出るほどに手を握りしめながら奈月は言う。

その表情を見て、手を優しく握りしめる洸騎。
八島准尉「、、、奈月さん、私たちにしかできないことをしましょう。
これは我々にしかできません。斯衛の方は、上からの柵があります。
だから前線でできる事をするべきです。我ら戦隊の思いを作戦にしましょう。
そこは戦隊長達も考えてくれてますよ。」

奈月中尉「洸騎さん...はい...」

八島准尉「うん、まずは自分の体を労わらないと。
それではまず自身を追い込んでしまいますよ。奈美准尉頼みます。」

奈月の手に包帯を巻きながら話す奈美。
奈美准尉「もう、あの頃の思いを誰にもさせたくないと思いますが、
だから現場で変えるしかないのかも。だから絶対生き残らないと。
それに斯衛の方々も支援しないと。」 
とその表情は晴れていない。

ゴースト准尉「(、、、やはり俺でも何かまずいと思うぐらいだ。奈美さん何か解っているな。)」
と奈美の目を見て考える。

真木少佐「ゴースト!なんて顔をしてるんだい!
んなシケタ面を今しても何も変わらなねぇよ?」
強くゴーストの背中を叩く。

ゴーストはしまった顔に出ていたかと思い、小声で真木に言う。
ゴースト准尉「イテ、まったく。、、、申し訳ありません。そうですね。
しかし何かしら起こりえると考えた方がいいかもしれません。
あの奈美さんの表情をされる時は何かしら悪いことが起きる気がします。」

ゴースト准尉「そこを含めての何か対策考えた方が良い気がします。」

真木少佐「そうだな。亜美、なんか良い案はないか?」

亜美戦隊長「、、、そうですね。戦隊の補給ポイントと申請しておいて撤退戦の補給場所と拠点防衛用地点を構築しますかね。
ではどうでしょうか。工兵戦術機部隊可能ですか?」

真木少佐「確かに、本部とかなり離れているし前線用の補給地点と防衛陣地は必要だな。
良い案じゃないか。」

丸芽特務大尉「むろん、我が部隊にお任せを。陣地構築はお手の物だ。
補給場所に構築しよう中尉できるな。」

畑中副官「もちろんですよ。万が一の時は頑強に粘れる陣地構築を策定いたします。」

真木少佐「決まりだな。工兵隊は戦隊長の案通り、補給及び防衛陣地を構築。
陣地構築出来次第、砲撃部隊を展開して斯衛部隊への支援砲撃を敢行。
んで、第一・ニ中隊は側面からくるBETA群の処理、って所だな。」

亜美戦隊長「はい、それで行きましょう。
真木さん率いる遊撃分隊は独立して動いて頂いて構いません。
必要があれば戦隊の各小隊を引き抜いて率いてください。
その権限を付けておきます。」

真木少佐「あぁ、任せな!」

こうして部隊全員に通達され、演習を経て作戦計画に齟齬がないように進めて行った。
作戦実行一週間前、あわただしく戦隊は動いていた。
最後の打ち合わせで支援する斯衛部隊と最終的な打ち合わせを行うため、
該当斯衛基地へ亜美と真木達は向かった。

真木少佐「(これから起きる作戦は、アタシからみても無茶苦茶だ。
亜美と奈美が又しに行くような真似はしないで欲しいけど...最悪、アタシが盾にでも...)」

その心の声を聴き亜美は首を振ってこたえる。
亜美戦隊長「(、、、それはできません。奈美も同じ考えですよ。
生きるも死ぬも一緒です。盾になって欲しくないです。
その思いだけで十分です。私は戦隊長としてやるべきことをします。
奈美も電子戦術オペレーターとして考えてます。何か考えていることが
この前の会議の様子では何か有りそうですが。)」
と手を握って答える。

亜美の心の声を聞き真木は、
真木少佐「(そうか...アンタ達が幸せならアタシは...いや、そんな考えはよそうか。)」
そう思った。

真木は九州防衛戦で生き残ってから、整備班長になり、そして戦隊の副戦隊長となった今でも、

自身の生きる意味と言う物を見出せているのかと自問自答していた。
真木少佐「(...こればかりはアタシ自身が答えを出さなきゃならない。今回の作戦で何か見つけられれば良いが。)」
 

真木は思った。
戦隊の中で人一倍誰かの支えになろうと翻弄し続けていた。また、同時に一番多くの衛士を始めとした

戦友を失う所を見てきてそう思った。しかしその反面、真木の心は疲弊し続けていた。

亜美は真木の心内を再度知り、また奈美の想いから、何かこの作戦の結末に不安を覚えるのであった。
しかし、真木さんだけは護りたいと、せっかくこうして知り合えてここまで支えてくれた方だ。
私たちにとっての生きる意味でもあると思った。

亜美「、、、真木さん。やりたい事今回やっていただいて構いませんよ。
私たち姉妹は真木さんに本当に助けられました。だから良いのですよ。
護りたいこの思いに斯衛も陸軍もありません。
私の命令に従わなくても大丈夫です。私はそれを咎めません。」
と真木の目を見て答える。

真木少佐「...気持ちだけ受け取っておくよ。
アタシのやりたいことか、やりたいことって何だっけな...。」
そんな事を言い、遠くを見つめる真木。

なにか真木のつぶやきに違和感を覚える亜美。
奈美が何か不安を感じてる事がこれなのかと思うが奈美が心を閉ざしてしまっていて結論は出なかった。

亜美は気まずく無言になり、ちょうど斯衛の基地に到着した。

会議室へ通された亜美達。
そこへ二人の斯衛衛士が来て、敬礼し席に座り話す。
崇宰恭子大尉と篁唯依中尉であった。

崇宰大尉「久しぶりだな、沙奈江。いや、真木少佐殿とお呼びするべきか。」
少し、茶化すように久々に会う同期の桜である戦友に声をかける。

真木少佐「やめてくれよ恭子。アタシ達の間に敬語は不要だろう?
それに、少佐の階級は戦隊にいるからだ。斯衛に戻れば一介の大尉だよ。
それとも、アタシこそアンタ...貴方様を恭子様とお呼びした方が良いと思いますが?」
と逆に崇宰を茶化す。

やれやれと思う恭子。
崇宰大尉「、、、貴様、その言い方似合わないぞ。いまさらそんな呼び方されてもな、と
失礼した。早雲少佐殿。以前お会いした斯衛軍第16斯衛大隊所属の崇宰恭子です。
今回はよろしく頼みます。
こちらは私の副官を兼ねている篁唯依中尉です。
今回、作戦の側面支援助かります。詳細を確認いたしましょう。」

篁中尉「同じく斯衛軍第16斯衛大隊所属の篁唯依です。
宜しくお願い致します。
生真面目に敬礼して答える。

亜美戦隊長「丁寧なご紹介有難うございます。
今回はよろしくお願いいたします。」
と真木との茶化し合いをほほえましく思い答える。

真木少佐「だろ?だからいつもの感じで頼むぜ。
篁中尉か、アタシは真木沙奈江。斯衛から戦隊に出向した色物衛士、とだけ覚えていれば良い。
聞いたよ、帝都で壮絶な目にあったってね...。」
いつもの様に笑って、自己紹介をする真木。

