【BLCD感想】大正メビウスライン 帝都備忘録 4 千家編 彼方者の囁き(2017年/四ツ谷サイダー×鯱矛太郎)
震えるほどカッコイイ四ツ谷攻め。
低音S攻め×一途美人受け。しかも帝国軍人死霊部隊。ド性癖役満。
基本的には敬語で話す京一郎が「伊織?」と少し語尾を上げて呼ぶのがクる。
二人が煽り合うように、絆を確かめるように言葉を交わしているだけでエロい。
その上「それは命令ですか」はあ…。主従最高かな…。ずっと聴いていたい…。
伊織の状態が思わしくないので、静けさと緊張感は恐ろしいほど。
その全てが悲しい。そして二人の間に流れる空気の濃密なことよ…。
陛下と対峙する京一郎が強い男で、だからこそ素晴らしい。
「千家伊織へ向ける我が想い、甘く見るな」
はあ…。こんなに強気で健気な人ってありますか。
「誰にも邪魔されない。お互いだけのものでいられる。そんなの初めてじゃないか」で涙声になる京一郎に、二人の置かれた立場がつらい…。
この会話が、おでこが付くくらいの距離で顔を、唇を合わせながら相手にだけ聴こえる声で話しているのがたまらない…。
「ただ抱き合っていられるなんて。私たちに許されたことなんてないじゃないか」
「勝手をしたってわかってます」「ほんの数日だっていいから」
言い募る京一郎の覚悟よ…。
死出の旅の前日の悲壮感ですね…。
「もう私…!」と切羽詰まって声を上げる京一郎がイイ。
喘ぎ声というより悲鳴に近い切れ切れの声なので、責めに耐える受けが好きな人(私だ)はハマると思う。
受けちゃんの翻弄されっぷりで、攻めさんの凄さがわかる系。
でもちょっとうるさいよ京一郎wそんなに伊織のは凄いですかw
それもあるけど、やっぱり「これで最後」
最初で最後の数日間の蜜月だと覚悟しているから、これだけ泣くんだろうなあ…。
まさにエロスとタナトス状態。まあだから全て許せるよね。
「うつ伏せて腰を上げろ」からの「身体を引くな」が最高でしたね伊織。
こんなに身も世もなく泣く濡れ場って、何年ぶりに聴いたかな。
最後は絶叫に近くて、ここまでくるとファンタジーが過ぎるが…。
まあでも死の覚悟を思えば…。
「お前と生きたい」と言い出した伊織が愛しい。
前作もそうだが、献身的な京一郎を「許さない」としながらも、
「数日の安らぎをくれたことは忘れない」
「どこまでもやさしかったあなたを、私は決して忘れない」
胸に迫るものがあるね…。
「数日の安らぎ」に、それだけ賭けた、二人にはそれほどの価値があったのだということ。
ここまで感情を引き上げた、この瞬間のための、このCDかな、と思った。
最後、前向きに「私とお前の自由を」と話す伊織に「はい」と返す京一郎の主従の気高さに打ちのめされる。
「お互いしか映さない瞳」の重苦しい話だが、終始醍醐味しかなかった。
祝詞とエロを目当てに聴くと、コレジャナイ感はあると思うが、世界観が好きなら裏切らない。