スクリーンに雨が降る -20ページ目

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前回迄の「青と赤」

 

1990年9月30日、都内の某専門学校。

 

その学園祭に現れた、新型ダークロボット・アカライオン(声/潮健児氏)。

会場に集まった観客たちを奴隷としてさらおうとしたその時、あの懐かしいギターのメロディーが鳴り響く。

 

そうだ!僕らのジローが還ってきた!!
喜びもつかの間、更に第二の刺客・ピンクエレファントも出現。
ジローはキカイダーにチェンジした!!
これは夢ではない。
時の彼方に消えたはずの彼が、僕らの目の前に現れたのだ。
リアルタイムの戦いが、観客の声援の中で展開する!

https://youtu.be/Xniv5HBvNO4

 

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大勢の観客を前に展開する、2対1の激闘。

カット割りなどない迫真の雰囲気に、観客たちは言葉も忘れて見守っている。
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キカイダー「ダブルチョップ!!」

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会場の外へ放り出され、爆音と共に消え去るピンクエレファント。

残るはアカライオンのみだ。


が、その時、アカライオンが雄叫びを上げる!

突如頭を抱え、苦しみだすキカイダー。

アカライオン「俺の発する超音波は、プロフェッサー・ギルの笛と同周波なのだ!」

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苦しみながらも、必死に耐え抜こうとするキカイダー。

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アカライオン「しぶとい奴め、これならどうだ?」

 

スクリーンに浮かび上がるダークの首領、プロフェッサー・ギルの姿。

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「お前は人間の心を持ったがゆえに苦しまねばならない・・・悪に生まれし者は、悪に還るのだ」

 

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ギルの笛の音が、アカライオンにより増幅される。

抵抗もむなしく、もはやキカイダーはダークの手先へと化してしまった。

アカライオン「やれキカイダー、こいつの首をへし折ってしまえ!」
今まさに、狂ったキカイダーが司会者を襲う!
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と、ギルの笛の音をかき消すかのように、高らかに鳴り響くトランペットの風切るメロディー・・・
アカライオン「な、何だ!?このトランペットの音は!!」
闇の中、スポットライトに照らし出される男の後姿・・・
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静まり返る場内。
この時点で観客は戸惑いこそすれ、誰もあの男が登場するなんて想像すらしていない。
が、徐々に騒めきが広がり・・・
アカライオン「貴様は、誰だ!?」


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イチロー「悪のあるところ必ず現れ、悪の行われるところ俺は行く!
正義の戦士、キカイダー・ゼロ・ワン!!」

場内の興奮は頂点に達する!飛び交う歓声!!
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観客を前にして、テンションが上がりきる池田さん!
その表情は、まさに仁王像そのもの!!

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トランペットを置き、襲い掛かるアカライオンを軽くかわすイチロー。

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司会者を助け、アカライオンに戦いを挑む!

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その戦いぶりは、観る者の胸を熱くする!
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キカイダーも正気に戻り、イチローはチェンジする。

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イチロー「チェンジキカイダー・01!!」

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ちなみにこの場面、ある意味池田さんのアドリブなのだ。
本来は乱闘のまま場外に出て、スクリーンに変身映像を流す予定だった。

しかしアトラクの練習中に、池田さんの希望で生変身ポーズの披露となったのだった。

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予期せぬ01の登場で狂喜乱舞寸前の観客だが、これだけではない。
更なる隠し玉が、漆黒の闇の中に控えているのだ・・・


次回、「青と赤 ~殺しの口笛編~」



木枯らしに似た口笛は、死神のうたう子守り歌・・・

https://youtu.be/-ExtNNqJLjE

 

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時は1990年9月30日の日曜日、ここは都内某所のとある専門学校。
本日は学園祭の二日目。
前日からの作品上映会に続き、俳優の伴直弥(現・大介)氏をお呼びしてのトークショーが開かれる事となっていた。
午前の部では、「人造人間キカイダー」のみならず「イナズマンF」「忍者キャプター」等の伴氏が主演した特撮作品も上映されており、その準備は直前まで難航したがようやく整った。
チラシや口コミでの小規模な宣伝であったので、百人に満たない集客だ。
台風接近による悪天候も影響したのだろう。
それでも、ジローを演じた伴氏から貴重な話をお聞き出来るトークショーを楽しみに、観客たちはその登場を今や遅しと待ち焦がれていた。

 


司会「ここで、本日のスペシャルゲストの登場です。皆さん、盛大な拍手を!」

観客たちは、大きな拍手で伴さんを迎え入れようとする。


突如ホール内に響き渡る、獣のような唸り声・・・

会場の後方をスポットライトが照らす。

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映し出された黒い影は、鋼の鬣を纏う人とは思えぬ奇怪な姿。

その腕に輝く、秘密結社ダークの紋章。

不敵な笑い声を上げながら、怪物は客席をゆっくりと前へ進んで来る!
慌てる司会者に襲い掛かる、ダーク破壊部隊最新ロボット・アカライオン(声/潮健児氏)!!