篁中尉「、、、はい。帝都では色々ありました。真木少佐殿も、、色々有ったことは
聞いております。宜しくお願い致します。」
と一瞬顔を曇らせるがそれ以上は言わずに答える。

真木少佐「あぁ、宜しくな。(軽く彼女の戦歴を見たが、初陣で小隊全滅を経験したんだ...あぁもなるか。)」
無視意識に真木は篁に優しく微笑んでいた。

亜美も心の中の想いが聞こえてああ、この方もかと思った。確か奈月中尉とゴースト准尉の当時の報告で
少し聞いたが、あの後かなりの地獄を見た事を戦歴で知った。
ここで話すことではないと思い話さなかったが。

こうして両部隊は綿密に最終打ち合わせを行った。
そして打ち合わせ後、見送りする崇宰大尉。

その帰り際に真木は口を開いた。

真木少佐「なぁ恭子。止める気はねぇが、本当に良いのか?
強襲戦隊の少佐ではなく、アンタの親友としてだ。
アタシはまだまだ恭子と語りたい事や、共に色々やりたい事もある...この作戦、恭子自身は良いのか?」
それとなく聞こうとしたが、何か胸騒ぎがしたのか、包み隠せなかった。

一瞬困った顔をした崇宰大尉。
崇宰大尉「、、、良くは無い。だが、斯衛として武家としては命令には従うしかない。
我々は、。もっと上の政治的な話し合いでこうなっている。だから何も言えない。」
少し同期の親友の言葉に答えるが多くは言えないようだ。

真木少佐「そうか...アタシ達はアンタらの援護が主任務だ。

必要なら直ぐに呼んでくれ、恭子の為ならすっ飛んで行くからよ!」
真木は不安を吹き飛ばす様にそう言った。

だが、心の中の不安は飛ばなかった。

その言葉に驚き苦笑する。
崇宰大尉「まったく、お前はいつもそうだ。だが、今回はありがたくそうしてもらうとしよう。
部下たちも護らなくてはいけない立場だからな。」
と答える。

真木少佐「恭子、死ぬなよ。再会が靖国なんてゴメンだからな。」

その言葉には答えず、振り向かずに基地内に戻る崇宰大尉。

察していた亜美は少し離れたところで待っていたが戻り真木に声をかける。
亜美戦隊長「、、、やはり斯衛内でもなにやらありそうですね。
何とか作戦が成功すればいいですが。」
と小声で話す。

真木少佐「そうだね...アタシ達に出来る事をしよう。」
真木もその場を後にするが、その背中は物悲しく感じられた。

亜美は思った。いつも心強い、大きな背中が小さく見え、
そして悲しそうな感じがして何か不安が高まるのであった。

時は少し戻り亜美達が斯衛の基地についたころの戦隊基地内。
ゴーストが奈美の部屋のドアを叩いてる。
ゴースト准尉「奈美さん、大丈夫?一人で悩んでも仕方ない。みんなで考えましょう。
何かいい案があるはずです。(汗。」
ドアは開かない。自室なら安全か。しばらく一人にさせた方がいいのか。
と迷いつつ、衛士待機室に行く。

そこには奈月と洸騎が居た。
こちらはこちらで、洸騎が奈月を慰めていた。

そこにゴーストがしかめっ面で二人の正面に座る。

ゴースト准尉「、、、この作戦こんなので大丈夫なのか。。。俺は投げ出したくなってきた。」
と珍しく本気のような冗談を言っている。

奈月中尉「分からないよ...どう考えても無謀な作戦にしか思えない...。」
奈月はそう呟く。

八島准尉「そしてお上は責任はとらないだろうな。失敗したら現場の指揮官に全て押し付けて。。。
だがそうはさせない。玉砕なんぞさせてたるか。兵隊は消耗品ではない。
?ゴーストどうした。奈美准尉は。 さっきのあの表情はとても悲しそうだった。何か思いつめてなければいいのだけど。」

ゴースト准尉「、、、悩んでる。俺じゃだめだ。
ふさぎこんでる。肝心な時に何もできない。歯痒い。
奈月さん、お願いできますか。自分は無力です。」
と頭を下げて頼み込む。

奈月中尉「私...私、なんかで良いのかな...。」

ゴースト准尉「申し訳ない。自分では、、無理なようです。
今、真木さんも戦隊長もいない。ここは奈月さん、お姉さんの言葉なら響くと思いますよ。
それでダメなら無理かもしれない。止められない。この負の流れは。。」
と愕然として言う。

奈月中尉「...分かった。そこまで言うなら行ってくる。」
自身もそれが出来るのかと思いながら奈月は、足取り重くなれど奈美の部屋へ向かった。

奈月が去って二人は話す。
八島准尉「、、、奈月さんも奈美さんもこの状態はまずいな。
傷のなめ合いでもいいから何とか元気になって欲しい。」

ゴースト准尉「そうだな。。。クソ、不甲斐ない。」
と机にこぶしを叩きつけるゴースト。

奈月はどうすればよいか解らないまま答えが出ないまま、奈美の自室に着く。

奈月中尉「奈美、いるんでしょ?此処を開けてくれないかな?」
だが反応は無かった。

奈月中尉「...私にも話せないことって事なのかな?
いや、それで合っていると思うよ。私もどうしたら良いのかの答えは無い。
自分自身の答えを見出せて無いのに、貴方にどうこう言う資格なんてない...いっそのこと、

此処で自分の頭を銃で撃ち抜いたら、楽になれるかも知れないね。」
扉にもたれ掛かりながら、自身のホルスターから拳銃を引き抜いてそう呟く。

扉が開く。
泣きながら奈月に飛びつく奈美。
奈美准尉「いや、いや。奈月お姉ちゃん。それだけはやめてください。
私そんなことになったら生きてられない。うわあああああ。」
と大泣きする。

奈月中尉「本当は何か励ませれば良いけど、今の私にはそんな気の利いた言葉は言えない。
実際、こうでもしなければ奈美は出てこなかった...私の答えはやっぱり...」
大泣きをする奈美を半端無視する形で、奈月は言葉を紡いでいた。

奈美准尉「奈月お姉ちゃんが死ぬなら私も死にます。
生きていても仕方ない。それに何か、何が起こるか解らないのですが、
どうしようもないことが起こる気がします。それが何なのか
何も解らないのです。私は、、私は大好きな奈月お姉ちゃんを真木さんを助けたいのに。」
と崩れて座り込み泣き続ける。

奈月中尉「...少なくとも此処で泣いている暇はないんじゃないかな?
それで何かが変わるわけでもないんだから。」
奈月はそう呟くが、それ以外に自身に言える事はないと思い。ゆっくりとその場を離れようとする。

