前編はこちらどうぞ


冴えない女だったharuは男にチヤホヤされるSNSに陶酔していった

自撮り写真の彼女はみるみるうちに化粧が濃くなり

肌の露出が増え

コメント欄はフォロワーの男達の下心で埋め尽くされた


「ねえ、先生。最近メッセージがたくさんくるの♪」

「旦那なんかよりよほどいい男から誘われるよ♪」

「少しは先生の言うようないい女になったのかな?」



「よかったね。夫以外の男からも求められるんだって分かって…」


(でも、、違うんだよharu。。)

(あなたは俺の言ういい女とは真逆の方向に進んでいるよ。。)

(それにこんなに派手に振る舞えばきっと良くないことが起きる気がする。。)



今思えば俺はこの時の心の声をちゃんと言葉にするべきだった



俺のそんな心配は……現実になった



haruはすっかり有頂天になり、誘われるがままにそのうちの1人の男と会うことになった

俺から見れば薄っぺらいただのネットナンパ師だった


当然のごとくヤリ逃げされ


挙げ句の果てにその男と関係していた他の女からの嫉妬をかうこととなった



その女から誹謗中傷のメッセージが毎日のようにくるようになり

ヤリマンだ淫売だと顔写真付きでネット上にさらされた



誰かをディスり追い込むことだけにすべての時間を費やす人間は存在する


そういう人間とも繋がってしまうのがネットの怖さ


状況はさらに悪くなっていった



首謀者の女は仲間を増やし複数人が面白がってharuに人間性を否定する言葉を浴びせ続けた

アカウントを変えても変えても執拗に追い回された


元々感受性の強い彼女の精神は叩き壊され


その影響でharuは…

声が出なくなってしまった
 



 
しばらくして…

haruのアカウントは消えた。。
 
 



haruは消える前に俺に会いたいとメッセージしてきた

それは止めておくと返事した

中途半端な優しさは余計に彼女を傷つける結果になる

そう判断して会わなかった
 


 その後、彼女がそのSNSに戻ってくることはなかった



haruが消えてからも彼女のことがずっと気にかかった


彼女は声を取り戻せたのだろうか?

小説は書けているのだろうか?

どうしようもない旦那は少しは支えになってくれてるんだろうか?

やはり会って話を聞いてあげるべきだったのか?
 
 

もはや知るよしもない彼女の近況を

俺は数カ月後に予期せぬ形で知ることになった
 
 

SNSのメッセージボックスに聞きなれない人物からのメッセージが届いた
 

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haruの兄です

わたしは弁護士をしております

妹の声を奪うまで精神的に追い詰めた人間が許せません

必ず探し出し法で裁くことに決めました

haruは最近やっと少しだけ話せるようになりました

彼女から情報を聞き、必ず犯人を見つけます

あ、連絡差し上げたのはあなたを犯人と疑っているわけではありません

妹は声が出るとこんなことを言っていました
 
「 SNSは私にはツライばかりだった

でも少しだけ楽しいこともあった

自分の知らないことを教えてくれて、

バカな亭主とは別れろと助言をくれ

私の小説を読んでみたいと言ってくれて

そのくせ会わないでいてくれた人がいた

家庭も小説も行き詰まり、死にたいとさえ思っていたけど

私は先生とのメッセージのやり取りのおかげでギリギリ頑張れた 」
 

先生ってあなたのことですよね?

今のharuは精力的に執筆活動して、次の作品はある賞の最終候補に残っています

湊かなえ より売れてやる!と意気込んでいます(笑)

頼りにならない旦那とも離婚しました


haruはあなたに恋心を抱いていたようですね

兄としてはなんとも複雑な気持ちですが、とにかくお礼申し上げます
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俺は彼女の小説家としてのペンネームを知らない

ひょっとしたらharuの小説がもう本屋に並んでいて
俺は知らず知らず手にとっているのかもしれない


そう思うとやはり人の繋がりは面白い


SNSといえど 誰かと誰かの人生が偶然交差し、時に想像しえないストーリーを生み出す


事実は小説より奇なり


そう、例えば既婚中年男が癌に苦しむ可憐な20代の女の子と恋に落ちたりね(笑)