前のブログでTCSと書きましたが、わからない方もいると思いましたので、今回はちょっと説明しようと思います(わかる範囲で)
TCSとはトラクション・コントロール・システムの略です。
F1マシーンは当時(1992年)は700psオーバーと言われていました。
パワーがありすぎる為、コーナー脱出時にアクセルオンすると、ホイールスピン(タイヤが空転)をしてしまうような状態でした。
ホイールスピンをしてしまうと、タイヤが空転するだけで車が前に進みません。つまり余分なパワーを消費していることになります。
そうすると、余分な燃料を消費していることになりますし、タイヤの消耗も早くなります。(もちろんタイムもあがりません)
もちろんドライバーがアクセルの踏み加減を調整すればいいんですが、もうそういうレベルではなくなってしまいました。
そこで、頭のいいエンジニアがそれを機械的にどうにかできないか?ということで生まれました。
役目は簡単にいうと、当時のエンジンはV10が主流でしたのでホイールスピン発生時にV10からV8にしてしまうのがTCSの役目です。
要は、2気筒殺してしまうのです。(ミスファイアーさせます)
ミスファイアーとは失火と言う意味です。
エンジンは1気筒づつ爆発させて、動力を発生させています。
つまり、2気筒爆発させずにパワーを下げるのがTCSの役割となります。
当時は2種類の方法でミスファイアーさせていました。
1つは、燃料カット。(殺す気筒に燃料を送らないことにより、着火させない)
もう1つは電気カット(スパークプラグに電気を送らずに着火させない)
という方法でミスファイアーさせてました。
どのチームも燃料カットの方法を採用していたはずです。
ミスファイアーさせると、エンジン音が「バラッ、バッ、バッ、バッ、バッ」て感じの音になるのですぐわかります。
このTCSは1度禁止になります(1994年)が2001年に使えるようになります。
しかし、現在は使用禁止になっています。
TCSホイールスピンをした時点で車輪速センサーやGセンサーなどからでた情報をCPS(コンピュータと思ってください)が受信してミスファイアーさせます。
ある程度加速をして、ホイールスピンをしない状態になったらまた通常のエンジンの状態に戻します。
ちなみに、このシステムの応用版がローンチ・コントロール・システム(スタート時に使用)です。
説明が長くなりましたが、わかりましたでしょうか?
わからないところがあれば、質問していただければわかる範囲でお答えいたします。