「CROSS BORDER」というテーマに戻れば、オンラインゲームとその他のネットサービスの間で「垣根を越える」ことであるとともに、オンラインゲームプレイヤーと非プレイヤーの間の「垣根を越える」ことも重要であるといえるでしょう

ブロードバンド推進協議会による「オンラインゲーム&コミュニティサービスカンファレンス2008」(OGC2008)が都内で開催され、コーエーの松原健二氏(代表取締役社長)は「オンラインゲーム CROSS BORDER」と題した基調講演の中で、サービスを開始したばかりの『三國志Online』の登録者数が12,アーキエイジ RMT.5万人、課金者数が2万人となったことを示し、オーソドックスな定額料金制でのMMORPGもまだまだ可能性があることを示しました



■ネットのサービスが「安心して受け入れられていない」状況を直視すべき

質疑応答で、ソウル中央大学の魏氏から、MMORPGが難しい状況にあるが産業としてどのようにすべきか?という質問があり、これについて松原氏は「インターネットのサービス、ゲームが安心して受け入れられていない状況を直視すべき



オンラインゲームは、専用クライアントや接続IDの取得が必要なことから、一般的なウェブのサービスよりも理解されにくいという特性があり、「オンラインゲームとは何か」「オンラインゲーム内では何が起きているのか」といったことをきちんと継続的に伝えていくことが求められています

魅力的であることとともに、健全さもアピールする必要がある」と回答



オンラインゲームでは直接「なにかの商品」というわけではないでしょうが、ニコニコ動画において「ニコニコ市場」に貼られた商品そのものがサイト内コミュニティに対してネタを提供するように、ユーザの行動を解析してクエストやゲーム内アイテム、ゲーム内の特定エリアをリコメンドし、プレイヤーを楽しませるといった可能性はありそうです

別サイトで自動車の情報を見たユーザに新車の広告を見せたりすることでクリック率を上げるというもので、利用者にとっても「見る気のない広告」が減ってその分「見てもいい広告」が出てくるということになります

オンラインゲームにおいてアイテム課金が全盛となっている中で、三國志Onlineが順調にユーザーを獲得できたことで、ユーザーニーズが単純に「無料」ばかりに向かっているわけではないことが明らかになったと言えそうです

オンラインゲームは単独のタイトルにとどまらず他のサービスと連携することで「心地よいおせっかい」「コミュニティを活性化させるサービス」を提供することが必要だとの考え方を示しました





■オンラインサービスの中で「追い抜かれた」という危機感

松原氏は、mixiやモバゲータウン、ニコニコ動画といったオンラインのコミュニティサービスが会員数を伸ばしている一方で、オンラインゲームではこれらのような数百万人規模のサービスが出てきていない状況について、「登録人数で負けている」「追い抜かれた」と表現

さらに、ゲームをプレイしていない人にも広くオンラインゲームを理解してもらうために、大学や研究機関との取り組みを展開していることを紹介、「モバイルやオンラインのコンテンツが安心して使えることをアピールしていく」と語りました



こうした考え方は、単一サービスとしてはAmazonのリコメンドエンジン(これを買った人はこんなものも買っています、という「おすすめ」の仕掛け)などで実装されているほか、複数のサービスを連携させるケースについても、ネット広告で「行動ターゲティング」としてサービスがおこなわれています