(2011年頃に書いたものです)
過日、佐川一政さんと会った。
忘れない内に書いておこう。
「佐川一政がどれだけ変人かを書いて宣伝してほしい」と何度も言われたのだった。
佐川さんは自分を「変人」だと表現した。
失礼を承知で言うと、インテリジェンスは高いはずだけれども、決して聡明な人ではない。
ずっと、混乱しているのだと思う。
佐川さん、ケロッピー前田さん(編集者・ライター)、編集者(コアマガジン)、エリック(俳優・カメラマン)、私の5人で食事をして、その後は、SMバーに行った。
エリックは『鉄男3』の主演俳優で、ルーカスの『Like a Butterfly』のカメラマンだった人。
佐川さんは、とにかく「殺されたい」「食べられたい」と自分の願望を繰り返す。
こういう図々しい人は長生きする。
「首を絞めて殺されたいですね。私のサレコウベはあなたに差し上げるので、あなたがご結婚されるまで、便器として使用していただきたい」という話を延々とされた。
佐川さんが「こうして首を絞めて」と実演すると、本当にシミュレーションしているのだろうから、少し身構えてしまう。
今は、もっぱら殺されて食べられたいようだ。
これは「逃げ」ですね。
自分で自分の人生の幕引きができないから、そうして他人に丸投げしようとする。
「食べなくていいから、殺すだけ今日やってほしい」としつこく言われた。
流れで、ビンタだけしてあげた。
なんでこんなサービスをしてあげないといけないの。
わがまま。
友人の「犯罪者は図々しい」という言葉を思い出した。
佐川さんの著書は読んでいない。
一応、「何故殺したか?」は聞きたいと思ったのだが、佐川さんは、声が小さいし、論点が流れる。
あまり会話にならない。ふわふわしている。
好きな女性がいると、「会いたい」「匂いを嗅ぎたい」と思う。
その延長に、「食べたい」がある。
できれば殺したくなかったけど、「ちょっと食べさせて」が言えなかった。
苦しめたくないから、銃で撃つしかないと思った。
そう考えがまとまると、「撃つ→殺す→食べる」という、この一連の流れが強迫観念となった。
何度も聞き直したところ、そういう理由のようだった。
彼女を体感する術が「食べたい」に集約されるのだろう。
今のSMにように、ちょっと切って食べるということができれば、佐川さんの欲望も軽減して、思い詰めることはなかったかもしれない。
ちなみに太腿が一番おいしかったとのこと。
ただしこれは「若い女性の太腿はおいしくなければいけない」という本人の願望も反映されているように感じた。
「殺さないで食べられたら良かったのにね」と思ったけど、少量ではなくブロックで食べたいのなら、血抜きをしないといけないから、やはり殺さないといけないのだと言われた。
これはもう自分と法律が合わないという話だから。
良い悪いの問題ではなく。
被害者がいる限り、良くはないが。
一般的には支離滅裂な発想ばかりを垂れ流していることから、頭も心もすっきりしないのだと察せられる。
佐川さんには、現実世界が『霧の中』に見えているようだ。
未だ佐川さんは霧の中を彷徨している。
もうエネルギーがないだけ。
あれば、あの人は何度でも挑戦して、しかし非力だからほとんど成功しない。
たまたま遂行できたのが、あの事件だったんだね。
晴れた日、佐川さんは彼女をすき焼きにして食べようと思った。
「日本人的にはやっぱりすき焼き。すき焼きには白滝が必要!」ということで、買い物に行った帰り、警官に囲まれた。
そして、逮捕された。
「手に持った白滝越しの青空がキレイだった」と佐川さんは言った。
白と青のコントラストははっきり見えただろうか。
唯一の、霧が晴れた瞬間ではなかったか。
携帯電話は持っていないそうで、自宅住所と電話番号を書いて渡された。
持っていると不幸になりそうだから、捨てたい。
こちらの携帯番号を催促されて、迷ったけど、正直に書いた。
多分、連絡は来ていない。
ほっとしている。