青と赤 ~17年目の再会編~ | スクリーンに雨が降る

1990年9月、ある奇跡のようなイベントが計画されていました。
そこに私自身が関わった事自体が、今ではまるで夢のようにも思えます。

この歴史的一大イベントの模様を、「人造人間キカイダー」を愛するすべての皆様にお届けします。

それが、おそらく私に与えられた使命なのだと確信致しましたので(笑)!

 

 

このイベントが企画された1990年当時、日本は前年に解決したある凶悪事件の影響で、ホラーファンのみならず特撮ヒーローを愛する者へも偏見の目が向けられていました。
今も昔も、少数派への世間の風当たりは強いのです。
何か起これば、それこそ魔女狩りのように。
悪意あるマスコミによる情報操作されたニュースが繰り返し放送され、学校や職場でいじめの対象にされかねない空気が蔓延していました。

そんな中で、ある専門学校の生徒達が学園祭の企画として立ち上げたのが、「人造人間キカイダー」のトークイベントだったのです。
外部への宣伝では、主役のジローを演じた伴 直弥(現・大介)氏をお呼びしたトークショーとだけでした。
無論、学園祭ですので入場料等も一切ありません。
大々的に広告を出す事もしません。
しかし、彼らの計画は無謀とも言える自己犠牲の上に成り立つ、驚くべきものでした。
 
当時、自主映画の企画に行き詰っていた私は、ロケ地探しの途中である集団と出会いました。
彼らは8ミリフィルムで「アステカイザー」を使った学園祭用の映画を撮影しており、その代表者と私の家が近所という事もあり、着ぐるみを預かったりスチールカメラを担当したりと意気投合。
そんな流れで、当時は高額だったビデオカメラを所持していた私が、この学園祭の記録撮影を任されたわけです。
 
今回の企画の全貌を知らされた時は、全身の血が沸き立つ程に興奮しました。
普通、宣伝とは多くの客を呼ぶために大げさに書いたりするものです。
伴氏のトークショーという宣伝も、当時としては十分魅力的ではありました。
今のように、演じた俳優がファンの前に気軽に来て下さるようなイベントの無い時代。
我々にとって、まさに夢のような企画です。
ところが、彼らのやろうとしている事は、誰もが夢見ては諦めてきたような挑戦。
「人造人間キカイダー」という物語の新作を番組終了から17年後、アトラクションという形で実現させようとしたのです。
 
シナリオタイトルは、「地獄の死者・アカライオン対キカイダー兄弟」。
そう、キカイダー01まで登場させるのです!
この企画、何も知らない観客へのとんでもない爆弾です。

 

9月10日の月曜、原宿の芸能事務所にて伴さんのインタビューに同行しました。

子供の頃から大好きだった、あの伴さんにお会い出来た上に直接お話を伺えるなんて!

私はVTR撮影とスチール写真を担当しましたが、黙っていられず質問までしてしまいました。

その一つ一つに真摯にお答え下さる伴さんの優しさに、長年のファンでいた事を誇りにすら思ったものです。

この日収録したインタビューは、イベント当日に配布されたプログラムに収録されました。

今もお持ちの方がおられたら、一生の宝物でしょう。

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前週には平山亨プロデューサー、伴さんの翌週は潮健児氏のインタビューにも同席しており、企画は着実に進んでいます。

 

平山さんは自宅近くの喫茶店で、長い時間様々なお話をして下さいました。

作品の裏話だけでなく、ご自身の半生を切々と語られるお姿に、ヒーロー作品の哀愁やその勇気は平山さんご自身の姿も投影されていたのだと確信したものです。

プロデュースされた作品の感想を聞かれる中、プロフェッサー・ギルやガイゼル総統の狂気の中にある哀しさに魅かれるのだとお話したら、とても嬉しそうな御顔をされていました。

 

潮さんはご自宅に入れて下さり、貴重なお話だけでなくご自身で用意されたお写真をサイン色紙に張り付けてまでいただいて!

本当にファンを大切にする、心優しい方でした。

ちなみに写真はメフィスト、地獄大使、雷忍の3種類あり、私は地獄大使を選ばせていただきました。

ご本人は一番男前に写っているメフィストを推されていたようで、「皆これを選んでくれないんだよなぁ」と笑っていらしたのがとてもオチャメでもありました(笑)。

 


9月18日の火曜、アトラク用セリフの収録現場に立ち会いました。

池田駿介氏が初参加です。
この二人が顔を合わすのは放送終了以来ではないでしょうか?

初対面にも関わらず、資料映像を撮影する私への池田さんの気さくな対応には感激したものです。
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シナリオに合わせての真剣な録音風景は、「キカイダー」製作当時の現場の空気を再現するかのようで、身震いしながらファインダーを覗いていました。

この日の午後は、お二人ともアトラクの練習にまで加わり濃密な一日となりました。

翌週には潮さんのセリフ収録も完了、イベントに向けての準備が着々と進行しています。

新型ダークロボット・アカライオンの声は、なんと潮さんの担当なのです!

アトラク用の音声は、セリフとBGMをミックスしたテープを私が作成しました。

伴さんと池田さんが直接喋る部分は無音、着ぐるみパートにセリフが被る構成です。

効果音はズレる恐れがあるので、当日音効担当がアドリブで対応です。


そして、イベント当日の夜が明けました。

この日は東京を台風が直撃するとの情報で、私もずぶ濡れになりながら現場入りしました。

その場で、信じられない光景を目撃するのです。

もうアトラクの直前だというのに、着ぐるみが未完成の状態なのです!

今は伴さんの主演した代表作品の、上映会の真っ最中。

時間は刻々と過ぎてゆくのに、キカイダーのマスクはまだこんな状態なのです!!

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控え室にはゲストも揃い、後は幕が上がるのを待つだけです。

何も知らない観客たちは、伴さんのトークショーを楽しみに待っています。

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果たして、観客の反応は?
そして準備は間に合うのかw!?
1990年9月30日
世紀のイベントが、ついにスタートします!!

 

次回  「青と赤~哀愁のギター編~」

乞うご期待!