清水愛と鈴木千里-2019年7結ステージを観たうえで- | muhuuのブログ

清水愛と鈴木千里-2019年7結ステージを観たうえで-

 

 

 

 

1. twitter等で触れているひともいるが、2019年7結東洋偶数回に鈴木千里が、披露したステージには、いままでと大きく異なる点がある。

 

 

単に衣裳とか、そのあたりに言及するのも、それはそれで一つの観方であって、べつに個人の感想として全然構わないと思うが、少しここでは、詳しく話してみたい。

 

1曲目、黒のソフトに黒のジャケット、踊りだすと、その中に、蛍光色(?ライティングの関係でちょっと判別し難い)のトップスにブルージーンズという装いである。

 

ここで、明らかにダウンでリズムをとって踊りだす。出だしから、HIPHOPスタイルを意識的にとりいれた舞い方だと分かる。短く、袖にハケてしまうが、ハッキリ分かる。

 

ただし、ステップにもかなり大きなウエイトを置いている。軽快なステップで魅せるという点では、これまでと同様、HOUSE的に見える踊り方を意識している、というよりも身についているように思われる。

 

 

ステップはともかく、ああいう舞踊のスタイルを、Style HIPHOPと呼ぶことが多い。JAZZ HIPHOP的ではないかという考え方もできるが、ダンスのトレンドから、はっきり「違う」というひともいると思う。JAZZ HIPHOPというのは、どちらかといえば、JAZZの素養があるダンサーが、HIPHOP的要素を取り入れつつ発展させていくジャンルを指すことが多いのに対して、HIPHOPから入ったダンサーが、柔らかい、流線的な柔軟性を強調したり、バレエ的なパ(動き)を導入した場合は、Style HIPHOPと呼ぶことが多い(明確な区別があるわけでもない)。

 

そして、今回の鈴木千里嬢の1曲目の動きは、明らかにJAZZ的な動きとは異なる動きを意識している。

 

 

2. ・・・ところで、鈴木千里の舞いの美しさとはなんだろうか?

これは、長い間、「綺麗なことは綺麗だけど・・・」特徴・特長がつかみにくかった。

 

それが、今回、できるだけステージに近い前方でじっくり観て、分かってきたことがある。

 

 

清水愛嬢の舞いと比較してみると、その差異が、分かりやすい。

 

清水愛は、まず、ステージ上で直線的に動くことが非常に少ない。流線的でもあり、ターンを多用することもあり、孤状に、円を描くような表現を多く見せる。

これは、自分で踊ってみるにあたって、スタジオで習った動きのフィルターをできるだけ多く通してみた上で、振りを作って身につけてみる段階で、大いに参考にさせていただいた。参考にさせていただいた、ときには真似てみた、というのは、全くの私の趣味というか、好みである。

 

それに対して、鈴木千里は、柔らかい動きを多用するが、清水とはかなり違う点がある。これが、今回気づいたちょっと興味深いところ。

 

 

清水愛の動きは、円を描くとき、真円に近い動きを見せる。世界観という言葉は、私はあまり好まないが、そのように世界が見えているかのように動く。

ある意味、規格正しい。律儀な性格を反映しているかのようなあの動き。そして、ある描いた円が、別の円に接して、全体として大きな円につながるような動き。これに、バレエ的にも見える優雅さを醸し出す。あの不思議な舞いである。

 

 

鈴木千里の場合、まず力の抜け具合に注目したひとは、私以外にもいると思われるが、その流線的な動きも、真円ではなく、楕円、いや、もっと柔らかく流してしまう-

 

数年前から気づいていたのだけれど、千里は、ベット時にポーズを停止させないことがよくある。より美しい動きに向かって、「伸びる」のである。それを不完全とみるひともいれば、より高みを目指しているようにも見える・・・

 

川の流れのようである-千里の場合、河ではなく川、小川とかせせらぎとか、独特の指遣いも含めて、そんなふうに感じられる。清水の場合、(和装の場合、とくに、その特徴が大きく出るが)大河に発展させられるようなイメージを想起させる。ところが、鈴木はそうではない。

 

 

清水は、(少し分かりにくいが)基本、ダウンでリズムをとっている(ように見える)。大きくダウンするわけではないので、若干分かりにくい。一方、繰り返すが、今回の鈴木1曲目の動きは、明らかにダウンを意識している。

 

 

また、鈴木はルルベアップを多用する。鈴木がドゥミ・ポアントでシェネする姿は、とても美しい。スレンダーで、いかにも身軽そうであるが、ルルベアップでのシェは、コツをつかむまでに、相応の時間を要すると思われる(器用・不器用の差もあるかもしれないが)。

 

 

 

もう一つ触れておくと、鈴木千里はアシンメトリック(非対称)にバランスをとる。アシンメトリックだからバランスが崩れるのではなく、あくまでアシンメトリックでありながら、バランスを保つ。

 

清水愛のほうも、(いかにもな)アイドルダンスみたいに対称性を意識したりはしないが、ここでも、(どちらかというと)シンメトリックな美しさを好んでいるように見える。

 

 

 

 

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好みの問題もあり、観方自体に私の主観が入っているので、どちらが美しいというものでもないが、「見えているもの、そして表現に反映させるもの」には、かなり大きな差異がある。これを世界観の違いというのかもしれないが、今回までで気になったので、触れてみた。