公開対談が始まって20分ほど経ったころ、ごく自然な流れで彼は私に、こう訊ねた。
「脳梗塞って、痛いの?」
あ、それは考えたことなかった。同じ脳卒中のなかで、クモ膜下出血だけはものすごく痛い、らしい。脳梗塞は一瞬で進むものでもないことが多いし、気づかない人は患者にもならないわけだしさ。
僕は、数日かけて、いまから思えば不可思議なことが連続して起きて、5日目のゴルフにこれからスタート、今朝は最高に体調もいい!
と思って朝食のテーブルを立ち上がって、バタンッと。その後は覚えてない、というパターンではなく、ほとんどすべてを覚えてる。ただ、身体はまったく動かず、言葉もでないから意思も仲間たちに伝わらない。それを苦しいとも思わなかったなあ。2週間は、全身が麻痺していることにも気づかなかったし。脳梗塞の人から、痛かったっていう話は聞いたことないよ。

結石の激痛話につながっていく。結石は、生まれて初めて昨年10月にやった。三大激痛は中身がよく入れ替わるのだが、妊娠経験者を含めても「結石」だけは不動である。私のもの(笑)は、直径3ミリだった。結石が体内から出ていくときは気づかなかったくらいだから、小物ぶりがうかがえる。堀江さんは15ミリだったという。大物だ。負けた。こんなとこまで完敗である。
脳梗塞を含む脳卒中では、少なからず記憶、感覚、性格なども変化させてしまうこと――という知識を前提に、彼はこうも問うた。
「日垣さんはユーモアやサービス精神、ぜんぜん変わってない。奇跡みたいなもんだね」
えっ、そうなの? 堀江さんの思いやりなのかな? それとも「皮肉」や「笑いながら痛いとこをつく」や「ブラック好き」も本当に変わってないのかなぁ?
脳梗塞になったあとで、私はとても楽天的になった。そうあってくれなかったら、生きていた自信がない。
――相変わらず質問も答えも楽しく、深い人だ。世の中にはプライドだけはあっても、質問が陳腐すぎる人も多く、薄っぺらな配慮なるものから訊ねない人も山ほどいる。そんな配慮がなんぼのものか。彼は聞きたいことを聞き、話したいことを話す。
著名な知識人には、他人の話を聞いてんのかヲイッ、という才能あふれる御仁もいるよなあ。日本総研理事長の寺島実郎さんとか、なんでもよく知っている大前研一さんとか――。
堀江貴文さんと前に公開対談(ネット4局の中継と録画も)したのは、課金秘話、国内外のメルマガ裏話、アイデアをすぐ形にするあたりまえの方法などについて多岐にわたった。昨年10月半ばのことである。前回は堀江さんがホスト側、今回は私がホスト側だった。
前はラクだったよなぁ。聞かれたことに答えて、進行もお任せだったからね。今回は、病院の長期収監者と、刑務所ステイ者との、自慢大会である。違う。タイトルは「闘う人生!」。長期では病院も、ルールが細かったり、自由がなかったり、性格がぶっ飛んでいる受刑者や患者もおり、80~90代特有の問題もわりと似ている。理不尽な体験を超えてきた人は、皆というわけではないにせよ、ちょっとしたところでも優しい。時間をかけるわけではなく、さりげなく――。
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「脳梗塞って、痛いの?」
あ、それは考えたことなかった。同じ脳卒中のなかで、クモ膜下出血だけはものすごく痛い、らしい。脳梗塞は一瞬で進むものでもないことが多いし、気づかない人は患者にもならないわけだしさ。
僕は、数日かけて、いまから思えば不可思議なことが連続して起きて、5日目のゴルフにこれからスタート、今朝は最高に体調もいい!
と思って朝食のテーブルを立ち上がって、バタンッと。その後は覚えてない、というパターンではなく、ほとんどすべてを覚えてる。ただ、身体はまったく動かず、言葉もでないから意思も仲間たちに伝わらない。それを苦しいとも思わなかったなあ。2週間は、全身が麻痺していることにも気づかなかったし。脳梗塞の人から、痛かったっていう話は聞いたことないよ。

結石の激痛話につながっていく。結石は、生まれて初めて昨年10月にやった。三大激痛は中身がよく入れ替わるのだが、妊娠経験者を含めても「結石」だけは不動である。私のもの(笑)は、直径3ミリだった。結石が体内から出ていくときは気づかなかったくらいだから、小物ぶりがうかがえる。堀江さんは15ミリだったという。大物だ。負けた。こんなとこまで完敗である。
脳梗塞を含む脳卒中では、少なからず記憶、感覚、性格なども変化させてしまうこと――という知識を前提に、彼はこうも問うた。
「日垣さんはユーモアやサービス精神、ぜんぜん変わってない。奇跡みたいなもんだね」
えっ、そうなの? 堀江さんの思いやりなのかな? それとも「皮肉」や「笑いながら痛いとこをつく」や「ブラック好き」も本当に変わってないのかなぁ?
脳梗塞になったあとで、私はとても楽天的になった。そうあってくれなかったら、生きていた自信がない。
――相変わらず質問も答えも楽しく、深い人だ。世の中にはプライドだけはあっても、質問が陳腐すぎる人も多く、薄っぺらな配慮なるものから訊ねない人も山ほどいる。そんな配慮がなんぼのものか。彼は聞きたいことを聞き、話したいことを話す。
著名な知識人には、他人の話を聞いてんのかヲイッ、という才能あふれる御仁もいるよなあ。日本総研理事長の寺島実郎さんとか、なんでもよく知っている大前研一さんとか――。
堀江貴文さんと前に公開対談(ネット4局の中継と録画も)したのは、課金秘話、国内外のメルマガ裏話、アイデアをすぐ形にするあたりまえの方法などについて多岐にわたった。昨年10月半ばのことである。前回は堀江さんがホスト側、今回は私がホスト側だった。
前はラクだったよなぁ。聞かれたことに答えて、進行もお任せだったからね。今回は、病院の長期収監者と、刑務所ステイ者との、自慢大会である。違う。タイトルは「闘う人生!」。長期では病院も、ルールが細かったり、自由がなかったり、性格がぶっ飛んでいる受刑者や患者もおり、80~90代特有の問題もわりと似ている。理不尽な体験を超えてきた人は、皆というわけではないにせよ、ちょっとしたところでも優しい。時間をかけるわけではなく、さりげなく――。
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