Yodo and abduction⑤ | より良い日本と子供達の未来のために。

より良い日本と子供達の未来のために。

北朝鮮による拉致事件の被害者救出の署名活動や拉致事件啓発の為のネットラジオ運営。

【資料収集の日々】 

2002年11月末の時点で、中嶋、小貫の両記者とディレクターの春原は、よど号グループを めぐる資神を、決して十分とは言えないが、それなりにまとまった形で入手することができた。そ こに至るまでは様々な紆余曲折があったが、その入手方法は、取材源の秘匿という観点から詳細を明らかに出来ない
時には独で、時には揃って出かけていき、理解ある取材先から資料の提供を受けた。場所は東 京都内のこともあれば、関東近県のこともあった。取材先の自宅、法律事務所、会社の事業所、 団体の事務所、取材先が持つ貸倉庫 など、場所も様々である。また、資料のコピーをそのま 主渡されたこともあれば、大の資料を読むだけのこともあった。コピーはダメで内容のメモだけ を認められた場合もあった。
手元に集まった資料の多くは、前章で触れた八尾恵元店主が起こした 「旅券返納命令取消訴訟」 など一連の裁判の記録。また、八尾元店主が、よど号ハイジャック犯・赤木志郎の妻A・Eの刑事裁判で行った「有本さん拉致証言」の一言一句正確に把握することができた。「よど号と拉玻」を取材する上では、よど号グループの妻たちの基礎情報が欠かせない。 「集まってきた資料の中でも、八尾元店主の「旅券返納命令取消訴訟」で、 告の 側が提出した、 八尾元店主をはじめ六人の妻たちに対する調査資料は、特にコンパクトにまとまっていてわかりや すかった(この時点で若林佐喜子や岡本武の妻、FKの存在は明らかになっていなかった)。これは 88年、日本の警察が内外から集めた情報をもとに作成したものである。警察庁は当時、この資料 でもって旅券所管省庁である外務省に対し、女たちに旅券の返納を求める根拠を示した。この時、 察は、女たちをよど号グループの妻たちと断定までしてはいなかったが、同年開催のソウルオリピックを前にヨーロッパを舞台に北朝鮮工作員キム・ユーチョルと動き回り、よど号グループや日本赤軍との接点推測される「危険な存在」と捉え警戒を強めていた。 八尾元店主の裁判にこの資料が提出されたのは、国側が、八尾元店主をはじめ六人の妻たちを 「公安を害する存在」と証明し、「旅券返納命令」が正当だったと反証するのが目的だった。そこか らはまた「よど号と拉致」を語る上で欠かせない、八〇年代の「妻たち」の動きが浮かび上がって くる。次の話に進む前に、この資料の内容の一端を紹介したい (八尾元店主を除き、現在も容疑 者・刑事被告人ではない人物は筆者により現性名のイニシャルのみとした)。

外務大臣官房領事移住部旅券課長殿
                                昭和63年7月19日 外発109号

警察庁警備課外事課長(印)

日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞(おそれ)のある日本人グループ六人について(通知)

次の六名は別途記載の事実により、旅券法第19条第1項第1号、第13条1項第5号にいち著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認められるので、しか るべく措置されたく通報する。

1、魚本民子 1952年10月14日生 
2、八尾恵     1955年11月6日生
3、A.E           1955年8月13日生
4、K.T           1945年12月5日生
5、水谷協子 1956年5月22日生
6、森順子     1953年5月12日生
                                                      (別添一)

                                                  昭和63年6月23日
                                                                          警察庁
                                                                        

日本人女性グループ六人に対する、旅券法第一九条に基づく旅券返納命令について

魚本民子、八尾恵、A.E、K.T、水谷協子、森順子の六人の日本人女性グループはそれぞれ日本政府発行の旅券を所持し、海外渡航を頻繁に繰り返しているが、当庁の確認によると同人らは、北朝鮮情報機関員KIM YU CHOL※作者注・北朝鮮工作員キム・ユーチョルの こと)に獲得され、国内外において活動を行うとともに、よど号ハイジャックグループ(安部公博、田宮高磨、柴田泰弘)と接点を有していると認められる。
またKIM YU CHOL、よど 号ハイジャックグループ及び日本赤軍は、偽造日本旅券を所持しており、とりわけ後二者は、同一組織が作成したとみられるものを所持していたことから、六人の日本人女性グループと日本赤軍の(丸岡修、泉水博、T.K)との関連も認められる。
日本赤軍の丸岡修、泉水博及び菊村憂、よど号ハイジャック犯人の柴田泰弘の逮捕、取り調べの結果、ソウルオリンピック開催を前にした両派の活発な活動が明らかとなった。標記の日本人女性 グループは、両派と密接な関連を有し、かつ、北朝鮮情報機関員の支配下にあることから、著し くかつ直接に日本の利益又は公安を害する行為を行う域れがあると認めるに足りる相当の理由があるものでありソウルオリンピック全対策の親立で、遠やかに良の返納命令を下し、海外における活動を封圧する必要がある。