待って、待って奈月お姉ちゃん。と言いかけて手を奈月の腕を取ろうとしたが奈美は自分でもどうすればいいの解らず
その手を下してうなだれる。

そこにすっと現れる菅中尉。
右手で奈月の頬を叩く。
サングラスに隠れてその表情は見えない。が、悲しそうな顔つきであった。

菅中尉「まったくもう二人とも不器用なんだから。
奈月中尉、あなた義理とは言えお姉ちゃんなんでしょう?ならしてあげることは1つ。抱きしめてあげればいいのよ。
それに奈美准尉、貴方はもっと他人を頼りなさい。奈月中尉やゴースト准尉が居るのだから。
そうして一人で全て背負っていくつもり?そんなことしてたらあなた潰れるわよ。」
と優しく諭す。

奈月中尉「菅さん...私は...(言われなくてもそうはして来た。
それでも背負い込む奈美を見て、私は、もうどうして良いか分からないよ...)」
菅の言葉に奈月は顔を下に向ける。

小声で話す嘉代子。
菅中尉「、、、それでもね。良いのよ。あなたも悩んでることは解るわ。
それでも二人でいれば気持ちも落ち着くものよ。
貴方の励ましが奈美准尉の心を落ち着かせられるわよ。
これは私の母親としてのカンだけど。
貴方しかいないわ。お願い、二人で歩んでちょうだい。」
と言う。

そしてサングラスを外して悲しそうな顔でさらに伝える。
菅中尉「、、、私は娘達と最期に仲たがいをしたまま悔やんだまま別れたの。
そんなことさせたくない。だからちゃんと話し合って欲しいのよ。」
と言う。

奈月中尉「...奈美、おいで。」
菅からの言葉に応える様に、奈月は奈美に声を掛けて、両手を広げた。

奈美はその奈月の胸に飛び込む。
奈美准尉「、、、ごめんなさい。私またどうしていいのか解らなくなってしまって。ごめんなさい。
亜美姉さんと私、おそらく真木さんに嫌われます。この作戦の結末は解りませんが、、何かが。
どうすれば。」
泣きながら謝る奈美。

奈月中尉「それを探すのが私達のやるべき事だと思うよ。
答えが一つだとは限らないから。」

奈美准尉「、、、そうですね。変えたいです。変わりたいです。」

それを優しく微笑んで見守っている嘉代子。
菅中尉「そうよ、奈月中尉の言う通り。
そして、そこの角で様子を見ている二人の男の子、出てきなさいよ。
皆で探しましょう。」
と少し先の通路の角から心配そうにしてばつが悪そうにしている
洸騎とゴーストが出てくる。

奈月中尉「...とりあえず、ゴーストさん何か言う事はある?」

ゴーストに対して奈月はそう言う。

ゴーストはばつが悪そうに奈月の前に出てきて頭を下げる。
ゴースト准尉「奈月さんに押し付けて、申し訳ないです。」

ゴースト准尉「その上で、今の話を聞いていると。。現場で何かできることがあればいいですが。
できる事あるかどうか。」
とどうすればいいのか解らない二人であった。

困惑している二人に謝る奈美。
奈美准尉「、、、申し訳ありません。私にも今回は正確に見えてないのです。
曖昧な内容で。。一緒に皆さん探してもらえますか。」
と奈月たちを見て言う。

奈月中尉「勿論、抱え込むよりずっと良いよ。」

奈美准尉「奈月お姉ちゃん、、、有難うございます。大好きです。」
と泣き笑いをする。

奈月中尉「そこの2人も、ちゃんとしてね?」

ゴースト准尉「できることを探してみます。」

八島准尉「解りました。

(??前から思ったが奈月さんは何を言っているのか。自分には言えないことがあるのは解るが、、、

3人は知ってるような気がするが)」
と少し疑問に感じた。

ゴースト准尉「(、、、と言ってこの状態でできる事って、何かあったら盾になるぐらいしか。
探すしかないのだけども。。)」

そしてできる事を考えたが答えが出るわけでもなかった。

夜、明日の作戦決行の為戦術機の最終調整も終わり、全員が寝静まった頃。

真木は、横浜基地近くにある木の下でタバコを吸っていた。
真木少佐「...大事な作戦前だってのに、なんで寝れないんだ。しかもあんな縁起が無い悪夢を見るなんて。」

真木は明日の作戦で、恭子が目の前でBETAに食われ、そして自分自身に全てを否定されると言う悪夢を見てしまい、

寝れずにいた。

そこに心配した亜美が来る。
亜美戦隊長「真木さん、どうされたのですか。」

真木少佐「亜美か、嫌な夢を見てね...。」

そう言い始め、悪夢の内容を喋った。

真木少佐「奈美の夢見もこんな感じなのかね。」

亜美戦隊長「、、、そうですね。奈美の夢見と似ていますね。
ですが、、変えるために準備をしました。変えたいです。」
と真木を抱きしめる。

真木少佐「そう、だね...アタシが諦めたらダメなのは分かってる。でも、大陸でも九州でも、アタシは何も守れちゃいない。」

首を振る亜美。
亜美戦隊長「そんな事ありません。私達は少なくとも助けてもらいましたし、

奈月もそう、皆助けてもらったから今が有るのですよ。
奈美だって真木さんが居るから生きて行ける。」
と答える。

真木少佐「そう、だね。」
それでも真木は、親友を失う喪失感を恐れていた。

亜美戦隊長「恐れは解ります。私も両親を失いました。ですが、今回は支援が出来ます。
ですから全力出撃です。」
と答える。

真木少佐「あぁ、ありがとう。」
真木は静かに伝えた。

こうして夜は更けていった。

出撃4時間前。亜美は戦隊長室で考え込んでいた。
亜美戦隊長「(、、、最悪の事を考えて編成を変えるか。
私が直接奈美と警戒機で動けば、ゴースト准尉を機動編成で行ける。それなら色々対応できるはず)」

その思考を解っていた副官の紫音はため息をついて言う。
橘副官「、、、亜美、それをやったらゴースト准尉悲しみますよ。
それでも、やりますよね。その表情なら。」
と困った顔をしている。

亜美戦隊長「、、、そうね。だけどそれが一番いいと思う。
私は指揮に専念したいから。これが一番いいと思う。
紫音、整備ハンガーに行くわよ。」

しかたないなと思いつつも従う紫音。
橘副官「、、、仕方ありませんね。お供します。」
と二人で整備ハンガーに行く。

整備ハンガーにて。
出撃前の機体整備でバタバタしてる整備兵たち。

その整備兵達に紫音が声をかける。
橘副官「戦隊長入ります。整備班長もしくは副長お願いします。」

迎えたのは真木だった。
真木少佐「どうした?今はアタシに代わって落合が現場監督をしてるよ。」
整備班達の姿を遠目に見つめる真木。その目は、何か決意した意思を感じさせる。

真木が出てきたのを見て紫音は亜美の後ろに下がる。
決意した真木を見つめて亜美が言う。
亜美戦隊長「(この決意を無駄にさせたくない。できることをしたい)
真木さん、すみません。全力出撃前の整備班が忙しい時に。私の機体とゴースト准尉の機体の個人設定をそれぞれ
私とゴースト准尉のを追加で入れてください。機体変更をかけます。これは戦隊長命令です。」
とすまなさそうに普段は言わない事を言う。

