湖西国の花音はちょっとひねた王女だった、
ある日、花音が王城の東の門から出ると老人に会った。
あらあら、みっともないわね。私はああいうふうにはなりたくないわ。
花音はそう思った。
別の日に花音が南の門から町へ出ると身動きの取れない病人がいた。
自分の意思では動けないのにだらだら生きているなんて情けない人なんでしょう。
花音はぷいと顔を背けた。
また違う日に花音が王城を西の門から出て町へ出ると葬式の列に出会った。
ふん、女王の私が歩いているのに葬式の列なんて。でも、人は、私もいつかは死ぬんだわ。
花音はそう思った。
そうして、また別の日に花音が北の門から王城を出ると清らかな顔をした僧に出会った。
あぁ、何て清らかな顔をしているのだろう。
でも私が僧になったところで意味はないわ。
僧だって病気にもなるし醜く歳もとるし必ず死んでしまうもの。
私はどうすればいいのかしら?
花音は醜く歳をとりたくないし病気にもなりたくなかった。
誰だって人は必ず死ぬわ。
それは間違いないのよね。
花音は考えた。
そうして一つの答えを見つけた。
花音は立派な女王になった。
婿をとり、三人の子供に恵まれた。
花音はまだ若いうちに引退して王位を息子の一人に譲った。
その翌日、花音は王宮の塔から国の名前の由来となっている深い湖に飛び込んだ。
花音は王族としての責任をすべて果たし、花音の望みどおりに自らが病気なったり醜く歳をとる前に自らのすべてを終わりにした。
花音の死体は上がらなかったが、湖西国の民はひどく悲しんだ。
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シジン