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アカライオン「我々ダークは今日という日を待っていたのだ。この東京○○専門学校を本拠地とし、一気に世界を征服する日を!
さあ、おとなしく我々の奴隷となり、一生ダークの為に働くのだ!!」

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騒めき立つ会場内。

伴さんのトークショーを楽しみに来たのに、一体何が起きたというのだ!?

台風の中、必死の思いで集まった僕らは、ダークの奴隷にされてしまうのか!!


と、どこからともなく流れてくる、あの哀愁をおびたギターのメロディー・・・
アカライオン「ムムッ、このギターは!?どこだ、姿を現せ!!」


客席後方に当たるスポットライト、その中に現れた男の名は・・・
アカライオン「現れたな、ジロー!いや、キカイダー!!」
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これは幻ではないのか?

赤いギターの青年・ジローが、遥かな時を超えて今、僕らの目の前に立っている!!

悲鳴に近い歓声が上がる。
場内騒然!拍手喝采!!

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ジロー「ダーク破壊部隊アカライオン!そんな事はこの俺が断じて許さん、行くぞ!!」
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人造人間ジロー、その戦いの幕が切って落とされた!
ギターを振りほどくと、客席後方から観客たちの間を走り抜け、アカライオンに果敢に立ち向かう。

組み合い、殴り合い、睨み合う!!

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その時、またもや場内に響き渡る雄叫び。
「パオ~ン!ダーク破壊部隊ピンクエレファント!!
アカライオン、助けに来たゾウ」

「人造人間キカイダー」のEPレコードの挿絵のみに存在する、伝説の初期ダーク破壊部隊の一体。

それが、このピンクエレファントなのだw。

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ジロー「新手のダークロボットか!」

前後を敵に挟まれたジロー、その緊迫した雰囲気に観客たちは固唾を飲んでいる。
ジローの顔に、ある決意が刻まれる!

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落ちる照明!

一瞬にして、周囲が漆黒の闇に包まれた。

突如、会場前方に吊り下げられていたスクリーンに映像が映し出される。

嗚呼、これこそが!!
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「チェインジ!スイッチオン!ワン・ツー・スリー!!」
ジロー、チェインジ!キカイダー!!

スポットライトに浮かび上がるその姿。

人造人間キカイダーが、ブラウン管を飛び出して僕らの元へとやって来たのだ!!


キカイダー「ダークロボット、この俺が相手だ!かかって来い!!」
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これは夢ではない。
誰も見た事のないリアルタイムの戦いが、観客の声援の中で展開する!

ダークロボット2体を相手に、会場内で繰り広げられる大乱闘。

果たして、この戦いの勝利者は!?

 

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https://youtu.be/Yq8e0cxEFkw

 

 

次回、「青と赤 ~孤高のトランペット編~」
乞うご期待!!
 

1990年9月、ある奇跡のようなイベントが計画されていました。
そこに私自身が関わった事自体が、今ではまるで夢のようにも思えます。

この歴史的一大イベントの模様を、「人造人間キカイダー」を愛するすべての皆様にお届けします。

それが、おそらく私に与えられた使命なのだと確信致しましたので(笑)!

 

 

このイベントが企画された1990年当時、日本は前年に解決したある凶悪事件の影響で、ホラーファンのみならず特撮ヒーローを愛する者へも偏見の目が向けられていました。
今も昔も、少数派への世間の風当たりは強いのです。
何か起これば、それこそ魔女狩りのように。
悪意あるマスコミによる情報操作されたニュースが繰り返し放送され、学校や職場でいじめの対象にされかねない空気が蔓延していました。

そんな中で、ある専門学校の生徒達が学園祭の企画として立ち上げたのが、「人造人間キカイダー」のトークイベントだったのです。
外部への宣伝では、主役のジローを演じた伴 直弥(現・大介)氏をお呼びしたトークショーとだけでした。
無論、学園祭ですので入場料等も一切ありません。
大々的に広告を出す事もしません。
しかし、彼らの計画は無謀とも言える自己犠牲の上に成り立つ、驚くべきものでした。
 
