長男があれほどあこがれてやってみた「教員」だった。
子ども達にはずいぶん慕われた様子だった。
しかし中部地方での1年間で何があったのか、九州に戻ってきて二度と教員になりたいと言わなかった。
施設で介護の仕事をしていたがなんとなく辞めたがっていた。
なにもやりたくない。そんな感じだった。
そんな長男に珈琲焙煎を勧めてくれたり調理師学校を勧めてくれた友人たち。
あの頃はとても苦しくて友人たちがありがたかった。
また、どんなアドバイスも受け入れてやってきた。しかし、彼は本気になれない様子だった。
料理に興味があるようには見えなかった。でもケーキはとても好きだったらしい。
ある日学校で「ティラミス」を習ってからというもの、何度も作っていた。
やっと自信作ができて、その日のスィーツセットで出してみた。すると「K様」が
「こんなおいしい、ティラミス初めて食べました」
と言って下さったのだ。
その時から何かが変わったように見える。
親が叱っても褒めてもできない事がある。
友人たちが彼を評価してくれて、お客様が褒めてくれる。
「おいしかった」
今の彼にとって最高の言葉だ。
最近もう一つ彼の自信作ができた。弟たち絶賛のチョコレートケーキ。
私にとって長男のうれしそうな顔が今の1番の元気の元だ。