真木はその言葉を聞き、静かに口を開く。
真木少佐「...佐渡島の時みたいなことをする気かい?
なら整備班長としても、副戦隊長としてもその命令は聞けないね。説明を求めるよ。」
断固として説明を要求した。

やはりそうなるかと思いつつも本心を言う。
亜美戦隊長「私は今回指揮に専念します。だからゴースト准尉には機動戦で第二中隊で甲本大尉と奈月中尉で動いて

欲しいと思いました。
それが一番いいかと思いました。だからです。決して佐渡島のようなことはしません。
ただし『指揮官は攻める時は先頭、後退する時は最後』だけは譲れません。だからこうした方が良いと。
それでは駄目ですが?」
とこちらも決意を交えて答える。

真木少佐「指揮官は攻める時は先頭、後退時は最後尾ってのは同意だが...佐渡島のような事はしないと言う言葉は、

すまないが信用出来ない。
納得できる様に、アタシを説得してみな。」

佐渡島の一件が出た影響か、簡単に飲み込んではくれない。

亜美戦隊長「第六警戒小隊は機動戦ができません。それならば本来の編成とは変わってしまいますが、
私が指揮を執りつつ警戒機で支援するのが良いかと、奈美と違う意味での連携が取れるので。


それにゴースト准尉の持ち味は元々機動戦ですから。甲本大尉と奈月中尉について行けるのを加味するとそれが良いかと。
いざと言う時に遊撃分隊の支援にも回せます。ある意味第二遊撃分隊として使いたいと思いましたので。


それに警戒機では好き勝手できませんので佐渡島のようなことはできません。奈美も後ろに控えているので。
これでもダメですか。」

真木少佐「...なるほど、佐渡島の時みたいな考えは無いみたいだし、
アタシの考えも何となく当たっていた訳か、落合!出来てるかい!。」

亜美の説明を静かに聞き、大声で落合を呼ぶ。
声に反応して落合が駆けつけた。



落合副長「はい!ゴースト准尉に回す、戦隊長専用機の高機動用機体は準備できてます!
警戒機も、片手間ですが後1時間でできる予定です。」

真木少佐「上出来だ副長、いや落合代理。
警戒機の方はアタシが代わる、数人人員を寄越してくれ。」

落合副長「了解です!。」


真木少佐「てな訳だ、他に質問は?」

少しほっとして笑みを浮かべて答える。
亜美戦隊長「はい、これ以上真木さんに怒られるのは嫌ですから。
それに、今回は嫌な予感がします。奈美も何か感じているので。


そのための保険です。有難うございます。
特に質問はありません。宜しくお願い致します。」
と頭を二人に下げてお願いする亜美。

紫音は思った。
橘副官「(、、、内容は解るが、これをゴースト准尉が素直に受け入れるのか。
私ならいや、亜美の判断に間違いはないはずだ。これは命令するしかないか。)」
と顔色を変えず真木と亜美の二人を見ていた。

真木少佐「何か...か...何も起きない訳無いとは思うけどね...。」
そう呟きながら警戒機へと真木は向かう。

紫音に出撃前準備をさせつつ、真木について行き警戒機に必要な設定を施そうとして言う。
亜美戦隊長「、、、ですね。あと今回、奈美には1度だけ私の命令以外での独断先行行動を許すようにしようと思ってます。
何か本人も解っていないですが緊急で必要な事があると思うので。」
とこれも真木には言っておいた。

真木少佐「大丈夫なのかい?過保護過ぎるとは思うけど、あの子に何か起きるかも知れないじゃないか...。」

亜美は嬉しそうに微笑む。
亜美戦隊長「有難うございます。その過保護、うれしいですよ。その『何か』の為に私が警戒機に乗り込むのもあります。
ある意味それも保険をかけてます。私が居れば何とかできるかと。絶対ではありませんが。。。
ゴースト准尉には悪いと思ってますが。指揮官として、姉として今回はそう判断しました。」
と手を動かしながら答える。

真木少佐「そうかい...亜美。アンタを信じるよ。今までも、そしてこれからも。」

亜美戦隊長「うれしいです。はい、私を信じてください。」
亜美は真木の言葉が嬉しく佐渡島のようなことはもう絶対にしないと固く心に誓った。

こうして出撃準備が整い戦隊の衛士が整備ハンガーに集まる。
そして亜美と真木の二人と橘、上月の両副官が前に出て訓示を始める。
亜美戦隊長「これより戦隊は斯衛の出雲奪回作戦の側面支援として全力出撃する。
今回は斯衛の支援だ。全て支援につぎ込む。また万が一の場合は遅延戦闘を展開するので
そのつもりで。

 

全員生きて戻るぞ。作戦内容は一部修正があるが基本変更なし。真木さんから何かありますか?」
と多くは言わずに真木に振る。

ゴースト准尉「(?、一部修正?戦隊長がこんな濁し方したことあったか。何だろう。何か引っかかる。)」
といぶかしがる。

真木少佐「アタシからも特には無いが、戦隊長。アタシの呼び方はさん付けじゃなくて副戦隊長じゃないのかい?」
と意地悪に言う。

一瞬ボッと顔を真っ赤にするがすぐに普段の顔色に戻して言う。
亜美戦隊長「あ、申し訳ありません。訂正。副戦隊長失礼した。ではカカレ。」
と言って逃げ出して機体の方に移動する。。

そして、ゴーストが奈美を誘い警戒機に乗り込もうとした時に
その後ろ姿に声をかける。

亜美戦隊長「あ、待て、ゴースト准尉。貴官には今回臨時で第六警戒小隊より外す。
私の機体を使って第二中隊の甲本大尉指揮下に組み込む。

代わりに私が警戒機のフォワードを務める。これはすでに決定事項だ。」

ゴーストがその言葉に振り返り唖然とする。
何かあると思ったがこれかと。
ゴースト准尉「!、復唱できかねます。直前でこの通達は。」

奈美もびっくりして亜美を見つめる。

真木少佐「悪いがゴースト、アタシもコレには納得している。今回は単独で乗って貰うよ。」

ゴースト准尉「(戦隊長だけじゃない、副戦隊長の真木さんもか。これは覆せない。
俺はお役御免か。。なら。。)、、、了解致しました。」

ゴーストの想いを聞き慌てる奈美。
奈美准尉「違います。違うんです。そういう事ではなくて、私も今知りましたが。
亜美姉さ、いえ。戦隊長は今回の作戦を考え抜いての結果だと思います。」
とゴーストの手を握りしてめて言う。

それを静かに見ていた上月が口を開いた。
上月大尉「戦隊長、副戦隊長。お二人とも言葉足らず過ぎます。
ちゃんと説明しないから、ゴースト准尉が自分はお役ごめんだと勘違いしているじゃないですか。」
助け舟を出した。

そこに紫音も言う。
橘副官「ほら、戦隊長言った通りではないですか。ちゃんと説明してあげましょうよ。
納得できればちゃんとゴースト准尉は従ってくれますよ。」
と言う。

