8v0209.jpegこのワインのヴィンテージ違いの05年についてはこちら で述べましたがかなり褒めていたつもりでありました。輸入元ではこんな書き方をしていますのでご覧下さい。「人気沸騰中! 造る前から完売!! 職人気質のオーナー、ダルデ氏の丁寧な造りが光る『マス・デ・シメール』は、個性溢れるエレガントなスタイルが魅力。
1993年の創立当初から特に宣伝もせず口コミでファンを増やし、世界的なワイン専門誌『Wine Spectator』で高く評価されたことで、その人気に一気に火がつきました。
『少しでもいいから分けて欲しい』と頼んでくるインポーターは後を絶たないそうですが、残念なことにワイン造りをオーナーがほぼ一人で行っているので 生産量が非常に少なく、造る前からほとんどのキュヴェが完売 しています。
通算5回目の入荷となる今回は、大人気の『コトー・デュ・ラングドック』、初入荷の前ヴィンテージがわずか10分で完売・幻の地品種を再現したサンソー100%の『エヤード』の新ヴィンテージに加えて、待ちに待った新商品『テラス・デュ・ラルザック』が登場!
長年かけて手入れをしたわずかな区画から、規定の1/4と徹底的に収量を抑えて造り出されるこのワイン。Wine Spectator でも90点という高得点を獲得するなど、早くも熱い注目を集めています!
それぞれがいかんなく個性を発揮しているマス・デ・シメールの3つのキュヴェ。いつものことながら、生産量が少なく入手は非常に困難ですが、今回も確保できました!お早めにどうぞ!」
如何ですか? ネットワインショップ顔負けの煽り方ではないでしょうか? 


しかしテイスティングもしないで(どうせワイナリーにしがみついている日本人ブローカーの言いなりになっているのでしょうが・・・)買い続けるのは如何なものでしょうか? 騒がれると有頂天になってしまうのは芸能人ばかりではありません。ワイナリーのオーナーでも同じことが言えます。例えば大騒ぎされた「見苦しい」「ミルク好きー」に似た名前の生産者については昔こちら とかこちら で述べたとおりであります。雑誌や評論家が騒ぐにはその仕掛け人が必ずいると云うことを忘れてはなりません。クロズ・エルミタージュのアラン・グライヨについても同じですが人気が出ると周辺の農家の葡萄を買って量産体制をとらざるを得ないようになるのです。地元が潤うわけですから誰も文句は言いませんし・・・・。


さて恩着せがましく50ケースしかないなどと宣われたのですが果たしてどんなワインなのでしょうか?


キャップシールはビニルコーティングのアルミ製で色は黒くトップに孔はありません。コルクは天然物ですが筋の多い安物で側面に例の怪物のイラストと生産者・名所在地とご丁寧に電話番号まで印字してあります。また小さく10 07とあるのは恐らく瓶詰めが07年10月だったのでしょう。

さてこのワイナリーに使われる「シメール」についての説明が輸入元のHPに載っていますがこれは参考になります。「ワイナリー名に使用されている“シメール”は、ラベルに描かれているギリシャ神話の怪物「キメラ」(※)の仏語読みで、「実現しない夢や計画」の象徴。 協同組合を中心とした古い慣習に疑問を持ち、独立を決めたダルデ氏の試みは、10数年以上も前のラングドックではまさに「実現しない夢」でした。周囲からの反対や嘲りを受ける中で、この架空の怪物をシンボルにして、逆に夢の実現に向けての情熱の証しとしたのです。 ※「キメラ」 ・・・ライオンの頭に山羊の胴、ヘビの尾を持ち、口から火を噴く怪物」と云うことですが如何でしょうか? 京都にできたイタリアンの名前と同じですね


グラスに注ぐと硫黄の臭い。色は今までのと比べると遙かに薄くまたかすかに濁っているようであります。輸入元のテイスティングコメントとテクニカルデータは「色合いは明るく、口の中でストロベリーやブラックベリー、ヴァニラなどの香りが広がります。軽めのタンニンを持つやさしい味わいで飲みやすいワインです。余韻はブラックベリーやコショウの香りがのこります。 ヴァン・ド・ペイ・デ・コトー・デュ・サラグー、ブドウ品種 : サンソー 100% 、樹齢 : 平均30年、90年、土壌 : 酸化鉄・粘土・玄武岩の混じった赤土、栽培面積 : 3.0ha、収量 : 22hl/ha 、年間生産量 : 8,600本 、熟成 : ステンレス・タンク熟成」とのことですがエチケットに書いてあるのは「熟成と瓶詰めだけがこの生産者」でありますから恐らく葡萄は買っているものもあるはずです


しばらく置いても硫黄の臭いは消えません。きちんとテイスティングしてから買ったのか疑いますね。希望小売 1,850 円とのことですのでとやかく言う必要もありませんが、私なら買い付けることはないでしょう。