幸いにも幸福は無事ではあった。




その後病院へ連れていくと、骨折等はないものの、高齢(人間でいう七十代)に突入しており、老化は始まっていると指摘を受けた。
しかし、歯の欠損(年齢による抜けなど)もなく、幸福が幼い頃からいりこをこよなく愛していたことに深く感謝。カルシウムは偉大だ。
幸福には抗生物質などを人間でいう点眼薬を入れるような容器に甘い薬を処方された。
一回一滴とのことで、背後から保定し口を開かせての滴下となる。
背後からの保定は頬袋のつっぱり感もあり、多くのハムスターが嫌がるところ。
場合によっては歯を欠いたり(爪切り等で適正な長さに摘み取る)それが上の歯だったりすれば脳にも振動がある、実に不快だろうなあというポーズである。
ご多分に漏れず幸福もかなり嫌がり暴れる姿勢となる。
しかし処方された薬は甘く、甘味を好むハムスターとしてはご褒美とも言えるものだそうだ。
幸福は、その日2回の投薬には暴れたものの、それ以降の投薬には一切暴れなくなった。
どうやら保定は『美味しいことが起きる』と学習したようなのだ。幼少時からの知能への刺激が後々大きいとはいうが、ここまで頭が良いとは…親バカにも程がある。

嗚呼、歯がそろそろカットの時期。
心地よく待っている幸福。
歯をカットした際には混乱を来さなければ良いのだが。