亜美戦隊長「うん、そうだよな紫音。上月副官そうですよね。
ゴースト准尉、お役御免では無いよ。これからも奈美を護って欲しいのは変わらない。
今回は私が指揮に専念したいから。だからこうした。
それにこの方が、ゴースト准尉も動きやすいだろう。機動戦でかき回して警戒機を護って欲しい。
そこは変わらない。第二中隊は完全に機動戦で対応して欲しい、だから私の機体を預ける。
納得して欲しい。」
と伝える。

真木少佐「と言う訳だ、アタシも言葉足らずだったな、すまんゴースト准尉。」

二人に言われて良かったと思いつつ、こんな直前の配置換えをされるとは何かあり得るなと考える。
ゴースト准尉「、、、復唱致します。

ゴースト准尉は第六警戒小隊より第二中隊の甲本大尉殿指揮下にて機動戦闘に従事致します。
戦隊長の機体、謹んでお借りします。機動戦で機体を壊しても知りませんからね。」
と言う。

真木少佐「まかせろ、その為の整備班だ。」

真木の言葉に気合を入れるため、両手で頬を叩くゴースト。
ゴースト准尉「有難うございます。では全力で対応致します(敬礼。」
と奈美を一瞬見つめて戦隊長の機体に乗り込む。

ゴースト准尉「ゴースト1よりブラックキャット1、2へ。指揮下に入ります。
宜しくお願い致します。」
と手早く機体を操作する。さすが戦隊長の機体。これなら久々の機動戦だが無茶ができそうだと思いつつ。

凜大尉「ブラックキャット1よりゴースト1。直前でびっくりしたが。了解よ。
こき使ってあげるからそのつもりで。」
と言う。

奈月中尉「ブラックキャット2よりゴースト1へ、しっかり着いてきてね。
置いてかれても振り向かないかも知れないからね。」

ゴースト准尉「了解です。久々の機動戦ですがこの機体ならやれます。
どうぞこき使ってください。ちゃんとついて行きますよ。」
と二人に答える。

それを聞いていた亜美は
亜美戦隊長「(良かった。納得してくれてちゃんと動いてくれそう。上月さんのお言葉は毎回ありがたい事ね。)」
と思いつつ。


亜美戦隊長 「では、戦隊全力出撃、行きます。」
と言う。
前編END
 

橿原静子整備兵お持ち帰り編

西武子が小さい頃、父親に連れられて本家のおじい様に会いに行った。
本家のおじい様は男爵で軍人で騎兵出身の方だったらしくすらっとして素敵な方だった。
遠縁とはいえ、孫が可愛いのかよく遊んでくれた。

そのおじい様はよく外国の方にバロン西と呼ばれていた。
聞くと、1932年のロサンゼルスオリンピックで馬術障害飛越競技での金メダルを獲得したとの事だった。
愛馬のウラヌスはとても大きく激しい性格で
それを乗りこなしているおじい様はとってもかっこよく
騎兵時代のおじい様の写真にもよく一緒に写っていた。

そしてある時、ふとおじい様がウラヌスに乗ってみるかと言われて一緒に乗らせてもらった。
周りはウラヌスが暴れると思ったが、おとなしくしているのでびっくりしていた。
ウラヌスを上から見るのは新鮮で楽しかった。
何度か乗せてもらったが、その後ウラヌスは旅立ってしまった。

武子が高校を卒業する頃、久々におじい様に呼ばれた。
卒業祝いに馬を送ってくれると言う事だった。

おじい様はいつもの軍服で愛用の乗馬用の鞭と靴で待っていた。
好きな馬を選ぶとよいと言われてみると、ウラヌスに似た大きな馬が居た。
直感的にこの子が欲しいと思った。
そしておじい様に伝えると、にっこり笑い、その子はハイヌス。ウラヌスの孫で気性は同じく激しいらしい
誰にも乗りこなせてないが武子が乗りこなせるのならいいよと言ってくれた。

武子はハイヌスに駆け寄り優しく頭をなでる。周りの者は蹴られるぞと遠巻きに見ていたが、
そのままハイヌスに乗り周りを駆け回る。
おじい様は優しそうに二人を見守っている、二人は私たちのように良い相棒になると。

こうしてハイヌスは武子の愛馬となり、現在に至る。
そして、、、

現在2001年3月頃。
とある日戦隊の首脳部会議にて陸軍内での衛士訓練施設への衛士教官の臨時講師派遣をする話が
出ていた。
亜美戦隊長「、、、と言う事で南條中将から連絡がありました。誰を派遣しましょうか。」



真木整備班長や上月副官、落合代理、橘副官、西少佐、甲本大尉、第一第二小隊の副官、東野中尉と奈月中尉、葉吹大尉、コントコンビの2人(藤田中尉と槇村中尉)と工兵の丸芽特務大尉もいる。

そこに武子が名乗りを上げる。
西少佐「、、、はいはい、私が志願するよ。
近場の基地ならハイヌスをたまには乗ってあげないといけないから乗っていくよ。」
とニヤソとしながら言う。



東野中尉「、、、(# ゚Д゚)このロリコン女男爵。絶対物色しに行くんでしょう?」
とあきれてジト目で言う。



真木班長「物色だなこりゃ。」


落合副長「物色ですね、可哀想に。」



砂原整備兵「捨て猫拾う感覚でスカウトしてくるんすか〜?」

菊間整備兵「スカウトするなら、是非OS関係に強い整備兵を所望しますよ。
(戦隊が恨まれる遠因にもなっているから、やめて欲しいんだがな...)」

真木と砂原は呆れ、落合は哀れみ、菊間は皮肉を込めて言った。

凜大尉「、、、ほどほどにしときなさいよ。つまみ食いしてきたら怒りますからね。」



奈月中尉「止めても無駄ですね...迷惑をかけて来ないでくださいよ?」



葉吹大尉「西少佐殿?あまり人様の趣味にとやかく言いませんけど、、、
あまり若い子を毒牙にかけるのは可哀そうですわよ。」



藤田中尉「槙村、賭けるか?西少佐が今度は誰を引っ掛けてくるか。
俺は、輸送機の副長にするね。」



槙村中尉「お前が欲しいだけだろうが、ったく。」

みんなそれぞれ言いたいことを言われている。

困った顔をする亜美。
亜美戦隊長「、、、西あのなあ。解っていると思うが、まあいいか本人乗る気だし。」
やれやれな顔をして言う。

戦隊長のお墨付き?をもらい喜ぶ武子。
西少佐「真木殿それは酷いですぞ。ちゃんと優秀な衛士の卵を持ち帰りしてきますぞ。
うちも若い子いた方がいいでしょう。増員しないと。

甲本殿酷いなあ。つまみ食いじゃない、私は本気なんだ。

あら、落合ちゃんと奈月ちゃんは絶対止める派だと思ったけど
捨て猫言うな、砂原殿。カワ(・∀・)イイ!!子をスカウトするだけだ。
菊間殿、うーん整備はあまり解らんよ。
葉吹殿お母さんみたいなこと言わないでくださいよ。。

