Like Danny Rose | 悠々自適に綱渡り
最近ようやく、不特定多数の登録翻訳者向けに「案件案内」メールを送れるようになりました。

同文を多数宛に送る方法を知らなかった、という意味ではありません。今まではシステムとして、お仕事案内メールというサービスを行っていなかったのです。

今、会社に登録している翻訳者の数が約500人ほどいるのですが、今年春の時点で、実際に稼働していたのはそのうちの10分の1程度に過ぎませんでした。この状況を改善すべく、5月頃から、新しい翻訳者も登録しつつ、以前に登録済の翻訳者の掘り起こしも始めました。

登録したのにもかかわらず、ずっと案件がもらえなかった、という理由で、登録抹消を希望される翻訳者の方もいます。しかし、逆に、あらためて声をかけてもらえて嬉しいと、最新の情報を提供してくれる翻訳者の方もいます。

どちらの反応でも構いません。とりあえず、自社の翻訳スタッフのキャパシティを知る必要があります。信長の野望じゃないけど、自国の兵力を知らずに、他国を攻めることなんて、できない。

そんなわけで、この半年で、稼働翻訳者の数が、全体の6分の1程度に増えました。翻訳案件が大量に入ったときには、きつきつの翻訳者数で何とかこなすよりは、人数に余裕がある方が、コーディネーター側が気持ち的に楽です。

ただ、以前から活躍している翻訳者にも、新しく稼働し始めた翻訳者にも、コンスタントにお仕事を提供してゆくことが、一層大切になります。

私が大好きな、ウディ・アレンの映画『ブロードウェイのダニー・ローズ』(1984年作品)。ブロードウェイの芸能マネージャーの話です。売れない芸人たちを必死に世話し、売れた芸人には見捨てられる、悲しい中年男性の話ですが、私はこの主人公に惹かれます。どこまでもおせっかいで、どこまでも人情に厚くて、どこまでもあほなんです。他人を自腹で食わせて、自分の取り分が無いような人生を送るのは本当に無益なのですが、それがなぜか、美しく思えるんです。

もちろん私は企業の構成員なので、利益を追求して努力しますが、多くの翻訳者と連絡を取り合い、再登録をすすめるうちに、

「この人たちに、コンスタントにお仕事を提供できるように、営業力を高めなければ」

と強く思います。働きたいスタッフに、それだけのお仕事を供給しなければ、という責任をぐっと感じ、それが現在、仕事をする上での原動力の一つになっています。

冒頭に話した「お仕事紹介メール」は、大型案件や、短納期案件のときのみ使用する予定ですが、心から仕事を必要としている翻訳者を、一番効率のよい方法で発見できるツールではないかと思います。かなりたくさんのレスがあって、嬉しい悲鳴です。やる気があって、高品質の翻訳ができる方と、一人でも多く出会いたいです。