【BLCD感想】玉響(2015年/ゆき林檎/平川大輔×松岡禎丞)
まず原作を読みました。
「泣ける」「あのラストが~」という感想を目にしていたため、
悲恋なのかな?と思って読み始め、
ラストは心中するかと思ったけど、そうではなく、
きれいで繊細で、とてもあたたかい話でした。
すごくよかった…。
CDも、すごくよかった…。
大正時代、男子高の寮がメイン舞台。
繊細で上品な雰囲気を大事に再現してある。
平川さんの穏やかさ、松岡さんのナイーブさ、
しかし二人とも芯が強くしっかりと想い合うのでカタルシスがある。
「女だったら無理矢理かっさらってやるのに」とまで言っておきながら姿を消してしまって5年、
見つけだして、女性と同棲する家に連れて帰られ「なぜ僕じゃないんだ、僕のほうがずっとお前を知ってる、どれだけ僕がこの5年…」と馬乗りになって詰め寄り「好きだ…」と吐露するシーンの松岡さんの感情の高ぶりに胸を打たれる。
最後にしっかり一度+αある濡れ場は、
平川さんの自前SEと攻め喘ぎがさすがなのと、
松岡さんのたまらずに上がる声の生々しさが艶っぽい。
本当に上手です。
この作品の何に泣けるかというと、
これは私がある程度の年齢で、もうこの人が全てだと思うパートナーがいるから余計に感情移入するのかもしれませんが、
パートナーと共に歩む日々がこんなにも幸せで尊いということ、
そこには感謝しかないので、
立花が原稿に書き残した「共に過ごしてくれてありがとう。またいつか」は平川さんのモノローグで絶対入ると思っていたけど、これがなかったことに驚いた。
静かな画面であまり音声化向きではない原作を工夫しながら、
楽しめるドラマCDになっていると思います。
とはいえ、原作を読んだほうが伝わる作風なので。合わせてどうぞ。
あの二人が写っている写真も是非見てほしい。
「いつかオレと麻倉の物語でも書こうかな。麻倉に捧げるよ。オレがどれだけお前を好きでいたか思い知ればいい」
=亡くなる直前まで執筆していた原稿
=お前が残してくれたこの小説
=「玉響?」「まだ読むなよ」
つまりこの「玉響」という漫画自体が作中で立花が書いていた私小説なのですね。
原作片手に聴き返して気付いたのですが、
「玉響?」「まだ読むなよ」はCDで足されている台詞。
こういう仕掛けがあると、原作とCDで補完しあい更に楽しめていいですね。
「玉響」の凄いところは、CD化にあたり説明台詞を足すのではなく、
二人の関係をより補完する物語となるような台詞を足してきている。
作者の本気と生真面目さを感じる。
近年のBLCDの風潮は、
人気漫画をそのままCD化したような感じで、
ドラマCDとして聴き応えがあるかは疑問だったり、
原作漫画を読んでいないと場面の想像が付かなかったりするものが多いですが、
「玉響」は元々矜持のある作品が、CD化にあたりもうひと捻りしてきたガッツを感じる。
細かいところなのですが、
雪の中で倒れた麻倉を立花の家に連れて帰るシーンで、
原作では横になっている麻倉が視界に映る立花の手にたまらず手を伸ばして重ねたところが、
CDだと「ほら、手もまだ冷たい」と立花から麻倉の手をとっている。
原作では麻倉から手を重ねたけど、その後、恋人繋ぎになっていて、
おそらくそれは立花がそうしたのだと思うんですね。
要は、いずれにせよお互い求めあって受け入れていて、
対等な想いだという描写に思えて、
その絆を感じられるいいシーンだなあ…と痛感した。
原作片手に何度も聴いています。
うーん…。たまにこういう作品に当たるからやめられませんね…。
ドンピシャで好みだ…。原作もCDも素晴らしいです…。