さて16種類と云われる HEUNISCH WEISS × PINOT 関連の検証も大詰めに近付いてきました。今日取り上げるのはロワールの大変小さなアペラシヨンであるクール・シュヴルニーの主役である葡萄品種 Romorantin ロモランタンです。

先ずはアペラシヨン・クール・シュヴルニーについて申し上げます。アペラシヨン・シュヴルニーはかなり範囲が広く地図で示すとこちら の通りです(ご注意頂きたいのですが、これはコミューン全体の地図ですので葡萄畑を示す地図ではありません)。

シュヴルニーは赤とロゼそして白ワインが生産されますが AOC・クール・シュヴルニーは白ワインだけのアペラシヨン。その範囲も AOC・シュヴルニーの中の一部分、コミューンで申し上げると Loir-et-Cher ロワール・エ・シェール(41)県の Cellettes , Cheverny , Chitenay , Cormeray , Cour-Cheverny , Huisseau-sur-Cosson , Mont-près-Chambord , Montlivault , Saint-Claude-de-Diray , Tour-en-Sologne , Vineuil だけとなります。地図ならこちら をご覧下さい。

AOC クール・シュヴルニーは辛口の白ワインだけに与えられたアペラシヨンでしかも葡萄品種は珍しいこの地特有のロモランタン。葡萄品種ロモランタンはこの地図 上に示されるコミューンの名称 ROMORANTIN-LANTHENAY ロモランタン・ランテネから付けられた名前であります。ですから原産地はフランスはロワールのトゥーレーヌ地区と云うことになります。

VIVC のサイトからこちら をご覧下さい。一目だけなら PINOT × HEUNISCH WEISS と見てしまうはずですが、そのすぐ下にご注目下さい。

ピノはピノでも PINOT TEINTURIER ピノ・テンチュリエとなっていますね。

言葉の意味ですがテンチュリエというのは葡萄の果皮を剥いて中の果実まで色が付いている状態のことです。ア・ジュ・ブランという表現は「果皮には(黒い)色が付いていますが皮を剥いたら中身は(果皮の色ではない)緑色の」と云うことを指します。
例を申し上げるとガメイ・ノワール・ア・ジュ・ブランは果皮が黒くて中身は緑色のガメイであり、このピノ・テンチュリエは果皮も黒ければ中身まで黒い(赤紫色の)葡萄品種であります。

ではこのピノ・テンチュリエは何かと申しますとこちら の通りピノ・ノワールの突然変異により生まれた葡萄です。シノニムは2つ、FARBCLEVNER ファーブクレヴナー、PINOT FIN TEINTURIER ピノ・ファン・テンチュリエ。もちろんフランス原産の黒葡萄品種であります。

さて画像をご覧下さい。

先ずはこちら を見ると葡萄の果実の大きさ、房の大きさなども示してあり、植え付け面積(120ha)などの記載もあるので理解しやすいと思います。次にこちら をご覧頂けると葉の形状も分かります。また葉の画像にカーソルを合わせると別の画像に切り替わります。
最後にこちら をご覧下さい。こちらによるとフランス国内の栽培面積は1958年の680haから徐々に減少して1988年には156haになってしまい、2000年には一旦231haまで回復したものの2008年には再び減少して74haまで落ち込んでいる模様です。クローンについての詳細もお分かり頂けるので専門家向けのサイトであります。

この葡萄100%で造らねばならないのが AOC Cour-Cheverny 、だったら AOC Cheverny の白ワインはと云うと・・・ セパージュにロモランタンの名はありません。こちら がシュヴルニーの法律全文ですが白ワインのセパージュは

Vins blancs
1. Cépage principal :
Sauvignon, dans une proportion comprise entre 40 p. 100 et 90 p. 100 de l'encépagement. A partir de la récolte 1997, dans une proportion comprise entre 60 p. 100 et 85 p. 100 de l'encépagement.

2. Cépages complémentaires :
Chardonnay, Arbois ou Menu Pineau, Chenin.

となっています。

ところがつい最近改正されセパージュの項は次のように変更されました。白ワインについてだけ書きますと

1°- Encépagement
a) - Les vins blancs sont issus des cépages suivants :
2
- cépages principaux : sauvignon B, sauvignon gris G ;
- cépages complémentaires : chardonnay B, chenin B, orbois B.

2°- Règles de proportion à l’exploitation
a) - Vins blancs
- La proportion de l’ensemble des cépages principaux est comprise entre 60 % et 84 % de
l’encépagement.
- La proportion de l’ensemble des cépages complémentaires est comprise entre 16 % et 40 % de
l’encépagement

即ち従来はソーヴィニョン・ブラン 40% ~ 90% (1997年以降の収穫については 60% ~ 85% )にシャルドネ・ブラン、アルボワ・ブラン(この品種も HEUNSICH WEISS 関連品種です)、シュナン・ブランが残りの 60% ~ 10%(1997年以降 40% ~ 15% )を必ず混ぜなければならないという規定でしたが、2011年11月の法律改正でまず主要品種がソーヴィニョン・ブランとソーヴィニョン・グリの2品種に、準主要品種のアルボワ・ブランが消滅してシュナン・ブランと代打で登場のオルボワ・ブランに変わっています。その割合ですが主要品種60%~84%、準主要品種16%~40%という微妙に異なる数値に変わっています。
一見すると「何じゃこれは!」と文句を言いたくなりますが、orbois B とは正式名称 Arbois Blanc のシノニムであり準主要葡萄品種の変更はありません

正式名称を採用して貰わないと困ると思うのですが如何でしょうか。

ちなみにアルボワ・ブランはこちら 、シノニムは11例報告されていて次の通りです。

ARBOIS
BLANC VERDET
HERBOIS
MENU PINEAU
MENU PINEAU DE VOUVRAY
ORBOE
ORBOIS
ORBOUE
PETIT PINEAU
PINOT VERDET
VERDET

ですがこの法律、シュヴルニーをピュリニー・モンラッシェに、クール・シュヴルニーをモンラッシェに置き換えて考えたらまことに奇妙だと思うのですが如何でしょうか。