【問題文】

①・・・試験官にサリチル酸をとり、メタノールに加えてとかす。これに少量の濃硫酸を加えてよく振り混ぜながら、おだやかに加熱する。冷却後、反応液を、使用したサリチル酸と濃硫酸に対して過剰な物質量の[ a ]を含む水溶液に注ぎ、油状の化合物(ア)を遊離させる。

②・・・この化合物(ア)に無水酢酸と少量の濃硫酸を加え、おだやかに加熱する。冷却後、氷冷した炭酸ナトリウム水溶液を加え、個体の化合物(イ)を得る。これらの化合物(ア)・(イ)をそれぞれメタノールに溶かし、塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加える。このとき、[ b ]。


【選択肢】

[ a ]・・・「炭酸水素ナトリウム」、「水酸化ナトリウム」

[ b ]・・・(ア)・(イ)について
      「共に呈色する」、「(ア)のみ呈色」、「(イ)のみ呈色」、「共に呈色しない」



まず反応を整理。



①の文章ですが、


「試験官に~加熱する。」の時点で、

・サリチル酸とメタノールの反応でサリチル酸メチルが生成した。


「冷却後~遊離させる。」の時点で、

・サリチル酸メチルが未反応の邪魔者と分離された。


と考えました。



次に②の文章ですが、


「この化合物(ア)に~化合物(イ)を得る。」の時点で、

・サリチル酸メチルと無水酢酸が反応してアセチルサリチル酸メチルが生成した。


「これらの化合物~塩化鉄(Ⅲ)水溶液を加える。」の時点で、

・サリチル酸メチルは呈色し、アセチルサリチル酸メチルは呈色しない。


と考えました。




【考察】


・サリチル酸とメタノールの反応では、メタノールのメチル基がサリチル酸のカルボキシ基のHの部分と入れ替わり、サリチル酸メチルと水が出来る。(エステル化)

・サリチル酸メチルが持つ「-COOCH3」はカルボキシ基(-COOH)ではないので、炭酸塩の水溶液である炭酸水素ナトリウム水溶液には溶解しない。しかし、未反応のまま試験官に残っていると考えられる少量のサリチル酸は、カルボキシ基を持つため溶解する。

・水酸化ナトリウム水溶液を加えてしまうとサリチル酸メチルがけん化でもしてしまいそうな雰囲気。ナトリウム塩が出来ちゃってややこしい。遊離はしないはず。

・サリチル酸メチルと無水酢酸の反応では、サリチル酸と無水酢酸の反応と同様にして、サリチル酸のヒドロキシ基が無水酢酸と反応する。生成物は、アセチルサリチル酸のカルボキシ基のHの部分にメチル基がくっついているのでアセチルサリチル酸メチル。

・塩化鉄(Ⅲ)水溶液で呈色反応を示すのは、フェノール類としての反応。ヒドロキシ基がベンゼン環に直接結合しているものでなければ呈色はしない。



以上より、化合物(ア)はサリチル酸メチル、化合物(イ)はアセチルサリチル酸メチルだと推測できます。


なので、[ a ]は「炭酸水素ナトリウム」、[ b ]は「(ア)のみ呈色する」。


という答えが出ました。



ちなみに、濃硫酸は触媒ですね。







終わりっ