本日(6月28日、火曜日)の夕刊などは「株乱高下 一時320円安」と、でかでかとニュースにしているが、新聞メディアの素敵な魅力でもある時差が楽しめる。夕刊では「午後1時現在」で「乱高下」は事実であり、エクスキューズとして「一時」かつ「320円安」も、結果は+13.93円に落ち着いた。強い個人投資家にとっては日経平均など何の参考にもならないわけだけれども、問題はたとえ夕刊印刷ギリギリで320円の上げだったとしても、+13.93円になった日経平均の昨日(27日、月曜日)は、前週末比(金曜午後3時で閉まる)との比較で357.19円を上げている。
 マスコミが好きな日経平均で、本日火曜日は+13.93円。前述したとおり本日夕刊では午後1時の情報として「320円」を「乱高下」としている不思議。前日(月曜日)の日経平均確定値は+357.19円だったのであるよ。

 2年半(入院初期で気が触れていた昨年11月25日から12月末は何もできなかったが勝ってた)負けなしを続けていられるのは、脳梗塞とマジで闘うためには年間3~4千万円は必要だから、それなりに真剣さが必要だ。前にも書いたとおり、長期入院患者は何らかの形で稼ぐことを考えたほうがいい。退院して急に稼げるようになった人はいない。ゼロになる人は無数にいる。

 誤解はないと思う。投資や株やFXを推奨しているのではない。リハビリ入院では、稼ぐ時間はせいぜい1~2時間。株とFXなら10分でいい、という例として好例だとは思うものの、向き不向きはある。
 先々週から今週にかけてほど、大稼ぎができるチャンスは、そう滅多にあるものではない。英ポンドやユーロが落ちきった8時間は明確だった。いよいよチャンス到来である。これもわざわざ断るまでもなかったはずだが、落ちきる前や落ち始める前に「買い」を入れるセンスは、向いていないとしか言いようがない。FXの勝負がこれほどはっきりしていることはないけれど、世界経済は大混乱になど陥っていないのである。いまはメディアでお祭りになっているだけだ。先進国の経済はずっと前から低迷しているだけであり、最初の墜落国通貨としてポンドは立ち直れない。EU全体にとって英国など、どうでもよいのだ。ドイツ第一、第二、第三帝国とは、その点がまったく異なっている。

 短期で大騒ぎすべきではないのである。本質は前号に明記した。英国のEU離脱派がイカサマをやっていたことが明白となったいま、離脱も再考される。アストンマーチンとバーバリーくらいしかブランドをもたない英国のシティ(金融機能)など、シンガポールに移転すればいい。

 英国が脳梗塞になった、と考えれば分かりやすい。いやいや、そういうオチでいいのか。

 とにかく、こんなに分かりやすい――だけでなく、毎日短時間で百万円単位で稼げる楽勝の日々は滅多にない。1月に再開したFXで(原資はもともと200万円。当時は2,000万円ほどに)利益100万超えは2度しかない。高次脳機能障害でカジノの小難しい計算は絶望的というより、無理と分かっている。が、1デッキ(52枚)程度なら誰にどういう順で配られたか覚えるのは、訓練で取り戻せた。これが8デッキまでいけたとしても、独自のカジノ側のコンピュータのプログラムを読むのとは次元が違う。

 7月21~23の予定でソウル行きを計画してもらいながら、まだ道や地下鉄の階段を這っているようでは、混雑したカジノに立ち入るのはどうなのか――。
 本当は昨日、今日発のヒースロー国際空港への便を予約する直前までいった。お一人、エア代だけで100万円を超える。安くはないが、現場主義のものとしては経費は軽い。
 だが一つのネックは、階段を歩けない、ビュッフェを取れない、まだ食べ物や飲み物がうまく飲み込めず、味も麻痺のためよく分からない、などなど――。最も大きな理由は、EU離脱派の大ウソが露呈したことだ。これは別項としよう。階段を使えない、使うときは這うしか方法がなかった。それを、やり抜いた。毎日。
 立ち上がるために。

 ついに「その日」が、来た。退院のときまで2カ月も階段の練習を連日しながら、とうとうひとりでは不可能であった。退院後は、ハイヤー族にならざるをえず、これでは快復前に逝く。だから這った。

 比喩だと思われたなら、むしろ幸いなるかな、だ。実際に階段を這うのである。 そのような光景に、あなたは出逢ったことがありますか。俺だって泣きます。
 階段を使えないと事実上、三次元の移動はできない。
 私は恥も外聞もなく――迷惑はかけていないが親切にもされなかった――這った。
 そして、手すりにはそっと触れながら、まっすぐに階段を昇り降りできたのだった。怖くはなかった。一段ずつではなく、左右交互にまっすぐ。こんなことは、たいていの人は普通にできる。
 が、歩き方を忘れ、筋力が皆無まで落ちきったものが、その両方を短期間で可能にした――もちろん普通の歩き方ではない――医師や理学療法士の「数年は無理」という全員の断定は、「書くのは永遠に無理」と断じたベテラン療法士の鬼畜と同様、完全に間違いだ。
 私は越えねばならぬ道程であると確信していた。この専門家の断定が間違いでないと、ハイヤー生活か寝たきり生活の2択しかなくなる。猿が人間になる瞬間は見ていないが、階段を這っていた異常な移動をついに、歩きへと変えることができたのだ。

 めでたいことじゃ。いや、そんな軽い変化ではない。推定99%の健常者が上下ともなぜかエスカレーターを選ぶ様が昔から私には「何のエネルギーを節約しているのか」さっぱり分からなかった。分かっていたんだけどさ。
 両サイドのエスカレーターを避け、いちばん広い階段を、這っていた奴がいたことは、記録に値する。しないのかな。


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