『ドラゴンクエストモンスターズ+』 吉崎観音:作
『ドラゴンクエストモンスターズ+』 吉崎観音:作
うい。
私が漫画の事を解説するのは珍しいですが、今回は特別に紹介したいと思います(それだけ良いと認めたって事ですね)。
吉崎観音さんの作品です。
『月刊少年ガンガン』で連載されていた模様。
吉崎さんの作品は、『ラムネ&40炎』と『ケロロ軍曹』しか知らなかったので、正直、評価がかなり低かったのですが、この作品を読んで考えを改めさせられました。素直に面白いと思ったからですw
それでは作品の解説を。
物語は、ゲーム『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』の後日談だそうです。
私はこのゲームはやった事が無いので(なにせ、『ドラゴンクエストⅣ』までしかやった事が無い)、よく知りませんが、知らなくても何となく話は通ります。プレイした事の有る方は、より楽しめるでしょう。
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『テリー』が何処かに消えた後、「タイジュの国」に異世界から召喚されて来た少年が居ました。それが、主人公の『クリオ』です。
クリオは、勇者に憧れる少年でしたが、テリーを捜す事と、タイジュの国を救う為に、“モンスター・マスター”となる事を決意します。
ある時、タイジュの国の旅の扉から恐ろしいモノが姿を現しました。
魔王『竜王』です。
※クリックすると拡大します
圧倒的な力でタイジュの国を蹂躙した竜王は、モンスター・マスターでもある『モンじい』の『神竜』を吸収すると、魔導師タイプから、竜タイプへと進化しました。
この吸収の技こそ、呪われし、“邪配合”だったのです。
目的を達成した竜王は、旅の扉を作り出し、消え失せます。
そしてクリオは、神竜を取り戻すべく、竜王が去った世界へと旅立つのです。
旅の扉を越えて来た異世界は、「アレフガルド」(当然、クリオは知らないが)にそっくりな世界でした。
「ラダトーム」にそっくりな街に辿り着いたクリオは、其処でドラゴンに襲われます。
あわやという時、1人の青年に助けられます。
“ロト流剣術”を使うその青年こそ、『ドラゴンクエスト』の主人公である勇者だったのです!
ドラゴンを撃退した一行は、街の中央に出現した穴に飛び込みます。
そして其処で、驚くべき事実を知るのです。
竜王だと思っていた魔物は、邪配合により生み出されたまがい物の『竜王≒』だったのです。
邪配合を使い、竜王≒を生み出した者、それはなんとテリーだったのです!
究極のモンスターを追い求めていたテリーは、『デスタムーア』の意思と出会い、デスタムーアから、“邪の宝玉”を受け取りました。
邪の宝玉を手に入れたテリーは邪悪な意識に支配され、より強力なモンスターを作る事を最優先と考えるようになったのです。
テリーが去った後、竜王≒と戦う勇者とクリオ達。
勇者にまがい物だという事を見破られた竜王≒は、勇者を元の世界へ返還してしまいます。
今までアレフガルドだと思っていた世界は、竜王≒が造り出した世界だったのです。
勇者が消え、窮地に立たされるクリオ。
絶体絶命の時に現れたのは、真の竜王でした。
真の竜王は、竜王≒を一撃で噛み殺すと飛び立って行きます。
竜王≒が倒された事により、旅の扉が開き、クリオ達はタイジュの国へと還ります。
~ ~ ~
幾つかの冒険を経て成長したクリオ達は、また別の世界へとやって来ました。
着いた瞬間、猛吹雪に遭い、危うく遭難しそうになるクリオ達。
近くの家で防寒服を手に入れたクリオ達は、再び探索を続けます。
そんな一行の前に現れたのは、ブリザード達でした。
そう。この吹雪が荒れ狂う大地は、「ロンダルキア」(当然、クリオは知らないが)に酷似したモノだったのです。
勇敢にも戦う一行でしたが、ブリザードの唱えたザラキにより、スライムの『スラお』、ドラゴスライムの『ドラム』が即死してしまいます。
またもや窮地に立たされる一行を救ったのは、ゴーグルを付けた1人の青年でした。
青年は、“古流剣殺法”を使い、ブリザード達を撃退します。
青年のその構えから、クリオは以前出会った勇者を重ねていました。
彼は、『ロラン』と名乗り、目的が有って旅をしているとの事でした。
ロランと共に行動する事にしたクリオは、ロランの目的地である、“双塔の神殿(クリオは当然知らないが、“ハーゴン神殿”の事)”へ到着します。
神殿の入り口に待ち構えていた魔物を退治し、神殿へと足を踏み入れた一行は、突如発生した霧に覆われてしまいます。
その霧は、侵入者を惑わす幻覚のトラップだったのです。
幻に捕らわれたクリオは、ロランと分かれてしまいます。
1人神殿を進むロランの前に、巨大な影が。
ロランはその影に向かって囁きます。
「-すべてが変わりはてていた-
変わってなかったのは僕達が変えたはずのこの場所(ロンダルキア)…
この塔…
そして…
お前だけだ」
影の正体、それはかつてロランに倒され、暗黒の淵へと追いやられていた邪悪な魔物『バズズ』だったのです。
そして、ロランこそ、「ローレシア」の王子その人でした。
邪配合によって造り出されたバズズの肉体に、暗黒の淵に漂っていたバズズの魂を吹き込んだ事により、バズズは再び甦る事が出来たのです。
