捜査能力ゼロ  「最高」?検の虚偽捜査報告書問題調査結果で露呈 | Yahman! No Problem!

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虚偽報告書 処分
矛先鈍い身内調査 最高検、過失を前提


刑事責任を問わず、辞職で済ませた幕引きは国民の理解を得られるのか
元東京地検特捜部検事による虚偽捜査報告書問題
27日公表された最高検の調査結果は、元検事の「記憶の混同」という
釈明の真偽さえ不明なまま、「誘導する意図はなかった」と断定
疑念が拭い去れたと言い難い内容に、
身内の調査の限界を指摘する声が相次いだ

【東京新聞】 2012/6/28 より


「真実を語ったかどうかは『はい』とも『いいえ』とも答えるのは困難」
約50人の記者が集まった東京・霞が関の検察庁舎地下1階の検察広報室

捜査に当たった最高検刑事部の長谷川充弘検事は
捜査報告書を書いた田代政弘元検事の「記憶の混同」という釈明を真実と
認めたかを尋ねられ、苦しい説明に終始した

事実と違う捜査報告書で検察審査会を誘導し、
小沢一郎元民主党代表を強制起訴させたのではないか -

こんな疑念が向けられた虚偽捜査報告書問題
調査結果と再発防止策をまとめた資料は計28ページ
捜査報告書が一問一答形式で書かれていたことを特に問題視した

問答式のやりとりは記憶が鮮明でなければ書けないが、
元検事の記憶はあまりにも臨場感にあふれていたからだ

最高検は
「一定の疑念は残るといわざるを得ない」
と元検事の釈明がうその可能性も示唆したが、
それ以上は踏み込まなかった

「慎重さを欠いた、軽率な行為と言わざるを得ない」と
表現こそ厳しいものの、あくまでミスだという評価にとどめた

「記憶の混同」という釈明は、
4日に退任した小川敏夫前法相も問題視していた
本紙の取材に
「報告書を読めば記憶違いなんてあり得ない
しかし、入れ代わり立ち代わり説明に来る法務省幹部に
『そんな対応で国民が納得すると思うか』と聞いても、
みんあ黙ってしまうんだ」
と内情を明かした

「検察は身内に甘く外には厳しいことが分かった」
大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で設置された「検察の在り方審議会」の
委員でジャーナリストの江川紹子さんは批判する
「そもそもこの調査は原因究明になっていない
組織として原因を把握できず対策を取れるわけがない
それが最大の問題」

元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は
「弁護士や元裁判官ら検察庁から独立した人物を
『特別検察官』に指定し、
検察内部の不祥事の捜査を委ねた方が
信頼回復は早い」
と提案する



「検察は自ら威信下げた」 小沢元代表弁護団

田代検事の不起訴を受けて、
小沢元代表の弁護団で主任弁護人を務める広中惇一郎弁護士は27日、
東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、
「議決でも引用された重要な報告書にもかかわらず、
検察は『記憶の混同』という弁解をうのみにし、
刑事責任はないとした
自ら威信を下げた」
と批判した

同席した喜田村洋一弁護士も
「大阪地検特捜部検事が改ざんした証拠は裁判に出なかったが、
(問題となった)報告書は検察審査会の判断に使われており、
こちらの方が重大な問題だ
検察が軽い処分で済ませていては、改革なんてできない」
と言い切った

田代元検事の取り調べを受けた石川知裕衆院議員(39)は
議員会館で報道陣の取材に応じ
「田代元検事は組織に無理をさせられた部分が大きかった気がして、
ちょっとかわいそうだという思いが交錯している
今回の処分は、とかげの尻尾切りだと思う」
と話した


改善措置の実践を
吉田繁実弁護士
(小沢一郎元代表の起訴議決をした検察審査会の審査補助員)

取り調べが適正に行われ、捜査報告書が事実に基づいて作られることは
捜査の信頼を保持する大前提だ
示した改善措置を確実に実践するよう強く求めたい
報告書が検審の判断に与えた影響が問題とされているが、
多くの証拠に基づき総合的に判断しており、
不当な影響があったとは考えられない



〔解説〕
「検審を誘導」 疑念残す

検察審査会の議決を左右しかねない捜査報告書を作成した元特捜検事を
同じ検察当局が「故意が認められない」との理由で
不起訴処分にしたことは、身内に甘いとのそしりを免れまい
特捜部が検審を小沢元代表の起訴議決に誘導しようとした疑念も
払拭できなかった

田代元検事は保釈中の石川議員の再聴取後、
3ヵ月以上前の逮捕時の取り調べと「記憶が混同」し、
捜査報告書に誤った内容を記載したという

報告書は一問一答形式で臨場感にあふれており、
石川議員が田代元検事の言葉に胸を打たれ、
元代表の関与を認めたように読める

当時の佐久間達哉特捜部長は、
捜査段階から元代表の起訴に積極的だったが、
田代元検事は再捜査では起訴に消極的だったという
上司のプレッシャーが、問題の報告書作成につながらなかったか

佐久間元部長は元検事の報告書を引用し、
副部長署名で自らも報告書を作った
元部長は「検審に分かりやすく説明した」というが、
元代表に不利な記述だけを下線で強調したのは疑いようがない

これでは検審のメンバーは、
「再捜査でも不起訴」との特捜部の判断とは裏腹に、
元代表の疑わしさばかりに目が行きかねない

最高検は、佐久間元部長の報告書を
「検審を強制起訴に導く意図の誤解を受ける恐れを否定できない」
と指摘したものの、
「積極・消極両面の事情が客観的に示されている」
と結論づけた
甘いと言わざるを得ない

真の検察改革を目指すなら、第三者による調査も検討すべきだ

(池田悌一記者)



「生ぬるい処置 不公平」と批判 大坪元特捜部長

大阪地検特捜部の証拠改ざん事件で犯人隠避罪に問われ、
一審で有罪判決を受けた大坪弘道元部長(59)=控訴中=が27日、
田代元検事らを不起訴とした最高検の処分について
「生ぬるく緩慢な処置
大阪に対する過酷な処置と比較し、あまりに不公平だ」
とするコメントを弁護士を通じて出した

大坪元部長は今回の虚偽報告書問題が
昨年1月に最高検に報告されていたことに触れ、
「何の調査も行わないまま闇に葬ろうとした
なぜ幹部の責任が一切とわれないのか」
と批判している




〔虚偽捜査報告書問題〕

陸山会の政治資金規正法違反(虚偽記入)事件で、
石川知裕衆院議員の取り調べを担当した東京地検特捜部の
田代政弘元検事が、捜査報告書に事実と異なる記載をしていたことが、
石川議員の隠し録音記録で発覚した問題

田代元検事は2010年1~2月、石川議員の逮捕後の取り調べを担当し、
小沢一郎元代表の報告・了承を得たとの供述調書を作ったが、
特捜部は「具体性がない」と元代表を不起訴とした

田代元検事はその年の5月17日、
検察審査会の起訴議決を受けた再捜査で再聴取
その際、石川議員が
「検事から『議員なのにうそをついたら選挙民を裏切ることになる』と
言われたのが効いた」
と述べて逮捕時の供述を維持したと報告書に記載したが、
事実と異なる内容だった

報告書は元代表の強制起訴を決めた2度目の検審に提出され、
起訴議決の根拠の一つになった