7v1112.jpg今日の大阪はかなり冷え込み、そう言えばいつの間にか泡や白ワインにはほとんど手が伸びなくなってしまいました。


季節が変われば好みも変わる、ワインの好みも年齢と共に変わると云うもの。


有名銘柄にはほとんど関心のない私ですがたまには買ってしまうこともあります。ラベルには生産者のお名前が明記されていますがコルクにもデカデカと表示があるこのお二人、Hebrard & de Bouard は超有名なサンテミリオンのシャトーのオーナー諸氏であります。


お二人の内、後者貴族の御仁とは平成4年4月4日に大阪センチュリークラブで開かれたパーティーでお会いしました。当時まだシャトー・ランジェリュースを手に入れて間もない頃だったはずで、シャトーの名前も有名ではなくその存在すら知らない人が多かったと思います。日付まで分かるのはご一緒した通訳代わりの田崎氏のサインがあるからです。


このパーティーの主催は今は無き大沢商会、フランスから同行したのはボルドー・マグナムのジョルジュ・ミヨー氏、ボルドーのネゴシアンと云うかシッパー兼ブローカーと云った存在だったでしょうか。ボルドー・マグナムも消えたはず、今のボルドー・マグナムとは関係ありません。


当日飲んだワインのメインとなるのはランジェリュースの1985年マグナム、そして樽で熟成中の同じく1990年物のシャトー・ランジェリュース。パーティーは盛況だったものの、この倶楽部のお料理は頂けませんでしたね。カリフォルニアのティムとお会いしたときもそうでしたが、ご立派な面々がお集まりになるというのに酷い料理では、それこそ大阪の恥と云われてしまいます。未だ続いているのでしょうか?


前置きが長くなってしまいましたがシャトー・ド・フラン、レ・セリシ゛エールの2003年、早速開けてみましょう。


キャップシールは硬質ですがアルミ製、コルクは長さ50ミリの立派な天然物で両端には○で囲んだ2003、側面にはワインの名前とラベルと同じシャトーのイラスト、2003に二人の所有者名、さらにシャトー元詰めの表記があります。

2003年のワインは見本をいろいろとテストしましたが、樽サンプル・瓶詰め直後の物に良い印象を持ったことは殆どありませんでした。しかし結論から申し上げると、昨日のワインと云い今日のこのワインと云いかなり良くできているというのが偽らざる感想であります。


まず例によって抜栓直後の香りを重要視するのですが、揮発性のポルト酒風味がやはり存在します。ワインのワインたる証拠、葡萄の香りでありますがグラスに注ぐ前にハッキリ分かるこの香りは私のワイン選びの一つのポイントとなります。次に色。若干濁ってはいるものの濃い赤紫色を呈しており茶色成分は一切ありません。


香りの特徴は梅干し風味が強いことでしょうか。この梅干し風味を持つワインは、熟成するととんでもない旨さを醸し出します。味わいはもちろんまだまだ若いですが、甘酸のバランスは良くまとまりハモン・イベリコとの相性も悪くありません。


昨日の肉の残りでハヤシライスのソースを作りましたが抜群の仕上がりに満足であります。


推定蔵出し価格5.75ユーロ、国内販売価格は消費税別の¥3150ですが、この価格なら決して損はないはずです。さすがはお金持ちの経営する蔵、焼けた年と云われる超ホットなヴィンテージにも拘わらずかなりの品質に仕上げているのはお見事。