当時、自主映画の企画に行き詰っていた私は、ロケ地探しの途中である集団と出会いました。
彼らは8ミリフィルムで「アステカイザー」を使った学園祭用の映画を撮影しており、その代表者と私の家が近所という事もあり、着ぐるみを預かったりスチールカメラを担当したりと意気投合。
そんな流れで、当時は高額だったビデオカメラを所持していた私が、この学園祭の記録撮影を任されたわけです。
 
今回の企画の全貌を知らされた時は、全身の血が沸き立つ程に興奮しました。
普通、宣伝とは多くの客を呼ぶために大げさに書いたりするものです。
伴氏のトークショーという宣伝も、当時としては十分魅力的ではありました。
今のように、演じた俳優がファンの前に気軽に来て下さるようなイベントの無い時代。
我々にとって、まさに夢のような企画です。
ところが、彼らのやろうとしている事は、誰もが夢見ては諦めてきたような挑戦。
「人造人間キカイダー」という物語の新作を番組終了から17年後、アトラクションという形で実現させようとしたのです。
 
シナリオタイトルは、「地獄の死者・アカライオン対キカイダー兄弟」。
そう、キカイダー01まで登場させるのです!
この企画、何も知らない観客へのとんでもない爆弾です。

 

9月10日の月曜、原宿の芸能事務所にて伴さんのインタビューに同行しました。

子供の頃から大好きだった、あの伴さんにお会い出来た上に直接お話を伺えるなんて!

私はVTR撮影とスチール写真を担当しましたが、黙っていられず質問までしてしまいました。

その一つ一つに真摯にお答え下さる伴さんの優しさに、長年のファンでいた事を誇りにすら思ったものです。

この日収録したインタビューは、イベント当日に配布されたプログラムに収録されました。

今もお持ちの方がおられたら、一生の宝物でしょう。

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前週には平山亨プロデューサー、伴さんの翌週は潮健児氏のインタビューにも同席しており、企画は着実に進んでいます。

 

平山さんは自宅近くの喫茶店で、長い時間様々なお話をして下さいました。

作品の裏話だけでなく、ご自身の半生を切々と語られるお姿に、ヒーロー作品の哀愁やその勇気は平山さんご自身の姿も投影されていたのだと確信したものです。

プロデュースされた作品の感想を聞かれる中、プロフェッサー・ギルやガイゼル総統の狂気の中にある哀しさに魅かれるのだとお話したら、とても嬉しそうな御顔をされていました。

 

潮さんはご自宅に入れて下さり、貴重なお話だけでなくご自身で用意されたお写真をサイン色紙に張り付けてまでいただいて!

本当にファンを大切にする、心優しい方でした。

ちなみに写真はメフィスト、地獄大使、雷忍の3種類あり、私は地獄大使を選ばせていただきました。

ご本人は一番男前に写っているメフィストを推されていたようで、「皆これを選んでくれないんだよなぁ」と笑っていらしたのがとてもオチャメでもありました(笑)。

 


9月18日の火曜、アトラク用セリフの収録現場に立ち会いました。

池田駿介氏が初参加です。
この二人が顔を合わすのは放送終了以来ではないでしょうか?

初対面にも関わらず、資料映像を撮影する私への池田さんの気さくな対応には感激したものです。
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シナリオに合わせての真剣な録音風景は、「キカイダー」製作当時の現場の空気を再現するかのようで、身震いしながらファインダーを覗いていました。

この日の午後は、お二人ともアトラクの練習にまで加わり濃密な一日となりました。

翌週には潮さんのセリフ収録も完了、イベントに向けての準備が着々と進行しています。

新型ダークロボット・アカライオンの声は、なんと潮さんの担当なのです!

アトラク用の音声は、セリフとBGMをミックスしたテープを私が作成しました。

伴さんと池田さんが直接喋る部分は無音、着ぐるみパートにセリフが被る構成です。

効果音はズレる恐れがあるので、当日音効担当がアドリブで対応です。


そして、イベント当日の夜が明けました。

この日は東京を台風が直撃するとの情報で、私もずぶ濡れになりながら現場入りしました。

その場で、信じられない光景を目撃するのです。

もうアトラクの直前だというのに、着ぐるみが未完成の状態なのです!

今は伴さんの主演した代表作品の、上映会の真っ最中。

時間は刻々と過ぎてゆくのに、キカイダーのマスクはまだこんな状態なのです!!

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控え室にはゲストも揃い、後は幕が上がるのを待つだけです。

何も知らない観客たちは、伴さんのトークショーを楽しみに待っています。

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果たして、観客の反応は?
そして準備は間に合うのかw!?
1990年9月30日
世紀のイベントが、ついにスタートします!!

 

次回  「青と赤~哀愁のギター編~」

乞うご期待!