僕の職場は有楽町なのだが、先日街路樹が業者の手により伐採されてました。
伐採といっても枝をバチンバチン伐って裸にする作業。梯子とクレーンの2人でスピーディにバチバチ伐り落としていく。
流石にてっぺんまでになると梯子では届かずクレーンを目一杯伸ばしておっさんがバチバチバチバチ。
高さは何十メートルとある。高さ的には4階だとかそんなもんだったと思う。高所恐怖症じゃないにせよ怖いはず。梯子に登ってたおっさんも2.5階くらいの高さで作業してたが本当に凄いね。流石職人さん。
大人になってから駄目になってしまったものが多いが、その中に高所もあげられる。
昔は虫を素手で掴むだとか、木を登るなんか平気でやってたのに、大人になってからは出来ない。なんでなんだろうね。
僕が子供の頃は木登りが流行った。最近の子供は知らないけど、僕らが小学生の頃は狂おしいほど木登りをしてた。
登校して木登り、お昼休みに木登り、帰り際に木登り。とにかく一日何回登るのってくらい木登り。
所詮学校の木だ。大して高い木ではなかった。それでも木に登るという普段とは違う高さで見れる、そして木に登れるというアイデンティティにえらく興奮した。僕らの中で大ブーム。ナウいだろと言わんばかりにガシガシ登ってた。
当時隠れ家とか秘密基地だとかに物凄い憧れを抱いていて、木の上を秘密基地だとか安易なことを言っていたり、それだけでは飽きたらず公園の林に穴を開けて人が入れるスペースを作って、そこにジュースやらお菓子やら持ってって遊んでた。
そんな木登りだなんだってより良い秘密基地を作るために町中を自転車で駆け回り、とうとう僕らは見つけた。
畑に囲まれた取り壊されるのを待つばかりの廃墟と化した一軒家が佇んでいた。僕らは胸を高鳴らせて中に入った。
壊れたドア、木片が辺りに散らばっており、窓ガラスも割れている。一室を片付けて使えそうなソファを移動させ、テーブルなんかも置いたりしてそこを秘密基地として友達と使っていた。
僕らだけの秘密基地だった。まさにテリトリー。ゲームボーイを持っていってみんなでポケモンをやっていた。
その廃墟を見付けた長岡くんっていう野球少年がいて、女の子からラブレターをもらった!と机に後生大事にとっといてたワンパクボーイが部屋を拡張すると言い出して隣の部屋をガシガシと掃除し始めた。
バリーンッ
外れた窓ガラスを持って移動させようとした瞬間、一瞬のうちに窓ガラスが割れた。
「うわあああっ」
長岡くんの両手が鮮血に染まる。最初はケラケラ笑っていたが尋常じゃない出血量で、こいつはヤバイと子供ながらに分かった。
しかしこんな血だらけの状態で大人にどう説明しようか言い訳を考えながら長岡くんを連れて表に出たら、
「あんたらなにしとんの!」
と、偶然にも畑仕事をしていたヨボヨボのババアに見つかって、すげー説教される。
長岡くんの出血を見て危ないでしょ!と言いながら自宅に招いて手当てしてくれるババア。長岡くんは終始鼻水垂らしながら痛みに耐えてました。
結果その廃墟には立ち入れなくなり、しばらくして業者が来て取り壊しが開始される。
重機でメキメキと崩れていく僕らの秘密基地。
あっという間に壊され、破片もおっちゃんがテキパキとトラックに積んで綺麗さっぱり更地になった。
やっぱりそのおっちゃんたちもプロで職人だった。
そんなことを伐採される木々を見ながら思い出して、子供の頃はこんな僕もワンパクボーイ。
最近は子供が遊べる場所が少なくなってて、木登りなんかする子供はいるのだろうか。
土地が少なくなって、なおかつ危険なことは子供にさせないという配慮もあり、昨今外で遊んでる子供は少ない。
みんなイナズマイレブンやらダンボール戦機やらのもっぱらゲーム。外で活発に遊ぶ子供たちは少ない。
若かりし自分を思いだして、帰りの道中に木に登ろうとしたら警官に怒られた。そりゃそうだ。