ガーガーガーと音が聞こえる。
まるで芝刈り機で芝を刈っているような音だ。
ここは4階。
ここは病院。
空中庭園があるわけではない。
だから芝刈り機は動いていない。
あの音はいったいなんだろう?
白い天井を見ながら考える。
今の僕には移動して音源を確かめることはできない。
目から入る情報は白い天井だけだ。
掃除機だろうか?
それにしては回転軸のベアリングが一つ二つ飛んでいるような音だ。
やっぱり空中庭園があって芝刈り機が動いているのだろうか?
僕はこの病院のレイアウトを知らない。
だからこの病院には空中庭園があるのかもしれない。
この病院で僕が知っているのは白い天井だけだ。
ガーガーガーという音は毎日決まった時間に聞こえてくる。
起床時間から少し経った時間。
かなり早い朝だ。
芝刈り機にしろ掃除機にしろ動かすには早すぎる。
ある日、僕は看護士さんに聞いてみた。
あの芝刈り機みたいな音はいったいなんですか?
看護士さんは笑いながら答えた。
あれは髭剃り機の音よ。そういえば廊下で反響して芝刈り機みたいな音に聞こえるわね。
僕も少し笑おうとした。
早く動けるようになって、廊下に面した洗面台で髭をそりたいと思った。
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シジン