K君は少しボーっとしている。
正確にはボーっとしているように見える。
K君は凝り性だ。
K君は一つのことを考え始めるとずっとそのことばかりを考えてしまう。
ほかの事は考えられない。
K君の特殊な目は興味のあることしか脳には伝えない。
だから、周囲から見るとK君はいつもボーっとしているように見える。
実はそういうときのK君の脳みそはフル回転で回っている。
興味のあることをフル回転で思索している。
でも、いつもボーっとしているように見える。
だから学校の先生はK君のことを何もできない昼行灯だと思っていた。
ある日、学校に一通の手紙が届いた。
K君が数学オリンピックの代表に選ばれたので合宿に参加して欲しいという要請だった。
K君は数学が好きで、数学の専門雑誌を購読していて、難解な問題を解いては懸賞に応募していた。
K君がボーっとしていたのは、いつも数学の問題を考えていたからだ。
数学の世界でK君は有名だった。
学校の先生やらK君の周囲はK君の数学での実績を全く知らなかった、
なぜならばみんなは数学の専門誌なんて読まないから。
ただ、K君の父親だけはK君のことを理解していた。
K君は数学オリンピックでみごと優勝した。
そのことを学校の先生やK君の仲間は自分のことのように喜んだ。
それからもK君は学校では相変わらずボーっとしている。
でもK君のことを、昼行灯だ、なんていう人間は一人もいなくなった。
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シジン