容姿がネズミ一族だなと感じさせる風貌、ブルーサファイアの雌、藍ちゃん。



この仔は昨年秋に生まれている。

お迎えしたのは和尚さんの3日後。

ハムスターは一般的に生まれてから一月前後で店頭に並んでいる。

しかしこの仔は身体に問題があり、半年以上ペットショップで過ごしていた。

叩き売りよろしくほんのワンコインで。

ペットショップの待遇は悪くはなかったが、通常/1000~/3000で取引される生体としては行く末に不安を抱かずには居られなかった。


ハムの知能は低くはない。しかし、人間や他の生体と同じで生まれてすぐから刺激を与えてあげなければ『ぽやぁん』とした仔が育つ。

もちろん可愛いが、早くからお迎えしておくと、コミュニケーションは明らかに取りやすい。

既に半年以上ということは、人間であれば既に成人である。

ともあれ、この仔の問題は木屑アレルギーで、巣材にチップが使えない。新聞紙やコピー用紙であれば、ということだったのでお迎えすることにしたのである。

天頂部に禿げがあり、皮膚が赤く見えていた当初。

心穏やかに過ごしていただきたいと思い、当時の様子はカメラに納めていない。

半年以上ペットショップ暮らしだったのだから、特段人間に懐くとは願っていない。ただ健やかに生きてもらいたいと連れてきた。

基本的にはマイペースだが、二週間そこらで人間にも馴れ、かごを出ての室内への関心も強い。

何より人間の機微を読むのに長けているのはこの仔だった。

三階建てのケージを縦横無尽に駆け巡り、トレイに敷いた新聞紙には潜り込み、自主的に地階を作成している。置いた玩具には余すことなく関心を示し、噛んで弄んでくれる。

二匹目のペットというつもりはなく、あくまでもレスキューの意味合いだったため、この仔のキャラクターには些か困惑。

最初に来た和尚さんが藍ちゃんを可愛がっていると若干嫉妬しているように感じるのは人間の負い目か。