最後に、事例4の再現答案です。事例3で大失敗したため、事例4がもし全部正解していればまだ合格の可能性もあるかもと淡い期待を抱きましたが、模範解答と照らし合わせる勇気がなく、事例3同様、合格発表後まで封印していました。(模範解答を読む前に再現しています。再現率はやや低いですが、経営分析はもう少しきちんと答えていた可能性もあります)


試験要項に定規の記載があったのを思い出し、念のため午後の事例3から机の上に定規2本を用意しておきました。定規を使う問題が出題されるとのうわさはありましたが、半ば冗談として聞いていたため、解答用紙が配布された際にグラフ枠が透けて見えた時は、驚きました。


計算問題はCVPの出題確率が近年50%であり、朝トクでもコインの裏表の出現確率は何度表が続いても変わらないとの話があったので、今年の出題を想定していました(M社も出題を予測)。NPV計算も比較的平易に思われたため、昨年より大幅に易化したと判断。一方で、昨年同様に経営分析が配点40点だったので、第1問は確実に得点しようと考えました。解答順としては第1、第2、第4、第3の順。第4問は3分で解ける“いただき問題”と解釈しました。


第1問
与件文、財務諸表を読み、収益性、安全性を長所で指摘するのは理解できましたが、短期について、どれを指摘すべきか悩みました。当座比率、流動比率は低めですが、内部留保が高く、その他流動資産も大きいため、短期資金繰りが厳しいとは指摘しがたいと判断(運用目的で資産配分を工夫しており、非常時には現金化も困難ではないと想定)。また、売上債権回転率も、安定顧客との継続取引が一因であれば、必ずしも財務面での不安につながると指摘しにくい(取引先の不安要因は記載されておらず、安定顧客に対する債権回収を急げとも提案しにくい)


設備効率について、大型リストラクチャリングが不十分だとの方向性も考えましたが、第2問以降は生産増、設備増強の方向性での出題であり、経営分析で設備スリム化が不十分だと答えるのは整合性が取れない。また第4問で国債投資の出題もあり、その他投資利益を減らす方向の解答も指摘しがたい。


ここで改めて本年の出題事例を思い返し、A社(2次問屋の買収を続けている)、B社(弱み、課題がほとんどない)等、非常に強い優良企業を問う傾向にあると判断。経営分析にて短所、問題点を指摘する場合、必ずその後の計算問題でそれを受けた改善策を示せる根拠を採用すべきだと先生から教えを受けていたので、今年は初めて3問全部を長所で答えさせる問題が出されたと判断しました。(4事例全体での出題傾向を考えました。今思うと考え過ぎですが、当日は自分なりに納得してしまいました)


第2問
(設問1)
最初、出題条件の解釈にとまどったが、TAC模試でのOEM生産のケース(販管費一定で原価のみ変動)を思い出し、固定費が一定で、価格、変動費のみ動かすことに気づきました。グラフに記載する数値をケアレスミスで間違うことを心配し、「重要なもの」に限定して交点の数値のみ、補助線を引いてグラフ外に記載した。①②の番号も右欄外に。


(設問2)
損益分岐点比率や安全性等について答えるべきだと考えましたが、一方で、現状利益と②案利益の数値がほぼ一致したため、利益額が「変わらない」という点も答えさせたいのだなと認識しました。


第3問
(設問1)
現状設備のまま増産した場合と、設備投資を行って増産した場合の比較と考え計算したところ、数値がマイナスになりました。既に有効活用可能な余剰設備があり、それとの関係で、さらに追加の設備投資は求められないのだろうと考えました。
→ミス原因:年金現価係数を4年ではなく5年分と勘違いしたため、CIFが小さくなってしまいました。
第2問でも損益分岐点売上高問われており、またここで問われるのか不思議に思いましたが、やっつけ問題で解いてました。(新たに必要となる減価償却費を固定費に追加するのを忘れていた)

(設問2)
NPVマイナスを指摘し、現状生産方法を続ける旨、回答。
→ミス原因:年金現価係数を4年ではなく5年分と勘違いしていたためNPVがマイナスになった。


第4問
(設問1)
一般知識問題と認識し、サービス問題で満点確保必達と考えた。

(設問2)
まず金利先物オプションが浮かんだが、債券価格の下落をヘッジするという意味では国債先物オプションがふさわしいと判断。さらに社債、外債等広い意味での債券先物オプションと答えた方が×を付けづらいと考えました。2年続けてオプションを答えさせる“いただき問題”とは考えにくかったですが、設問1、2と合わせて、12点は取れると判断しました。設問文を読む数分間程度で解答できました。


では、以下がその解答内容です。




第1問(配点40点)
①(a)売上高経常利益率(b)4.46%
(c)
収益性の高さが長所。製品小型化・高性能化
と品質安定化で大手の信頼得て売上高安定す
る一方、遊休資産売却等で固定費等費用抑制。

②(a)有形固定資産回転率(b)3.73回
(c)
設備投資効率の高さが長所。積極的技術開発、
設備投資の一方で、遊休資産の売却等大規模
リストラを実行、売上高の安定確保に貢献。

③(a)自己資本比率(b)34.93%
(c)
資本調達構造の健全性が長所。大手の信頼得
た安定収益で内部留保を積み増す一方、遊休
資産売却等で資産スリム化実現し安全性高い。


第2問(配点25点)
(設問1)
H22年事例4第2問(設問1)グラフ
①3279.42百万円
②3825.76百万円

(設問2)
②案を受け入れる。①案と比べ損益分岐点売
上高が上昇するが、利益額が54.2百万円とほ
ぼ現状水準を確保、マイナスの①案を上回る。


第3問(配点20点)
(設問1)
(a)-117.99百万円
(b)3499.30百万円

(設問2)
NPV がマイナスとなり、変動費は削減される
ものの、設備投資資金を回収できないため、
現状の生産方法を続ける。


第4問(配点15点)
(設問1)
満期額一定のため保有債券の市場価格が低下。

(設問2)
債券先物オプションのプット商品を購入し金
利上昇をヘッジする。