ええ、コントコンビは賭けの対象か。じゃあ私は自分に賭ける」
とそれぞれ答える。

真木班長「だからだよ、このポンコツ男爵芋女。
行くならさっさと行ってこいや。」
と、完全に呆れていた。
と、真木に追い立てられるように出される武子。

亜美戦隊長「真木さん、、、いくら何でも追い立てては可哀そうでは。
まあ、影縫少尉みたいな子を一本釣りしてくるかもしれませんから、悪くは無いとは思いますが。。」
とやれやれと思いながら言う。

真木班長「だからだよ。余りにも他所から引き抜いてきたら、色々恨みを買われるよ?」

亜美戦隊長「、、、そうですね。しかも落合整備兵や藤田中尉の件もありますからね。
あまり派手には動かれると困りますけど、まあ衛士候補生ならまだこの時期配属も決まってないですし
まだ大丈夫だと思いますが、、まさか戦術機整備兵まで手は。あ、(汗
行かせたのはまずかったかも。。」
何か予感がするのか頭を抱える亜美。

真木班長「はぁ...また波乱が起きるな。」

亜美は暗い顔をして言う。
亜美戦隊長「ああ、また南條中将から苦情が。。。」
とちょっと絶望しつつも、頼もしくも思うのであった。

少し時間がたち、制服を騎兵の男爵用の仕立てのいい制服に着替え、エルメス製の乗馬ブーツに乗馬用の鞭を手に
戦隊基地内のハイヌス達軍馬が居る厩舎へ行く。

馬が何頭かいる、その中で
西少佐「やあ、君、元気にしてたかね?久しぶり。ごめんね。忙しくて。
今日からしばらく近くの基地で衛士の卵を訓練しに行くから一緒に行こう。」
と言うと、ハイヌスは嬉しそうに武子を見つめる。

こうして戦隊基地を出る。
出るときにぶつぶつ言いながら基地正門を通るもんだから衛兵がぎょっとしている。
西少佐「まったく真木殿は酷い。私はポンコツ男爵芋女ではない。」
と衛兵が敬礼してるのを答礼して出ていく。

静子は訓練施設の基地の横にある草原のベンチで一人座り、戦術機のOSの基本動作等の改修が出来ないかと
色々プログラムをいじってみたりしていた。
普段同僚にはどんくさいとか、ミスが多いと言われて孤立していることが多いが、
それはそもそもオートバイの町工場のお爺ちゃんを手伝って整備をしていたことで戦術機の基本構成から
あまり解っていなかったからで仕方のないことではあった。人手が足りないということでなぜか回された。

休憩中、一人でプログラムの構成や衛士の要望に応える内容を作ることが日課であった。
衛士の方々は帰ってきてほしいから。と思い、同僚から何か嫌味を言われても耐えて、
何も言わずに作業をこなす。そんな毎日であった。
いつものように一人でベンチに座り、虐められてたので涙を流しながら携帯端末を見ながら作業を行っていると、、
急に左ほほをベロっと舐められる。
橿原整備兵「ヒヤァ~。びっくりした。」



ブヒヒと声が聞こえる。

??「君、大丈夫?ごめんね、ハイヌス、君駄目だよ。」
と左上から声が聞こえる。

振り返ると、、戦術機の衛士微章を付けた少佐の方が馬に乗っている。どうやらその馬に舐められたようだ。

武子がハイヌスより降りて、携帯端末をのぞき込む。
西少佐「私、西武子。君、ここの戦術機の整備兵、何してるの。(うん?なんだ。OSに関する改善提案?)
これ、、出来るの?。」

アワアワしながら答える。
橿原整備兵「私、橿原静子です。戦術機の新兵の整備兵です。誰もできないと言ってますし、
机上での計算ですけど、、、出来るかは試してみないと解りません。」
と自信が無さげに答える。


西少佐「ふーん、すごいね。もっと教えてよ。」
と気さくに静子に話して聞きまくる。

その日以降、、静子をそれとなく見守っていつつ、衛士の卵たちの訓練に率先して自分が先頭になり一緒に訓練内容を
ケロリとしながらこなし、脱落気味の子を励ましながらどうすれば付いていけるのか
手取り、足取りw指導を行っていたが、休憩時間中にハイネスを遊ばせるために
草原スペースで乗馬をしていた。

西少佐「うん、君、楽しいか?そうかそうか。最近忙しかったからなあ。ごめんね」
と武子はハイヌスに話しかけ頭をなでる。
嬉しそうにヒヒィーンと目を細めてハイヌスは答える。

と、草原を走っていると何か聞こえる。

橿原整備兵「申し訳ありません、すぐに直します。」
泣きながら謝っている。
何か小さくなりながら泣きながら謝っているのが聞こえる。

整備兵A「腕が良いからって調子乗ってんじゃねぇだろうな!」

整備兵B「そうそう、良い気に乗るなよ!」

橿原整備兵「ですからそんなこと無いです。町工場でバイクしか修理したこと無いので
そんなこと思ってないです。お願いですから教えてください。」
とひたすら恐縮している。

整備兵A「んな事言って本当の事を喋ろうとしないなんて、ふざけてんのか!それでバイク修理だと!」

整備兵B「いい所の出なんだろ?ゲロっちまえよ!」

と二人のガラの悪い整備兵が静子に絡んでいる。

そこに武子とハイヌスが来て整備兵Bをハイヌスが前足で蹴り飛ばす。

橿原整備兵「あ、西教官。」

武子が二人を睨みつけて低い声で言う。
西少佐「君、そんなバッチイゴミを蹴ったら汚くなるよ。特に心がね。」
と言いハイヌスから降りる。

整備兵A「な、なんだよ!少佐だからって許されるのか!」

武子は言う。
西少佐「かわいい子をいじめるのは許さないよ。
それに、君たちちゃんと教えてるかな。整備のスキルは見て盗めって。
うちの真木殿や落合ちゃん達ならそんなこと言わないし、
虐めたりしない。
少佐だから許されるとか関係ない。文句があるなら私、西武子に言いなさい。
あ?一人では無理?整備班長でもお仲間を呼んでくればいいじゃない。
私を倒したいならいつでもその喧嘩いつでも買うぞ。
文句があるなら第零独立強襲戦隊の西までいつでも来なさい。」
と言い放つ。

整備班長「おい!そこで何をって、西少佐殿!
こ、これは...ウチのものがご迷惑をお掛けしました!」

その場を発見した、整備兵Aの整備班長が即座に謝罪をする。

西少佐「、、、整備班長殿、私は階級や男爵の立場として脅したくはない
だか、これはいささか度を越えているのではないか。
私に非があるのなら補填は西家でする。
だから言い分を聞こう。無いならこの子は私が頂く。」
と静かに切れながらいう。

びっくりする静子。
橿原整備兵「それは、わわ、私は。」
どうしていいのか解らずおどおどしている。

整備班長「いえ、私の監督不届きが招いた責任でしょう。少佐は悪くありません、彼女の身柄が条件と言うわけですね。
分かりました、ここにいると彼女に良くないです。彼女を、宜しくお願いします。」
深々と頭を下げた。

