前項までに話した業務ステップやKPIを駆使していくと、「Ⅲ.Do」のオペレーションマネジメントは以前と性質が大きく変わっていきます。何が具体的に変わってきているのか。「結果管理」から脱却しつつあるのです。
目標達成と資源配分を責務とするマネージャーが最もやらないといけないのは「予防管理」です。これができていないと全ての経営資源を非効率にするのみならず、意図した目標達成すら覚束なくなります。オペレーションマネジメントの強化とは、突き詰めれば目標管理とPDCA管理の強化。そしてそれを有効にやるためには、予防管理のアプローチが必要なのです。
火事に例えるなら、火事が発生した後の消火活動や出火原因の特定作業に注力するのではなく、火事が起こる前・小火の時点でその原因を摘み取り、「そもそも火事を起こさない」ように仕向けないといけません。例えPDCAを強化しても、この予防管理ができていないと、同じような問題が繰り返し発生します。火消しを毎日繰り返すということです。きちんとしたマネジメントツールや会議体を持ち、マネージャーが一生懸命日々のマネジメントに勤しんでも、それが結果管理では意味がないのです。
では具体的に「予防管理」とはどんな管理か。それはこれまで見たKPIという考え方を踏まえると理解しやすくなります。ポイントは大きく2つあります。①結果が出た後ではなく結果の出る前に管理する、②財務指標(だけ)ではなくその要因となる先行指標(KPIなど)を管理する。つまり時期と対象を変えるということです。このようにして日次のマネジメントを強化するのです。
「マネジメントを強化する」と言うと、往々にして誤解を生みます。部下にしてみたら「(結果)数字の管理を厳密にされ、がんじがらめ」-上記①②ではなく、数字が出た後のみ、数字のみのチェックを上司が厳しく行う。これでは確かにがんじがらめ。しかし、真実は違います。マネジメントとは「Getting things done through your people」なのです。数字の出る前の数字・結果を生み出すプロセスについて、部下がその通りにできるようにサポートすることなのです。
再生プロジェクトの後半で、「つまるところ、これまで全て「過去」しか見ていなかったが、自分が見なければならないのは何より「将来」のことなのだ」とマネージャーの役割を改めて噛み締める方が多くいらっしゃいます。プロジェクトで新たなマネジメントの仕組みを取り入れ、日々の結果指標とKPIを捉えられるようになったら、明日、明後日、次週の予定を見ていく。その達成が危ぶまれそうな場合は、事前に速やかに手を打つ-「Ⅲ.Do」の要諦の一つです。