花音の四門出遊(続) | シジンの日記

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つれづれなるままに、心にうつりゆくよしなしことを、だらだらと書かせていただいてます。

湖西国の花音はちょっとひねた王女だった、
ある日、花音が王城の東の門から出ると老人に会った。
あらあら、みっともないわね。私はああいうふうにはなりたくないわ。
花音はそう思った。
別の日に花音が南の門から町へ出ると身動きの取れない病人がいた。
自分の意思では動けないのにだらだら生きているなんて情けない人なんでしょう。
花音はぷいと顔を背けた。
また違う日に花音が王城を西の門から出て町へ出ると葬式の列に出会った。
ふん、女王の私が歩いているのに葬式の列なんて。でも、人は、私もいつかは死ぬんだわ。
花音はそう思った。
そうして、また別の日に花音が北の門から王城を出ると清らかな顔をした僧に出会った。
あぁ、何て清らかな顔をしているのだろう。私もあのように生きたいわ。
花音は出家して寺に入った。
寺での修行はそれは辛いものだった。
花音はすぐに音を上げてしまい、還俗して王城に戻ってきたが、恥ずかしくてしばらくは部屋から出てこられなかった。
ふん、お寺なんてだいっ嫌い。あの修行っていったい何? あれをすると何かいいことがあるの? ただただ辛いだけじゃない。辛いことをすると何かわかるの? 私には向かないわ。
花音はそう思った。

花音は王族で、国を正しく導き国を守る、ことが生まれる前から花音に与えられた仕事だ。
花音はこの仕事をしっかりと果たさなくてはならない。
だから僧になってすべての人々を救うというのは少し方向が違う。
人が為すべきことには向き不向きがある。
花音は僧には向いていない。

花音はその後、立派な女王となって国の繁栄を導いた。
花音は僧には向いていなかったけれど、国の舵取り、政治には向いていた。
花音の出家体験は花音が女王となったときに少しは役に立ったのかもしれない。
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シジン