今更語る事でもないのだが、映画「ゾンビ」のテレビ放送にもバージョン違いがある。
●流用音楽のみで構成された、初回放送の通称・サスペリア版。二か国語放送。
●音楽と効果音をオリジナルに戻した、再放送版。日本語のみの放送。初回よりも25秒短くなり、一部セリフ変更あり。
●地方局の90分枠で放送された、再放送版を正味75分程度にカットした短縮編集版。
そしてもう一つ、「白字サスペリア版」と呼ばれるバージョンだ。
1980年10月16日、東京12チャンネルの木曜洋画劇場で初放送された本作。
日本語のタイトルテロップは冒頭ではなく、出演者の名前が終わった後に赤い色で表示された。
だから、「赤字サスペリア版」と呼ばれる事もある。
ちなみに、僕はこのバージョンを所持していない。
正確には、当時録画したビデオを消去されてしまったのだが、それに関してはここで詳しく書かない。
マニアの間で流通する「赤字サスペリア版」には複数のルートがあると思われるが、「白字サスペリア版」の流出元は、おそらくただ一つ。
それが、僕が所有するマスターテープだ。
このテープを入手した経緯は、過去記事に記したので割愛する。
僕自身も数人の方とダビング交換等で使用しているが、その際CMカットしたコピーテープを作成していた。
トレード相手の中に業界通の方がおり、その間だけで通じる冗談として1度だけ、冒頭にタイムカウントを付け足した。
業界人なら、それが一目でフェイクだと分かるから。
ところがそれが拡散され、一部で放送素材ではないかとの変な噂にまでなってしまった。
よってあえて今、その全てをここに明かそう。
マスターテープの終わりに残っている情報で、この放送が1980年の12月25日であることが分かる。
放送局は、近畿放送テレビ。
クリスマスの夜に「ゾンビ」とは、なんとも凄まじいではないかw。
東京の放送から約2か月半後、番組の枠は「木曜洋画劇場」。
下のタイトルバックに注目してほしい。
これは、東京12チャンネルの物ではない。
音楽も、東京は「小さな恋のメロディ」から「Fのロマンステーマ」を使用しているが、こちらはショッピングモールで流れるような明るく軽快な曲。
劇中タイトルの部分は同じだが、赤字ではなく白なのだ。
以下、本編内でテロップが表示されるのは4か所のみ。
東京12チャンネルではキャラクター名や場所表示がこれよりも多く、次回放送の告知スーパーも流れていた。
CM入りのアイキャッチは、手書きのタイトルロゴに準ずる。
そして、CM明けにはロゴが入らない。
再放送版では、日本ヘラルド映画のオリジナル文字を前後に使用。
翻訳と選曲!!
サスペリア版をこの世に誕生させた、功労者だw。
惑星イオスの命名も、‘任しときぃ~’も、彼らの仕事なのだ。
以降の再放送では、これらの表示が削除されたりしたようだ。
局によっては、東京12チャンネルの名前も出さなかったりする。
番組中に、解説者も存在しない放送だった。
また、東京と違って二か国語放送でもなかった。
今改めて考察するが、何故「サスペリア版」などというバージョンが誕生したのだろう。
まず、通常行われる吹替え作業でトラブルが起きたと考えられる。
「ゾンビ」のDVDボックスが出た際、アルジェント監修版の追加吹替え音声のMEが籠ったようなひどい音だったのをご存知だろうか?
ブルーレイでは多少改善されたが、仮に当時もあのような素材しか入手出来なかったとしたら放送では使えない。
再度取り寄せていたら、放送スケジュールに間に合わないとしたなら?
そう、ないものは作るしかない。
「死霊のえじき」ブルーレイでの、吹替え音声ME・SE裏話と同じ事だ。
ここで疑問。
当時まだ本作のサントラLPは簡単に入手可能であり、それに使う経費をケチるというのも解せない。
では、もしオリジナルのレコードを使用したならばどうだろう。
LPの曲だけでは、補完できない部分が多すぎる。
さて、どうするか。
どうせ流用曲を使うしかないなら、そして1から作り出すしかないならば、いっそ全部変えてしまえ!!
と、僕ならばそう思うかもしれないw。
「ローマ麻薬ルート大追跡」のサントラが流用されたのも、わざわざLPを使ったのではなく吹き替え製作会社がMEを持っていただけなのかも。
同じ年の2月に、既にテレビで放送されたばかりだったし。
これらは単に僕の妄想に過ぎない話だが、案外真実に近いのでは?
その後「ゾンビ」の再放送では、無事イタリアから良質なオリジナルのMEとSEを取り寄せてテレビサイズにミックスされた。
それと引き換えに、何故か二か国語放送ではなくなってしまったのだけれど。
「ゾンビ」のソフトが出る度に、サスペリア版を特典で入れてほしいとの声を聞く。
が、断言しよう。
どんなに望んでも、これがその形のまま商品化される事はない。
何故なら、流用曲の権利問題がクリア出来ないからだ。
仮に「サスペリア」のサントラ使用権が許諾されたとしても、あの中にそれ以外の流用曲がどれほどあることか…
こんなバージョンをこの世に存在させてしまうとは、実に罪な話だ。







