臓器移植法が改正されて、続けて臓器移植が行われて、移植待機待ちの患者さんの待機期間も短くなるだろうと思います。実際、若い女性の子持ちの待機患者の担当の経験もしたことがありますが、どれぐらい待てば移植ができるのかを考えると、切なかったものです。。。ところで、最近、病気腎移植についての記事を新聞でみかけたのですが、あれも何とも不思議な治療です。というのは、病気の腎臓を摘出しなければならないから摘出して、それを他の腎不全患者さんに移植する訳ですが、じゃ、使えるならそもそもその病気の腎臓は最初から摘出する必要ないじゃんと単純に思ったりするのです。一方、移植される側からすると、病気で摘出しなくちゃいけない腎臓を移植される訳ですから、ちゃんとした有効性、安全性が示されなければならないですよね。それで有効だとすると、じゃそもそも腎臓を摘出された人はどういうことなのと思っちゃわないのでしょうか。移植後は免疫抑制剤を一生のまなければいけない、摘出された方も透析か、移植が必要なわけで、免疫抑制剤を多剤飲み続けるということは、重篤な起こりうる感染症のことも心配しなくてはならないしと、全体としてどうベネフィットとリスクを考えたらいいのでしょう。

久しぶりです。今日はがんワクチンです。これも最近、よく話題にのぼりますが、がんに特徴的なたんぱく質(ペプチド)を目印にさせて、体内の免疫のシステムによりがん細胞を排除させる治療です。また前回のロボット手術に引き続いてですが、これもよく理解していただいたうえで検討していただければという治療法です。誰しも抗がん剤の副作用はつらいですし、自分の免疫力を促して、副作用少なく、がんをコントロールできるんであれば、がんワクチンの治療を選びたいと思います。日本ではドラッグラグとか言われていて、米国では標準的な治療が日本では受けられないとかよく言われますが、がんペプチドワクチンについては、現時点では、日本でもヨーロッパでもアメリカでも科学的に有効性を証明されて、国により承認を得た薬はありません。一方、承認のある抗がん剤については、副作用の可能性はあるものの、一定の有効性を示す可能性についても国際的に通用するデータを有する訳です。ですので、両方の一長一短をよく理解したうえで、選択することが大事です。ここで、有効性を示す客観的なデータというのは、個々のある患者で有効だったというデータではなくてあらかじめ計画された臨床試験での集団でのデータです。もちろんがんワクチンは既存の抗がん剤に比べて、副作用や費用対効果等の面で大きく期待されているわけですが、まだ研究段階なんだとマスコミもちゃんと伝えてほしいですね。

最近、ロボット手術がまた話題になってきているんですが、ちょっと一言。ロボット手術のメリットって、何でしょうね。ロボットを使うからといって、今までの手術法と比べて、どういうメリットがあるのかよく聞いて決めないといけません。ロボットだからといって、手術の手順とか合併症を起こさないポイントとかは変わりません。従来の内視鏡手術でもうまい名人の手術と比べて、どんなメリットがあるのか疑問です。しかもロボットは数億円とかしますし、今のところ、ロボット自体には保険も使えません(一部は先進医療で混合診療は可能)。ロボットの明らかなメリットは、従来の手術法だと10年かかる人が、たとえば数年で出来るようになったりとかそういうことなんですね。つまりロボットのある病院に行けば、名人並みの手術を受けられる可能性があると。でもロボットが導入されている病院でも、ちゃんと手術がわかってる外科医がいないとお話になりませんし、外科医がいても、ロボット導入したてだと、みんな慣れてませんから、何が起こるかびくびくもんです。マスコミがちゃんとした情報提供を行うとともに、患者さんもよく勉強して治療を選択されることを祈っとります。