この監督の作品は本当に不思議だ。
ストーリー展開の中で、大きなドラマは滅多に
起きないにも関わらず、3時間超えの長尺が
全く苦にならないのだから。
淡々とした日常会話のシーンに観客を引き込む
力が半端なく強いのだ。
それは、もちろん会話の内容の深さや、役者の
演技のリアルさによる部分は大きいけれど、
それだけでは無い、何か濱口監督に特有の演出
上の魔法がある気がする。
言わば濱口マジック!?
介護施設や末期がん患者の現実を真っ向から、
この上なくリアルに描きながら、しっかりと希
望の余韻を残すところなどホント素晴らしい。
幾つかのシーンは爆発的にエモかったけれど、
背景に特にドラマチックな演出は無い。
ただ、要所要所で差し込まれる、長塚京三演じ
る一人劇の意図や、いかにも意味深な自閉症の
少年の役割などがいまいち理解できず、それ故
消化不良な部分が少なからずあった事も白状し
ておこう。
でも、理解できないのも濱口作品の魅力の内で
しょう。
85点


