農業の「24次産業化」を

 

クラウドファンディングによる応援

 

先日ようやく佐賀に行くことができました。これまで毎月のように飛行機で往復をしていましたが、今回は東京から車で佐賀まで往復することにしました。私は日本全国を自由に旅したいと思い、4年前にオークションで軽バンを11万で購入し、こつこつとDIYで車中泊仕様に仕上げました。コロナ禍の今、日本全国をこの愛車で回りながら、テレワークをしています。




今回の道中、どうしても立ち寄りたい場所がありました。それは愛知県内子町石畳という人口270名の農村地です。過疎化が進み、30年後には99人になるとの予測がでています。実はここで先日、農業x地方創生xクラウドファンディングの挑戦をしたのです。


この自然が溢れる地域では、伝統文化を守りつつ子どもたちやその子孫のために、水車小屋を復元をしたり、桜の保存活動、水車祭りや桜祭りなどの交流イベントに取り組んできました。しかし、これだけでは、次世代につなげていくことはできないと思い、景観保全に加え、栗を中心とした生産に加え、スイーツなどの加工品の生産、古民家を再築した宿を拠点とした観光などを促進。自らで稼ぐ仕組みを作り、地域のコミュニティーを守っていく活動が始まりました。





そこでは1人の男が立ち上がり、栗生産者7人が集まりました。そして、県内で行われた生産者と企業のマッチングイベントで飲食や製菓業を営む仲間とも出会うことができました。そのうちの1人が私にたどり着き、私のセミナーに参加しクラウドファンディングを知りました。




早速「完熟石畳栗スイーツプロジェクト」が開始されました。目標金額は30万円で開催期間は45日。通常このような案件は集まっても100万円程度です。しかし、なんと村の人口よりも多い1163人の支援者から、1千万円以上の資金を手にしました。私は常々セミナーで「82の法則」と名付けて、8割の情熱と2割の理論がプロジェクトの成功をもたらすと言っています。まさに、今回はものすごい熱量のもと、クラウドファンディングの理論、基本をしっかりとおさえて成功をおさめたのです。



東京大学の今村奈良臣名誉教授は、「6次産業化」を提案しています。それは、1次産業を生産、2次産業をその加工・製造、3次産業を流通・販売や観光とし、それらを掛け算(1x2x3=6)することで、所得を増やし、雇用を生み出し、さらに地域の活性化を狙うとしています。私は、今回の成功から、これに加えて4次産業としてクラウドファンディングを活用し、「24次産業化」を推奨したいと思っています。クラウドファンディングは不特定多数の人から、少額ずつの資金調達をし、消費ニーズの発掘、ファン作り、地域のブランディング、PRを広く行うことができます。6次化をベースに、クラウドファンディングを用いてさらに資金やファンを手に入れれば、「ジャパンブランド」として、海外へ進出する可能性に満ち溢れています。これからの新しい農業と地方創生の産業化ではないでしょうか。



コロナで明らかに時代が変わります。私は、これからの日本は農業大国として、世界に打って出たらいいと考えています。そんな素晴らしいポテンシャルを日本の農業は持っていると信じています。


日本全国にはこのような地域はたくさんあるでしょう。そんな地域を私はクラウドファンディングを用いて応援したいと思っています。挑戦者待っています。

 

初出:佐賀新聞「ろんだん佐賀」20201025