世の中まだ捨てたものじゃないと思った。

義理の兄が今日病院に不動産屋と司法書士を連れてきたそうだ。

兄を後見人にしてもらって、舅が生きているうちに家と土地の名義を兄にして、自分の都合の良い時に売って、他の兄弟にも少し分けてやると言う寸法だったらしい。

ただし行方の知れない長男には知らせまいとしていたようだった。

ところが、夫が病院で彼らに会い、話を聞いてみると、司法書士の方が「実際に舅と生活をし、毎日看病している人は誰ですか」と聞いたそうだ。

すると兄が「弟です」と答えるしかなかったらしい。それで司法書士の方が「実際に世話をした人が後見人になるべきです。財産分与については、長男さんの行方も捜して、みんなそろって協議しなければなりません」と言ってくれたそうだ。

夫は兄弟全員で分けたいと言っていたので「今日は良かった」と言っていた。



数年前、父が意識不明で倒れているところを発見し、病院に連れて行き、下の世話からデイケアセンター探しから、留守宅の水道、電気の支払いまで、みんな夫が家族と協力してやってきた。

財産が欲しいからじゃなくて、父をほおっていられなかったから。

でも兄たち家族は舅が同居したいと言い出した時「孫たちが慣れていない」と言って断ったのだ。

今、舅がひどく体調を崩している時に、遺産相続に関するような人たちを病院に連れて来るなんて「ひとでなし」と思っていた。

それで今日病院に早めに行って「お父さん、退院したらあの家に住みたいなら住みたいと、はっきり自分で言って下さい。がんばってね」と言って帰ってきた。

父は言葉を発する事はなかったらしい。でも司法書士の方は何かを感じたのかもしれない。

私たち家族は以前に父から「遺産は夫に譲る。年金は私が必ずもらうように」と何度も言われていたけれど、私たちは、いつも兄弟みんなで分けるのが一番良いですよと父に言ってきたのだ。

父の気持ちはありがたいが、気持ちだけ有難くいただきたい。

お金は人を狂わせる。


他人が夫の事を「よく看病してきたあなたが後見人にふさわしい」と言ってくれただけで十分幸せ。

後見人はとても費用がかかるらしい。でも法学部志望の三男に「正義が行われる事もある」と言えた事が今日はとても嬉しかったし、三男は司法書士の方のことを「いい人やなあ、弟子入りしたいくらいや」と言ったのが、また嬉しかった。