整備兵A「んな!そんな事言って良いんすか!」

整備班長「貴様ともう1人が変な嫉妬心で、彼女をいびっていたのにか!それを今まで気付けなかった私自身が不甲斐なさ過ぎる!」

武子はまさかここまで相手側が譲歩してくるとは思ってなかったのでスンとテンションが下がったが言う。
西少佐「解った。私が責任を持つ。そいつらの後始末を頼む。」

ともう整備兵AとBには目もくれず静子の前で足を着いて静子の手をとり言う。
西少佐「で、君はどうしたいのかな。私がもらい受けてもいいのかな。君がどうしたいかそれが聞きたい」
とプロポーズするように言う。

整備班長「ありがとうございます。と言う訳だ、貴様らの処分は後日伝える。」

整備兵A「そ、そんな...」

整備兵B「...チッ」

整備班長「貴様ら!その態度はなんだ!」

武子はその態度に再度言う。

西少佐「、、、納得がいかないのならいつでも相手をしよう。
西武子と言う個人で。いつでもよいぞ。夜寝込みを襲っても。
この片目のようになっても文句は言えないようにしてやるがな。」
と眼帯を外しぞっとする顔をして整備兵AとBに言う。

南條中将「騒がしいと思えば、また君か西少佐。」



西の背後から、戦隊の後援者である南條が現れた。

あきれる武子。
西少佐「まったく、高級将校殿がこんな新兵教育施設に。
そんなに私がやらかすと思われましたか。
亜美に、戦隊長は許可はいただいている。
それにこの子は私がもらい受ける。でいいんだよな。」
と静子を壁ドンしながら言う。

橿原整備兵「いや、そのあの(真っ赤になりながら)はい、不束者ですがお願いします。」

南條中将「全く...コレで引き抜いたのが優秀だから怒れん...。」
そうため息を吐く。

西少佐「私は人の見る目は自信がある。中将殿、この子はOS系に特化してますよ。
例の計画に良いのでは。それに真木殿の元であれば、必ず化けますよ。」
と言う。

南條中将「身内だから良いものを余り人目がある所に言うのは感心しないな。
確かに、OS関係は欲しかった人材だ。」

西少佐「有難うございます。ではこの子は私が責任をもって西家で育てますので、
それに人目があるところでほめるべきことはすべきです。」
と言いつつハイヌスに乗り静子に手を差し伸べお姫様抱っこして乗っける。

周りには西の教え子達も騒ぎを駆けつけ、キャーキャー言ってる。

南條中将「はぁ、やはり一喝するべきだったかな。」
武子のパフォーマンスに頭を抱える南條。

恭二郎の愚痴にもなんのそのの武子。
西少佐「では中将殿。あとはお任せします。君たち、、、ちゃんと生き残って歴戦の衛士になるんだぞ。
ではさらばだ。(敬礼。」
と静子を乗せたまま訓練兵を鼓舞してハイヌスを走らせ戦隊に帰っていく。

南條中将「...と言う訳だ、解散だ。ほら早よしなさい!」

ちぇー、西教官かっこよくて、親しみがあってよかったのにこのおっさん酷いなあ。
いいなあ静子ちゃんと言う声が聞こえたとか。

南條中将「誰がおっさんじゃい...来なきゃ良かったかな。」
ため息しか出ない恭二郎であった。

そして武子はそのまま戦隊の整備ハンガーにハイヌスに乗ったまま行く。
整備ハンガーに馬ごと乗りこむ。

真木班長「あぁ、やっぱり連れて来たか。落合、ここ任せるわ。」

落合副長「了解です。」

真木班長「おい西!アンタまた拾って来たのかい?野良猫を拾ってくる感覚で連れてくるなっての!」

静子を下ろしながら武子は答える。
西少佐「真木殿、野良猫ではありません、橿原整備兵ですよ。この子は逸材ですよ。
いらないのなら、私が西家で責任をもって育てます。」
と言っていると、演習から戻ってきた工兵部隊の撃震が整備ハンガーに帰ってきた。

いつもの二番変速装置の減速ギアが悲鳴を上げている。
はっと静子はその音に気が付き携帯端末を操作している。

真木班長「おい、何を...落合。今帰って来た撃震、異音が聞こえなかったか?」

落合副長「異音ですか?」

静子が真木に声を掛けようとしていたが、、、
橿原整備兵「あの、、、」
言いかけて止める。

武子がそれを見て言う。
西少佐「何か言いたいことがあるなら言っていいんだよ。ここでは皆優しいし、技術もある。
でしょ真木殿。」
と言う。

真木班長「あぁ、今分かったのは異音だけだ。嬢ちゃん、気づいた事ははっきり言いな。」

迷ったが意を決して言う。
橿原整備兵「あの、その。あの撃震の両腕の異音ですが、二番変速装置の減速ギアに負荷がかかり過ぎて
悲鳴を上げています。ソフトウェア改修で2割ほど稼働が上げられます。」
と携帯端末で素早く計算してソフトウェアの改修提案をする。
横で武子が(`・∀・´)エッヘン!!すごいだろうと言う顔をしている。

真木班長「...へっ、良いじゃねか。着任早々だが、アンタをOS開発・改良担当に抜擢するよ。
アンタのやりたいようにやりな、先ずは今提案したのから初めてくれ。
菊間!」

そう呼ばれて、戦隊整備班の菊間が現れる。
菊間整備兵「お呼びで...なるほど、本当に連れて来たんですね。大方私に付いてOS関係の仕事をさせるで良いですか?」

真木班長「話が早くて助かる。整備兵としての基礎知識はアタシと落合で叩き込んでおく、そっちは任せたよ。」

菊間整備兵「了解致しました。」
そう言いながら、菊間は西を呆れ顔で見る。

ニチャ~としながら武子は言う。
西少佐「ほら、菊間殿お望みの優秀な子を連れてきましぞ。
ちゃんと優しく指導してあげてくだされ。
無理なら私の添い寝要員で西家で預かりますからそのつもりで。」

