ここに、1本のビデオテープがある。
40年近く持ち続けてきたものだ。
この中に、映画「ゾンビ」が初めて日本で公開された時の記録が残されている。
番組タイトルや正確な放送日は分からないが、映画解説者の小森和子がメインの15分程度の番組と思われる。
おすぎとピーコはゲストとして呼ばれているので、毎回違う組み合わせで新作映画の紹介をしていたようだ。
その冒頭、以下の映像が流れる。
当時の本作のパンフレットを持っている方なら、すぐに分かるだろう。
映画公開前に日本ヘラルド映画が行った、ゾンビ軍団のデモンストレーション行進だ。
アングラ劇団の役者150人を動員し、銀座の街を練り歩く。
怖がる通行人の子供なども映っており、インパクトはあったようだ。
今なら、まず許可など下りないなw。
続けて映画フィルムのダイジェスト映像が流れ、解説や感想コメントが入る。
そこで使われた素材を最初に見た時、言葉にならない衝撃を受けた。
定番の残酷シーンが使われているが、その瞬間だけネガ反転で処理され静止画にならない。
この放送用に、VTRで調整しているだけなのだ。
他の場面も、ストップモーションになる事はない。
ドラマ部分も長めに収録されており、テレシネの都合で見切れているが字幕スーパーが付いている。
そこで、次の映像に注目だ。
劇場公開時に削除されたはずの映像が、字幕スーパー付きで放送されている!
おすぎは、「わりと面白かったわよ」と好意的な感想。
小森和子は、「作ったのは‘サスペリア’で世界的に当てちゃったイタリアのダリオ・アルジェント監督が、4チャンネルステレオの音響も凄まじく、あなたをパニック・スペクタクルの世界に陶酔させるわよぉ」と微笑ましいコメント。
そう、当時本作は、ダリオ・アルジェント監督によるイタリア映画として宣伝公開されたのだ。
以下は、当時の劇場公開フィルム冒頭から日本ヘラルド映画が作成した独自の映像。
一般向けに分かりやすく、死者が甦る理由を勝手に捏造w。
で、今回の結論。
日本ヘラルド映画が作成した劇場公開用のフィルムは、ダリオ・アルジェント監修による119分の完全版で制作されたという事実。
公開直前、各劇場に配る上映用プリントを複製する時点で静止画やモノクロ処理を行い、更には上映時間短縮の為にドラマパートを一部カットした。
エンディングの黒味も、早く幕を下す為というのが理由だろう。
実際僕はロードショー公開時に有楽座で2回見ているが、最後に二人を乗せたヘリが舞い上がったところでスクリーンが下り出したのを覚えている。
まだ映像が白い垂れ幕に映っており、まるで‘さぁ見世物は終わりだよ、さっさと出て行っておくれ’と言われているかのような印象だったw。
ちなみに、最初に見たのは上映2日目の日曜日。
かなりの行列に並んだ記憶があり、2度目はロードショーが終わる前週末だった。
どちらにしても、劇場内の周りに自分のような子供の姿を見た記憶がない。
小学校のクラスにも、この映画を見たという者は他に誰もいなかった。
本作に熱狂的なファンが生み出されるのは、翌年10月のテレビ初放送(サスペリア版)及び’82年のオリジナル音楽修正版の放送が起爆剤となったようだ。
1979年当時、本作を劇場に2回も通って見た少年が日本に何人いたのだろうか…w。












