2個上の兄は問題児だった。

重度のADHDで集中力がなく、問題行動が多かった。

よく母親が兄の友達の家に謝りに行っていた。

留守番を任された日には家にあったミカンを投げて遊んだせいで家じゅうがみかんの汁だらけになっていた。

私の高校の数学の先生が前に兄の高校で教えていたのが、職員室で兄の名前が出ない日はなかったとのことだった。

兄は高校を何とか卒業して地元で就職した。

それからすぐに私は県外の大学へ進学した。

久しぶりに実家へ帰省すると、兄がラッパーになっていた。

昔からラップが好きなことは知っていたが、まさかラッパーになっているとは思いもしなかった。

会社はやめず、趣味でしていた曲作りに精をだしたとのことだった。

地元の仲間とスタジオを立てて、曲を作り、今ではスマホのアプリで聞けるようになっているそうだ。

定期的に家族ラインへライブの様子が送られてくるのだが、いつも小さいフロアを沸かせている。

この前親戚一同で集まったのだが、そこでも兄貴はラップをかました。

代表曲をうたっている途中で、「LOW LOW 落ち着け なんか違うなあ YO ここからは即興でいくぜ」

とかまし、おじいちゃんの名前で韻を踏んだりしておばあちゃんはガンフィンガーをあげて盛り上がっていた。