真っ赤になりながら答える。
橿原整備兵「あの、その宜しくお願い致します。
西教官のおそばに居れるのならそれでもいいですが。」
とまんざらでもない顔で答える。

菊間整備兵「あぁ、それはやめといた方がいいですよ。彼女ロリコンですので。」

真木班長「大丈夫だ、アタシ達が一端の整備兵にしてやるよ。」

橿原整備兵「それでも、良いです。宜しくお願い致します。」
と頭を下げる。

丸芽特務大尉が機体から降りてくる。
丸芽特務大尉「真木さん、まただ。二番変速装置の減速ギアが少し動かしただけでこれだ。

戦隊での整備のお陰で稼働率は上がってはいるがどうしても安定しない。何とかならんでしょうか。」



畑中副官「肝心な時にこれが起きると致命的です。できれば改修が出来るといいのですが。」



秋村特務少尉「下手すると工兵武装の扱いが雑になってドカンをやらかしそうで。。
前から思っていましたが、、ほんとこれだけは致命傷。」



君原少尉「うん、怖いよね~。今までよくやれてたよねうちら。」
とそれぞれ言う。



真木班長「あぁ、丁度その問題を解決できる人材が来たよ。ほら挨拶しな。」

橿原整備兵「あの、その。ただいまをもって西教官に異動で連れてきてもらいました。
橿原静子です。宜しくお願い致します。」
と頭を下げる。

丸芽特務大尉「今?まったく西少佐殿やっぱりお持ち帰りしたのですね。
独立機械化工兵戦術機部隊の丸芽、畑中、秋村、君原だ。宜しく頼む。」

畑中副官「また~、東野中尉に折檻されちゃいますよ。宜しくお願いしますね。」

秋村特務少尉「あ、東野中尉殿来たよ~。宜しく。」

君原少尉「あ、むちゃんここれ怒ってますな。よろよろ。」
と言いたい放題言っている。

真木班長「そういえばアタシ達の紹介もまだだったな。アタシは第零独立強襲戦隊整備班長兼、副戦隊長の真木沙奈江少佐だ。」

落合副長「戦隊整備班副長、落合美之です。元は富士教導団の整備兵でした。」

菊間整備兵「戦隊整備班、OS開発担当の菊間道永だ。ここには居ないが兵装開発担当の砂原と私、真木の姉御は斯衛軍からの出向だ。宜しく。」

橿原整備兵「有難うございます。宜しくお願い致します。」
と言ってると東野中尉がえらい勢いでおでこに怒りマークを付けていつものコンボで西を蹴り倒して四方固めをする。

東野中尉「このロリコン芋女男爵(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)(# ゚Д゚)
だからあれほど添い寝要員を連れてくるなと言っているのに、どうして西先輩は私を見てくれないのですか。」

武子は痛そうにしながらも喜んでニヤソとなっている。
西少佐「あだた。痛いって。だってだって、可哀そうだったし、可愛いからね。これはお持ち帰りしないと。」

橿原整備兵「西教官は悪くないのです。だから赦してあげてください。」
オロオロしながら答える。



東野が怒りながら西を折檻している。
東野中尉「貴方は悪くない、これは西先輩の日頃の行い関連の説教です。」
と絞め落とそうとしてる。

西少佐「ギブ、ほんとにギブ。私が悪かった~。から」
とほんとに落ちそうになっていた。

落合副長「ともかく、ウチに頼もしい新人が入って来て良かったです。正直言って、ソフトウェア関係は芳しくありませんでしたから。」

菊間整備兵「うーむ、パソコン関係は得意分野の筈なんですがね。耳が痛いですよ。
(彼女は大丈夫だとは思うが、裏取りはしておこうかな。コレで変な経歴隠してましたなんてのはごめんです。)」

真木班長「いやぁ大手柄だよ!あのロリコン女男爵は良いとして、他の奴らにアンタの事を紹介しなきゃな!」

武子の事はだれも相手にしてなかったw

亜美が紫音を連れて整備ハンガーに来る。

橘副官「戦隊長入ります。」

亜美戦隊長「に~し~。(# ゚Д゚)あなたそろそろ自重しなさい。家にも一杯養って居る子いるんだから。
まあ、ちゃんと教育して、立派に育ててるからこれ以上は言わないけど。」
とやれやれと思いながら言う。

そんな亜美の苦情に対しても武子はなんのその
西少佐「大丈夫、ちゃんと手取り足取り教えてるから。皆素敵な女性に育つよ。
そんなに構ってほしいなら、綾子もうちに来れば添い寝要員に、ぐぎゃぱ(◎_◎;)」

本気で絞め落とされた武子。
こうして橿原整備兵が戦隊にお持ち帰り、もといい着任したのであった。
END

菊間整備兵「失礼します。例の件、報告に上がりました。」

亜美が戦隊長室の執務机で待っていた。

亜美戦隊長「斯衛の諜報員なのに申し訳ありません。
ちょっと最近奈美の身の回りに色々ありましたから。
で、結果はどうでしょうか。」
真剣な表情で何かあるのかと緊張する。

菊間整備兵「結論から言いますと、何もありませんでした。何処のスパイであるのも、身分を隠している高貴な出身でも無い。
本当に平凡一般家庭出身ですね。失礼、少し前にどう菅中尉は私のブラフ入り情報を見抜けるかの予想を立ててましてね。」
と冗談?を挟みながら言う。

菊間整備兵「戦隊の防諜は、菅中尉殿がメインで行いますからね。アレくらいのイタズラを見抜けないと心配になります。
スキルアップの為の教材を渡していると思って欲しいですよ。」

亜美は少し表情を崩して言う。
亜美戦隊長「そう、ですか。私もそう思います。が心を隠されてると解らないこともありますからね。
あまり菅中尉をいじめないであげてくださいね。
私も、、、政治的な話や諜報的な事はしたくありません。情報は必要ですが。
奈美を護ってあげなければいけないですから。」
とクギをさす。

菊間整備兵「そこら辺はご安心を。私の"飼い主"からも強く言われておりますので。
少なくとも、政治劇と諜報活動からは無縁にする様に務めさせて頂いてますよ。」

その言葉に嘘はないと感じて答える亜美。
亜美戦隊長「私は、、、両親と同じく軍人として生きて死にたい。
しかし奈美はそうではない。政治的にも諜報にも巻き込ませたくはない。
菊間整備兵や菅中尉に押し付けるのは違うが宜しくお願い致します。」
と立ち上がり頭を下げる。

菊間整備兵「私の様な飼い犬に頭を下げないでください。
今は協力関係が上層部で出来てますし、そう簡単に崩れませんよ。
まぁ、任せてください。丁度整備兵としての後釜は来ましたしね。」

その寂しそうな心の内を聞いた亜美は
亜美戦隊長「、、、飼い犬?そんなことは関係ありません。職種に上下はありません。
菊間さんと言う一個人に私は頭を下げたのです。当然のことです。
それに、、貴方は真木さん率いる整備部隊の1員です。この先もずうっと私にとってはそうです。
だからずうっと戦隊に在籍枠はありますよ。」
と答える。

菊間整備兵「嬉しい事を言ってくれますね。
ですが、私は彼の方の飼い犬である事には変わりありません。
余り肩入れするのは、やめておいた方が良いですよ?」

首を横に振る亜美。
亜美戦隊長「私は飼い犬の1諜報員に言っているわけではありません。
菊間整備兵に言ってるのです。
信じています。と話はここまでです。
ご苦労様でした。下がって良いです。」

菊間整備兵「分かりました、失礼します。」
そう言って戦隊長室から出て行く。

菊間整備兵「菊間道永...その名も私にとっては諜報活動の為の仮面にすぎませんよ。
その様な人間は、この場所が無くなった途端に存在しなくなりますからね...。」
そんな事を呟き、廊下の奥へ歩き去る。

その呟きが聞こえた亜美。
亜美戦隊長「、、、存在は無くならない。裏か表かそれが裏返る事もある。
私達もそう。だからこのままであれば良いけど。」
と呟き執務に戻るのであった。