                        記
1、北朝鮮情報機関員の支配の下で、国内外において活動している。 
①北朝鮮情報機関にKIM YU CHOL及び朝鮮労働党連絡部 
北問鮮情報機関員KIM YU CHOLは、北朝鮮・朝鮮労働党連絡部の欧州地区担当 人定事項 
生年月日 1938年4月1日平壌生まれ 
 特徴 170センチ、ヤセ型、眼鏡使用、日本語流暢 
1978年12月,在デンマーク北朝鮮大使館動務 
1980年秋 在ベオグラード北朝鮮大使館勤務 
ユーゴスラビア在ザグレブ北朝鮮領事館副領事 

朝鮮労働党連絡部の任務は海外における情報活動、秘密工作活動を行うとともに、韓国に派遣する特殊工作員を養成訓練して、同国内で非合法な地下工作を行うことにある。同連絡部 の日本人、韓国人工作のうち、特に重要な任務は、韓国に合法的に渡航できる工作員を養成し、又はその工作員を指揮することにある。従っKIM YU CHOLは自己の支配下に置いた日本人女性をして情報収集活動を行わせると共に韓国に渡航させるか又は韓国に渡航できる 日本人の工作員候補者を探し出す役割を担わせようとしていたものとみられる。 

②魚本民子(1952年10月14日生) 1981年11月21
日、コペンハーゲンでKIM YU CHOLと接触し、一緒に東べルリンに出国している。  

③八尾恵(1958年11月6日生) 1983年2月6日、コペンハーゲンでKIM YU CHOLと接触し、一緒に東ベルリンからモスクワへ出国している。
 1983年6月25日、八尾がロンドンからコペンハーゲンに到着後、KIM YU CHOLと接触し、翌日「KIM夫妻」の名前で一緒にベオグラードへ出国している。
 1988年5月から6月にかけての八尾恵の取調べの結果、KIM YU CHOLは八尾 恵と海外で少なくとも十数回接触し、フランス、イギリス、シンガポール、日本における調査任務を付与し、特に横須賀における自衛隊員、米軍人等の人定、所属等の調査を依頼し、合計600万円の謝礼を支払っていたことが判明した。 

④A.K(1955年8月13日生)1982年3月6日コペンハーゲンでKIM YU CHOLと接触し一緒にザグレブへ出国している。

1988年6月17日、A.Eは「KIM HYEjA」名義の北朝鮮外交官旅券を所持し「CHO GIL jUN」名義の北朝鮮外交官旅券を所持する在ザグレブ北朝鮮総領事館副領事とともオーストリアからユーゴスラビアへ出国している。

⑤K.T(1945年12月5日生)
1982年3月12日、水谷協子とともにコベンハーゲンに到着し、3月14日、KIM YU CHOL接触し、 
3月15日、一緒にモスクワ経由で北朝鮮へ向かった。 

⑥水谷協子(1956年5月22日生)
1982年3月12日、K.Tとともにコペンハーゲンに到着し、3月14日、KIM YU CHOLと接触し、3月15日一緒にモスクワ経由で北朝鮮へ向かった。

⑦森順子(1956年5月12日生)
1982年3 月17日、KIM YU CHOL 及び「YAMATA Jera」(1950年4月10日生)と名乗る男性とともに、コベンハーゲンから東ベルリンへ出国している。
1983年1月、KIM YU CHOLと接触し、一緒に東ベルリンへ出国している。


2、よど号ハイジャックグループとの接点がある。

森順子は1982年3月17日、KIM YU CHOL及び「YAMATA Jera」 と名乗る男性とともにコペンハーゲンから
東ベルリンへ出国しているが「YAMATA Jara」jy人物は、よど号ハイジャック犯人、安部公博(1948年3月19日生)であることが判明し た(科学警察研究所鑑定結果)。 八尾恵の押収物の中から、よど号ハイジャック犯人柴田泰弘及び田宮高暦との関係を証明する資料が幾つか発見され、八尾恵は、柴田泰弘等の日本潜入に深く係わっているものとみられる。

3、同一の日本旅券偽造グループの関与及び日本赤軍との関連がある 
森順子が一九八二年三月一七日に接触したよど号ハイジャック犯人、安部公博が使用した「YAMATA_Jera」名義の日本旅券(MG2747385)について確認の結果 真正旅券取得者は、全く別人物であり、偽造日本旅券と認められ、日本赤軍のメンバー、泉水博が使用していたとみられる 偽造日本旅券(MG2747361)と、丸岡修がしていたとみられる偽造日本旅券(MG2747317)と旅券番号が極めて近接している。
使用1981年12月12日、デンマークでKIM YU  CHOLと接し、一緒に出国した「OGAWA Stajo」(1949年10月20日生)なる人物が使用した日本旅券(MG0209123)について確認の結果、真正旅券取得者は全く別人物であり、偽造日本旅券と、認められ、日本赤軍メンバーK.Tが使用していたとみられる偽造日本旅券(MG0209115)と旅券番号が極めて近接している。
KIM YU CHOLは、1982年3月14日「UTUNOMIYA OSAMU」名義の日本旅券(MG8252863)を所持しており、確定の結果、真正旅券取得者は全くの別人物であり、偽造旅券と認められた。


後に加筆します。

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