半夜


啓蟄のころ

雨がぽつぽつ

ふっくら月は見えない夜

灰色の猫が

おわわんおわわん

とないている

声を震わせてないている

この辺りでは古株の雄だ

少し前までここに猫はたくさんいた

いろんな事情で今は

君と

もう一匹の雌だけ

その雌はもうこども産めないんだよ

その子ども達は貰われていった


他所へ行くかい

雄だから新天地を求めて

でもそれには君は年取りすぎたね

もう暖かくなるからここで

ゆっくりするんだ

素敵な季節がくるから