バズズの「イオナズン」を直上に食らいながらも、ロランはなお倒れません。
それどころか、素手でバズズの両手を粉砕してしまいます。
そして、バズズは語り始めます。破壊神を倒したその後に何があったのかを。
ロラン達は、破壊神『シドー』を見事倒し、世界に平和を取り戻しました。
しかし、ロラン達に倒されたバズズは、滅びる前に、世界に向けて、“呪い”を放ったのです。
それは、“破壊神を倒したという事は、破壊神以上の化け物だ”というものでした。
この呪いを受けた世界中の人々は、ロラン達3人を、“化け物”として恐れるようになったのです。
ローレシアに帰還したロランでしたが、人々からの畏怖の視線に堪えきれなくなり、ローレシアから飛び出してしまいます。
そして放浪していたロランは、通り過ぎの農夫との会話で、自分の住んでいた時から数百年経っていた事を知ります。
ローレシアに辿り着いたロランでしたが、ロランが行方不明になり、血筋が途絶えたローレシアはとうの昔に滅び、今は廃墟を残すのみと化していたのです。
※作中では明言されていませんが、竜王≒の時と同じ様に、バズズが復活した際に、『Ⅱ』の世界そっくり、且つ数百年経過した異世界を創造したのでしょう。
そして、『Ⅰ』の勇者と同じく、ロランもこの異世界に召喚されたのだと思います。
窮地に立たされたバズズですが、そこで真なる力を解放し、更に進化します。
その姿は、鱗の生えた手が4本。まるでシドーの様です。
バズズは言います。「シドーを食った」と。
そう。バズズは邪配合により、倒されていたシドーの身体をも取り込んでいたのです。
この進化により、バズズは、『エビルシドー』となりました。
そして4本の手で発生させた、それぞれ別系統である呪文「メラ」「ヒャド」「バギ」「ギラ」を合わせる事により、「ギガデイン」並みの威力になった技をロランに放ちます。
その絶大な威力に倒れるロラン。
勝ち鬨を挙げるエビルシドーでしたが、突如、4本の腕が切り裂かれてしまいます。
突然の事に呆然とするエビルシドー。
其処に颯爽と現れたのは、「サマルトリア」の王子『サトリ』でした。
「俺の剣は二度“破壊”の風をおこす…」
“破壊の気をまといし隼の剣”(※ファミコン版の裏技、“はかぶさの剣”の事だと思われる)を繰るサトリの圧倒的な力を見せられ、尚且つ、「ムーンブルク」の王女『ルーナ』に「マホトーン」で呪文を封じられてしまうエビルシドー。
更に、ザオリクで甦ったロランが立ち上がります。
3人揃った事で、何倍もの戦力となったロラン達に対し、死の恐怖を蘇らせたエビルシドーは逃げようとしますが、サトリの“古流剣殺法二文字・サマルトリア仕立て ”に阻まれ失敗。
其処に、“ロトの剣”を手にしたロランが立ち塞がります。
全開の力を放ったロランの前に、エビルシドーの上半身は粉々に吹っ飛び、地響きを立てて倒れます。
戦いに勝利したかと思われた時、粉々となった上半身から、2つの顔が浮かび上がります。『アトラス』と『ベリアル』です。
そう。エビルシドー(ベース体はバズズ)の身体の中には、バズズだけでなく、アトラスとベリアルの魂も封じ込められていたのです。
更なる力を欲するエビルシドーは、この異世界を支配していたモンスター・マスターであり、賢者である『マルモ』を吸収しようと、最上階に転移します。
一方、ロランと別れてからマルモの下にやって来たクリオは、必死にマルモと戦っていました。
其処に出現したエビルシドー。
マルモを吸収しようと迫るエビルシドーを身を挺して救ったのは、マルモのモンスター達でした。
マルモをクリオに託し、「メガンテ」を使ってエビルシドー共々砕け散るマルモのモンスター。
崩れ行く神殿の最上階に上がったクリオ達でしたが、2つの塔を結ぶ橋の崩落にマルモが巻き込まれそうになります。
マルモを引き上げて救ったクリオでしたが、身を犠牲にした事により、塔から落下してしまいます。
絶体絶命のクリオ。
それを救ったのは、“風のマント”を身に纏ったロランでした。
この直後、この異世界の創造者であるバズズが滅んだ事により、クリオとマルモはタイジュの国へと帰還します。
※ちなみに、サマルトリアが強過ぎるだろという意見が多かったのですが、上記↑のような説明がなされておりますw
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以上です。
本当は、クリオの冒険や、クリオのライバル達の話もあったのですが、ロトの子孫達のハイライトシーンのみを抜粋しましたw ごめんね、クリオ(汗)。
いや、『ドラクエⅡ』の3人がこんなにかっこよく描かれた作品今まで無かったですよ!
マジでローレシアの王子がかっこいいんです! 痺れる~!w
この『Ⅱ』の話をクリアした後の数話で、物語は唐突に終わってしまいます。
今となっては謎ですが、何で終わってしまったのでしょう? こんなに面白いのに、打ち切りでしょうか? 謎です。
冒頭でも書きましたが、これを読んで、吉崎観音さんの評価が上がりました。「こんな話も描けたんだ!」って。
この作品、もっと読みたかったですねぇ。とても残念です。
何はともあれ、隠れた名作『ドラゴンクエストモンスターズ+』でした~!
興味を持った方は探してみるのも良いと思います。
吉崎さんの絵柄からは想像出来ないくらいシリアスな展開に、燃える事間違いなしです!w