春分の日だというのに関東地方は大雪となった今週初めから一転して、昨日からは春らしい陽気となり、我が家の庭の梅も満開となりました。
さて、もう1週前になりますが、3月18日(日)に山陰海岸ジオパークで「みんなの発表会」を開催しました。場所は豊岡市稽古堂、参加者は途中だけの参加も含めて約80名の皆様に来ていただき、口頭発表が14件、ポスター発表が36件、合計40件の発表があり、第1回目としては上出来だったのではないかと思います。
なぜ「みんなの発表会」を開催したのか
この会を開催しようと思い立ったのは、一昨年(2016年)の秋。その頃、次のようないくつかのことを感じていました。
(1)ジオパーク全体で集まれる場がなくなった
山陰海岸ジオパークでは、設立当初から毎年1回「山陰海岸ジオパークフォーラム」を各地持ち回りで開催し、各地のジオパークに興味のある人たちがそこに結集していました。しかし、各自治体からの要望があり、ある年から1年に3回、京都府、兵庫県、鳥取県で開催することになりました。このことが、ジオパーク全体の行事から各自治体単位での行事へと変貌する傾向を強めました。そして、2015年のAPGN
(アジア太平洋ジオパークネットワーク)の大会終了以降、全体でまとまった集まりが開催されなくなりました。山陰海岸ジオパークが一つのジオパークとして連携していくためには、こういった場は重要です。
(2)ジオパークで活動する人たちの発表の場がない
ジオパークの活動を発表する場として、毎年5月に幕張で開催される地球惑星科学連合大会と9~10月に開催される全国大会があります。私たち学会員やジオパークの活動を中心的に推進している人たちは比較的気軽に発表しますが、多くの人たちにとっては遠方だということもあり、なかなか発表できるものではありません。
山陰海岸ジオパークでは、2011年から2014年までの4年間にわたって国際学術会議を開催し、そのなかで個人発表の機会がありました。中には他のジオパークからの発表もあり、結構盛り上がっていたと思います。しかし、これはもともと4年間ということで兵庫県から予算がついていた事業であり、2015年のAPGN以降、予算がなくなると同時に開催されなくなりました。国際会議じゃなくて国内だけであれば、経費もそれほど掛からないのですが。
(3)ジオパーク運営への新しい人材の発掘
現在、山陰海岸ジオパークの運営は推進協議会事務局や各市町の行政担当者と各部会によって進められています。しかし、そのメンバーは長年固定されていたり、逆に2年で交代する行政職員であったり、職制で決まっていたりするので、新しい人が入る余地は非常に少なくなっています。人材を発掘し、参画してもらう必要があります。
一方で、ジオパークを運営する人が決まっている現状では、ジオパークに興味があっても自分事として運営に関わろうと考える人も出てきません。実際に私が見て、「関わってもらいたい」と思える若い人が、この数年で何人か出てきています。そんな人が積極的にジオパークにかかわろうとするきっかけを考えたとき、単に講演会などで勉強するのではなく、自らが発表して主張していく機会を持つことは大きな意味があると考えます。
(4)ジオパーク村からの脱却
各ジオパークで開催される集会から日本ジオパーク全国大会、さらに世界ジオパークの大会も含め、ジオパークで開催する集まりは往々にして「ジオパークの、ジオパーク関係者による、ジオパークのための集まり」であり、外部から見るとジオパーク関係者だけが集まって勝手に盛り上がっているように見えてしまっています。そこでしばしば「ジオパーク村」などと揶揄されることがあります。
そこで、今回の「みんなの発表会」ではジオパーク内の閉じた集まりではなく、ジオパーク外の人も参加し、山陰海岸ジオパークが広く、自然・環境・文化に興味があり地域を元気にしたい人たちの集まりの場になることを目指しました。
(5)見本は ひとはく「共生のひろば」
私は兵庫県立人と自然の博物館にいて、色々なことを体験しました。その一つが毎年2月11日に開催される「共生のひろば」です。ここではひとはくと連携して地域で活動している「連携活動グループ」や「地域研究員」の人達が、それぞれ活動してきたことを報告する会で、今年は87団体(900名)の発表があり、2000人の来館者があったそうです。小学生から老人まで、さまざまな人が楽しく発表をし、内容も多彩で盛り上がった一日を過ごせます。
山陰海岸からは遠いのですが、毎年いくつかのグループが三田まで出かけて行って発表している姿を見て、こんな会を山陰海岸ジオパークでも開催したら、こちらの人達ももっと参加するのではないかと思っていました。
このようなことを考えて、3月18日(日)に実施したわけですが、長くなってしまったので今回はここまでとし、実際の様子、成果と反省点などは、次回とします。