強い日差しも、はじける蝉の声も、
風にそよぐ洗いたての白いワンピースも。
なんだか全部、特別な日。

夏になると、わたし――月桃さんは
すこしだけ誇らしげになる。
それは、花を咲かせる季節だから。



空気の澄んだ、静かな朝。
露をまとった葉のあいだから、ちいさな蕾がそっと顔を出します。
「おはよう」と朝の挨拶をして、太陽の光の方向を向きます。
葉をつややかにゆらして、そっと香りをまとって。

そんな夏の朝に、月桃水をひと吹き。
わたしの大好きな夏の一日の始まりです。



白い教会の鐘が鳴るころ、
夏の午後の光は やわらかくなっていく。
わたしは、南側の窓に移動した、貝殻で作られた風鈴、
シェルウインドウチャイムの音が聞こえるとうれしくなります。

涼しげな風の音で、
薄い薄い貝たちがゆれて、からん、からんと優しく響くもの。

ひとつひとつ大きさの違う貝が集まって、
音も少しずつ違っていてくれたら、なお素敵です。
わたしの英語名は、Shell Gingerです。貝には親近感を覚えます。



わたしは、今日も天草の丘の上で
遠く東シナ海を眺めながら、
風にゆれる祈りをひとつ、そっと胸におさめます。
夕立のあとの空をぼんやり眺めていたら、
そっと現れた虹。
「ありがとう。出てきてくれてうれしい。」って、
小さな声でお礼を言いました。

濡れた葉っぱの匂いと、少し涼しく吹く風、
そして、虹の向こうに想うこと。

そんなときにも、月桃水をひと吹き。
雨あがりの空気といっしょに、心もすっきりと。



あと、就寝前に。
月桃水をピローミストとして、霧のように吹きかけて、
深呼吸をひとつ。

コップ一杯の月桃茶といっしょに、落ち着く香りで
今日一日のざわざわを洗い流します。

願いごとは、言葉にしなくてもいい。
ただ、そばにあるものに感謝して、
この一日を、やさしく締めくくれたらと思っています。

この島の夏は、土と風と、少しだけ塩をふくんだような香りがします。

そんな天草の大地で、
わたしの仲間たちの、月桃の葉が重なりあう影の中で、
ひとつ、またひとつ、
蕾が顔を出す大好きな夏です。

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