昨日の日経金融で個人の為替証拠金取引が円安に寄与という記事があった。http://ameblo.jp/george--george/entry-10034339202.html

先週末だが三菱UFJリサーチが「円安圧力をもたらす外貨建て投資信託」というレポートで、個人の投信買付による為替への影響を分析していた。円ドルでは2005年以降の円安の半分程度はドル建て投資信託の拡大によるという試算は興味深い。

外貨に投資する投信は、為替証拠金取引よりは一般的であるし、証券会社・銀行のドル箱商品。今後は郵便局も加わり投信を通じた円安圧力は増える事はあっても減ることはない。自分でも保有しているし、証券マン時代のお客さんを見ても、特に外国債券型の投信は一度保有すると売らない。良くマスコミが円高になった場合に云々と言うが、円高になったらHoldするだけである。今、外債や外国債券型投信を保有している投資家は既に同様の商品を保有している場合が多く、そちらは大きな含み益。特に豪ドルやNZは顕著。従って多少円高になっても投資家の動揺はまずないであろう。また、銀行はどうか分からないが、証券会社の場合はコンプラ面から外債や外国債券型投信の短期売却は嫌がる。金融庁が「長期保有の商品を何で売るんですか?乗り換えで手数料稼ぎでしょう」と責めてくるのは確実。金融庁は証券会社へは徹底的な性悪説で臨む。お客さんが売りたいと言うと、営業マンが飛んでいって必死に説得する。最も最近は投資家は極めて懸命であり、利回りの良い商品は決して手放さない。円に換金しても運用先がない事を良く知っている。ただし南アフリカのランドとかメキシコのペソあたりは少し不安。


長期的な影響では為替証拠金取引よりは、投信の方が為替への影響は大きいであろう。三菱UFJのレポートは見逃していてKlurg見つけた。三菱UFJ系はわりとレポート等をオープンにしており貴重


Klurg抜粋:

円安の行方を左右する個人投資家の投信購入http://www.gci-klug.jp/klugview/07/05/19/post_4081.php

5月18日、三菱UFJリサーチ&コンサルティングは「円安圧力をもたらす外貨建て投資信託」というレポートを発表しました。レポートでは、家計部門(個人投資家)が投資信託の保有高を増やしているほか、近年、米国景気が弱い中でもドル高・円安が進んだ要因として、個人投資家が外貨建て投信信託を増やしている点を指摘しています。

個人投資家は、外貨建て投資をする際に、必ずしも外貨預金や外貨MMFを購入するわけではありません。人によっては、外貨建ての投資信託を購入し、間接的に外貨建て投資をすることもあります。日本銀行の資金循環統計によると、2006年末に個人投資家(家計部門)が保有していた外貨預金は4.3兆円、対外証券投資(外貨MMFなど)は8.0兆円ですが、投資信託は66.2兆円にもなります。日本の投資信託全体に占める対外証券投資(海外への証券投資額)は約44%ですから、家計が保有する投資信託のうち、海外に投資する投資信託、いわゆる外貨建て投資信託は、およそ29兆円程度(=66.2兆円×44%)と考えられます。つまり、日本の個人投資家の多くは、外貨預金や外貨MMFで直接的に外貨建て投資をするのではなく、外貨建て投資信託で間接的に外貨建て投資をするのが一般的といえます。

個人投資家が保有する投資信託の残高は、昨年1年間だけで15兆円も増えています。投資信託全体に占める外貨建て投資信託の割合(44%)を考えれば、個人投資家は外貨建て投資信託を約6.6兆円(=15兆円×44%)増やしたと考えられ、その分だけ外貨買い・円売りがなされたといえます。こうした外貨買い・円売りは、為替レートを円安に進める効果を持ちます。

家計部門(個人投資家)の資産構成を日米で比較すると、日本の個人投資家が保有する投資信託は資産全体の約4%であるのに対し、米国の場合は約14%、つまり日本の3倍の割合となっています。仮に日本の個人投資家が、米国と同じくらい投資信託の割合を高めるとすると、日本の個人投資家は、今後さらに60兆円もの外貨建て投資信託を買い増すことになります。当然ですが、これだけの規模の外貨買い・円売りがなされれば、為替レートはさらに円安が進むことになります。


三菱UFJリサーチ&コンサルティング

円安圧力をもたらす外貨建て投資信託~家計マネーで押し上げられるドル円相場~http://www.murc.jp/report/research/2007/0712.html

○為替市場で円安が進行する背後で、わが国の対外証券投資が拡大している。とりわけ金融機関の対外証券投資ストックをみると、2006年末時点で投資信託が45兆円と、銀行(58兆円)に次ぐ規模であり、保険の44兆円、年金基金の29兆円を上回っている。投資信託(ストック)は数年前までは保険や年金基金を大きく下回っていたが、足元では低金利の継続もあって増加基調となっている。最近の投資信託の保有主体では家計部門の投資拡大が顕著である。

○外貨建て投資信託(純資産)は2007年4月末時点で32.3兆円であるが、前年比47%と引き続き伸びが高い。通貨別にみると、米ドル建てが12兆円で全体の約4割を占め最も大きいが、ユーロ建て(8兆円)、豪ドル建て(3兆円)、英ポンド建て(2兆円)を合計すると、ほぼ米ドル建て資産の規模に匹敵する。

○本稿では米ドル建て投信とドル円相場の関係を定量的に分析した。一般に、為替相場の動きは金利差で説明されることが多いが、ドル円相場については、過去のデータをみると、「日米金利差の拡大→ドル高・円安」という関係がそれほど明瞭に確認できない。近年、米国景気が弱い中でもドル高・円安が進んだ原因としては、トレンド的に拡大している家計の外貨建て投信信託が無視できないと考えられる。ドル円相場は2005年初の円高ピーク時(1ドル=103円台)から17円程度ドル高円安となっているが、試算によれば、このうち半分程度(8円)はドル建て投資信託の拡大によるものである。

○今後については、仮に内外金利差が多少縮小したとしても、家計のリスク資産(投資信託)が全体のポートフォリオに占める割合が低いことなどを考慮すると、外貨建て投信の拡大基調が続く可能性が高い。このため、今後も基調的な円安圧力が続くとみられる。もっとも、世界的な株価の調整などのショックを背景に、家計の投資スタンスが慎重化すれば、ドル建て投信の伸びが低下し、ドル円相場が円高に振れることも考えられる。

○円高リスクとしては、為替証拠金や通貨先物など短期的なオフバランスの取引の動向も無視できない。投資家は株価が上昇している間は比較的リスクをとりやすいが、株価が調整すれば、投資家のリスクテイク余力が低下して円高圧力がかかることも懸念される。


全文はこちら:

http://www.murc.jp/report/research/2007/0712.pdf